食事と五十肩の関係

こんにちは、常若整骨院の院長です。今日は意外と知られていない「食事と五十肩の関係」について、東洋医学の視点からお話しします。

五十肩の痛みや動きの制限に悩んでいる方にとって、「食べ物が関係しているの?」と驚かれるかもしれません。しかし、東洋医学では古くから「医食同源」という考え方があり、食事と健康は切っても切れない関係にあると考えられてきました。

私の10年以上の施術経験から、五十肩の方の食生活を見直すことで、回復速度が変わることを実感しています。では、どのような食事が五十肩に影響するのでしょうか?

東洋医学から見た食事と五十肩の関係

「気・血・水」のバランスと食事

東洋医学では、体内を巡る「気・血・水」のバランスが健康の鍵と考えます。五十肩の場合、特に以下のようなバランスの乱れが関連しています:

  1. 気の滞り:エネルギーの流れが滞ることで、肩周りの痛みや動きの制限が起こります
  2. 血の不足:血液循環が悪くなることで、組織の修復が遅れます
  3. 水の停滞:体内の水分代謝が悪くなり、むくみや炎症を引き起こします

これらのバランスは、毎日の食事によって大きく左右されるのです。

食材の「性質」と五十肩

東洋医学では食材にも「性質」があると考えます:

  • 温性・熱性:体を温める性質
  • 寒性・涼性:体を冷やす性質
  • 平性:体温に影響しにくい性質

五十肩の方の多くは、体内に「寒」や「湿」が溜まりやすい状態。「寒」は筋肉や関節を硬くして血行を悪くし、「湿」は水分代謝を妨げて炎症を長引かせます。

そのため、多くの五十肩患者さんには、体を冷やす「寒性」の食材を控え、体を温める「温性」の食材を増やすことをお勧めしています。

五十肩を悪化させる食習慣

1. 冷たいものの過剰摂取

冷たい飲み物、アイスクリーム、冷えた食べ物の過剰摂取は、体を冷やし血行を悪くします。特に冷蔵庫から出してすぐの冷たい食べ物や、氷を入れた飲み物は「寒邪」として体内に入り、「気」と「血」の流れを滞らせます。

五十肩の患者さんの中には、毎日アイスコーヒーを飲んでいた方が、温かい飲み物に変えただけで症状が改善した例もあります。

2. 過剰な糖分摂取

砂糖や精製炭水化物の過剰摂取は、体内に「湿」や「痰」を生みやすくします。東洋医学では、これらが経絡(気の通り道)を塞ぎ、「気」の流れを妨げると考えられています。

特に甘いお菓子や清涼飲料水を多く摂る方は、五十肩の症状が長引く傾向があります。

3. 乳製品の過剰摂取

牛乳やチーズなどの乳製品は、東洋医学では「湿」を生みやすい食材とされています。特に体質的に「湿」がたまりやすい方(むくみやすい、だるさを感じやすい方など)は、乳製品の摂りすぎに注意が必要です。

乳製品を控えるだけで、肩の動きが改善したという患者さんも少なくありません。

4. 小麦粉製品の過剰摂取

パン、パスタ、うどんなどの小麦粉製品も、「湿」を生みやすい食材です。特に精製された小麦粉は消化に負担をかけ、「脾」の機能を弱めるとされています。

東洋医学では「脾」は水分代謝や栄養の吸収に関わる重要な臓器と考えられており、「脾」の機能低下は全身の「気」の巡りに影響します。

5. 添加物の多い加工食品

保存料や着色料などの添加物が多い加工食品は、東洋医学的には体内の「毒」となり、「気」と「血」の質を低下させると考えられています。

自然な食材から遠ざかるほど、体の回復力は低下し、五十肩などの症状も長引きやすくなります。

6. 偏った食事のタイミング

不規則な食事時間や、夜遅い食事は消化器官に負担をかけ、「気」のバランスを乱します。特に就寝直前の食事は「気」が下がりにくくなり、睡眠の質を低下させ、体の回復力に影響します。

五十肩の患者さんの中には、食事時間を整えることで、夜間痛が軽減した方もいらっしゃいます。

五十肩を改善する食事法

1. 体を温める食材を積極的に

体を温め、「気」と「血」の流れを良くする食材を意識的に取り入れましょう:

  • 根菜類:ごぼう、にんじん、れんこん、山芋など
  • 温性のハーブ・スパイス:生姜、シナモン、黒胡椒、ニンニク、ねぎなど
  • 良質なタンパク質:鶏肉、羊肉、卵、魚(特に鯖や鮭など)
  • 温性の果物:リンゴ(加熱したもの)、さくらんぼ、桃など
  • 発酵食品:味噌、醤油、納豆、キムチなど
  • 黒色の食材:黒豆、黒ごま、黒米など(「腎」を補うとされる)

特に生姜は「気」を巡らせる作用が強く、毎日の食事に少量加えるだけでも効果が期待できます。

2. 体を冷やす食材を控える

以下の食材は体を冷やす性質があるため、特に寒い季節や体が冷えている方は控えめにしましょう:

  • 冷たい飲食物:アイスクリーム、冷たい飲み物、冷えた食べ物
  • 寒性の果物:バナナ、スイカ、梨、柑橘類(特に冷蔵したもの)
  • 生野菜(特に大量に):サラダ、生のトマトなど
  • 南国のフルーツ:マンゴー、パイナップルなど

これらを完全に避ける必要はありませんが、特に体が冷えている時や、五十肩の症状が強い時には控えめにしましょう。

3. 「湿」を取り除く食事

体内の余分な「湿」を取り除く食材も、五十肩の改善に役立ちます:

  • 小豆:利水作用があり、むくみを取る
  • とうもろこし(ひげ茶):利尿作用がある
  • 冬瓜:体内の余分な水分を排出する
  • はと麦:利水・解毒作用がある
  • 緑茶:軽度の利尿作用と抗酸化作用がある

これらの食材を適度に取り入れることで、体内の余分な「湿」を排出し、「気」の流れを改善することができます。

4. 「肝」を整える食事

東洋医学では「肝」は「気」の流れをスムーズにする役割を持ち、ストレスと密接に関連しています。「肝」の機能を整える食材は、五十肩の改善にも役立ちます:

  • 緑色の野菜:春菊、青梗菜、小松菜など
  • 酸味のある食材:梅干し、酢、レモン(少量)
  • 苦味のある野菜:ごぼう、春菊、アスパラガスなど
  • クコの実:「肝」と「腎」を補うとされる

特に、ストレスが多く肩の緊張がある方は、これらの食材を意識的に取り入れることをお勧めします。

5. 「腎」を補う食事

東洋医学では「腎」は基本的な生命エネルギーの源と考えられています。「腎」のエネルギーが減少すると、回復力が低下し、五十肩などの症状が長引きやすくなります。

「腎」を補う食材には以下のようなものがあります:

  • 黒色の食材:黒豆、黒ごま、黒米、海藻類
  • 豆類:大豆、黒豆、小豆など
  • ナッツ類:クルミ、アーモンド、松の実など
  • 魚介類:エビ、イカ、貝類など

特に、疲れやすい方や高齢の方は、これらの食材を意識的に摂ることで、体の回復力が高まります。

五食事改善で五十肩が良くなった実例

事例1:冷たい飲み物を減らして改善した50代女性

佐藤さん(仮名・52歳)は1年間、右肩の痛みに悩まされていました。特に朝の痛みが強く、洗髪も困難な状態でした。

食習慣を聞くと、1日に2〜3杯のアイスコーヒーと、夏場は毎日アイスクリームを食べる習慣がありました。

東洋医学的な診断では「寒湿」が体内に溜まっている状態。気功整体での施術に加えて、冷たい飲食物を温かいものに変え、生姜紅茶を1日1杯飲む習慣をお勧めしました。

3週間後、朝の痛みが軽減。2ヶ月後には肩の可動域も大幅に改善しました。

「こんな簡単なことで変わるなんて驚きです。体が温まると気分も前向きになりました」

※効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

事例2:甘いものと小麦を減らして改善した40代男性

田中さん(仮名・45歳)は仕事のストレスから間食が多く、特に甘いものとパン類を多く摂取していました。半年前から左肩の痛みと動きの制限があり、仕事にも影響が出ていました。

東洋医学的には「湿痰」が溜まっている状態で、体がむくみやすく、だるさも感じていました。

気功整体での施術に加えて、砂糖と小麦製品を減らし、代わりに玄米や根菜類を増やす食事法をアドバイス。特に間食を甘いものから黒ごまやクルミなどに変えてもらいました。

1ヶ月後、体のむくみが減少し、それに伴って肩の痛みも軽減。3ヶ月後には肩の可動域がほぼ回復しました。

「体重も3kg減って、肩だけでなく体全体が軽くなりました。仕事の集中力も上がって一石二鳥でした」

※効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

事例3:発酵食品を増やして改善した60代女性

山本さん(仮名・63歳)は両肩の痛みと首のこりに悩まされ、特に天気の悪い日に症状が悪化していました。

食習慣を聞くと、加工食品が多く、野菜や発酵食品が少ない食生活でした。

東洋医学的には「気虚」と「湿滞」の状態で、体の防御力と代謝が低下していました。

気功整体での施術に加えて、味噌、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品と、体を温める根菜類を毎日摂るようアドバイス。また、黒豆や黒ごまも取り入れてもらいました。

2ヶ月後、天気による症状の波が小さくなり、全体的な痛みも軽減。4ヶ月後には首のこりも改善し、朝起きたときのこわばりがほとんど感じられなくなりました。

「食事を変えるのは最初は大変でしたが、今では新しい味に興味が出てきて楽しいです。体調も良くなって外出も増えました」

※効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

五十肩に効果的な簡単レシピ

1. 生姜と鶏肉のスープ

材料

  • 鶏もも肉 200g
  • 生姜 30g(たっぷり)
  • 長ねぎ 1本
  • にんじん 1/2本
  • 椎茸 4個
  • 水 800ml
  • 塩 適量

作り方

  1. 生姜は皮付きのまま薄切りに、長ねぎは斜め切りに、にんじんは乱切りに、椎茸は石づきを取って4等分に切ります。
  2. 鍋に水と鶏肉を入れ、アクを取りながら中火で10分煮ます。
  3. 生姜、長ねぎ、にんじん、椎茸を加えて弱火で15分煮ます。
  4. 塩で味を調えて完成。

このスープは「気」と「血」を巡らせ、体を温める効果があります。特に寒い日や、肩の痛みが強い日に飲むと効果的です。

2. 黒ごま豆乳ドリンク

材料

  • 黒すりごま 大さじ2
  • 豆乳(無調整) 200ml
  • はちみつ 小さじ1(お好みで)
  • 生姜すりおろし 小さじ1/2

作り方

  1. 豆乳を鍋で温めます(沸騰させないよう注意)。
  2. 温まった豆乳に黒すりごま、生姜すりおろしを加えて混ぜます。
  3. お好みではちみつを加えて完成。

このドリンクは「腎」と「肝」を補い、「気」と「血」を巡らせる効果があります。朝食代わりや、おやつとして飲むのがおすすめです。

3. 五行バランスの一汁三菜

東洋医学の五行(木・火・土・金・水)をバランスよく取り入れた食事は、体全体の調和を促します。

基本構成

  • 主食:玄米や雑穀米(「土」)
  • 汁物:季節の野菜の味噌汁(「土」と「木」)
  • 主菜:魚や肉の蒸し物や煮物(「水」と「火」)
  • 副菜1:根菜の煮物(「土」)
  • 副菜2:緑黄色野菜の和え物(「木」)
  • 漬物:発酵食品(「金」)

この食事法は一見複雑ですが、基本的には「色とりどりの食材をバランスよく」という原則です。五十肩の改善だけでなく、全身の健康増進にも役立ちます。

日々の食事で意識したい5つのポイント

  1. 温かい食事を基本に:体を冷やさないよう、温かい食事を中心に考えましょう。
  2. 旬の食材を選ぶ:旬の食材には、その季節に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
  3. 多様な色の食材を:赤、緑、黄、白、黒など、様々な色の食材を取り入れることで、五行のバランスが整います。
  4. 発酵食品を毎日少しずつ:味噌、醤油、納豆、漬物などの発酵食品は、消化吸収を助け、「気」の巡りを良くします。
  5. 食事はリラックスして:緊張しながらの食事は「気」の流れを妨げます。食事の時間はリラックスして、食べ物に感謝する気持ちを持ちましょう。

最後に〜五十肩でお悩みの方へ

五十肩の痛みや動きの制限に悩んでいる方にとって、食事の見直しは思いがけない改善の鍵となることがあります。

特に「自分で色々試してどこに行っても治らない」という方は、今日お話しした食事の原則を実践してみてください。もちろん、食事だけで全ての症状が劇的に改善するわけではありませんが、体の内側からのアプローチは、外側からの施術と組み合わせることで相乗効果を生みます。

当院では、一人ひとりの体質や症状に合わせた食事のアドバイスも行っています。東洋医学の「医食同源」の知恵を活かした気功整体と食事指導で、あなたの五十肩の改善をサポートします。

あなたの体は本来、自分自身を癒す力を持っています。その力を最大限に引き出す「食」の力を、ぜひ活用してみてください。

もう痛みに耐える毎日を送る必要はありません。体の内側からも外側からも整えて、あなたの笑顔ある日常を取り戻しましょう。

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