子どものアトピーが治らない本当の理由|東洋医学と気功で“家族まるごと改善”する方法
はじめに
気功と整体を通じて20年間、数えきれないほどの子どもたちの笑顔を見てきました。今日は、お子さんのアトピーに悩むお父さん、お母さんと一緒に考えていきたいことがあります。
西洋医学では「バリア機能の低下」「免疫の過剰反応」と説明されるアトピー。確かにその通りなんですが、東洋医学の視点から見ると、また違った景色が見えてくるんです。
東洋医学が見る子どものアトピー
気血水の世界
東洋医学では、体を「気・血・水」という3つの要素で捉えます。子どものアトピーは、まさにこの3つが複雑に絡み合った状態なんです。
私の治療院に来る7歳の女の子のことを思い出します。頬っぺたが真っ赤で、いつも無意識に掻いてしまう。お母さんは「夜中に掻く音で目が覚める」と疲れ切っていました。
この子の場合、東洋医学的には「気滞」が主体でした。気の流れが滞っているんです。現代風に言えば、ストレス反応が強い状態でしょうか。加えて「血虚」もありました。血の栄養が不足している状態です。
年齢による変化のパターン
アトピーの症状は、子どもの成長に従って出やすい場所が変わっていきます。これって実は、東洋医学でいう「経絡」の変化と深い関係があるんです。
乳児期(生後2ヶ月〜2歳)
- 顔面中心の症状
- 東洋医学的には「胃経」「大腸経」の関与
- 消化機能の未熟さが表れる時期
幼児期〜学童期(2歳〜)
- 関節部分(肘・膝の内側)に移行
- 「心包経」「腎経」との関連が深い
- 感情や腎の機能と関わる
私はこれを「成長に伴う気の流れの変化」と捉えています。決して悪化ではなく、体が成長していく自然な過程なんです。
気功から見た子どものエネルギー
子どもの「気」の特徴
20年間で分かったことがあります。子どもの気は大人とまったく違うんです。
大人の気が「川の流れ」だとすれば、子どもの気は「噴水」みたいなもの。勢いよく上に向かって噴き出すけれど、まだ流れる方向が定まっていない。だからこそ、ちょっとしたきっかけで大きく変わる可能性を秘めているんです。
実際に施術をしていると、子どもの反応の早さに驚かされます。ある4歳の男の子は、お母さんと一緒に気功を始めて、3週間で夜中の掻きむしりがほぼなくなりました。「魔法みたい」とお母さんは言ってくれましたが、これは子どもの持つ自然治癒力の強さなんです。
家族全体のエネルギーバランス
アトピーは、精神的ストレスも大きく影響します。子どもの場合、母親の精神状態が反映して、それがストレスになって症状を悪化させていることもしばしばあります。
これは気功の世界では当たり前の話です。家族は一つのエネルギー体なんです。
5歳の娘さんのアトピーで相談に来たお母さんがいました。話を聞くと、お母さん自身が仕事のストレスで疲れ切っていて、夜眠れない日が続いていたんです。
「まずはお母さんの気を整えましょう」
そう提案して、お母さんに簡単な呼吸法を教えました。毎晩5分間、娘さんと一緒に深呼吸をする。たったそれだけなんですが、2ヶ月後には娘さんの肘の赤みが明らかに薄くなっていました。
体質を見極める東洋医学の知恵
証を立てる重要性
各人の体質により処方が決まるため、「アトピーだからこれ」といったものはありません。これは漢方薬だけでなく、気功治療でも同じです。
私は初診で必ず「四診」を行います。
望診(見る)
- 顔色
- 皮膚の質感、湿疹の状態
- 全体的な印象(思わず、この子は元気だなと感じるか、疲れているなと感じるか)
聞診(聞く・嗅ぐ)
- 声の質、泣き方
- 体臭(甘い匂い、酸っぱい匂いなど)
問診(質問する)
- 睡眠パターン(何時間眠るか、夜泣きはするか)
- 食欲(好きな食べ物、嫌いな食べ物)
- 排便の状態
- 汗のかき方
切診(触れる)
- 脈の状態
- 肌の温度
- 筋肉の緊張
よく見られる体質パターン
実証タイプ(エネルギーが強い子) 体格がしっかりしていて、声も大きい。湿疹も赤みが強く、掻くと血が出やすい。夜中でも元気に遊び回りたがる。
このタイプには「清熱」が基本。体の熱を冷ます方向で気を調整します。
虚証タイプ(エネルギーが不足している子) 色白で華奢、すぐに疲れる。湿疹はジュクジュクしていることが多く、季節の変わり目に悪化しやすい。
このタイプには「補気」「健脾」が中心。エネルギーを補い、消化機能を高める方向で調整します。
中間証タイプ(どちらでもない子) 実証と虚証の中間。その時の体調や季節によって症状が変わりやすい。
一番多いのがこのタイプです。柔軟な対応が必要になります。
季節と子どものアトピー
春(木の季節)
春は「肝」の季節です。気がのびのびと上昇する時期。でも、この上昇が強すぎると、顔や頭部にアトピーが出やすくなります。
「木の芽時」という言葉があるように、気持ちも不安定になりがち。新学期のストレスも重なって、この時期に悪化する子が多いんです。
対策としては、「疏肝理気」。肝の気を円滑に流す方向で調整します。外遊びを増やして、体を動かすことも大切です。
夏(火の季節)
「心」の季節。暑さで体に熱がこもりやすく、汗をかくことで症状が悪化しやすい時期です。
ただし、適度な発汗は必要。汗腺の機能を高めることで、体内の湿気や熱を外に出すことができるんです。
私はよく「夏は自然のデトックス季節」と説明します。エアコンで冷やしすぎず、適度に汗をかかせることが大切です。
秋(金の季節)
「肺」の季節。乾燥が始まって、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。
この時期は「潤燥」が基本。体の内側から潤いを補う必要があります。梨や蓮根など、白い食材を意識的に取り入れることをお勧めしています。
冬(水の季節)
「腎」の季節。生命力の根本に関わる時期です。
腎の機能が弱い子は、この時期に手足が冷えて、関節部分のアトピーが悪化しやすくなります。「補腎陽」を意識した調整が必要です。
日常でできる気功的アプローチ
親子でできる呼吸法
「風船呼吸」
- 子どもと一緒に座ります
- 「お腹に風船があるよ」と想像してもらいます
- 鼻から息を吸って、お腹の風船を膨らませます(4秒)
- 口から息を吐いて、風船をしぼませます(6秒)
- これを10回繰り返します
毎日続けることで、自律神経が整い、睡眠の質も改善します。実際に、この呼吸法を3ヶ月続けた8歳の男の子は、夜中に起きる回数が週に5〜6回から1〜2回に減りました。
簡単な気功体操
「木になろう体操」
- 足を肩幅に開いて立ちます
- 両手を上に伸ばして、大きな木をイメージ
- ゆっくりと左右に体を揺らします
- 「根っこから栄養をもらっているよ」と声をかけます
- 3分間続けます
これは「肝気」を整える効果があります。イライラしやすい子に特に効果的です。
「魔法のツボ」タッチ
子どもには「魔法のツボ」として教えています。
合谷(ごうこく) 手の甲、親指と人差し指の間にあるツボ。 「痛いの痛いの飛んでいけ〜」と言いながら、優しく押してあげます。
神門(しんもん) 手首の小指側にあるツボ。 心を落ち着かせる効果があります。寝る前に軽く押してあげると、安眠につながります。
これらのツボ押しは、親子のスキンシップにもなって一石二鳥です。
食養生と季節の知恵
食べ物も薬
東洋医学では「薬食同源」という考え方があります。毎日の食事も治療の一部なんです。
体を冷やす食材(夏に良い)
- きゅうり、トマト、スイカ
- 緑茶、麦茶
- 豆腐
体を温める食材(冬に良い)
- 生姜、ねぎ、ニンニク
- 鶏肉、羊肉
- シナモン
気を補う食材(疲れやすい子に)
- 山芋、白米
- 鶏肉、卵
- なつめ
避けたい組み合わせ
私の経験上、アトピーの子には避けてもらいたい食べ合わせがあります。
- 甘いものと冷たいもの(アイスクリーム、ジュースなど)
- 油っこいものと生もの(刺身定食の揚げ物など)
- 辛いものと酸っぱいもの(キムチにレモンなど)
これらは「湿熱」を生みやすく、皮膚症状を悪化させる可能性があります。
環境と気の流れ
住環境の大切さ
気功では、住環境も治療の一部と考えます。
寝室の環境
- 頭の向きは北または東向き
- 電子機器は極力置かない
- 自然素材のものを多用する
実際に、寝室の模様替えだけで症状が改善した例もあります。6歳の女の子の場合、ベッドの向きを変えて、プラスチックのおもちゃを木のおもちゃに替えただけで、1ヶ月後には肌の調子が明らかに良くなっていました。
自然との触れ合い
現代の子どもたちは、自然から離れすぎています。土や草に触れる機会を意識的に作ることが大切です。
裸足で土の上を歩く、川で水遊びをする、木に登る。こうした体験が、子どもの気を自然に整えてくれます。
ある男の子のお母さんから「キャンプに行った後、息子のアトピーが劇的に改善しました」という報告を受けたことがあります。これは偶然ではないんです。
心の持ち方が与える影響
不安と焦りの罠
子どもの治りにくいアトピーは辛いものですが、くよくよしても始まりません。明るく、前向きに考えるように気持ちを切り替えることも、治療の大切なポイントです。
この言葉、本当にその通りなんです。親の不安や焦りは、確実に子どもに伝わります。
私自身、治療を始めた頃は「早く治してあげなければ」という気持ちが強すぎて、かえって子どもを緊張させてしまうことがありました。少し焦ったんです、正直に言うと。
「信じて待つ」心
大切なのは「信じて待つ」心です。
子どもの自然治癒力を信じる。今行っている治療を信じる。そして、時間をかけて良くなっていくことを信じる。
この「信じる心」は、実は最強の気功なんです。親の穏やかな気持ちが、子どもの治癒力を最大限に引き出してくれます。
西洋医学との上手な付き合い方
使い分けの知恵
私は決して西洋医学を否定しません。急性期や重篤な状態では、ステロイド外用薬などの西洋医学的治療が必要な場合もあります。
急性期、重症例には西洋医学を優先して症状を抑え、慢性期には漢方治療を中心に体質を整えるようにする方法が一般的な併用方法です。
段階的アプローチ
私がお勧めしているのは、以下のような段階的なアプローチです。
第1段階:急性期対応
- 西洋医学的治療で炎症を抑える
- 東洋医学的な生活指導を並行して行う
第2段階:慢性期対応
- 漢方薬や気功治療を中心にする
- 必要に応じて西洋薬を補助的に使用
第3段階:体質改善期
- 東洋医学的治療が主体
- 定期的な体質チェックと調整
この段階を踏むことで、薬に依存しない体作りが可能になります。
長期的な視点の大切さ
治癒のプロセス
初めは皮膚よりも体調が先に良くなってくることが多い。皮膚症状の改善がみられるのは、治療の最終段階です。
これは本当にその通りで、私もいつも患者さんにお話しています。
最初に変わるのは:
- 睡眠の質(夜中に起きる回数が減る)
- 食欲の改善
- 機嫌が良くなる
- 風邪をひきにくくなる
皮膚の症状が改善するのは、これらの後なんです。
成長と共に変わる体質
アトピー性皮膚炎の多くは、免疫システムが未発達な乳幼児〜小児期に発症し、思春期を過ぎたころからおさまってきます。
これは希望のメッセージでもあります。適切な治療と生活習慣の改善を続けることで、多くの子どもたちが思春期頃には症状が軽快していきます。
実際の症例から学ぶ
症例1:7歳男児の場合
初診時:両肘、両膝の内側に強い炎症。夜間の掻破で睡眠不足。
東洋医学的診断:肝気郁結、脾虚湿盛
治療方針:
- 疏肝理気の気功指導
- 健脾化湿の食事指導
- 親子での呼吸法実践
経過:
- 1ヶ月後:夜間覚醒が週6回→3回に減少
- 3ヶ月後:皮膚の赤みが明らかに改善
- 6ヶ月後:ほぼ正常な皮膚状態に
この子の場合、お父さんの転勤ストレスが原因の一つでした。家族全体での取り組みが効果的でした。
症例2:4歳女児の場合
初診時:顔面中心の湿疹、ジュクジュクした状態。食が細い。
東洋医学的診断:脾胃虚弱、湿熱内蘊
治療方針:
- 健脾胃の食事療法
- 清熱利湿の生活指導
- 親子でのツボ押し指導
経過:
- 2週間後:食欲が改善
- 1ヶ月後:ジュクジュクが減少
- 4ヶ月後:ほぼ完治
この子の場合、消化機能の改善が鍵でした。離乳食の進め方を見直すことで、劇的に改善しました。
家族全体のケア
お母さんのケア
子どものアトピー治療では、お母さんのケアも欠かせません。
ストレス発散法
- 週に1回は自分だけの時間を作る
- 好きな音楽を聴く
- 軽い運動をする
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
気持ちの切り替え法
- 「今日は良い日だった」を毎日3つ見つける
- 子どもの小さな変化を喜ぶ
- 完璧を求めすぎない
お父さんの役割
意外と見落とされがちですが、お父さんの役割も重要です。
- お母さんの話を聞く
- 家事や育児を積極的にサポートする
- 子どもと体を動かして遊ぶ
- 治療方針について家族で話し合う
きょうだいへの配慮
アトピーのお子さんに手がかかると、どうしてもきょうだいに我慢させてしまうことがあります。
これも気のバランスを崩す要因の一つ。きょうだい全員が大切にされていると感じられる環境作りが大切です。
季節ごとの具体的ケア
春のケア(3月〜5月)
生活のポイント
- 早寝早起きを心がける
- 適度な運動で気を発散させる
- 新しい環境への適応をサポート
食事のポイント
- 山菜類で肝の気を整える
- 酸味を適度に取り入れる
- 脂っこいものは控えめに
気功のポイント
- 伸びやかな動きを中心に
- 肝経のマッサージ
- イライラした時の対処法を教える
夏のケア(6月〜8月)
生活のポイント
- 適度な汗をかく
- 冷房の使いすぎに注意
- 水分補給は常温がベスト
食事のポイント
- 体を冷やす食材を上手に活用
- 冷たすぎるものは避ける
- 消化に良いものを中心に
気功のポイント
- 心を落ち着かせる呼吸法
- 汗をかいた後のクールダウン
- 水辺での自然気功
秋のケア(9月〜11月)
生活のポイント
- 保湿を徹底する
- 乾燥対策を万全に
- 規則正しい生活リズム
食事のポイント
- 白い食材で肺を潤す
- 温かい飲み物を増やす
- 季節の果物を適量
気功のポイント
- 呼吸器系を意識した動き
- 肺経のマッサージ
- 自然の美しさを感じる時間
冬のケア(12月〜2月)
生活のポイント
- 体を冷やさない
- 十分な睡眠時間
- 無理をしない
食事のポイント
- 体を温める食材を活用
- 根菜類を多めに
- 温かい調理法を選ぶ
気功のポイント
- 腎を意識した動き
- 足腰を強化する運動
- 内なるエネルギーを高める
治療院選びのポイント
良い治療院の見分け方
こんな治療院を選びましょう
- 子どもの扱いに慣れている
- 家族全体を診てくれる
- 西洋医学との連携を考えてくれる
- 無理な治療を勧めない
- 料金体系が明確
注意が必要な治療院
- 「絶対治る」と断言する
- 他の治療を全否定する
- 高額な商品を売りつける
- 施術者の資格が不明確
現代社会とアトピー
デジタル社会の影響
現代の子どもたちは、スマートフォンやタブレットに囲まれて生活しています。これらの電磁波が気の流れに影響を与えている可能性があります。
私は「デジタルデトックス」の時間を作ることをお勧めしています。1日1時間でも良いので、すべての電子機器から離れる時間を作る。その間は、親子で自然に触れたり、体を動かしたりする。
食生活の変化
昔と比べて、現代の食生活は大きく変わりました。添加物の多い食品、冷凍食品、インスタント食品。これらが子どもの体質に与える影響は決して小さくありません。
「手作り」にこだわる必要はありませんが、できるだけ自然に近い食材を選ぶことが大切です。
希望のメッセージ
必ず良くなる
20年間の経験を通して、確信を持って言えることがあります。適切な治療と生活の工夫を続けることで、子どものアトピーは必ず改善します。
時間はかかるかもしれません。一進一退を繰り返すかもしれません。でも、確実に良い方向に向かっています。
成長の一部として
アトピーは確かに辛い症状ですが、一方で子どもの成長にとって意味のある体験でもあります。
- 自分の体を大切にすることを学ぶ
- 家族の絆が深まる
- 食事や生活習慣の大切さを知る
- 他人への思いやりを育む
こうした「副産物」も決して小さくありません。
家族の成長
子どものアトピー治療を通して、家族全体が成長していく姿をたくさん見てきました。
お父さんが子育てに積極的になったり、お母さんが東洋医学に興味を持ったり、きょうだいが優しくなったり。病気をきっかけに、家族がより結束を深めていく。
これも治療の大切な効果の一つです。
最後に
思わず長くなってしまいましたが、これでもお伝えしたいことの半分も話せていないような気がします。
子どものアトピーと向き合うのは、長い旅路のようなものです。山あり谷ありの道のりですが、必ずゴールにたどり着くことができます。
大切なのは、一人で抱え込まないこと。信頼できる治療者と出会い、家族で支え合いながら、ゆっくりと歩んでいくことです。
東洋医学や気功は、そんな皆さんの強い味方になれると信じています。体だけでなく、心も一緒に癒していく。それが私たちの目指す治療です。
最後に質問です。お子さんのアトピーと向き合う中で、ご家族にとって一番大切にしたいことは何でしょうか? 🌿