どうしてわかってくれないの!?妻の不調に夫が不機嫌になる理由
常若整骨院に来院される患者さんの中で、一番多いのは40代から50代の既婚女性の方。
その方々が高確率で口にするのが、旦那さんへの不満です。
「私が体調を崩してるのに、旦那は全く知らんふりなんです。少しぐらい労わってくれてもいいのに」
「頭痛で寝込んだりすると、夫の機嫌が悪くなるんです。好きで調子が悪いわけじゃないのに!」
こういったお話は枚挙にいとまがありません。
ひょっとして、世の中の夫衆はみんな薄情者なのでしょうか?
いえいえ、とんでもない。実は健気なほどに家族を、奥さんを大切に思っているんです。
実例:Aさんご夫婦(50代)
旦那様は腰の痛み、奥様は自律神経の乱れで悩み、来院されたAさんご夫婦。
お身体を見てみると、旦那様は腰から背中にかけてが硬くかたまり、奥様は首まわりがガチガチで神経が過緊張の状態になっていました。
お話をうかがっていると、奥様は結婚以来、転勤の多い旦那様と一緒に全国あちこちを転々とし、そのたびにお子さんの学校関係など、一から人間関係を作っていくことがとても大変だったそう。気丈に振舞って乗り越えてきたけれど、ここ数年で起き上がれない日が出てきたリ、もう動きたくないと感じることが増えたそうです。
「夫や子供たちのために頑張ってきたけど、もう身体が言うことをきかないし、でも誰も労わってくれないし…」
「せめてたった一言、『振り回してごめんな、頑張ってくれてありがとう』と言ってくれたら、それだけでいいんですけれど」
そう涙をこぼす奥様を、旦那様は怒ったような困ったような顔で見つめていました。
「男性って、家族のことがとても大切なんです。とくに奥様は、自分が一番守りたい人なんです。その人が体調を崩した時、男性は理屈じゃなく『大切な人も守れないオレは、男としてダメダメだ』と感じてしまうんです。それが辛すぎるから、奥様の不調から目を背けようとしてしまうだけで、心の中では申し訳ない、守りたいと思ってるんですよ」
そうお話すると、旦那様の顔がパッと輝いて
「そうなんです。その通りです」
とおしゃいました。
奥様には、<無理をしてまで家族のために働かず休むこと。「休ませてくれてありがとう」と伝えること。自分を大切にすること>。
旦那様には、<自分を責める必要はないこと、考えるより先に奥様を抱きしめること。抱きしめるのが恥ずかしければ、背中をポンポンと撫でること>。
以上をセルフケアとしてお願いしたところ、ストレスが緩和され、施術の効果がアップ。
旦那様は背中のハリと腰がゆるみ、奥様は首まわりがやわらかく動くようになり、お二人とも順調に回復されていきました。
NOT薄情、BUT繊細な夫ゴコロ
上記したとおり、多くの男性は家族のことを「ボスである自分が守るべきグループ」として認識しています。
とくに奥さんは、一番に守りたい存在。自分の男としての手腕が試される存在だと認識しています。
一番守りたい人が体調を崩す=「大切な人を守れない、自分の男としての手腕が足りない」と認識した時、男性は大変に傷つき、落ち込みます。
女性目線では「そんなことで?」と感じるかもしれませんが、男性は実はとても傷つきやすくデリケート。
■プライド=男としての自信が満たされていると、周囲にも優しくなれる
■プライド=男としての自信が傷つくと、辛くて目を逸らしたり、穴倉(自分が一人になれる場所)に逃げ込みたくなる
…という性質を持っています。
ですから、奥さんの不調に不機嫌になったり無視するのは、決して薄情だからではなく、「相手を守りたいのにそれが出来ない自分への自責の念」のせいなのです。
大事にしてね♪を上手に伝える方法
責任感が強くて繊細、だから妻の不調から目を逸らそうとしてしまう、夫ゴコロ。
その仕組みを知ったうえで「奥さんを大事にする旦那さん」になって貰うには、
①自分が自分を大切に扱う
②家族や旦那さんのために自分をすり減らすのをやめる
③家族は敵じゃなく、仲間だと認識する
④頼み事をして、感謝する
といったことがオススメです。
①自分が自分を大切に扱う
「私は夫や家族から雑に扱われる存在」
という自己イメージが当たり前になっていると、たとえ旦那さんが大切にしようと手を差し伸べてくれても、「何を姑息にご機嫌うかがいしてるのよ」「今更なによ!」と突っぱねてしまうことも少なくありません。
まずは、自分が自分を大切にしましょう。
■自分のことを大切にする、後回しにしない、と決める
■パジャマや下着など、肌に触れるものを新調する
■穴の開いた服や欠けたお皿など、「他人には貸せない」と思うものを使うのをやめる
■いい香りのハンドクリームで、よく働いた手をねぎらう
■鏡に向かって「今日も素敵ね」と言う
こういったことの積み重ねで、「私は大切にされるのが当たり前の存在」と思えるようになっていきます。
②家族や旦那さんのために自分をすり減らすのをやめる
どんなに身体がきつくても、心が疲れても、家族の為に自分にムチ打って働く、ご飯をつくる、洗濯や掃除をする。
それをしている限り、どんなに口で「きつい、しんどい」と言っても、家族はあなたを「なんだ、働けるじゃん。大げさだな~」という目で見ます。
言葉で言っていることと行動が食い違っている時、他人は実際の行動から現状を判断するからです。
「きつい、しんどい」と口に出したら、それを行動でも示しましょう。家事を休む。送り迎えを休む。寝込む。
家族はそれを目にしてようやく「どうやら本当にきついらしい」と察知しますし、自分でも自分を大切にしている実感が湧きます。
③旦那さんや家族は敵じゃなく、仲間だと認識する
旦那さんや家族の為に自分をすり減らし続けていると、
「どうして私ばかりこんな目に?」
「彼らは私を傷つける敵なの?」
という風に、家族=敵、と認識されてしまっていることがあります。
「そんなこと思っていません」という方でも、夫に甘えられない、家族に弱音を吐けない、というようなら、家族=敵と思い込んでいる可能性大。
家族は、世の中を一緒に生き抜いていくために協力し合う仲間です。
まずは「旦那さんと仲良くする」「家族と仲良くする」と決めてみてください。
■どうすれば違う生き物同士が仲良く一緒にいられるか考えてみる
■ちょうどいい距離感を探る
■言いたいことを上手に伝える方法を探してみる
■ケンカや言い合いは「どちらが正しいか」を証明するものではなく、「違うもの同士が意見をすり合わせる」ためにする
④頼み事をして、感謝する
もし旦那さんの自信が傷ついて奥さんに優しくできずにいるなら、その傷を修復しなければ先へ進めません。
男性が一番元気になること。それは、大切な人から頼られることです。
■「しんどいから、ご飯買ってきて」と頼む。買ってきてくれたら「おいしそう。ありがとう」と言う。
■「元気が出ないからお花を買ってきて」と頼む。買ってきてくれたら「ちょっと元気出た。ありがとう」と言う。
■「ちょっと休みたいから、コップだけ洗っといて」と頼む。洗ってくれたら(例えパーフェクトじゃなくても)「おかげでピカピカ!ありがとう」と言う。
■「背中が痛いからさすって」と頼む。さすってくれたら「力加減が上手。ありがとう」と言う。
小さな頼み事+一言ホメ+感謝=「俺は役に立ててる」「私は大切にされてる」という実感が湧く、まさに一石二鳥!
「そんな上手に甘えられません」「いまさら夫とそんなことしたくない」という方は、<①自分が自分を大切に扱う><③家族は敵じゃなく、仲間だと認識する>にみっちり取り組んでみて下さい。
繊細な夫ゴコロを知り、妻ゴコロを大切にしてもらおう
体調が悪い時、一番大切にして欲しい旦那さんに無視されたり不機嫌になられたりする悲しみ。
そんなすれ違いは、「奥さんを不調にしてしまった自分を責めるがゆえに、奥さんから目を背けてしまう夫ゴコロ」から生まれていました。
そんな繊細な旦那さんに「私を大切にしてね」と上手に伝えるには、
■自分が自分を大切に扱う
■家族や旦那さんのために自分をすり減らすのをやめる
■家族は敵じゃなく、仲間だと認識する
■頼み事をして、感謝する
といったことがオススメです。
夫婦関係のストレスが減るほど、体調は驚くほど整いやすくなりますよ。