福岡市早良区 腎不全への進行の危険性
腎不全への進行の危険性がある慢性腎炎
一般的に腎臓に関係する疾患は自覚症状が現れにくいことが多いのですが、むくみと血尿などは比較的気づきやすい自覚症状といえます。
特に、足・手・顔などがパンパンに腫れてしまうむくみは、腎臓病の初期症状としてあげられます。
これは、血液をろ過する腎臓の糸球体に障害が起こことで、網の目が目詰まりして血液が十分ろ過することができなくなって、老廃物や余分な水分・塩分を体外に排泄できなくなるから起こるのです。
このような原因で体に溜まった余分な水分、塩分により起こるむくみは、腎臓病ではとても多いのですが、特に急性腎炎・慢性腎炎・ネフローゼ症候群・腎不全などで見られます。
急性腎炎とは、突然濃い紅茶色や赤ワイン色の血尿が出ると共に、軽度の腎機能低下と高血圧・むくみなどを伴うものです。
日本では数は激減していますが、主な原因は溶血性連鎖球菌の感染と考えられていますが、抗生物質の内服と安静にすることにより約1ヶ月以内で自然に良くなることが多いです。
一方慢性腎炎とは、たんぱく尿や血尿が持続するもので、それと共にむくみも起こって、たんぱく尿が多いものほど腎不全への進行の危険性は高くなります。
ただいろいろなタイプがあって、最終的には腎生検で正確な診断をつける必要があります。
日本人に最も多いタイプは、IgA腎症と呼ばれる腎炎で、腎臓の中の血管から尿をこし出す装置の糸球体という場所に、IgAというタンパク質が沈着する病気です。
また、厚生労働省と日本腎臓学会が出した指針においては、病気がどのようになってゆくかという経過を表わす予後に関して、さらに細かく4つのタイプに分類しています。
診断としては、高血圧の有無・たんぱく尿の程度・年齢・現在の腎機能・腎生検の所見などを基に、専門医が総合的に判断することになります。
このうち予後不良群では5年以内に、予後比較的不良群では10年~15年で、透析の治療が必要とするような高度の腎不全になる危険性があるとされています。
この内容に該当する場合については、腎不全に進行しないようにしっかりとした治療を必要するのです。
慢性腎炎の治療としては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を用いた原因療法と、降圧薬や低たんぱく血症などを用いた腎保護療法の2つがあります。
その他には、IgA腎症に対する扁桃摘出などの治療が実施される場合もあって、どの治療法を選択するかについては、検査結果を基に腎臓専門医が判断するのです。
またステロイド剤や免疫抑制薬を治療に用いるにあたっては、作用と一緒に副作用について十分主治医から説明を聞いて理解しておくことが重要になります。
それから腎炎の中でも最も激烈なタイプの急速進行性腎炎というのもあって、治療しなければ数週から数ヶ月程度のあっという間に腎機能が低下して透析が必要となるのです。
その為、迅速な診断と適切な治療が予後を左右するので、腎機能が日単位か週単位で悪化している場合には、一刻も早く腎生検を実施して診断を下して治療を開始する必要があります。