福岡市早良区 パニック発作

パニック障害は病気であり治療の対象であることを知る

急性の強い不安の発作を繰り返すパニック発作といわれる症状を特徴とする病気は、不安神経症の一部に含めて従来は扱われてきました。
しかし、全体の病像の特徴から独立した病気として扱われるように変化してきて、1980年頃からはパニック障害と命名されました。
それにより従来の不安神経症は、このパニック障害と慢性の不安状態が続く不安神経症の2つに分類されるようになったのです。

発症する原因は、現段階でははっきりと分かってはいませんが、脳内ノルアドレナリン系の過敏・過活動や、セロトニン系の機能不全など脳機能異常説が有力と言われています。
ちなみに心理的原因説というのもあるのですが、薬の有効性からこれは疑問視されています。
また実験的な研究段階ですが、乳酸・炭酸ガス・カフェインなどに過敏で、それが発作を誘発されやすいことが分かっています。
それから、過労・睡眠不足・身体的な悪条件・日常生活上のストレスなど、非特異的な要因も発症や発作の引き金になることも知られている事実です。

症状の現れ方ですが、パニック発作で突然激しい動悸・胸苦しさ・息苦しさなどを伴う強い不安と、死ぬかと感じる恐怖に襲われるのですが、病院に着いたころには症状はほとんどおさまってしまっているのです。
その為、検査などをしても特別な異常はみられなくて、多くの場合はそのまま帰宅することになるのですが、しかし数日経過すると再び発作を繰り返して、次第に予期不安や広場恐怖が発展してしまうのです。
その結果、発作を恐れて外出できなくなったり、何ともないと言われても心臓を心配して運動をひかえたり、病院を転々として検査を繰り返したりしてしまうことも少なくないです。
症状が軽度で一過性で治まってしまう場合もありますが、良くなったり悪くなったりしながら慢性に経過する場合が多くみられます。

パニック障の害治療の方法としては、主なものとして薬物療法と認知行動療法があります。
一般的には、まず抗不安薬や抗うつ薬、その他の薬を用いてパニック発作が起こらないようにする治療が実施されます。
発作が起こらなくなるまで十分な量を十分な期間服用して、発作が起こらなくなってからも6ヶ月~1年間程度は、薬を続ける必要があります。
次に、ある程度不安が軽くなってきたら避けていた外出や乗り物に、少しずつ挑戦して慣らしていく行動療法の一種となる曝露療法で訓練を行います。
また破局的に解釈する考え方の癖を直す目的で認知療法も実施されますし、薬物でほとんど治りますが、予期不安や広場恐怖は長く続くことが多いので、この認知行動療法を併用する必要もあります。

パニック発作を経験したら体に異常がないかを病院で検査して、異常がないのに何度も発作を繰り返すようなら発症している疑いがあります。
ただ正しい診断がなされずに、過換気症候群・心臓神経症・自律神経失調症などと判断されて、見過ごされている場合も少なくありません。
そのような場合には、精神科か心療内科の専門医の診察を受けると良いです。
また外見では分かりにくいですが、病気であり治療の対象であることを、本人も家族も知る必要があります。