アトピー性皮膚炎と気の巡り:東洋医学的アプローチによる根本治療
はじめに – アトピーの本当の原因
アトピーと気の巡り、これは本当に切っても切れない関係にあるんです。
私が整体の現場で15年以上見てきた中で、アトピーの方って例外なく気の流れに何らかの滞りを抱えています。西洋医学では「免疫の異常」と片付けられがちですが、東洋医学的に見ると、もっと根深いところに問題があることが多いんですね。
まず気の巡りって何かという話から。気というのは目に見えないエネルギーのことで、体の中を絶えず流れている生命力そのものです。血液が血管を通るように、気は経絡という道筋を通って全身を巡っています。この流れがスムーズだと健康、滞ると病気になる。シンプルですが、これが東洋医学の基本的な考え方なんです。
アトピーに関わる臓腑の気
アトピーの方を診ていると、特に肝気と脾気の滞りが目立ちます。肝は感情のコントロールを司り、脾は消化吸収や水分代謝を担当している。この2つの臓腑の気が滞ると、皮膚に症状として現れやすいんです。
実際に触診してみると分かるんですが、アトピーの方の背中って本当に硬い。特に肝兪(かんゆ)や脾兪(ひゆ)というツボ周辺がカチカチになっています。初回の施術で触った時「うわっ、これは相当溜まってるな」と思わず心の中でつぶやくことが多いです(笑)。
気の滞りがアトピーを引き起こす3つのメカニズム
気の滞りがなぜアトピーを引き起こすのか。これには3段階のメカニズムがあります。
第1段階:内熱の蓄積
気が滞ると体内に熱がこもります。この熱が皮膚に向かって発散しようとするんですが、正常なルートが塞がれているため、炎症として現れる。これがアトピーの赤みや腫れの正体です。
第2段階:水分代謝の異常
脾気が滞ると水分をうまく処理できなくなり、体内に余分な湿気が溜まります。この湿気と内熱が合わさると「湿熱」という病理状態になり、ジュクジュクとした湿疹や水疱ができやすくなるんです。
第3段階:血瘀の形成
気の滞りが長期間続くと、血液の流れも悪くなります。すると皮膚への栄養供給が不十分になり、乾燥やかゆみ、色素沈着といった慢性症状が現れます。
気の巡りを改善する実践的な方法
じゃあ具体的にどうやって気の巡りを改善するか。私がよく使う方法を紹介しますね。
呼吸法:逆腹式呼吸
まずは呼吸法。「逆腹式呼吸」という方法で、息を吸う時にお腹を凹ませ、吐く時に膨らませます。最初は違和感があるかもしれませんが、これを1日15分、3週間続けてもらうと明らかに変化が出てきます。
ある患者さんは「体の中に風が通るような感覚がする」と表現していました。まさにその通りで、滞った気が動き始めている証拠なんです。やり方は簡単で、仰向けに寝て手をお腹に置き、鼻から4秒かけて息を吸いながらお腹を凹ませ、8秒かけて口から吐きながらお腹を膨らませる。これだけです。
経絡マッサージ:重要なツボ
次に経絡マッサージ。特に効果的なのが「太衝(たいしょう)」と「太白(たいはく)」というツボです。
太衝は足の親指と人差し指の間、骨の合わせ目から指2本分上にあり、肝気の流れを改善します。太白は足の内側、親指の付け根の骨の境目にあって、脾気を調整してくれる。それぞれ30秒ずつ、ちょっと痛いなと感じる程度の強さで押してください。
朝起きた時と夜寝る前、1日2回やるのがおすすめです。慣れてきたら「三陰交(さんいんこう)」も加えてみて。内くるぶしから指4本分上の骨の際にあって、肝・脾・腎の3つの経絡が交わる重要なポイントなんです。
食事療法:気の巡りを良くする食材
そして食事療法。気の巡りを良くする食材として、私がよくおすすめするのが「陳皮(ちんぴ)」です。みかんの皮を乾燥させたもので、薬局で300円くらいで買えます。お湯に入れて飲むだけで、驚くほど気の流れが改善されます。
他にも紫蘇の葉、生姜、ニンニクの芽なんかも気の巡りを良くしてくれる。逆に避けた方がいいのは、冷たいもの、生もの、甘いもの。特に白砂糖は体内で湿熱を生みやすく、アトピーを悪化させる原因になります。
症例から学ぶ実際の改善過程
実は先月、30代の女性患者さんがいらしたんですが、10年来のアトピーで顔から首にかけて真っ赤になっていました。最初に脈を診た時「あ、これは完全に肝鬱だな」と分かりました(肝鬱というのは肝気が滞った状態のこと)。
詳しく話を聞くと、仕事のストレスが半端なく、毎日残業で帰宅は午後11時過ぎ。食事はコンビニ弁当かファストフード、睡眠時間は4時間程度。これじゃあ肝気も脾気も滞って当然です。
施術を始めて3週間目、彼女が「先生、なんか体が軽くなった気がします」と言うんです。確かに背中の硬さが明らかに改善していて、皮膚の赤みも和らいでいました。2ヶ月後には「久しぶりに化粧ができるようになりました」と、嬉しそうに報告してくれて。その時は正直、こちらも感動しました。
彼女の場合、施術と並行して生活習慣も徐々に改善してもらいました。まず睡眠時間を6時間に延ばし、週2回は自炊するようにして、毎朝の逆腹式呼吸を習慣にした。小さな変化の積み重ねが、大きな改善につながったんです。
好転反応について知っておくべきこと
ただし注意点もあります。気の巡りを改善する過程で、一時的に症状が悪化することがあるんです。これを「好転反応」と呼びますが、溜まっていた毒素が動き出すために起こる現象です。
大体1週間から10日で落ち着くので、あまり心配しすぎないでくださいね。私の経験上、好転反応が強く出る人ほど、その後の改善も著しいことが多いです。体が本格的に治癒モードに入っている証拠だと思って、もう少し頑張ってもらいます。
生活習慣が気の巡りに与える影響
生活習慣も大きく影響します。夜更かしは肝気を乱し、食べ過ぎは脾気を滞らせます。特に甘いものの取り過ぎは要注意。コーヒーも1日2杯までに抑えた方がいいでしょう。
睡眠については、量より質が大切です。午後11時から午前3時は「胆経」と「肝経」の時間帯で、この時間にしっかり眠ることで肝気の回復が促されます。寝る前のスマホは控えめに、部屋は少し涼しめ(18度から20度)に設定するのがおすすめです。
感情と気の巡りの密接な関係
感情面のケアも欠かせません。ストレスは直接的に肝気を滞らせます。「病は気から」という言葉がありますが、まさにその通り。怒りや焦燥感、不安といった感情が続くと、体の気の流れが乱れてしまうんです。
私が患者さんによく話すのは「感情も気の一部」ということ。感情を無理に抑え込むのではなく、適度に発散することが大切です。カラオケで大声で歌ったり、運動で汗を流したり、信頼できる人に話を聞いてもらったり。そういう小さな発散が、実は大きな治療効果を持っているんです。
ある患者さんは「怒りを我慢するのをやめたら、アトピーが改善した」と言っていました。溜め込んでいた感情を適切に表現することで、肝気の流れが良くなったんでしょうね。
季節と気の巡りの関係
季節の変化も考慮する必要があります。春は肝気が高ぶりやすく、梅雨時は脾気が滞りがち。夏は心火が旺盛になり、秋は肺気が乾燥し、冬は腎気が不足しやすい。
春のアトピー悪化は、冬の間に溜まった毒素が一気に排出されるため。この時期は特に肝気を調整する食材(セロリ、春菊、菜の花など)を積極的に摂ることをおすすめします。
梅雨時は湿気が体内にも影響するので、除湿効果のある食材(小豆、はと麦、冬瓜など)が有効です。夏は清熱作用のある食材(きゅうり、ゴーヤ、緑豆もやしなど)で体の熱を冷まし、冬は温める食材(生姜、シナモン、羊肉など)で腎気を補います。
運動と入浴で気の流れを促進
運動も重要な要素です。激しい運動は逆に気を消耗させてしまいますが、適度な運動は気の流れを促進します。特に太極拳やヨガのようなゆっくりとした動きは、気功的な効果も期待できます。
毎朝15分の散歩でも十分。大切なのは継続することです。歩く時は腕を大きく振って、深い呼吸を意識してください。これだけで全身の気の巡りが活性化されます。
入浴法にもコツがあります。熱すぎるお湯は皮膚を刺激してしまうので、38度から40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる。入浴剤として重曹を大さじ2杯入れると、皮膚の炎症を和らげる効果があります。
さらに効果を高めたいなら、入浴中に軽くマッサージをしてみてください。特に脇の下や鼠径部(そけいぶ)など、リンパが集まる部分を優しくさするだけで、気と血の流れが改善されます。
全身への波及効果
最後に、アトピーは一朝一夕で治るものではありません。西洋医学的な治療と東洋医学的なアプローチを組み合わせながら、長期的な視点で向き合うことが大切です。
気の巡りを整えることで、アトピーの症状が改善するだけでなく、全身の健康状態も向上します。実際に私の患者さんの中には「アトピーが良くなったら、肩こりも便秙も改善した」という方が多いんです。これは全身の気の流れが良くなった証拠ですね。
中には「夜よく眠れるようになった」「イライラしなくなった」「集中力が上がった」という嬉しい副次効果を報告してくれる方もいます。体は全てつながっているということを、改めて実感させられます。
気功や東洋医学の素晴らしいところは、症状だけでなく、その人の全体的な生命力を高めてくれることなんです。アトピーという窓口から入って、最終的には人生の質そのものが向上する。そんな変化を目の当たりにする度に、この仕事の醍醐味を感じています。
あなたも今日から、深呼吸を意識してみませんか? 🌱