五行体質別アトピー改善法

〜気功と東洋医学の視点から〜

アトピー性皮膚炎に悩む方々を15年間診てきて、つくづく思うのは「みんな同じ治療法じゃダメだ」ということです。西洋医学のステロイドも大切だけど、東洋医学の五行理論で体質を見極めると、より根本的なアプローチができるんですよね。

今日は五行(木・火・土・金・水)それぞれの体質別に、アトピー改善のコツをお話しします。ちょっと長くなりますが、最後まで付き合ってください。

木の体質(肝・胆タイプ)

木の体質の方は、春になると症状が悪化しやすい傾向があります。肝の気が上に昇りやすく、頭部や首、肩周りの湿疹がひどくなることが多いんです。

私の患者さんで、毎年4月になると顔が真っ赤になる営業マンがいました。最初は花粉症だと思っていたそうですが、実は肝の熱が原因だったんです。

症状の特徴

  • 赤みが強く、熱感がある
  • イライラすると悪化
  • 夜中に痒くて目が覚める
  • 首や肩が凝りやすい
  • 目が疲れやすい

改善のポイント

食事面 緑の野菜を意識的に摂ってください。特に春菊、セロリ、ほうれん草は肝の熱を冷ます効果があります。逆に揚げ物や辛いものは控えめに。お酒も肝に負担をかけるので、週に2日は休肝日を作りましょう。

気功・運動 朝の散歩が効果的です。特に緑の多い公園を15分歩くだけで、肝の気が整います。太極拳の「雲手」という動作もおすすめ。ゆっくりとした動きで気の巡りを良くしてくれます。

ツボ押し 太衝(足の親指と人差し指の間)を1分間優しく押してください。肝の気を落ち着かせてくれます。

生活習慣 夜11時には寝る習慣をつけましょう。肝は夜中の1時から3時に最も活発になるので、その前にしっかり休息を取ることが大切です。

火の体質(心・小腸タイプ)

火の体質の方は、夏に症状が悪化しやすく、精神的なストレスが肌に現れやすいのが特徴です。

20代の女性患者さんで、就職活動の時期になると全身に湿疹が出る方がいました。面接の前日は必ず悪化するんです(笑)。でも、心を落ち着かせる方法を覚えてからは、ずいぶん改善されました。

症状の特徴

  • 顔や胸、背中の上部に出やすい
  • 赤くて熱を持つ
  • 興奮すると悪化
  • 不眠になりがち
  • 動悸がすることも

改善のポイント

食事面 苦味のある食材が心の熱を冷ましてくれます。ゴーヤ、レタス、緑茶など。夏野菜のトマトやきゅうりも良いですね。甘いものの摂りすぎは心に負担をかけるので、1日1個のお菓子程度に抑えましょう。

気功・運動 深呼吸が一番効果的です。4秒で吸って、8秒で息を吐く。これを10回繰り返すだけで、心の火が落ち着きます。水泳も心の熱を冷ますのに良いですよ。

ツボ押し 神門(手首の小指側のくぼみ)を優しく押してください。心を落ち着かせる効果があります。

生活習慣 笑うことを意識してください。心は「喜」の感情と深く関わっています。お笑い番組を見る、友達と楽しく過ごすなど、適度な喜びが心の気を整えてくれます。

土の体質(脾・胃タイプ)

土の体質の方は、消化器系が弱く、湿気の多い梅雨時期に症状が悪化しやすいんです。

私の経験では、この体質の方が一番多いかもしれません。現代人は胃腸を酷使していますからね。ある患者さんは「雨の日は肌がジュクジュクして気持ち悪い」とおっしゃっていました。

症状の特徴

  • ジュクジュクした湿疹
  • 梅雨時期に悪化
  • 手足がむくみやすい
  • 疲れやすい
  • 食欲不振になることも

改善のポイント

食事面 温かい食べ物を心がけてください。冷たいものの摂りすぎは脾胃を弱らせます。生姜、大根、山芋などが脾胃を温めてくれます。よく噛んで食べることも大切。一口30回は噛みましょう。

気功・運動 腹式呼吸がおすすめです。お腹を膨らませながら息を吸い、へこませながら吐く。脾胃の働きを活発にしてくれます。軽いウォーキングも良いですね。

ツボ押し 足三里(膝下の外側、指4本分下がったところ)を押してください。胃腸の働きを整えてくれる万能のツボです。

生活習慣 規則正しい食事を心がけましょう。朝7時、昼12時、夜6時。この時間帯に食事を摂ると、脾胃のリズムが整います。

金の体質(肺・大腸タイプ)

金の体質の方は、秋に症状が悪化しやすく、乾燥に弱いのが特徴です。

この体質の方は、エアコンの乾燥にも敏感なんです。ある患者さんは「夏場のオフィスが一番つらい」とおっしゃっていました。確かに、冷房で乾燥した環境は肺に負担をかけますからね。

症状の特徴

  • 乾燥した湿疹
  • 秋に悪化しやすい
  • かゆみが強い
  • 咳や鼻水も出やすい
  • 便秘になりがち

改善のポイント

食事面 白い食材が肺を潤してくれます。白菜、大根、梨、白ごま、白きくらげなど。辛いものは肺を乾燥させるので控えめに。水分補給も大切ですが、一気に飲まずに少しずつ摂ってください。

気功・運動 鼻から息を吸い、口から細く長く息を吐く呼吸法がおすすめです。肺の気を整えてくれます。

ツボ押し 迎香(鼻の両脇のくぼみ)を優しく押してください。鼻通りが良くなり、肺の働きも改善されます。

生活習慣 部屋の湿度を50〜60%に保ちましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルを干すだけでも効果があります。

水の体質(腎・膀胱タイプ)

水の体質の方は、冬に症状が悪化しやすく、体力不足が根本原因になることが多いです。

70代の患者さんで、「若い頃はこんなことなかったのに」とおっしゃる方がいました。確かに、腎の気は年齢とともに衰えやすいんです。でも、適切なケアで改善できることが分かって、とても喜んでもらえました。

症状の特徴

  • 冬に悪化
  • 腰や下半身に出やすい
  • 夜間に悪化しやすい
  • 冷えを感じやすい
  • 疲れやすい

改善のポイント

食事面 黒い食材が腎を補ってくれます。黒豆、黒ごま、ひじき、わかめ、黒きくらげなど。根菜類も身体を温めてくれるので積極的に摂ってください。

気功・運動 腰を回す運動が効果的です。時計回りに10回、反時計回りに10回。無理せずゆっくりと行ってください。

ツボ押し 湧泉(足裏の土踏まずの上1/3のところ)を押してください。腎の気を補ってくれます。

生活習慣 下半身を冷やさないことが大切です。靴下は必ず履く、湯船にゆっくり浸かるなど、温めることを意識してください。

複合体質への対応

実際には、純粋に一つの体質だけという方は少なく、複数の要素を持っていることが多いんです。

例えば、木と火が強い方は春から夏にかけて症状が悪化しやすく、土と金が弱い方は消化不良と乾燥の両方に悩まされます。

見極めのポイント

  • どの季節に悪化するか
  • どんな部位に出やすいか
  • どんな感情状態で悪化するか
  • 随伴症状(便秘、不眠など)

これらを総合的に判断して、メインとなる体質を特定し、それに応じたケアを中心に行いながら、弱い部分も補強していく。これが私のアプローチです。

日常生活での注意点

どの体質の方にも共通して言えることがあります。

睡眠の質を上げる 午後10時から午前2時は「美容時間」と呼ばれますが、実は皮膚の修復が最も活発になる時間なんです。この時間にしっかり眠れているかどうかで、アトピーの改善スピードが変わります。

ストレス管理 東洋医学では「七情」(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)が身体に影響を与えると考えています。特にアトピーの方は感情が肌に出やすいので、上手にストレス発散することが大切です。

環境要因 住環境も重要です。ダニやハウスダストはもちろんですが、化学物質も注意が必要。洗剤や柔軟剤を天然成分のものに変えるだけで改善する方も多いんです。

季節ごとのケア

春(3〜5月) 木の気が活発になる季節。肝の働きが活発になりすぎないよう、緑の野菜を多く摂り、適度な運動で気の巡りを良くしましょう。

夏(6〜8月) 心の火が盛んになる季節。苦味のある食材で熱を冷まし、興奮しすぎないよう心がけてください。

長夏(梅雨時期) 脾胃が弱りやすい季節。湿気対策をしっかりとり、冷たいものの摂りすぎに注意しましょう。

秋(9〜11月) 肺が乾燥しやすい季節。白い食材で潤いを補い、適度な湿度を保ってください。

冬(12〜2月) 腎の気が衰えやすい季節。黒い食材で腎を補い、身体を温めることを心がけましょう。

最後に

15年間、多くのアトピー患者さんを診てきて思うのは、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの治療が一番効果的だということです。

西洋医学の薬も大切ですが、東洋医学の視点から自分の体質を知り、それに合った生活を送ることで、より根本的な改善が期待できます。

私自身も実は若い頃からアトピーで悩んでいたんです(少し焦ったかな、告白するの)。でも東洋医学を学び、自分の体質に合ったケアを続けることで、今ではほとんど症状が出なくなりました。

体質改善は一朝一夕にはいきませんが、必ず変化は現れます。あなたも自分の体質を見極めて、それに合ったケアを始めてみませんか? 🌱

きっと3か月後には「あ、なんか調子いいかも」と感じられるはずです。そして半年後には、周りの人から「肌の調子良くなったね」と言われるかもしれません。

あなたはどの体質に当てはまりそうでしたか?