アトピーと内臓の冷え – 根本改善への道
〜15年の臨床経験から見えた真実〜
「先生、私のアトピー、実は内臓の冷えが原因だったんですね」
40代の女性患者さんが、治療3か月目にこうおっしゃいました。最初は半信半疑だったのですが、お腹を温める治療を続けるうちに、長年悩んでいた湿疹がどんどん改善していったんです。
私が15年間アトピー患者さんと向き合ってきて分かったのは、皮膚の問題だけでなく、内臓の冷えが深く関わっているということでした。今日はその関係性と、具体的な改善方法をお話ししたいと思います。
なぜ内臓の冷えがアトピーを悪化させるのか
東洋医学では「内外相応」という考え方があります。体の内側と外側は密接に関係しているという意味です。
消化器系の冷えが肌に現れるメカニズム
内臓が冷えると、まず消化機能が低下します。すると、栄養素の吸収が悪くなり、老廃物の排出も滞ってしまう。行き場を失った毒素は、皮膚から外に出ようとするんです。
これが湿疹として現れるわけですね。実際、胃腸の調子が悪い時にアトピーが悪化する方、多いんじゃないでしょうか。
血液循環の悪化
内臓が冷えると血流が悪くなり、皮膚への栄養供給が不十分になります。栄養不足の肌は、外部刺激に弱くなり、炎症を起こしやすくなってしまいます。
免疫系の混乱
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、免疫システムの中心的な役割を果たしています。腸が冷えて機能が低下すると、免疫バランスが崩れ、アレルギー反応が強くなるんです。
内臓の冷えをチェックしてみよう
まずは、あなたの内臓がどの程度冷えているかチェックしてみましょう。
基本的なチェックポイント
□ 手足が冷たい(特に指先、足先)
□ お腹を触ると冷たい
□ 朝起きるのがつらい
□ 疲れやすい
□ 下痢や便秘を繰り返す
□ 生理不順(女性の場合)
□ 夜中にトイレに起きる
□ 温かい飲み物を好む
□ 冷房が苦手
□ 食欲不振になることがある
3つ以上当てはまる方は、内臓の冷えが疑われます。5つ以上なら、かなり冷えが進んでいる可能性が高いですね。
舌の色でチェック
鏡で舌を見てください。健康な舌は薄いピンク色をしています。
- 白っぽい:冷えが進んでいる
- 紫っぽい:血行が悪い
- 厚い白苔:消化機能が低下している
私の患者さんの中には、舌が真っ白で「雪みたい」な方もいらっしゃいました(ちょっと驚いたけど)。でも、治療を続けるうちに、だんだん健康的なピンク色に戻っていくんです。
内臓の冷えを改善する食事法
食事は内臓を温める最も基本的な方法です。ただし、何を食べるかだけでなく、どう食べるかも重要なんです。
体を温める食材
根菜類 大根、人参、ごぼう、蓮根、山芋など。土の中で育つものは体を温めてくれます。特に冬場は、これらの野菜を使った煮物を週に4回は食べるようにしてください。
香辛料・薬味 生姜、にんにく、ねぎ、しそ、みょうがなど。生姜は特に効果的で、1日に親指大1個分を目安に摂取しましょう。
発酵食品 味噌、醤油、納豆、キムチなど。発酵によって体を温める力が増します。朝食に納豆1パック、夕食に味噌汁1杯は基本ですね。
温性の肉類 鶏肉、羊肉、鹿肉など。牛肉や豚肉は涼性なので、体を冷やしやすい方は控えめに。
避けるべき食材
冷たい飲み物 アイスコーヒー、冷たい水、ビールなど。夏場でも常温以上の飲み物を心がけてください。
生野菜 キュウリ、トマト、レタスなど。生で食べると体を冷やします。加熱調理すれば問題ありません。
南国フルーツ バナナ、パイナップル、マンゴーなど。体を冷やす作用があります。
白砂糖 急激に血糖値を上げ下げするため、体を冷やしてしまいます。
食べ方のコツ
温かいものから食べる 食事の最初に温かいスープや味噌汁を飲むことで、胃腸を温めてから他の食べ物を入れるようにしましょう。
よく噛む 1口につき30回噛むことで、消化を助け、胃腸への負担を軽減します。
食事時間を規則正しく 朝7時、昼12時、夜6時。この時間に食事を摂ると、内臓のリズムが整います。
気功で内臓を温める
食事と併せて、気功による内臓の温め方も効果的です。私が患者さんに教えている簡単な方法をご紹介しましょう。
丹田呼吸法
- 椅子に座り、背筋を伸ばす
- 両手をお腹(おへその下3センチ)に当てる
- 鼻から息を吸いながら、お腹を膨らませる(4秒)
- 口から息を吐きながら、お腹をへこませる(8秒)
- これを10回繰り返す
朝起きた時と寝る前に行うと、内臓の働きが活発になります。
腹部マッサージ
- 仰向けに寝る
- 両手を重ねてお腹に当てる
- 時計回りに優しく円を描くようにマッサージ(2分間)
- 反時計回りにも同様に行う(2分間)
腸の動きを活発にし、消化機能を高めてくれます。
足三里のツボ押し
膝下の外側、指4本分下がったところにある「足三里」というツボを、親指で優しく3分間押してください。胃腸の働きを整え、体全体を温めてくれます。
生活習慣での改善ポイント
入浴で内臓を温める
半身浴 40度のお湯に、みぞおちから下だけ浸かって20分。内臓をじっくり温めることができます。
足湯 42度のお湯に足首まで浸けて15分。内臓の血流が良くなります。
入浴剤 生姜やよもぎの入浴剤を使うと、温め効果が高まります。
睡眠と内臓の関係
夜10時から深夜2時は、内臓の修復時間です。この時間にしっかり眠れていないと、内臓の冷えが改善されません。
寝る前の準備
- 夕食は寝る3時間前に済ませる
- 寝室の温度は20度前後に保つ
- 腹巻きをして寝る
- 湯たんぽでお腹を温める
運動で内臓を活性化
ウォーキング 1日30分、早歩きで歩くことで、内臓の血流が良くなります。
ヨガ 「ねじりのポーズ」や「猫のポーズ」は、内臓を刺激して働きを活発にしてくれます。
ラジオ体操 意外と侮れないのがラジオ体操。全身を動かすことで、内臓の位置を整え、機能を高めてくれます。
ストレスと内臓の冷えの関係
現代社会では、ストレスが内臓の冷えを引き起こす大きな要因になっています。
ストレスが内臓に与える影響
緊張状態が続くと、交感神経が優位になり、消化機能が低下します。また、血管が収縮して血流が悪くなり、内臓が冷えてしまうんです。
私の患者さんで、転職してストレスが減ったら、アトピーが劇的に改善した方がいらっしゃいました。「仕事を変えただけで、こんなに変わるなんて」と、ご本人も驚いていました。
ストレス解消法
深呼吸 1日3回、5分間の深呼吸を行う。副交感神経を優位にし、内臓の働きを活発にします。
笑い 笑うことで、内臓の血流が良くなります。お笑い番組を見る、友達と楽しく過ごすなど、1日1回は笑うようにしましょう。
音楽 クラシック音楽やヒーリングミュージックは、自律神経を整えてくれます。
季節別の内臓ケア
季節によって内臓の冷え方も変わります。それぞれの季節に合わせたケアが大切です。
春(3〜5月) 新陳代謝が活発になる季節ですが、気温の変化が激しく、内臓に負担がかかりやすい時期です。
- 薄着になりすぎないよう注意
- 山菜やタケノコなど、苦味のある食材で冬に溜まった毒素を排出
- 適度な運動で血流を良くする
夏(6〜8月) 冷房や冷たい飲み物で内臓が冷えやすい季節です。
- エアコンの温度設定は28度以上
- 冷たい飲み物は1日2杯まで
- 生姜や唐辛子で体の中から温める
秋(9〜11月) 夏の疲れが出て、内臓機能が低下しやすい時期。
- 根菜類を中心とした食事
- 早寝早起きで内臓を休ませる
- 乾燥対策も忘れずに
冬(12〜2月) 最も内臓が冷えやすい季節です。
- 鍋料理や温かいスープを積極的に摂る
- 湯たんぽや腹巻きで物理的に温める
- 日光浴で体を温める
実際の改善事例
15年間の臨床経験の中で、印象的だった改善事例をいくつかご紹介します。
30代男性・営業職 毎日のように外食をしていて、冷たいビールと刺身が大好きな方でした。全身にアトピーがあり、特に夏場は辛そうでした。
食事を温かいものに変え、禁酒して3か月。見違えるほど肌がきれいになりました。「こんなに変わるなんて思わなかった」と喜んでいらっしゃいました。
20代女性・事務職 オフィスのエアコンが効きすぎて、一年中体が冷えている状態でした。手足の湿疹がひどく、夜も眠れないほどでした。
腹巻きと靴下の重ね履き、温かい飲み物を1日6杯飲むようにしてもらいました。2か月後には湿疹がほとんど消えて、「人生が変わった」とおっしゃっていました。
50代女性・主婦 更年期の影響もあり、内臓の冷えが深刻でした。舌が真っ白で、手足も氷のように冷たい状態。
漢方薬と食事療法、毎日の半身浴を続けて6か月。舌の色が健康的なピンクに戻り、アトピーも大幅に改善しました。
よくある質問
Q: 内臓を温めるのに、どのくらい時間がかかりますか?
A: 個人差がありますが、食事や生活習慣を変えて2週間程度で体感的な変化を感じる方が多いです。肌の変化は1〜3か月かかることが多いですね。
Q: 夏場でも内臓を温めた方がいいですか?
A: はい、特に現代は冷房や冷たい飲み物で内臓が冷えやすいので、夏場こそ意識的に温めることが大切です。
Q: 温める食材を食べても、なかなか改善しません。
A: 食材だけでなく、食べ方や生活習慣も重要です。よく噛む、規則正しい食事時間、十分な睡眠なども見直してみてください。
まとめ
アトピーと内臓の冷えの関係について、詳しくお話ししました。
皮膚の問題だけでなく、体の内側から改善していくことが、根本的な解決につながります。特に内臓の冷えは、現代人の多くが抱えている問題です。
まずは今日から、温かい飲み物を1杯多く飲む、腹巻きをする、よく噛んで食べるなど、小さなことから始めてみてください。
私が15年間で学んだのは、体は必ず変化するということです。諦めずに続けることが一番大切なんです。
ある患者さんが「先生、体って本当に変わるんですね」とおっしゃったことがあります。その時の嬉しそうな表情を見て、この仕事をしていて良かったと心から思いました。
体質改善は一朝一夕にはいきませんが、必ず変化は現れます。3か月後、半年後の自分を想像して、今日から始めてみませんか? 🌿
あなたの内臓は、今どのくらい冷えていると思いますか?