アトピーで悩むママへ|赤ちゃんの肌トラブルを東洋医学で根本から整える方法
気血の流れから考える赤ちゃんのアトピー
20年間この道を歩んでいると、アトピーで悩む赤ちゃんとお母さんを本当にたくさん見てきました。西洋医学では「原因不明」とされがちなアトピーですが、東洋医学的には実は非常に明確な理由があるんです。
赤ちゃんのアトピーを語る前に、まず「なぜ赤ちゃんにアトピーが起こるのか」を東洋医学の視点で整理してみましょう。
胎内環境と母体の影響
実は、赤ちゃんのアトピーの根っこは妊娠中にあることが多いんです。これは決してお母さんを責めているわけではありませんよ。現代社会では避けられない要因がたくさんあるからです。
東洋医学では「胎毒」という概念があります。これは母体の血液が濁っていることで、胎児に影響を与えるという考え方です。具体的には:
母体の湿熱(しつねつ) 妊娠中のお母さんが甘いものを1日3回以上食べていたり、脂っこい食事を週に5回以上摂っていると、体内に湿熱が溜まります。これが胎児の肌トラブルの原因になるんです。
気血の滞り ストレス社会で生きるお母さんたちは、どうしても気の流れが滞りがちです。妊娠中に仕事のストレスを抱えていたり、人間関係で悩んでいると、その影響が胎児にも及びます。
実際に私が診た症例では、妊娠中に毎日チョコレートを100g以上食べていたお母さんの赤ちゃんは、生後2週間でアトピー症状が現れました(ちょっと極端な例ですが、思わず「やっぱり」と思ってしまいました)。
赤ちゃんの体質から見るアトピーのタイプ
赤ちゃんのアトピーにも、実は4つのタイプがあります。
1. 湿熱タイプ
- 赤くてジュクジュクした湿疹
- 黄色い滲出液が出る
- 夜泣きが激しい(週に4回以上)
- 便が軟らかくて臭いが強い
このタイプの赤ちゃんは、体内に余分な熱と水分が溜まっている状態です。
2. 血虚タイプ
- 乾燥した湿疹
- 皮膚がカサカサして白い粉を吹く
- 顔色が青白い
- 髪の毛が薄くて細い
血液の質が悪く、栄養が行き届いていない状態ですね。
3. 脾虚タイプ
- 慢性的な湿疹
- 消化不良(ミルクの吐き戻しが1日7回以上)
- 軟便または下痢気味
- 体重増加が緩やか
胃腸の働きが弱いタイプです。
4. 腎虚タイプ
- 生後すぐから症状が出る
- 成長が遅い
- 夜泣きが激しい(夜中に3回以上起きる)
- 先天的な体質の弱さ
授乳期のケアポイント
母乳育児の場合、お母さんの食事がダイレクトに赤ちゃんに影響します。これは本当に重要なポイントです。
避けるべき食材:
- 甘いもの全般(特に白砂糖を使ったお菓子)
- 脂っこい食事(揚げ物、ファストフード)
- 刺激物(辛いもの、香辛料)
- 冷たい飲み物(1日500ml以上は避ける)
私の経験では、授乳中のお母さんがアイスクリームを毎日食べていた時は、赤ちゃんの湿疹が確実に悪化しました。逆に、和食中心の食事に切り替えてもらった途端、2週間で劇的に改善したケースも多々あります。
積極的に摂りたい食材:
- 根菜類(大根、人参、牛蒡など)
- 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)
- 海藻類(わかめ、昆布、ひじき)
- 発酵食品(味噌、納豆、ぬか漬け)
赤ちゃんの生活環境の整え方
東洋医学では「環境も薬」と考えます。赤ちゃんが過ごす環境を整えることで、アトピーの改善につながるんです。
室内環境:
- 湿度は55-60%をキープ(除湿器を使用)
- 温度は夏場26-28度、冬場20-22度
- 風通しを良くして気の流れを作る
- 化学物質を含む芳香剤や洗剤は避ける
衣類:
- 綿100%の素材を選ぶ
- 洗濯は石鹸系の洗剤を使用
- 柔軟剤は使わない
- 1日2回以上の着替え
実際に、合成洗剤から石鹸洗剤に変えただけで症状が軽減した赤ちゃんを何人も見てきました。些細なことのように思えますが、赤ちゃんの敏感な肌には大きな影響があるんです。
東洋医学的な体質改善アプローチ
気血の巡りを良くする
赤ちゃんの体は小さいながらも、気血が全身を巡っています。その流れを良くすることがアトピー改善の鍵なんです。
入浴方法:
- 38-39度のぬるめのお湯で10分間
- 週に2回、桃の葉茶を煎じた湯を入浴剤として使用
- 入浴後は速やかに保湿(5分以内)
桃の葉は古くから「あせも、湿疹に良い」とされる生薬です。実際に使ってみると、赤ちゃんの肌がしっとりと落ち着くのを感じられます。
脾胃の働きを整える
消化器系の働きを良くすることで、栄養の吸収が改善され、体質改善につながります。
ミルクの場合:
- 温度は人肌程度(37-38度)
- 少量頻回で与える(3時間おきに120ml程度)
- 飲み終わった後は必ず縦抱きで背中をトントン
離乳食の場合:
- 消化の良いお粥から始める
- 野菜は柔らかく煮込む
- 冷たいものは避ける
- 一口30回以上咀嚼させる(といっても赤ちゃんは難しいですが、柔らかくして消化を助けるという意味です)
季節ごとのケア方法
東洋医学では季節の変化を重視します。アトピーケアも季節に合わせて調整が必要です。
春(3-5月)
- 肝の働きが活発になる季節
- 青菜類を多めに摂取
- 風邪を引きやすいので薄着に注意
- 花粉対策で外出時はマスク(お母さんが)
夏(6-8月)
- 心の働きが活発になる季節
- 汗をかいたらこまめに着替え(1日4-5回)
- 冷房で体を冷やしすぎない
- 苦味のある食材(ゴーヤ、青梗菜など)をお母さんが摂取
秋(9-11月)
- 肺の働きが活発になる季節
- 乾燥対策を重点的に
- 白い食材(大根、白菜、梨など)を意識
- 室内の湿度管理を徹底
冬(12-2月)
- 腎の働きが活発になる季節
- 体を温める食材(生姜、ねぎ、根菜類)を摂取
- 過度な厚着は避ける
- 黒い食材(黒豆、黒ゴマなど)を意識
心のケアも忘れずに
実は、これが一番大切かもしれません。お母さんの精神状態は、驚くほど赤ちゃんに影響するんです。
アトピーの赤ちゃんを持つお母さんは、自分を責めがちです。「私の何が悪かったんだろう」「私のせいで」と考えてしまう。でも、それは違います。
東洋医学的に言えば、お母さんの「気」が乱れると、それが赤ちゃんにも伝わります。だからこそ、お母さん自身のケアも重要なんです。
お母さんのセルフケア:
- 1日15分でも良いので一人の時間を作る
- 深呼吸を意識する(1日10回以上)
- 好きな音楽を聴く
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
私が診てきた中で、お母さんがリラックスできるようになると、赤ちゃんの症状も不思議と改善することが多いんです。これは偶然ではなく、東洋医学的には理にかなったことなんですね。
体質改善の実際の経過
実際の症例をご紹介しましょう。
生後3ヶ月の赤ちゃん(湿熱タイプ)の場合:
1ヶ月目:
- お母さんの食事改善(甘いもの禁止、和食中心)
- 入浴方法の見直し
- 室内環境の調整 → 赤みが30%程度軽減
2ヶ月目:
- 桃の葉風呂を週2回導入
- 衣類を全て綿100%に変更
- お母さんのストレス軽減を図る → ジュクジュク感が改善、夜泣きが週2回に減少
3ヶ月目:
- 離乳食開始(消化の良いものから)
- 季節に合わせたケアを導入 → 湿疹面積が70%減少、機嫌も良好
この過程で何度も「本当に良くなるんでしょうか?」と不安になるお母さん。私も正直、少し焦ることがありました。でも、体質改善は時間がかかるもの。3ヶ月目に入って劇的に改善した時は、お母さんと一緒に思わず涙が出ました😌
長期的な視点での体質づくり
アトピーは一時的に症状を抑えるだけでは根本解決にはなりません。東洋医学的アプローチは時間がかかりますが、体質から変えていくことで再発を防げます。
1歳までのポイント:
- 消化器系の発達をサポート
- 免疫系のバランスを整える
- 季節の変化に適応できる体作り
1-3歳のポイント:
- 食事の嗜好を決める大切な時期
- 自然素材の食事を心がける
- 規則正しい生活リズムの確立
3歳以降:
- 自分でケアできるようになる
- 食材の選び方を教える
- 体調の変化を自分で気づけるように
注意すべきサインと対処法
以下のような症状が現れた時は、すぐに専門家に相談しましょう:
- 発熱を伴う湿疹(38度以上が2日続く)
- 全身に急激に広がる症状
- 呼吸が苦しそうな様子
- 水分摂取ができない
- 1日中機嫌が悪い状態が3日以上続く
東洋医学的なアプローチも大切ですが、西洋医学との併用も重要です。症状に応じて適切な判断をすることが、赤ちゃんの健康を守ることにつながります。
家族全体での取り組み
アトピーの赤ちゃんのケアは、お母さん一人の責任ではありません。家族全体で取り組むことで、より効果的な改善が期待できます。
お父さんの役割:
- お母さんのストレス軽減をサポート
- 食材の買い物や調理の協力
- 夜間のお世話を分担
祖父母の理解:
- 昔の常識にとらわれず、現代的なケア方法を理解してもらう
- 甘いものを与えたがる傾向があるので、説明が必要
- 「そのうち治る」という楽観視ではなく、積極的なケアの重要性を伝える
実際に、おじいちゃんが「ちょっとくらい大丈夫」とお菓子を与えてしまい、症状が悪化したケースもありました。家族全員の理解と協力が不可欠なんです。
継続のコツとモチベーション維持
東洋医学的なアプローチは即効性がない分、継続が難しいことがあります。そこで、モチベーション維持のコツをお伝えします。
記録をつける:
- 毎日の症状を5段階で評価
- 食事内容と症状の関連をチェック
- 良くなった部分を積極的に記録
小さな変化を見逃さない:
- 夜泣きの回数が1回減った
- 機嫌の良い時間が30分増えた
- 掻く回数が少し減った
こんな小さな変化でも、確実に改善に向かっている証拠です。
仲間を作る:
- 同じ悩みを持つお母さんとの情報交換
- SNSでの情報共有(ただし情報の取捨選択は慎重に)
- 専門家との定期的な相談
予防の観点から
将来的に第二子、第三子を考えているお母さんには、予防の観点からのアドバイスも大切です。
妊娠前からの準備:
- 体質改善は妊娠3ヶ月前から
- 食生活の見直し
- ストレス管理の習慣化
- 冷え性の改善
妊娠中のケア:
- 和食中心の食事
- 適度な運動(ウォーキング1日30分程度)
- 十分な睡眠(7時間以上)
- 心の安定
一人目でアトピーが出た場合でも、適切な準備をすることで二人目は症状が軽く済むことが多いんです。
いかがでしたでしょうか。東洋医学的視点から見たアトピーのケアは、単に症状を抑えるのではなく、赤ちゃんの体質そのものを改善していくアプローチです。時間はかかりますが、根本的な解決につながります。
20年間この仕事をしていて確信していることは、「必ず良くなる」ということです。赤ちゃんの持つ自然治癒力は、私たち大人が思っている以上に強いものです。
あなたの赤ちゃんは、どのタイプのアトピーに当てはまりそうでしょうか?