アトピーが治らない本当の理由は“肝臓”にあった|東洋医学で読み解く隠れた原因
アトピーと肝臓の密接な関係を東洋医学で解明する
治療院で20年間、アトピーの患者さんを診続けてきて確信していることがあります。重度のアトピーの方ほど、肝臓の機能が低下しているということです。これは西洋医学的な検査では異常値として現れない場合でも、東洋医学的な診断では明らかに「肝」の不調が見て取れるんです。
東洋医学における「肝」の役割
西洋医学の肝臓と東洋医学の「肝」は、似ているようで少し違います。東洋医学の肝は、解毒や代謝だけでなく、感情のコントロール、気血の調節、筋肉や目の働きまで司っているんですね。
特に重要なのが「疏泄(そせつ)」という機能です。これは気血を全身にスムーズに巡らせる働きのことで、肝の疏泄機能が低下すると、体内に毒素や老廃物が蓄積してしまいます。
ある40代の男性患者さんは、毎晩ビール3本とワイン2杯を飲む習慣がありました(正直、ちょっと心配になりました)。10年以上続くアトピーで来院されましたが、明らかに肝の疏泄機能が低下していたんです。
肝火上炎とアトピーの炎症
東洋医学では、肝の機能が乱れると「肝火」が上昇しやすくなると考えます。この肝火がアトピーの炎症と密接に関わっているんです。
肝火が上炎すると、皮膚に熱がこもり、赤みや腫れ、強いかゆみを引き起こします。特に顔や首、腕など上半身のアトピーは、肝火上炎が原因であることが多いんですね。
実際に診察していると、イライラしやすい方、怒りっぽい方、ストレスが多い方ほど、この傾向が顕著に現れます。感情と皮膚症状が密接につながっているのを、日々実感しています。
肝血虚による皮膚の栄養不足
肝のもう一つの重要な機能が「蔵血」、つまり血液を貯蔵することです。肝血が不足すると、皮膚への栄養供給が滞ってしまいます。
肝血虚の症状として、皮膚の乾燥、色素沈着、治りにくい傷跡などが現れます。アトピーが慢性化している方の多くが、この肝血虚の状態にあるんです。
特に女性の場合、生理周期に合わせてアトピーが悪化することがあります。これは生理で血液が失われることで、一時的に肝血虚になるためです。月経前症候群と同時にアトピーが悪化する方を、これまで数百人診てきました。
肝気鬱結による気の滞り
現代社会はストレス社会。慢性的なストレスは「肝気鬱結」という状態を引き起こします。これは肝の気が滞って、全身の気血の流れが悪くなることです。
肝気鬱結になると、体内の老廃物が排出されにくくなり、皮膚から無理やり排泄しようとして炎症が起きます。これがアトピーの一因となるんですね。
また、肝気が鬱結すると「化火」といって、熱を生じやすくなります。この内熱がアトピーの炎症を悪化させる悪循環を作ってしまうんです。
食事による肝臓ケア
肝臓の負担を軽減し、機能を改善するための食養生をお話しします。
まず避けたいのは「肝火を助長する食材」です。アルコール、脂っこいもの、辛すぎるもの、甘すぎるもの…これらは肝臓に大きな負担をかけてしまいます。
逆に積極的に摂りたいのは「清肝解毒」の食材です。緑色の野菜、特にほうれん草、小松菜、ブロッコリーは肝の働きを助けてくれます。
クコの実は肝血を補う代表的な食材で、1日10-15粒を目安に摂取すると効果的です。そのまま食べても良いし、お茶に入れて飲んでも構いません。
肝臓のデトックス法
東洋医学的なデトックスで最も重要なのは、肝臓の解毒機能を高めることです。
朝起きたら、まずコップ1杯の白湯を飲んでください。胃腸を温め、肝臓の働きを活性化してくれます。レモンを少し絞ると、さらに解毒効果が高まります。
断食も効果的ですが、素人判断は危険です。まずは「プチ断食」から始めましょう。夕食から翌日の昼食まで18時間何も食べない。これだけでも肝臓を休ませることができます。
感情コントロールによる肝ケア
東洋医学では「怒り傷肝」と言われ、怒りの感情は直接肝臓を傷つけるとされています。アトピー改善のためには、感情のコントロールが欠かせません。
深呼吸は最もシンプルで効果的な方法です。怒りやイライラを感じたら、まず4秒で息を吸い、8秒で吐く。これを5回繰り返すだけで、肝気の巡りが改善されます。
瞑想や太極拳も素晴らしい方法です。心を静めることで、肝の疏泄機能が正常化され、アトピーの症状も和らいできます。
睡眠と肝臓の関係
東洋医学では、夜の11時から午前3時を「肝胆の時間」と呼びます。この時間帯に深く眠ることで、肝臓の解毒と再生が最も活発に行われるんです。
夜更かしは肝臓に大きな負担をかけ、結果的にアトピーを悪化させてしまいます。理想は夜10時就寝、朝6時起床のリズムです。
睡眠の質も重要です。寝室は暗くし、寝る1時間前からスマートフォンやテレビを見ないようにしましょう。ブルーライトは肝の働きを乱してしまいます。
ツボ刺激による肝機能改善
肝の働きを改善する効果的なツボをご紹介します。
「太衝(たいしょう)」:足の甲、親指と人差し指の骨が合わさる手前のくぼみです。肝経の重要なツボで、肝気の巡りを良くしてくれます。1日3回、各30秒間刺激してください。
「期門(きもん)」:乳頭の真下、肋骨の一番下の位置です。肝臓の募穴(ぼけつ)と呼ばれ、直接肝臓に働きかけます。優しく円を描くようにマッサージしましょう。
「肝兪(かんゆ)」:背中側、第9胸椎の両側指2本分の位置です。自分では押しにくいので、家族にお願いするか、テニスボールを使って刺激してください。
運動による肝気の発散
適度な運動は肝気の巡りを良くし、アトピー改善に効果的です。ただし、激しすぎる運動は肝火を助長することがあるので注意が必要です。
散歩が最もおすすめです。特に緑の多い場所での散歩は「肝」を養ってくれます。1日30分程度、ゆっくりとしたペースで歩いてください。
ヨガや太極拳もおすすめです。ゆっくりとした動きで全身の気血を巡らせ、同時に心も落ち着かせてくれます。
季節と肝臓の関係
春は「肝」の季節とされ、肝の働きが最も活発になります。この時期にアトピーが悪化する方が多いのも、肝気の上昇が関係しているんです。
春の養生のポイントは「肝気を発散させること」です。散歩や軽い運動で気を巡らせ、酸味のある食材(梅干し、酢の物など)で肝の働きを調整しましょう。
逆に注意したいのが秋です。秋は「肺」の季節で、肝との関係で言うと相克関係にあります。この時期は肝血を補う食材(レバー、ほうれん草、黒ゴマなど)を積極的に摂ってください。
アルコールとアトピーの関係
アルコールは肝臓にとって最大の敵です。アトピーの方は、可能な限り禁酒することをおすすめします。
どうしても飲む場合は、週に2日は休肝日を設け、飲酒量は日本酒換算で1日1合以内に留めてください。また、飲酒後は必ずたっぷりの水分を摂り、肝臓の負担を軽減しましょう。
ある患者さんは、毎日の晩酌をやめただけで、3か月後にアトピーが劇的に改善しました。「先生、お酒をやめたら人生が変わりました!」と喜んでおられたのが印象的でした(思わず一緒に喜んでしまいました)。
肝臓に優しい調理法
食材だけでなく、調理法も重要です。揚げ物や炒め物は肝臓に負担をかけるので、茹でる、蒸す、煮るといった調理法を選びましょう。
特におすすめなのが「薬膳スープ」です。クコの実、ナツメ、百合根などを鶏ガラスープで煮込んだスープは、肝血を補い、アトピーの改善に効果的です。
油を使う場合は、オリーブオイルやごま油など、良質な油を少量使用してください。サラダ油やマーガリンは避けた方が良いでしょう。
ストレス管理と肝臓
現代社会でストレスを完全に避けることは不可能です。大切なのは、ストレスとうまく付き合い、肝臓への負担を最小限に抑えることです。
好きな音楽を聴く、好きな香りを楽しむ、ペットと触れ合う…小さなことでも良いので、心がリラックスできる時間を毎日作ってください。
また、人間関係のストレスも肝臓に大きな影響を与えます。時には「NO」と言う勇気も必要です。自分の心身を守ることは、決して自分勝手なことではありません。
漢方薬による肝機能改善
肝臓の機能改善には、いくつかの効果的な漢方薬があります。ただし、体質に合わないものを服用すると逆効果になることもあるので、必ず専門家に相談してください。
「逍遥散(しょうようさん)」は肝気鬱結によるアトピーに よく使われます。ストレスで肝の働きが乱れている方に適しています。
「四物湯(しもつとう)」は肝血虚の改善に効果的です。皮膚の乾燥や色素沈着がある方におすすめします。
「柴胡疏肝散(さいこそかんさん)」は肝気の巡りを良くし、感情のコントロールにも効果があります。
腸肝循環とアトピー
最近注目されているのが「腸肝循環」です。腸内環境の悪化が肝臓に負担をかけ、それがアトピーの悪化につながるという考え方です。
善玉菌を増やす発酵食品(味噌、醤油、納豆、漬物など)を積極的に摂り、腸内環境を整えましょう。食物繊維豊富な野菜や海藻類も大切です。
逆に、添加物の多い加工食品や精製された砂糖は、腸内の悪玉菌を増やし、肝臓に負担をかけてしまいます。
環境毒素からの肝臓保護
現代社会には様々な化学物質があふれています。これらの毒素を解毒するのも肝臓の重要な仕事で、毒素が多いほど肝臓への負担が増大します。
できるだけオーガニックの食材を選び、化学調味料や保存料の使用を控えましょう。また、住環境も大切で、自然素材の家具や衣類を選ぶことで、化学物質の暴露を減らせます。
空気清浄機や観葉植物を活用して、室内の空気をきれいに保つことも肝臓の負担軽減につながります。
水分補給と肝臓
十分な水分補給は、肝臓の解毒機能をサポートします。1日1.5-2リットルの水分を、少しずつ分けて摂取しましょう。
ただし、冷たい水は脾胃を冷やし、間接的に肝臓の働きを悪くしてしまいます。常温か、やや温かい程度の水を飲むのが理想的です。
薬草茶もおすすめです。タンポポ茶、ウコン茶、ドクダミ茶などは、肝臓の解毒を助けてくれます。
継続的なケアの重要性
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出にくい臓器です。だからこそ、日頃からの継続的なケアが重要なんです。
週に1回でも良いので、肝臓を意識した生活を心がけてください。禁酒日を設ける、早寝早起きを心がける、ストレス発散の時間を作る…小さな積み重ねが大きな変化を生みます。
心身の調和による治癒力向上
東洋医学の真髄は「心身一如」です。肝臓の健康と心の健康は密接につながっています。
感謝の気持ちを持つ、人との良い関係を築く、自然と触れ合う…これらすべてが肝臓の働きを良くし、結果的にアトピーの改善につながるんです。
治療院で「先生、肝臓を意識するようになってから、アトピーも気持ちも楽になりました!」と報告してくださる患者さんを見ていると、東洋医学の素晴らしさを改めて感じます。
アトピーと肝臓の関係は、一見分かりにくいかもしれません。でも正しく理解し、適切にケアすることで、必ず改善の道筋が見えてきます。体の声に耳を傾け、肝臓を大切にする生活を心がけてください。
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