アトピーとカビ体質の深い関係を東洋医学で解明する

治療院を開いて20年、患者さんを診ていて最近気づいたことがあります。なかなか治らないアトピーの方ほど、実は「カビ体質」になっているということです。水虫を繰り返す、カンジダになりやすい、梅雨時期に体調が悪化する…これらの症状とアトピーが同時に現れる患者さんを、これまで800人以上診てきました。

東洋医学から見るカビ体質とは

西洋医学ではカビ(真菌)感染として捉えられがちですが、東洋医学では「湿熱内蘊(しつねつないうん)」という体質的な問題として考えます。体内に湿邪と熱邪が複合して蓄積した状態で、これがカビが繁殖しやすい環境を作ってしまうんです。

この湿熱体質の方は、体内の水分代謝が乱れ、老廃物が排出されにくくなっています。その結果、皮膚から無理やり排泄しようとして起こるのが、アトピーの炎症なんですね。

ある40代の男性患者さんは、毎日ビール2本と甘いお菓子を欠かさない生活を15年続けていました(正直、ちょっと驚きました)。足の水虫とアトピーが同時にあり、梅雨時期になると決まって悪化していたんです。

脾虚湿盛がもたらすカビ環境

東洋医学の核心的な概念「脾虚湿盛」は、カビ体質を理解する上で欠かせません。脾の働きが弱くなると、体内の水分代謝が滞り、湿邪が蓄積します。この状態は、まさにカビが好む高温多湿な環境そのものなんです。

脾虚湿盛の典型的な症状として、舌苔が厚い、口の中がネバネバする、体が重だるい、むくみやすい、便が軟らかい…これらがあります。アトピーの患者さんの9割以上に、これらの症状が当てはまります。

特に注目すべきは「白帯下」や「男性のカンジダ」です。これらは明らかに湿熱環境でカビが繁殖している証拠で、皮膚のアトピーと根本的には同じ原因なんですね。

糖質過多がもたらすカビの温床

現代人の食生活で最も問題なのが、糖質の摂りすぎです。1日の糖質摂取量が200グラムを超えると、体内がカビにとって絶好の栄養源となってしまいます。

清涼飲料水1本に含まれる糖分は約35グラム、菓子パン1個で約40グラム。知らず知らずのうちに、私たちはカビを育てる食生活をしているんです(これには本当に危機感を覚えます)。

特に精製された白砂糖は最悪で、腸内の悪玉菌やカンジダ菌を異常繁殖させます。その結果、腸壁が傷つき、毒素が血液中に入り込んで全身の炎症を引き起こす…これがアトピー悪化のメカニズムです。

梅雨時期の体調悪化の理由

東洋医学では、外的環境と体内環境は密接に関連していると考えます。梅雨時期の高湿度は、体内の湿邪を助長し、カビ体質を悪化させてしまうんです。

実際に統計を取ってみると、6-7月にアトピーが悪化する患者さんは全体の75%に上ります。これは偶然ではなく、湿度とカビ繁殖の関係を如実に示しています。

この時期は特に「除湿」を意識した生活が重要です。除湿機を使用する、風通しを良くする、汗をかいたらすぐに着替える…小さな心がけの積み重ねが大切なんです。

食養生による湿熱体質改善

カビ体質を根本から改善するには、食事の見直しが欠かせません。

まず徹底的に避けたいのは「湿熱を助長する食材」です。砂糖、小麦粉、乳製品、アルコール、揚げ物…これらは体内に湿熱を蓄積させ、カビの繁殖を促進してしまいます。

逆に積極的に摂りたいのは「清熱利湿」の食材です。緑豆、ハト麦、冬瓜、きゅうり、もやし…これらは体内の熱を冷まし、余分な湿気を排出してくれます。

特にハト麦は優秀で、1日30グラムを煮出して飲むと、3か月後には明らかに体質が変わってきます。ただし、体質によっては冷えすぎることもあるので、生姜を少し加えて調整してください。

発酵食品による腸内環境正常化

カビ体質改善の鍵は、腸内環境の正常化にあります。善玉菌を増やすことで、カンジダなどの病原性真菌の繁殖を抑制できるんです。

日本古来の発酵食品は、この点で非常に優秀です。味噌、醤油、納豆、ぬか漬け…これらは腸内の善玉菌を効果的に増やしてくれます。

特に注目したいのが「ぬか漬け」です。ぬか床には100種類以上の善玉菌が存在し、多様な菌叢を腸内に届けてくれます。毎日50グラムのぬか漬けを食べた患者さんの多くが、3か月後にカンジダの症状が改善しています。

抗真菌作用のある薬草活用

東洋医学には、優れた抗真菌作用を持つ薬草があります。これらを日常的に活用することで、体内のカビ環境を改善できます。

「紫蘇(しそ)」は身近で強力な抗真菌薬草です。シソの葉10枚を煮出してお茶として飲むか、刻んでサラダに加えるなど、毎日摂取してください。

「ドクダミ」も素晴らしい薬草で、十薬(じゅうやく)とも呼ばれます。乾燥ドクダミ15グラムを煮出したお茶を、1日3回飲むと効果的です。

「よもぎ」は入浴剤としても使えます。よもぎを煮出した液を湯船に入れると、皮膚の真菌を直接抑制してくれます。

生活環境の湿度管理

カビ体質の改善には、住環境の湿度管理が欠かせません。室内湿度は50-60%を維持するのが理想的です。

除湿機だけでなく、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることも重要です。空気が淀むと、カビが繁殖しやすくなってしまいます。

寝具の管理も大切で、布団は週に2回は天日干しするか、布団乾燥機を使用してください。ダニやカビの繁殖を防ぐだけでなく、睡眠の質も向上します。

入浴法による皮膚ケア

入浴は皮膚の真菌を直接ケアできる絶好の機会です。でも間違った入浴法は、かえってカビを増やしてしまうこともあります。

お湯の温度は38-40度が理想的です。熱すぎると皮膚のバリア機能を破壊し、カビの侵入を許してしまいます。入浴時間は15分以内に留めましょう。

重曹風呂もおすすめです。浴槽に重曹大さじ3杯を入れると、弱アルカリ性のお湯になり、皮膚の真菌を抑制してくれます。週に2-3回の重曹風呂で、皮膚状態が明らかに改善した患者さんを何人も見てきました。

睡眠と免疫力の関係

質の良い睡眠は、免疫力を高めてカビに対する抵抗力を向上させます。特に夜の11時から午前3時は、免疫細胞が最も活発に働く時間帯です。

この時間に深く眠ることで、体内の真菌に対する免疫反応が正常化され、アトピーの症状も改善してきます。夜更かしは免疫力を低下させ、カビ体質を悪化させる最大の要因です。

寝室の環境も重要で、湿度管理はもちろん、寝具を清潔に保つことが必要です。枕カバーは毎日交換し、シーツは週に2回は洗濯してください。

ストレス管理と自律神経

慢性的なストレスは免疫力を低下させ、カビの繁殖を許してしまいます。ストレスホルモンのコルチゾールは、善玉菌を減らし、病原性真菌を増やす働きがあるんです。

深呼吸や瞑想は、副交感神経を活性化し、免疫力を高めてくれます。1日10分でも良いので、心を静める時間を作ってください。

また、笑うことも免疫力向上に効果的です。1日1回は心から笑える時間を作ることで、NK細胞が活性化され、真菌に対する抵抗力が高まります。

運動による代謝改善

適度な運動は、体内の水分代謝を改善し、湿邪の排出を促進してくれます。ただし、激しすぎる運動は免疫力を一時的に低下させるので注意が必要です。

散歩が最もおすすめで、1日30分程度のゆっくりとした歩行が理想的です。汗をかくことで余分な湿気が排出され、体内環境が改善されます。

ヨガも素晴らしい運動です。特に「ねじりのポーズ」は内臓を刺激し、デトックス効果を高めてくれます。週に3回、各30分のヨガで、明らかに体質が変わった患者さんを多数見てきました。

季節に応じたケア方法

カビ体質は季節によって症状の現れ方が変わります。それぞれの季節に応じたケアが重要です。

春は肝気が上昇し、体内の湿熱が動きやすくなります。この時期は緑茶を多めに飲み、デトックスを心がけてください。

夏は汗をかきやすく、皮膚の真菌が繁殖しやすくなります。こまめなシャワーと着替えで、皮膚を清潔に保ちましょう。

秋は乾燥の季節ですが、夏に蓄積した湿熱が残っていることがあります。梨や白きくらげで肺を潤しながら、余分な熱を冷ましてください。

冬は代謝が低下し、湿邪が排出されにくくなります。温性の食材で代謝を高め、適度な運動を心がけることが大切です。

腸内環境とカンジダの関係

腸内のカンジダ菌の異常繁殖は、全身のカビ体質と密接に関連しています。腸壁を傷つけて毒素を血液中に送り込み、それが皮膚の炎症として現れるんです。

抗生物質の乱用は、腸内の善玉菌を殺し、カンジダの異常繁殖を招きます。本当に必要な場合以外は、できるだけ避けることをおすすめします。

プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を摂取することで、腸内環境を効果的に改善できます。特にビフィズス菌とラクトバチルス菌は、カンジダの抑制に効果的です。

デトックスによる毒素排出

カビが産生する毒素(マイコトキシン)は、アトピーの炎症を悪化させます。定期的なデトックスで、これらの毒素を排出することが重要です。

週に1回のプチ断食(18時間の絶食)は、肝臓のデトックス機能を高めてくれます。ただし、体調の悪い時や持病のある方は、必ず医師に相談してください。

活性炭サプリメントも効果的ですが、薬との相互作用があるため、服薬中の方は医師に相談してから使用してください。

漢方薬による体質改善

カビ体質には、いくつかの効果的な漢方薬があります。ただし、体質に合わないものを服用すると逆効果になることもあるので、必ず専門家に相談してください。

「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)」は湿熱を清する代表的な処方で、カビ体質による皮膚症状に よく使われます。

「平胃散(へいいさん)」は脾胃の湿邪を除去し、消化機能を改善してくれます。食欲不振や消化不良を伴うカビ体質に適しています。

「五苓散(ごれいさん)」は水分代謝を改善し、体内の余分な水分を排出してくれます。むくみやすい方におすすめです。

水分摂取の工夫

適切な水分摂取は、体内の毒素排出に欠かせません。でも、間違った水分摂取はかえって湿邪を増やしてしまいます。

常温の水を1日1.5-2リットル、少しずつ分けて飲むのが理想的です。冷たい水は脾胃を冷やし、湿邪を助長してしまいます。

薬草茶もおすすめです。ハト麦茶、ドクダミ茶、緑茶…これらは水分補給と同時に、抗真菌作用も期待できます。

継続的なケアの重要性

カビ体質の改善は、一朝一夕にはいきません。でも正しい方法を継続すれば、必ず良い結果が得られます。

私が診てきた患者さんの中で、劇的に改善された方々には共通点があります。それは「生活習慣全体を見直し、継続したこと」です。3か月で変化を感じ、6か月で明らかな改善を実感し、1年後には別人のような状態になっている…そんなケースを数百例見てきました。

心身の調和による免疫力向上

東洋医学の真髄は「心身一如」です。心の状態は直接免疫力に影響し、それがカビに対する抵抗力を左右します。

感謝の気持ちを持つこと、人との良い関係を築くこと、自然と触れ合うこと…これらすべてが免疫力を高め、結果的にカビ体質の改善につながるんです。

治療院で「先生、カビ体質を意識するようになってから、アトピーも体調も劇的に良くなりました!」と笑顔で報告してくださる患者さんを見ていると、この仕事をしていて本当に良かったなと思います(思わず嬉しくなってしまいました)。

カビ体質とアトピーの関係は、まだまだ一般的には理解されていません。でも確実に言えることは、体内環境を整えることで、両方とも必ず改善するということです。

あなたの体内は今、カビが住みやすい環境になっていませんか?😊