アトピーと「自分を責める癖」|東洋医学が語る心と皮膚の深い関係

アトピー、東洋医学、そして「自分を責める癖」について深くお話ししましょう。長年この道で多くの患者さんと向き合ってきましたが、アトピーの根底に、そうした心のあり様が深く関わっているケースは本当に多いと実感しています。

痒みだけでなく、心の重荷を抱えている方々の苦しみを思うと、私も胸が締め付けられます。

アトピーと東洋医学:皮膚は内臓の鏡、身体のサイン

さて、アトピー性皮膚炎。西洋医学では皮膚の炎症や免疫の異常、バリア機能の低下などが主な原因とされますが、東洋医学では、もう少し俯瞰的な視点で捉えます。私たちは皮膚の表面だけを見るのではなく、その人の体全体、そして心の状態も含めたバランスに注目するんです。

東洋医学において、皮膚は内臓の鏡とよく表現されます。体内の不調が、皮膚という最も外側の部分に現れる、と考えるわけです。アトピーの場合、その根底には体内の湿(しつ)や熱(ねつ)、風(ふう)といった邪気(病気の原因となるもの)が複雑に絡み合っています。

例えば、体内に過剰な「湿熱(しつねつ)」がこもると、皮膚は赤く腫れ、じゅくじゅくしたり、強い痒みが出たりします。これは、現代医学でいうところの炎症反応に近いかもしれませんね。また、「血虚生風(けっきょせいふう)」といって、血が不足することで皮膚に栄養が行き届かず、乾燥して痒みが誘発されるケースも珍しくありません。風邪(ふうじゃ)が皮膚に入り込むと、痒みが移動したり、全身に広がったりすることもあります。

この「湿熱」は、脾(ひ)の機能低下と深く関係しています。脾は消化吸収を司る臓器で、飲食物から栄養を取り込み、全身に巡らせる働きがあります。しかし、冷たいものの摂りすぎ、甘いものや脂っこいものの過剰摂取、不規則な食事時間などが続くと、脾の機能は弱ってしまいます。

すると、処理されるべき水分や老廃物が体内に停滞し、「湿」として蓄積されてしまうんです。この湿が熱と結びつき、アトピーという形で皮膚に現れることが多い。福岡のこの地でも、消化器系が弱い方は、アトピーの症状も出やすい傾向がある、と20年の経験で強く感じています。


「自分を責める癖」と東洋医学的アプローチ:心のありようが体に与える影響

今回のテーマでもある「自分を責める癖」。これは、アトピーと非常に深く関連していると、私は確信しています。東洋医学では、心と体は心身一如(しんしんいちにょ)、つまり一体であると考えます。心が体に影響を与え、体が心に影響を与える。アトピーの患者さんで、この「自分を責める癖」を持つ方は本当に多いと感じています。

東洋医学では、五臓(肝、心、脾、肺、腎)それぞれが特定の感情と深く結びついています。

  • 肝(かん)は「怒り」や「イライラ」「抑圧」と関連します。自分を責める感情は、心の奥底で怒りや不満がくすぶっている状態と捉えることができます。これが長期にわたると、気の巡りを司る肝の機能が滞り、肝気鬱結(かんきうっけつ)という状態を引き起こします。気が滞ると、熱が生じやすくなり、それが皮膚の炎症や痒みを悪化させる原因となることがあります。

  • 脾(ひ)は「思い悩み」や「不安」と関連します。自分を責め続けることは、常に思考がグルグルと巡り、思い悩む状態を作り出します。この過剰な思い悩みは、脾の機能を弱め、先ほど述べた「湿」の停滞を招きます。脾が弱まると、消化吸収が悪くなるだけでなく、体内の水分代謝も滞り、結果的にアトピーの症状が悪化することがあります。

  • 肺(はい)は「悲しみ」と関連します。皮膚は肺と密接な関係があると東洋医学では考えられており、皮膚の呼吸やバリア機能は肺の働きによるところが大きいとされます。悲しみや、自分を責めることによる自己肯定感の低下は、肺の気を弱め、皮膚の乾燥やバリア機能の低下に繋がることがあります。

このように、「自分を責める癖」は、特定の臓腑の働きを阻害し、巡りを悪くすることで、アトピーの症状を悪化させる一因となるのです。私のもとを訪れるアトピー患者さんのうち、約7割の方が、心のストレスや感情の抑圧を抱えていると感じています。(これは結構衝撃的な数字ですよ。)


気功の第一人者としての見解:気の流れを整え、心を解き放つ

私は気功の指導も長年行っておりますが、気功はアトピー改善、特に「自分を責める癖」の解消に非常に有効だと考えています。なぜなら、気功は「気」の流れを整えることに特化しているからです。

東洋医学では、私たちの体には「経絡(けいらく)」という気の通り道があり、その中に「気(き)」や「血(けつ)」が流れていると考えます。この気の流れが滞ったり、不足したりすると、病気になると。アトピーも例外ではありません。そして、感情の抑圧や「自分を責める癖」は、まさにこの気の流れを滞らせる最大の原因の一つなんです。

気功を行うことで、滞っていた気の流れがスムーズになり、全身の巡りが改善されます。気の巡りが良くなれば、自律神経のバランスも整い、過敏になっていた免疫システムが落ち着きを取り戻しやすくなります。これは、アトピーによる痒みや炎症を軽減するだけでなく、再発しにくい体質へと導くことにも繋がるのです。

さらに重要なのは、気功が心の解放を促す効果があることです。気功の呼吸法や瞑想的な動きは、心に溜め込んだ感情をゆっくりと解放する手助けをしてくれます。自分を責める思考パターンから抜け出し、心を穏やかに保つことができるようになるのです。

実際に、私のもとで気功を実践された方の中には、「心が軽くなった」「自分を許せるようになった」とおっしゃる方が何人もいました。具体的な例を挙げれば、週に3回、気功の練習を続けたある方は、3ヶ月後には明らかに表情が明るくなり、以前は些細なことで自分を責めていたのが、前向きな言葉を口にするようになりました。それに伴い、皮膚の状態も目に見えて改善していったんです。これは、気の流れが整ったことで、体内の湿熱が排出されやすくなっただけでなく、心が解放されたことで、体の回復力が高まった結果だと考えています。気功は、単なる体操ではなく、内なる生命エネルギーを高め、心身のバランスを整える奥深い行法なのです。


プロの整体師としての視点:生活習慣と「自分への優しさ」

整体師として、私が最も重視しているのは、実は「日々の生活習慣」です。どんなに素晴らしい施術や薬を用いても、日々の生活が乱れていては、根本的な改善は難しいからです。そして、アトピーにおいてはこの「自分を責める癖」を意識し、生活の中に「自分への優しさ」を取り入れることが、非常に重要だとお伝えしたい。

例えば、食事。冷たいものや甘いもの、脂っこいものの過剰摂取は脾の機能を弱め、湿を溜め込みます。これは、「自分を労わらない食事」に繋がりかねません。ヒスタミンを多く含む食品(チーズやトマト、ナス、ほうれん草、チョコレート、発酵食品など)を控えることも重要ですが、これはあくまで目安。大切なのは、ご自身の体と向き合い、何を食べると痒みが増すのか、注意深く観察することです。そして、「これは私にとって良いもの、これは控えた方がいいもの」という意識で、自分を大切にする選択をしていくこと。

睡眠も非常に重要ですし、頭痛改善にも繋がります。夜間の痒みは、睡眠の質を著しく低下させます。東洋医学では、夜は「陰」の時間であり、体が回復する大切な時間と考えます。質の良い睡眠は、免疫力を高め、皮膚の再生を促します。理想的には、午後11時には就寝し、午前7時には起床する子午流注(しごるちゅう)に基づく生活リズムが望ましいとされます。これは、時間帯によって気が巡る臓腑が異なり、それぞれの臓腑が最も活発に働く時間に体を休めることで、自然治癒力を最大限に引き出すという考え方です。そして、十分な睡眠を取ることは、自分への「休息」という優しい贈り物でもあります。痒みで眠れない夜は、無理に寝ようとせず、心を落ち着ける音楽を聴いたり、温かいハーブティーを飲んだり、リラックスできる工夫をすること。完璧を目指すのではなく、できる範囲で自分を許し、労わってあげてください。

そして、ストレス。現代社会において、ストレスは避けられないものですが、上手に付き合うことが大切です。ストレスは気の滞りを生み、体内の「熱」を増やす原因にもなります。瞑想や深呼吸、そしてもちろん、気功もストレス軽減に役立ちます。また、「自分を責める癖」を手放すためには、「自己肯定感」を高めることが不可欠です。小さなことでも良いので、今日の自分を褒める。完璧でなくても良いと自分に言い聞かせる。失敗しても大丈夫、と自分を許す。こうした心の習慣が、少しずつ、しかし確実にあなたの体を良い方向へ導いていくでしょう。私は患者さんに、一日に一度、鏡を見て「今日もよく頑張ったね」と自分に声をかけることを勧めています。(最初は恥ずかしがる方が多いですが、効果は絶大ですよ。)


治療の心構え:完璧を目指さない、そして自分こそが真の治療家

20年この仕事をしてきて思うのは、アトピーの治療は、「完璧」を目指すものではないということです。アトピーは、その人の体質や生活習慣、精神状態が複雑に絡み合って現れる症状です。一朝一夕に劇的に改善するものではありません。もちろん、症状が落ち着くことは目標ですが、たまには痒みが出たり、少し赤くなったりすることもあるでしょう。大切なのは、その波とどう向き合い、どうコントロールしていくかです。私も患者さんにはよくお話しします。「今日ダメでも、明日がある。少しずつ、できることを増やしていきましょう」と。気負いすぎず、焦らず、ご自身のペースで治療を続けていくことが、最終的には最も良い結果につながると信じています。

私は整体師として「手技」を用いて体を整えるのが仕事ですが、アトピーの患者さんに対しては、ただ施術をするだけでなく、日々の生活における「選択」の重要性をお伝えしています。使う石鹸や洗剤、着る服の素材、室内の温度や湿度など、日常生活の細部にまで意識を向けることが大切です。これらは一見些細なことのように思えますが、肌への刺激を減らし、皮膚のバリア機能を守る上で非常に大きな意味を持ちます。

大切なのは、ご自身の体と向き合い、何を食べると調子が悪くなるのか、何を食べると良いのかを、自分で「知る」ことです。そのためには、食事日記をつけるなど、地道な努力が必要になるかもしれません。しかし、これこそが、あなた自身の体を「治療する」最初の一歩となるのです。あなたは、ご自身の体の「主治医」です。私たちの役割は、その手助けをすることに過ぎません。私からのアドバイスは、あくまで一つの羅針盤。最終的に舵を切るのは、あなた自身なのです。この考え方こそが、長年の治療経験から私が辿り着いた真実です。(思わず、深く息を吐きました。)


アトピーと季節の変動:自然との調和、そして自分との調和

アトピーの症状は、季節によって変動することがよくありますよね。東洋医学では、自然界の移り変わりと人体の状態が密接に関連していると考えます。これを天人相応(てんじんおう)と言います。

例えば、春は「風」の季節。風邪(ふうじゃ)が皮膚に入り込みやすく、痒みが移動したり、全身に広がったりすることがあります。また、春は肝が活発になる時期でもあり、ストレスやイライラが肝火を亢進させ、アトピーの悪化に繋がることもあります。夏は「熱」と「湿」の季節。汗をかきやすく、皮膚に湿熱がこもりやすいので、じゅくじゅくしたり、強い炎症が出やすい時期です。秋は「燥(そう)」の季節。空気が乾燥し、肺の機能が弱まりやすいため、皮膚も乾燥し、痒みが増したり、カサカサしたりすることがあります。冬は「寒」の季節。血行が悪くなりやすく、皮膚への栄養供給が滞り、乾燥やかゆみが強まる傾向があります。

このように、季節ごとの特徴を理解し、それに合わせたケアを行うことも、アトピーの症状を安定させる上で非常に重要です。そして、この自然との調和と同じくらい大切なのが、「自分自身との調和」です。自分を責める心を解き放ち、ありのままの自分を受け入れること。これが、季節の変動に左右されにくい、強くしなやかな心身を作り上げる土台となります。


最終的な問いかけ

アトピーという症状は、あなた自身が持つ「体の声」だと私は考えています。そして「自分を責める癖」は、その声をかき消してしまう場合があります。その声に耳を傾け、東洋医学の知恵と気功の実践を通じて、あなた自身の体と心を深く理解する旅に出てみませんか?そして、その旅の中で、あなた自身の治癒力と、自分自身への優しさを見つけることができるでしょうか?