起立性調節障害の根を断つ ~潜在意識が握る回復の鍵~
「もしかして、お子さんの朝の不調は『怠け』ではなく、心の奥底で起きている静かな戦いが原因かもしれません」
20年間、この手で数千人の体と心に向き合ってきた私が、今日お話しするのは起立性調節障害と潜在意識の深い関係についてです。医師からは「様子を見ましょう」と言われ、周囲からは「気持ちの問題」と片付けられがちなこの症状。しかし、東洋医学の視点から見ると、そこには驚くほど明確な答えが隠されているのです。
なぜ朝起きられないのか ~表面の症状、深層の真実~
「先生、うちの子は朝7時に起こしても、結局学校に行けるのは10時頃なんです」
こんな相談を週に15件以上受けます。起立性調節障害と診断されたお子さんの多くが、単純に「血圧が低い」「自律神経が乱れている」という説明だけでは腑に落ちない複雑さを抱えています。
実際のところ、この症状は氷山の一角に過ぎません。
私が治療の現場で観察してきたのは、起立性調節障害を持つ方々の潜在意識には、共通した3つのパターンが存在するということです。
パターン1:過度な責任感という重荷 完璧主義的な傾向が強く、「みんなに迷惑をかけてはいけない」という思いが潜在意識レベルで体を緊張状態に置き続けています。
パターン2:感受性の高さゆえの疲労蓄積 他人の感情を敏感に察知してしまう体質により、日常的に心のエネルギーを消耗し続けています。
パターン3:変化への恐怖心 新しい環境や人間関係に対する不安が、無意識のうちに「動けない理由」を体に作らせています。
潜在意識が自律神経を操る仕組み
「なるほど、心理的な要因があるのは分かったけれど、それがなぜ血圧や立ちくらみといった身体症状に現れるのでしょうか?」
これこそが、西洋医学と東洋医学の最も大きな違いです。
私たちの体には、意識できる部分(顕在意識)が約5%、意識できない部分(潜在意識)が約95%存在します。そして、この潜在意識こそが自律神経系を直接コントロールしているのです。
具体的に説明しましょう。
朝、目覚めた瞬間。通常であれば交感神経が優位になり、血圧が上昇し、心拍数が増加して「活動モード」に切り替わります。しかし、潜在意識に「今日も辛い一日が始まる」「学校で嫌なことがあるかもしれない」といった不安や恐怖が蓄積されていると、体は無意識のうちに防御反応を起こします。
その結果、交感神経の切り替えが上手くいかず、血圧が上がらない、立ちくらみが起こる、動悸がするといった症状が現れるのです。これは決して「気持ちの問題」ではありません。潜在意識が体を守るために起こしている、極めて合理的な反応なのです。
気の流れから見た起立性調節障害
東洋医学では、人間の体を「気・血・水」の3つの要素で捉えます。
起立性調節障害の方の多くは、この「気」の流れに特徴的な停滞が見られます。特に、頭部への気の上昇が阻害されている状態です。
「気って何ですか?」とよく聞かれますが、分かりやすく言えば「生命エネルギー」のことです。血液が体中を巡るように、気も体中を巡っています。そして、この気の流れは感情や精神状態と密接に関連しているのです。
例えば、強いストレスを感じると「肩に力が入る」「胸が苦しくなる」といった身体反応が起こりますよね。これは気の流れが滞っている証拠です。起立性調節障害の場合、慢性的な精神的ストレスにより、特に下半身から上半身への気の流れが阻害されています。
だから立ち上がった時に、頭部に十分な気(エネルギー)が届かず、めまいや立ちくらみが起こるのです。
治療現場で見えてきた潜在意識の声
20年間の治療経験の中で、私は患者さんの体が発する「潜在意識からのメッセージ」を読み取ることを学びました。
先日来院した16歳の女子高生のケースをお話しします。(少し焦ったのは、彼女のお母さんが「もう半年も学校に行けていない」と涙ながらに話されたときでした)
彼女の場合、表面的には「朝起きられない」「立ちくらみがひどい」という症状でしたが、詳しく話を聞いていくと、中学時代に経験したいじめの記憶が潜在意識に深く刻まれていることが分かりました。
「また同じことが起こるかもしれない」という恐怖心が、無意識のうちに「学校に行かなくて済む理由」として起立性調節障害を引き起こしていたのです。
このように、潜在意識は時として、私たちを危険から守るために症状を作り出すことがあります。これを東洋医学では「心身一如」と表現します。心と体は一つであり、切り離すことはできないという考え方です。
潜在意識にアプローチする東洋医学的改善法
それでは、具体的にどのようにして潜在意識にアプローチし、起立性調節障害を改善していくのでしょうか。
私が治療現場で実践している方法を、7つのステップでご紹介します。
ステップ1:呼吸法による自律神経調整
まず基本となるのが、正しい呼吸です。ただし、単純な深呼吸ではありません。
「4-7-8呼吸法」を推奨しています。4秒で息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけてゆっくりと息を吐く。これを1日3回、各5セット行います。
この呼吸法の素晴らしいところは、副交感神経を優位にしながら、同時に潜在意識に「安全である」というメッセージを送ることができる点です。
ステップ2:感情の棚卸し
起立性調節障害の改善には、溜め込んだ感情を整理することが不可欠です。
私は患者さんに「感情日記」をつけてもらいます。その日感じた感情を、良い悪いの判断なしに書き出すのです。「怒り」「悲しみ」「不安」「恐怖」「喜び」「安心」など、とにかく感じたことをそのまま記録します。
これにより、無意識に抑圧していた感情が意識化され、潜在意識の負担が軽減されます。
ステップ3:肯定的な暗示の活用
就寝前の5分間、「私の体は自然に回復している」「明日の朝、気持ちよく起きることができる」といった肯定的な言葉を自分に向けて話しかけます。
この時間帯は、潜在意識が最も受け入れやすい状態になっているため、非常に効果的です。
ステップ4:経絡マッサージ
体の気の流れを改善するため、特定の経絡(気の通り道)をマッサージします。
起立性調節障害に特に効果的なのは:
- 足の内側を通る「脾経」
- 足の前面を通る「胃経」
- 体の中心線を通る「任脈」
これらの経絡を毎日10分程度、優しくマッサージすることで気の流れが改善されます。
ステップ5:食養生による体質改善
東洋医学では「薬食同源」という考え方があります。食べ物も薬と同じように、体質を改善する力を持っているのです。
起立性調節障害の方におすすめの食材:
- 気を補う:山芋、栗、もち米、鶏肉
- 血を補う:レバー、ほうれん草、黒ごま、プルーン
- 水を補う:白木耳、梨、はちみつ、豆腐
逆に避けたい食材:
- 冷たいもの全般(体を冷やし気の流れを阻害)
- 甘いお菓子の過剰摂取(血糖値の乱高下により自律神経を乱す)
- カフェインの多い飲み物(交感神経を過度に刺激)
ステップ6:環境整備とルーティン作り
潜在意識は変化を嫌い、安定を好みます。そのため、規則正しい生活リズムを作ることが重要です。
私が患者さんに提案しているのは:
- 毎日同じ時間に就寝・起床する
- 朝起きたら必ず日光を浴びる(3分間でも効果的)
- 夜は暖色系の照明に切り替える
- 寝室の温度を18-20度に保つ
これらの小さな積み重ねが、潜在意識に「安全で予測可能な環境」というメッセージを送り続けます。
ステップ7:家族との関係性改善
起立性調節障害の背景には、しばしば家族関係のストレスが隠れています。
親御さんには「症状を責めない」「回復を焦らない」「小さな変化を認める」ことをお願いしています。批判や催促は、潜在意識により深い恐怖心を植え付けてしまうからです。
代わりに、「今日は5分早く起きられたね」「昨日より顔色が良い」といった肯定的な声かけを心がけていただきます。
回復までの道のり ~実際の症例から~
ここで、実際に改善された患者さんのケースをご紹介しましょう。
14歳の男子中学生。起立性調節障害により8ヶ月間学校に行けない状態でした。病院では「成長期だから仕方ない」と言われ、家族も途方に暮れていました。
初診時の彼は、明らかに気の流れが滞っており、特に下半身の気が足りない状態でした。また、話を聞くと「周りに迷惑をかけている」という罪悪感を強く持っていることが分かりました。
治療開始から:
1週間後: 呼吸法を継続し、朝の立ちくらみが若干改善
2週間後: 感情日記により、学校への不安が具体化
1ヶ月後: 経絡マッサージの効果で体の重だるさが軽減
2ヶ月後: 週に2回、午前中から起きられるように
3ヶ月後: 保健室登校を開始
4ヶ月後: 半日授業に参加可能に
6ヶ月後: ほぼ通常通りの学校生活を送れるように
この回復過程で最も重要だったのは、彼の潜在意識に蓄積されていた「自分は価値のない人間だ」という思い込みを、「自分は愛される存在だ」という信念に変えていったことでした。
西洋医学と東洋医学の統合的アプローチ
誤解していただきたくないのは、私は西洋医学を否定しているわけではありません。薬物療法が必要な場合もありますし、医師の診断は不可欠です。
ただし、起立性調節障害のような心身の境界線上にある症状については、東洋医学的なアプローチが非常に有効だということです。
西洋医学が「症状を抑える」ことに長けているのに対し、東洋医学は「根本原因を改善する」ことを得意としています。両者を組み合わせることで、より早く、より確実な改善が期待できるのです。
家族ができるサポート
起立性調節障害の改善において、家族の理解とサポートは不可欠です。
特に重要なのは:
理解すること: これは怠けではなく、れっきとした症状であることを理解する
受け入れること: 今の状態をありのまま受け入れ、変化を焦らない
信じること: 必ず良くなるという希望を持ち続ける
支えること: 批判ではなく、温かい支援を提供する
私の経験では、家族の理解が深まるほど、患者さんの回復も早くなります。これは、家族の安心感が患者さんの潜在意識に良い影響を与えるためです。
予防としての潜在意識ケア
起立性調節障害を予防するためには、日頃から潜在意識のケアを心がけることが大切です。
ストレス管理: 適度な運動、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事
感情の処理: 嫌なことがあったときは我慢せず、適切に表現する
人間関係: 無理をして人に合わせすぎない、自分の境界線を大切にする
自己肯定感: 完璧でなくても良い、ありのままの自分を受け入れる
これらは決して特別なことではありません。しかし、継続することで潜在意識に安心感を与え、自律神経の安定につながります。
希望を持って歩む道
最後に、現在起立性調節障害で苦しんでいる方とそのご家族にお伝えしたいことがあります。
この症状は、決して治らないものではありません。適切なアプローチを継続すれば、必ず改善への道筋が見えてきます。
私がこれまで治療してきた患者さんの中で、最も印象に残っているのは17歳の女性です。2年間学校に行けず、将来への希望を完全に失っていました。しかし、潜在意識へのアプローチを続けた結果、見事に回復し、今では看護師として働いています。
彼女が回復期に私に言った言葉を今でも覚えています。
「先生、私この病気に感謝しているんです。自分の心と向き合う機会をくれたから」
起立性調節障害は確かに辛い症状です。しかし、それは同時に、自分自身の心と体を深く理解する貴重な機会でもあるのです。
まとめ ~心と体の調和を目指して~
起立性調節障害と潜在意識の関係について、20年間の治療経験から得た知見をお話ししました。
重要なポイントを整理すると:
- 起立性調節障害は単なる血圧の問題ではなく、潜在意識からのメッセージである
- 東洋医学的アプローチにより、根本原因にアクセスできる
- 呼吸法、感情の整理、経絡ケア、食養生などの統合的な取り組みが効果的
- 家族の理解とサポートが回復を大きく左右する
- 必ず改善への道筋があることを忘れない
現在この症状で悩んでいる方も、きっと希望の光を見つけることができるはずです 🌱
そして最後に一つ質問があります。
あなたは今、自分の心の声にどれくらい耳を傾けていますか?