起立性調節障害を食べ物で治す ~20年間の治療現場で実証された食事療法の真実~

「薬に頼らず、毎日の食事だけで起立性調節障害が改善するとしたら、あなたは信じますか?」

治療歴20年、延べ2300人の起立性調節障害患者を診てきた私が今日お話しするのは、東洋医学の「薬食同源」の考えに基づいた、食べ物による根本的な治療法です。実際に私の治療院では、食事療法だけで症状が劇的に改善したケースが数多くあります。その実証された方法を、包み隠さずお伝えします。

薬食同源 ~食べ物が最高の薬になる~

東洋医学における食事の位置づけ

「薬食同源」とは、食べ物と薬は本来同じ源から生まれたものという東洋医学の基本概念です。

適切な食べ物を選んで食べることで、体質を根本から改善し、病気を治すことができるという考え方です。

西洋医学では栄養素を個別に分析しますが、東洋医学では食べ物の持つ「性質」や「五味」、「帰経」(どの臓器に働きかけるか)といった総合的な作用を重視します。

起立性調節障害に有効な食事の基本原理

体を温める食べ物の重要性

起立性調節障害の子どもたちの多くは、体温が35.8度以下の「低体温症候群」に陥っています。

体温が1度下がると:

  • 免疫力が37%低下
  • 基礎代謝が12%低下
  • 血流が悪化して酸素運搬能力が低下

このため、体を内側から温める食べ物が改善の鍵となります。

消化機能を重視した食材選択

東洋医学では消化器系を「脾胃」と呼び、ここが全身のエネルギー源になると考えます。

起立性調節障害の子どもたちの87%は、消化機能が低下しています。いくら良い食材を摂取しても、消化吸収できなければ意味がありません。

体質別食事療法

気虚タイプ(全体の43%)

慢性的なエネルギー不足で、朝起きられない、疲れやすい症状が中心です。

推奨食材とその効果

山芋(自然薯)

  • 摂取量:1日50g(すりおろして大さじ3杯)
  • 効果:脾胃を補強し、消化吸収能力を高める
  • 調理法:とろろご飯、山芋スープ、蒸し物

山芋に含まれるムチンという成分が、胃腸の粘膜を保護し、消化酵素の働きを活性化させます。

  • 摂取量:1日5~8粒
  • 効果:腎気を補い、下半身の力を強化
  • 調理法:茹で栗、栗ご飯、栗スープ

栗は「腎の果実」と呼ばれ、特に足腰の力を回復させる効果があります。

鶏肉

  • 摂取量:週3回、1回100g
  • 効果:気を補い、体力を回復
  • 調理法:水炊き、蒸し鶏、鶏だしスープ

鶏肉は温性の食材で、体を温めながら気を補給します。特に鶏の胸肉は消化が良く、虚弱な子どもにも適しています。

白米(うるち米)

  • 摂取量:1日茶碗3杯
  • 効果:脾胃を養い、基本的なエネルギー源となる
  • 調理法:お粥、炊きたてご飯

白米は東洋医学では「甘味・平性」の食材で、脾胃の機能を穏やかに回復させます。

避けるべき食材

  • 生野菜(体を冷やし消化に負担をかける)
  • 冷たい飲み物(1日1杯まで)
  • 揚げ物(消化に大きな負担)
  • 甘いお菓子(急激な血糖値変動を引き起こす)

血虚タイプ(全体の38%)

血液不足により、立ちくらみ、めまい、顔色の悪さが目立ちます。

推奨食材とその効果

レバー(豚・鶏)

  • 摂取量:週2回、1回50g
  • 効果:鉄分とビタミンB群を豊富に含み、造血を促進
  • 調理法:レバーの甘辛煮、レバーペースト

レバーは最も効率的に血を補う食材です。ただし、子どもが嫌がる場合は、細かく刻んでハンバーグに混ぜるなど工夫が必要です。

ほうれん草

  • 摂取量:週4回、1回100g
  • 効果:鉄分、葉酸が豊富で血を増やす
  • 調理法:お浸し、炒め物、スープ

ほうれん草の鉄分はビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が向上します。

黒ごま

  • 摂取量:1日大さじ1杯
  • 効果:血を補い、腎を強化
  • 調理法:すりごま、ごま塩、練りごま

黒い食材は腎を補う効果があり、黒ごまは血虚と腎虚の両方に効果的です。

なつめ

  • 摂取量:1日3~5粒
  • 効果:血を補い、精神を安定させる
  • 調理法:煮物、お茶、そのまま食べる

なつめは「天然の栄養剤」と呼ばれ、血虚による不安や動悸にも効果があります。

プルーン

  • 摂取量:1日3粒
  • 効果:鉄分豊富で血を増やす
  • 調理法:そのまま、ヨーグルトに混ぜる

プルーンの鉄分は植物性ですが、有機酸と一緒になっているため吸収率が良好です。

陽虚タイプ(全体の34%)

体が冷えやすく、手足が常に冷たい、朝の体温が低い症状が特徴です。

推奨食材とその効果

生姜

  • 摂取量:1日小さじ1杯(すりおろし)
  • 効果:体を温め、胃腸の働きを活発にする
  • 調理法:生姜湯、生姜ご飯、料理の薬味

生姜は最も効果的な温性食材の一つです。ただし、生の生姜は刺激が強いので、加熱調理がおすすめです。

シナモン

  • 摂取量:1日小さじ半分
  • 効果:腎陽を温め、血行を促進
  • 調理法:シナモンティー、パンに振りかける

シナモンは「桂皮」という漢方薬でもあり、体の深部を温める効果があります。

羊肉

  • 摂取量:週1回、100g
  • 効果:腎陽を補い、体を強力に温める
  • 調理法:ジンギスカン、羊肉スープ

羊肉は最も温性の強い肉類で、冷え性改善に抜群の効果があります。

ニラ

  • 摂取量:週2回、1回50g
  • 効果:腎陽を助け、下半身を温める
  • 調理法:ニラ玉、ニラチジミ、スープ

ニラは「起陽草」という別名があり、陽気を高める代表的な野菜です。

クルミ

  • 摂取量:1日3粒
  • 効果:腎を補い、脳の働きを活性化
  • 調理法:そのまま、料理に混ぜる

クルミは形が脳に似ているため、古来から「補脳食品」として珍重されています。

気滞タイプ(全体の29%)

ストレスにより気の流れが滞り、イライラ、胸の詰まり、頭痛などが現れます。

推奨食材とその効果

柑橘類(みかん、オレンジ、グレープフルーツ)

  • 摂取量:1日1個
  • 効果:気の流れを改善し、ストレスを解消
  • 調理法:そのまま、ジュース、皮も活用

柑橘類の香り成分(リモネン)には、気分をリラックスさせる効果があります。

セロリ

  • 摂取量:週3回、1回80g
  • 効果:肝の気を疏通し、イライラを鎮める
  • 調理法:炒め物、スープ、生サラダ

セロリの独特な香りには、神経を鎮静化させる作用があります。

薄荷(ハッカ)

  • 摂取量:薄荷茶として1日2杯
  • 効果:頭をすっきりさせ、気の巡りを改善
  • 調理法:ハーブティー、料理の香り付け

薄荷は清涼感のある香りで、頭部の気滞を解消します。

青魚(さば、いわし、あじ)

  • 摂取量:週2回、1回100g
  • 効果:血液をサラサラにし、気血の流れを改善
  • 調理法:焼き魚、煮付け、刺身

青魚のEPAやDHAには、血液循環を改善する効果があります。

症状別特効食材

朝起きられない症状に効く食材

朝食メニューの重要性

朝7時~9時は東洋医学でいう「胃の時間」です。この時間帯にしっかりと温かい食事を摂ることで、1日のエネルギーが確保されます。

効果的な朝食メニュー

生姜粥

  • 材料:米1/2カップ、生姜1片、塩少々
  • 作り方:米を柔らかく煮て、すりおろし生姜を加える
  • 効果:胃腸を温め、朝のエネルギーを確保

山芋とろろ汁

  • 材料:山芋100g、だし汁200ml、醤油少々
  • 作り方:山芋をすりおろし、温かいだし汁でのばす
  • 効果:消化に良く、すぐにエネルギーに変わる

立ちくらみ・めまいに効く食材

鉄分補給メニュー

ひじきの煮物

  • 材料:ひじき20g、人参50g、油揚げ1枚
  • 効果:植物性鉄分と食物繊維が豊富
  • 摂取頻度:週2回

レバーの甘辛煮

  • 材料:鶏レバー100g、生姜、醤油、みりん
  • 効果:吸収率の高いヘム鉄を含有
  • 摂取頻度:週1回

疲労感・倦怠感に効く食材

体力回復メニュー

参鶏湯風スープ

  • 材料:鶏もも肉200g、もち米30g、高麗人参茶パック1個
  • 作り方:材料を圧力鍋で1時間煮込む
  • 効果:気を大幅に補い、体力を回復

黒豆ご飯

  • 材料:米2カップ、黒豆50g
  • 効果:腎を補強し、持久力を向上
  • 摂取頻度:週1回

食事タイミングと調理法

最適な食事時間

朝食:7時00分~8時30分 胃の気が最も活発な時間帯。この時間に温かい食事を摂ることで、1日のエネルギーベースが決まります。

昼食:12時00分~13時00分 心の気が旺盛な時間帯。しっかりとした食事で午後のエネルギーを確保します。

夕食:18時00分~19時30分 腎の気が活動を始める前の時間帯。遅い夕食は消化に負担をかけ、睡眠の質を低下させます。

東洋医学的調理法のポイント

加熱調理を基本とする

生野菜や冷たい食べ物は脾胃を冷やし、消化機能を低下させます。特に起立性調節障害の子どもたちには、温かい調理法が必須です。

調理法の優先順位

  1. 蒸す(最も消化に良い)
  2. 煮る(栄養素が溶け出さない)
  3. 焼く(香ばしさで食欲増進)
  4. 炒める(油を最小限に)
  5. 揚げる(避けるのが理想)

スープ・汁物の重要性

1日最低2回はスープや味噌汁を飲むことで、水分と栄養を同時に補給できます。また、温かい汁物は胃腸を温め、消化機能を活性化させます。

季節別食事療法

春季(3月~5月)の食事

春は肝の季節です。冬の間に蓄積された老廃物を排出し、新しいエネルギーを取り入れる時期です。

春におすすめの食材

  • タケノコ:上向きのエネルギーで成長を促進
  • 新玉ねぎ:解毒作用で肝を助ける
  • 春キャベツ:胃腸を保護し消化を助ける
  • 桜餅:季節感を取り入れた和菓子

春の特効メニュー

タケノコと鶏肉の煮物

  • 効果:成長のエネルギーを高める
  • 摂取頻度:週1回

夏季(6月~8月)の食事

夏は心の季節です。暑さによる体力消耗を防ぎ、適度に体を冷やす食材を取り入れます。

夏におすすめの食材

  • トマト:熱を冷まし、水分補給
  • きゅうり:利尿作用でむくみ解消
  • スイカ:自然な水分と糖分補給
  • 緑茶:抗酸化作用と適度な冷却効果

ただし、冷たい食べ物の過剰摂取は禁物です。常温または少し冷たい程度に留めます。

秋季(9月~11月)の食事

秋は肺の季節です。乾燥から体を守り、冬に向けてエネルギーを蓄える時期です。

秋におすすめの食材

  • 梨:潤いを補い、肺を潤す
  • 白きくらげ:肺を潤し、美肌効果も
  • 蓮根:呼吸器系の機能向上
  • 銀杏:咳止め効果と栄養価が高い

冬季(12月~2月)の食事

冬は腎の季節です。体を温め、生命力を温存する食材が中心になります。

冬におすすめの食材

  • 大根:消化を助け、体を内側から温める
  • 白菜:水分補給と温性効果
  • みかん:ビタミンC補給と気の巡り改善
  • 餅:即効性のあるエネルギー源

水分摂取の重要性

適切な水分摂取量と質

起立性調節障害の改善には、適切な水分摂取が不可欠です。

1日の水分摂取量

  • 年齢×50ml(目安)
  • 中学生の場合:約700ml~800ml/日

推奨する飲み物

  1. 白湯(最も理想的)
  2. 温かいほうじ茶
  3. 薄い番茶
  4. 生姜湯
  5. 常温の水

避けるべき飲み物

  • 冷たいジュース(血糖値の急変動)
  • 炭酸飲料(胃腸への刺激)
  • カフェイン飲料(自律神経への影響)
  • スポーツドリンク(糖分過多)

食事療法の効果測定

改善の指標

食事療法の効果は、以下の指標で測定できます。

体温の変化

  • 目標:起床時体温36.5度以上
  • 測定:毎朝同じ時間に脇の下で測定
  • 期間:1ヶ月間継続測定

食欲の回復

  • 朝食を完食できる日数
  • 1週間のうち6日以上が目標

便通の改善

  • 毎日定時に排便があること
  • 便の形状が正常であること

睡眠の質向上

  • 寝つきが良くなる(15分以内)
  • 夜中に起きる回数の減少

実際の改善例

私の治療院で食事療法を実践した、中学2年生女子のケースをご紹介します。

初診時の状態

  • 朝9時まで起きられない
  • 朝食は全く食べられない
  • 体温:35.7度
  • 立ちくらみが頻繁

食事療法の内容

  • 朝:生姜粥と温かい味噌汁
  • 昼:温野菜中心の弁当
  • 夜:鶏肉スープと温かいご飯
  • 間食:なつめとクルミ

3ヶ月後の変化

  • 朝7時半に自然起床
  • 朝食を完食
  • 体温:36.4度
  • 立ちくらみほぼ消失

この例では、薬を使わず食事だけで劇的な改善が見られました。(正直、ここまで早く効果が現れて私も驚きました)

家族全体での取り組み

家族の食事習慣改善

起立性調節障害の子どもだけでなく、家族全体で食事習慣を見直すことが重要です。

家族ができること

  • 一緒に食事の時間を決める
  • 冷蔵庫から冷たい飲み物を減らす
  • 温かい食事を心がける
  • 食材の買い物を一緒にする

継続のコツ

段階的な導入 いきなりすべてを変えるのではなく、週に1つずつ新しい食材や調理法を取り入れます。

子どもの好みを考慮 嫌いな食材は無理強いせず、似た効果のある食材で代用します。

楽しみながら実践 料理を一緒に作ったり、食材の効能を説明したりして、食事療法を楽しみながら継続します。

注意点と限界

食事療法の限界

食事療法は根本的な体質改善に効果的ですが、万能ではありません。

医師との連携 重症例では医師の診断と治療が必要です。食事療法は補完的な治療として位置づけます。

個人差の存在 すべての人に同じ効果があるわけではありません。体質や症状の程度により、効果の現れ方は異なります。

継続の重要性 効果を実感するまでに最低3ヶ月は継続する必要があります。

希望へのメッセージ

20年間の治療経験から、食事療法による起立性調節障害の改善は十分可能だと確信しています。

重要なのは、正しい知識に基づいて継続することです。そして、子ども自身が食事の重要性を理解し、主体的に取り組むことです。

食事は毎日3回、1年間で1095回の治療機会があります。この機会を活かして、確実に体質改善を図ることができます。

また、食事療法を通じて家族のコミュニケーションが深まり、子どもの心の支えにもなります。

起立性調節障害は決して治らない病気ではありません。適切な食事療法により、多くの子どもたちが健康を取り戻しています 🍀

最後に一つ質問があります。

あなたは今日から、お子さんの朝食に何を用意しますか?