不眠と内臓の冷え、その知られざる関係

眠れない夜が続き、朝起きても体がだるい。もし、あなたがそんな悩みを抱えているのなら、それはもしかしたら「内臓の冷え」が原因かもしれません。


不眠と内臓の冷え、その知られざる関係

私はこの道20年、気功と東洋医学の世界で数多くの患者さんを診てきました。不眠を訴える方は本当にたくさんいらっしゃいますが、その背景には思いもよらない共通点があることが多いんです。それが、今日のテーマである内臓の冷えです。

「え、不眠と内臓が冷えていることに関係があるの?」と首を傾げる方もいるでしょう。無理もありません。一般的にはあまり結びつけて考えられることのない二つの事柄ですからね。しかし、東洋医学の視点から見ると、これは切っても切り離せない密接な関係があるのです。

私たちの体は、常にバランスを保とうとしています。特に、内臓は生命活動を維持するための重要な役割を担っており、その働きは「気」と「血」の流れに大きく左右されます。内臓が冷えるということは、これらの巡りが滞り、本来の機能が低下している状態を指します。

考えてみてください。お腹が冷え切っている時、あなたは心からリラックスしてぐっすり眠れるでしょうか? ほとんどの人が、そうではないと答えるはずです。内臓の冷えは、体を緊張させ、自律神経の乱れを引き起こします。交感神経が優位になり、心身が「戦闘モード」のような状態に陥ってしまうのです。これでは、どんなに布団に入っても、まどろむことすら難しいでしょう。


「冷え」が招く不眠のメカニズム

では、具体的に内臓の冷えがどのように不眠へと繋がるのか、もう少し掘り下げていきましょう。東洋医学には「心身一如」という言葉があります。心と体は一つであり、どちらかの不調はもう一方にも影響を及ぼすという考え方です。

内臓、特に消化器系が冷えると、気の巡りが悪くなります。胃腸の働きが鈍くなり、食べたものがうまく消化吸収されなくなると、体に必要な栄養が行き渡りません。栄養不足は、脳の活動にも影響を与え、睡眠を司る神経伝達物質の生成を妨げる可能性があります。

また、内臓の冷えは「血」の巡りも悪くします。血は、体中に酸素と栄養を運び、老廃物を回収する役割を担っています。血の巡りが滞ると、末端の細胞まで温かい血が行き渡らず、体が冷えやすくなります。特に、手足の冷えは、不眠の大きな原因の一つとして知られていますね。布団に入っても手足が冷たいままだと、なかなか寝付けないという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

さらに、内臓の冷えは、体の防御機能である免疫力の低下にも直結します。免疫力が落ちると、体は外部からの刺激に対して過敏になり、些細なことでもストレスを感じやすくなります。ストレスは不眠の大きな要因の一つであり、悪循環に陥ってしまうのです。

私の臨床経験でも、不眠を訴える患者さんの多くが、問診の段階で「お腹が冷えやすい」「手足がいつも冷たい」といった症状を訴えることが多々あります。これらはまさに、内臓の冷えが背景にあることを示唆しているのです。ある時、長年の不眠に悩まされていた方がいました。その方は特に冷え性という自覚はなかったのですが、お腹を触らせてもらうと、驚くほど冷たい。思わず「これは冷えていますね」と漏らしてしまいました。内臓の冷えを取り除く施術を続けるうちに、少しずつ睡眠の質が改善され、最終的にはぐっすり眠れるようになった時は、私も大変嬉しく思いましたね。


気功と東洋医学が考える「冷え」へのアプローチ

では、この内臓の冷え、そしてそこからくる不眠に、私たちはどのようにアプローチしていくのでしょうか。私が専門とする気功や東洋医学では、体を温めることだけが「冷え対策」だとは考えません。それは対症療法に過ぎず、根本的な解決にはならないからです。

東洋医学では、個々の体質や症状に合わせて、様々なアプローチを組み合わせます。

一つは、食事の見直しです。体を冷やす食べ物や飲み物を控え、体を温める食材を積極的に摂ることが大切です。例えば、生の野菜や果物、冷たい飲み物は体を冷やしやすいと言われています。一方、根菜類や発酵食品、温かい飲み物は体を温める効果が期待できます。

二つ目は、生活習慣の改善です。規則正しい生活リズム、適度な運動、そして質の良い睡眠を確保することが、内臓の機能を高め、冷えを改善するために不可欠です。特に、夜遅くまでの食事やスマートフォンの使用は、自律神経を乱し、不眠を悪化させる原因となります。

そして、私が特に重要だと考えているのが、気の巡りを整えることです。気功は、体内の気の流れを調整し、滞っている部分を解放することで、内臓の働きを活性化させます。気がスムーズに流れるようになると、血の巡りも良くなり、体全体が温まります。これにより、自律神経のバランスが整い、心身がリラックスしやすくなるため、自然と眠りにつきやすくなるのです。

例えば、当院では、お一人お一人の「気」の状態を詳しく診ていきます。気が滞っている場所、不足している場所を見極め、そこに対して適切なアプローチを行うわけです。そうすることで、表面的な冷えだけでなく、内臓の奥深くに潜む冷えまで改善していくことを目指します。


不眠解消への第一歩:自分と向き合うこと

不眠は、単に「眠れない」というだけでなく、日中のパフォーマンス低下、集中力の散漫、イライラなど、様々な悪影響を及ぼします。しかし、諦める必要はありません。内臓の冷えという視点から自分の体を見つめ直すことで、不眠の根本的な原因にアプローチできる可能性は十分にあります。

東洋医学は、病気を「症状」として捉えるのではなく、「その人全体の不調和」として捉えます。不眠もまた、体全体のバランスが崩れているサインなのです。内臓の冷えを取り除くことは、単に眠れるようになるだけでなく、体全体の調子を底上げし、本来の健康な状態へと導くことに繋がります。


まとめと読者への問いかけ

もしあなたが福岡で不眠に悩んでいるなら、一度ご自身の内臓の冷えに目を向けてみてはいかがでしょうか。専門家の視点から、あなたの体の状態を詳しく拝見し、内臓の冷えからくる不眠を改善するための具体的なアプローチをご提案できます。

今日の話を聞いて、あなたはご自身の体の「冷え」について、何か新しい発見がありましたか?