【不眠の本当の原因は“感情”だった】福岡の東洋医学整体が教える心と眠りの深い関係
眠れない夜が続く。布団に入っても、頭の中はぐるぐると考え事ばかり。そんな経験、ありませんか? もしかしたら、それはあなたの心の中に閉じ込められた「感情」が、眠りを妨げているのかもしれません。
不眠と感情の深い関係
私はこの道20年、気功と東洋医学のプロフェッショナルとして、数え切れないほどの患者さんの心と体に向き合ってきました。不眠を訴える方は本当に多いのですが、その原因を探っていくと、単なる体の問題だけでなく、心の奥底に押し込められた感情が大きく関わっているケースが非常に多いことに気づかされます。
「感情が不眠に関係するなんて、そんな馬鹿な」と思う方もいるかもしれませんね。でも、東洋医学では、心と体は切っても切り離せないものと考えます。いわゆる「心身一如」というやつです。感情は、私たちの体の中で「気」の流れに大きな影響を与えます。喜び、怒り、悲しみ、恐れ、驚き…これらの感情は、それぞれ特定の臓腑と関連し、その気の流れを促進したり、滞らせたりするんです。
例えば、怒りの感情は「肝」の気を滞らせ、胸や頭部に気が上りやすくなります。これは、血圧の上昇や頭痛、そしてイライラといった症状となって現れることがあります。夜になっても怒りの感情が収まらないと、脳が興奮状態になり、なかなか寝付けなくなるのは想像に難くないでしょう。
悲しみは「肺」の気を消耗させ、息苦しさや気力の低下を引き起こします。深い悲しみを抱えていると、呼吸が浅くなり、体の力が抜けてしまう。そんな状態で、質の良い睡眠が得られるはずがありません。
このように、特定の感情が心の中に長く留まると、体の気のバランスが崩れ、結果として不眠を引き起こすことがあるのです。私の治療院では、不眠で来院された患者さんに対して、まずは丁寧に問診を行います。その方の生活習慣や体質はもちろんですが、最近感じている感情についても詳しくお聞きします。そうすると、案外多くの方が、過去の出来事や人間関係で抱え込んだ感情を未だに引きずっていることが分かります。ある時、長年不眠に悩んでいた方がいらっしゃいました。問診を進めるうちに、数年前に経験した大きな挫折に対して、ずっと「悔しい」という気持ちを抱え続けていたことが判明したんです。その感情に気づいた瞬間、その方の表情が少し和らいだのを覚えています。
「感情解放ワーク」とは何か
では、どうすればこの心の中に閉じ込められた感情を解放し、不眠を改善できるのでしょうか。ここで私が重要だと考えているのが、「感情解放ワーク」というアプローチです。これは、特定の感情を無理やり忘れ去ろうとするのではなく、その感情を認識し、受け入れ、そして適切に手放すことを目的としたものです。
多くの人は、ネガティブな感情を感じたくないため、無意識のうちにそれを抑え込もうとします。怒りを感じても「怒ってはいけない」と蓋をしたり、悲しくても「泣いてはいけない」と我慢したり。しかし、抑え込まれた感情は消えるわけではありません。それは体のどこかに蓄積され、気の滞りとして現れます。そして、その滞りが長引けば長引くほど、不眠をはじめとする様々な体の不調へと繋がっていくのです。
感情解放ワークは、まさにこの滞った「気」を流し、心の詰まりを取り除くためのものです。手技の話はここではしませんが、東洋医学的な視点と気功の考え方を基に、患者さん自身が内なる感情と向き合い、それを解放していくプロセスをサポートします。
具体的には、まずご自身が抱えている感情に「気づく」ことから始めます。どのような感情が、いつから、どのくらいの強さで存在しているのか。それを言葉にしてみたり、時には絵に描いてみたりすることもあります。次に、その感情を「認める」こと。良い悪いという判断をせずに、ただ「今、自分はこういう感情を抱いているのだ」と受け入れる練習をします。これは意外と難しいものです。なぜなら、私たちは幼い頃から「こうあるべき」という社会的な規範の中で生きてきたからです。
そして最後に、その感情を「手放す」フェーズへと移ります。これは、感情をなかったことにするのではなく、その感情が果たした役割を理解し、もうそれが自分にとって不要であることを認識する作業です。たとえば、過去の失敗に対する後悔の念が不眠の原因になっている場合、その後悔が自分に何を教え、どう成長させてくれたのかを理解することで、その感情をポジティブな経験として昇華させ、手放すことができるようになるのです。
感情解放ワークが不眠に効く理由
感情解放ワークが不眠改善に繋がるメカニズムは、いくつかあります。
第一に、気の滞りを解消することです。抑圧された感情が解放されると、それに伴って滞っていた気の流れがスムーズになります。気が全身を滞りなく巡るようになると、体全体のバランスが整い、自律神経の乱れが改善されます。交感神経の過剰な興奮が鎮まり、副交感神経が優位になることで、自然とリラックスして眠りにつきやすくなるのです。
第二に、精神的なストレスを軽減する効果があります。未処理の感情は、無意識のうちに私たちにストレスを与え続けます。常に心の中に重い荷物を抱えているような状態なので、体が休まる暇がありません。感情解放ワークによってその荷物が軽くなれば、精神的な負担が減り、心が穏やかになります。心が穏やかになれば、寝つきが悪くなる原因の一つである「思考のループ」も減少し、深い眠りへと誘われるでしょう。
第三に、自己肯定感を高める効果も期待できます。自分の感情と向き合い、それを乗り越える経験は、自己理解を深め、自信へと繋がります。自己肯定感が高まると、些細なことに動揺しにくくなり、ストレス耐性も向上します。これにより、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」や、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」といった症状も改善されることがあります。
私の治療院で感情解放ワークに取り組んだ患者さんの中には、長年服用していた睡眠薬の量を減らせた方や、最終的には薬なしでも眠れるようになった方がたくさんいらっしゃいます。もちろん、すぐに効果が出るわけではありません。感情の解放は、まるで長年閉ざされていた重い扉を開けるようなものですから、時間がかかることもあります。しかし、その扉の向こうには、穏やかな眠りと、より豊かな人生が待っていると信じています。
感情と向き合うための実践的なヒント
では、日常生活の中で感情と向き合い、不眠を改善するために、具体的にどのようなことができるでしょうか。ここでは、ご自宅で実践できるヒントをいくつかご紹介します。
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ジャーナリング(書き出す): 夜、寝る前にその日に感じたこと、特にネガティブな感情(怒り、不安、悲しみなど)をノートに書き出してみましょう。誰かに見せるためではないので、思ったことをそのまま、自由に書いてください。これは、感情を客観視し、頭の中でぐるぐるしている思考を外に出す良い方法です。毎日続けることで、自分の感情のパターンに気づけるようになります。
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感情に名前をつける: 「モヤモヤする」といった抽象的な表現ではなく、「これは悔しい気持ちだ」「これは寂しさだ」というように、具体的な感情の名前をつけてみましょう。感情に名前をつけることで、それを認識しやすくなり、手放す準備ができます。
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呼吸に意識を向ける: 感情が揺れ動いている時、呼吸は浅く速くなりがちです。意識的に深く、ゆっくりとした呼吸を繰り返すことで、自律神経のバランスを整え、心を落ち着かせることができます。特に、吸うよりも長く息を吐くことを意識すると、リラックス効果が高まります。
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自然と触れ合う: 公園を散歩したり、ベランダで植物に水をやったり、自然の中に身を置く時間は、心を癒し、感情の浄化を促します。自然の大きな流れの中に身を置くことで、自分の感情もまた、移ろいゆくものとして捉えられるようになるかもしれません。
これらのヒントは、あくまで始まりに過ぎません。本格的な感情解放ワークは、専門家のサポートのもとで行うのが最も効果的です。特に、過去のトラウマや深い感情を抱えている場合は、無理せず専門家にご相談ください。
感情解放は、新たな自分と出会う旅
不眠はつらいものです。しかし、それを単なる「症状」として捉えるだけでなく、自分の心と体が発しているサインとして受け止めることができれば、それは自己成長のチャンスにもなり得ます。感情解放ワークは、不眠を改善するだけでなく、より自分らしく、充実した人生を送るための強力なツールとなり得るのです。
私自身も、治療家として常に患者さんの心と体に向き合う中で、多くの感情に触れてきました。その中で、感情の解放がいかに大切かを痛感しています。福岡で不眠に悩むあなたも、もしかしたら心の中に抑え込んだ感情が、眠りを妨げているのかもしれません。
今日の話を聞いて、あなたはご自身の感情と、もっと深く向き合ってみようと思いましたか?