福岡市早良区 遊走腎

ずっと下の方に腎臓が動いてしまう遊走腎

腎臓というのは常に本来あるべきところにしっかりとあるということではなくて、立ち上がる時には数cm反動で動いたり、呼吸に応じて多少上下に動いたりするものです。
ただ一般的に、腎臓が一時的に動いたとしてもすぐに元のところに戻るのですが、自然な動きの範囲をオーバーして、ずっと下の方に腎臓が動いてしまう状態を遊走腎または腎下垂と言います。
極端な時には骨盤の中にまで腎臓が動いて下がることもありますし、右の腎臓のみによく発症する傾向が見られるのですが、ほとんどの場合は腎臓機能を悪くすることはないのです。
しかし腎臓が通常以上に下がることにより、膀胱と腎臓を結んでいる尿管が曲がって尿の流れが悪くなると、腰痛やわき腹痛が起きる場合もあります。
また腎臓に繋がる血管の動脈や静脈などが曲がると、むかつき・食欲不振・嘔吐などといった消化器症状や、タンパク尿・血尿・高血圧が起きる場合もあるのです。

腎臓は脂肪により周囲がサポートされているのですが、発育が良くなくて脂肪量が少なくなったり、背筋・腹筋が弱くなったりすることがあります。
そうすると腎臓をサポートする力が弱くなって、それが要因となり引き起こしてしまうので、痩せた女性に多く現れるのです。
また同様の理由から発生すると同時に腸下垂や胃下垂が現れることも多くありますし、先に触れたような症状がおきやすくなります。
その為、脂肪を付けることが遊走腎を予防する方法として大切で、腎臓の周囲にある脂肪を多くするために体重を増やすことが必要になるのです。
バランスの良い食事を摂取することによって、腎臓の周りにある脂肪も多くなるので、過剰なダイエットをすることなく普段の食事にも注意することで予防することができます。
実は、バランスの良い食事を摂取していればそれほど太ることはなくて、偏った食事をすると痩せたり太ったりするものなので、可能な限りバランスの良い食事になるようにすることです。
また長い時間立ったままの状態では酷い症状になるので、できる限り立ったままの姿勢を短い時間にすることも予防法のひとつになります。
どうしても仕事などで立ったままの姿勢が長くなる場合には、できる限りこまめに座るようにして、症状が悪くならないように心がけることが大事です。
それから理学療法や保存療法などを試してみた場合には、再発しないように医師と相談しながら行うと良いでしょう。

遊走腎の治療は食事療法と運動療法がメインになりますが、酷い症状の場合には手術も検討されるのです。
1970年より前は、単独で発症した時に手術をして腎臓を固定していたのですが、必ず症状が改善する保証がなくて、再発も多くあったことから現在では手術は非常に稀なケースになっています。
保存療法として行われる食事療法や薬物治療としては、自然治癒力をできる限り利用して、不均衡な身体の箇所を補って治療するのです。
また痩せている場合には、腎臓の周りの脂肪を増やして腎臓を補強したり支えたりするようにします。
それから運動療法としては、背筋や腹筋を強くし脂肪組織として腎臓の周囲にあるものを強くしていくのです