福岡市早良区 潰瘍性大腸炎を発症

潰瘍性大腸炎になると様々な合併症があらわれることがある

炎症性腸疾患は細菌や薬剤などといった原因が明確になっている特異的炎症性腸疾患と、原因がはっきり分からない非特異的炎症性腸疾患があります。
潰瘍性大腸炎とは炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜に炎症が起こって、びらんや潰瘍が発生する原因不明の病気です。
その為、口から肛門までの消化器に慢性の炎症が起こるクローン病と一緒に非特異的炎症性腸疾患に分類されています。
それから、厚生労働省の調査によると1980年に約4,500人だった国内の患者数が、2000年には約67,000人になり、2014年には約17万人以上になっているのです。
このように、発症する患者数は年々増加傾向にあって、特に現在は急速に増えつづけています。
発症のピークは男性では20~24歳で、女性は25~29歳といわれていて男性女性共に20代がピークです。
ただし0~5歳の乳幼児から80歳以上の高齢者まで、どの年代でも発症をしていますし、患者の男女比は1:1ですから性別による差はありません。

潰瘍性大腸炎を発症すると大腸の粘膜に次々と炎症が起こって、ただれたり潰瘍が発生したりします。
通常病変については筋層に至ることは少なくて、粘膜層から粘膜下層までの表層に限られますし、直腸から大腸へと連続的に認められるのです。
それから主な自覚症状としては便の異常で、発症早期には血便以外の症状がほとんどありませんが、痔による出血と誤りやすいので注意が必要となります。
また炎症が大腸の広範囲に広がると血便以外に、下痢・軟便・血便・腹痛などといった症状が、持続的かつ反復的にみられるようになるのです。
酷い下痢の場合には、1日に20回以上もトイレにかけ込むこともあるほどで、さらに症状が悪化すると体重減少や発熱などの全身症状が引き起こされることもあります。

潰瘍性大腸炎になると様々な合併症があらわれることがあって、腸管に起こる腸管合併症と腸管以外の臓器に起こる腸管外合併症があるのです。
腸管合併症には腸管からの大量出血があって、粘膜が深くえぐられてむき出しになった血管や、酷い潰瘍が治った後にできる大きな塊から発生することがあります。
こうした大量出血に伴うショック症状や貧血がみられることもあって、内科的治療で困難な時には内視鏡や外科的治療が必要です。
腸管運動の低下で腸内にガスや毒素が溜まり横行結腸の横径が6cm以上に膨らんで巨大化して、全身に中毒症状が現れる中毒性巨大結腸症というのも合併症として現れます。
また炎症が長期間続いたり寛解や再燃を繰り返したりするうちに、腸管の狭窄や閉塞が起こることもありますし、炎症性のポリープが巨大化して閉塞することもあるのです。
稀に穿通性の潰瘍ができて穿孔をきたすこともあって、この穿孔が認められたら緊急手術が必要になります。
それから長い期間が経過して炎症が続くことにより、腸の癌化の危険性が高くなって大腸癌になることもあるのです。
そして腸管外にも様々な全身的合併症を併発することもあるので注意が必要になります。