福岡市早良区 子宮内膜症のリスク

現代女性は子宮内膜症のリスクが高い?

本来は子宮の内側にしか存在しない子宮内膜が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所で増殖・剥離を繰り返す病気が子宮内膜症です。
正常な場合は、子宮の内側から剥離した子宮内膜は月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮以外で増殖した子宮内膜については腹腔内に留まって炎症や痛み・癒着の原因になります。
発生しやすい場所は、腹膜・卵巣・子宮と直腸の間のくぼみのダグラス窩で、極稀に肺など遠く離れた臓器にできる場合もあります。
ただ、ほとんどが骨盤内にできるケースで、卵巣に発生したものを卵巣チョコレート嚢胞とよびます。

国際的に用いられている腹腔鏡検査に基づくr-ASRM分類では、進行期については病巣の大きさや癒着の程度などで4つの段階に分類されています。
ただ、進行期と自覚症状にあまり相関関係がないのが特徴のひとつで、それほど重症ではないのに痛みが酷い場合もあれば、かなり進行している理に痛みを感じないこともあって症状には大きな個人差があります。
子宮内膜症自体は良性の病気ですから命にかかわることはありませんが、稀に卵巣チョコレート嚢胞では悪性化が見られたという報告もあります。
また卵巣がんの発生率は0.7%程度ですが卵巣チョコレート嚢胞があることがわかった場合には、必ず定期的に検査を受けるように心がけることが大事です。
しかし、ほとんどは症状のコントロールをしながら閉経までの間気長につきあっていく病気と言えます。

なぜ発生するのかその原因については、今のところはっきりしていませんが、卵管からお腹の中に月経血が逆流して、そのまま留まるという子宮内膜移植説が有力視されています。
それ以外にも、何らかのきっかけで腹膜が子宮内膜に変化して発症するという体腔上皮化生説もあります。
また、子宮内膜症を発症する人が増えている原因が、女性のライフスタイルの変化による月経回数の増加が影響しているという考えもあるのです。
今は初経年齢は早くなっているのに閉経年齢に変わりがないために、月経のある期間はどんどん伸びていますし、晩婚・晩産化が進み生涯子どもをもたない選択をする女性も増えてきました。
このようなことから妊娠による月経の中断がされることなく繰り返されて、女性が一生で経験する月経の回数は、戦前の女性と比較して約10倍も多くなっているのです。
月経が繰り返されるたびに進行する病気と考えられているので、戦前の女性と比べて現代女性は月経回数が増えたことで、発症するリスクは高くなっているということが言えます。
こうしたリスクがあることを知った上で、現代女性は健康管理をきちんとしていくことが大切になるのです。

治療方法としては手術療法と薬物療法があって、具体的には腹腔鏡手術や開腹手術といった手術療法があります。
薬物療法には鎮痛剤が用いられる対症療法と、GnRHアナログ療法・ダナゾール療法・偽妊娠療法・黄体ホルモン療法などの内分泌療法の2つがあります。
どのような治療法を選ぶかは、本人がどのようなライフスタイルを希望するのかで異なるので、医師とよく相談をして決めていくことになります。