福岡市早良区 甲状腺機能亢進症・低下症

甲状腺機能亢進症・低下症は甲状腺の病気で最も多い

甲状腺の病気を発症する方は意外に多くて、男性では50~100人に1人、女性なら30~60人に1人の割合といわれています。
また甲状腺の病気で最も多くみられるのが甲状腺機能亢進症・低下症です。

甲状腺機能亢進症はバセドウ病とも呼ばれていて、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて働きが強く出てしまう自己免疫疾患のひとつです。
甲状腺が腫れる・頻脈・手の指が震える・汗をかきやすくなる・痩せる・イライラする・疲れやすい・ときどき手足の力が入らなくなるなどが主な症状としてみられます。
最も多く見られる症状は甲状腺が腫れて大きくなることですが、腫れの程度と病気の強さは必ずしも一致するわけではないのです。
また眼球が突き出たようになる眼球突出も有名な症状ですが、実はそれほど多く見られる症状ではありませんし、若い人は症状が出やすくて中年を過ぎると出にくくなるといった特徴もあります。
それから症状を放置していると、頻脈が続くことで心房細動などの不整脈が起こりやすくなって、酷くなると心不全となって寿命が縮むといわれていますし、骨粗鬆症なども起こりやすくなるのです。

甲状腺機能亢進症の治療法としては、甲状腺の働きを抑える薬を飲む内服療法があって、ホルモンバランスを見ながら少しずつ薬を減らしていきます。
ただ、時にじんましんなどのアレルギーが起こったり、白血球が減ってしまったりする副作用がありますし、肝機能障害・関節炎・血管炎などが起こることもあるのです。
大きく腫れた甲状腺を手術により切って小さくする外科療法による治療法もあります。
放射性ヨードをカプセルに入れて内服する放射性ヨード内服療法というのもあって、大きくなりすぎた甲状腺を放射線で焼いて機能を抑えるのです。

甲状腺ホルモンバランスが崩れるもうひとつ病気が甲状腺機能低下症で、ホルモンが不足することで新陳代謝が衰えます。
またコレステロールが高くなることが多いため、血液検査でコレステロール値が高い方は、甲状腺ホルモンの検査も受けておくことがおすすめです。
主な症状は、元気がなくなる・寒がりになる・むくみが起きやすくなる・便秘になる・白髪が増える・髪がぬける・声がしわがれてくる・疲れやすいなどが見られます。
また症状を放置しているとむくみが酷くなって心臓の周辺にまで水が溜まることがあり心機能が低下しますし、コレステロールが増えて動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなるのです。
甲状腺機能低下症の主な治療法は、不足している甲状腺のホルモン剤を飲んで補充をします。

こうした甲状腺機能亢進症・低下症は、若い女性にも比較的多く見られて妊娠しにくくなることもあるので、医師と相談して計画妊娠するようにすることも考える必要があります。
また、妊娠中には必要な甲状腺ホルモンの量が3~5割増しになって、妊娠中に甲状腺ホルモンが少なすぎると胎児の神経発達が悪くなるといわれているので注意が必要です。
それから出産後は甲状腺機能亢進症・低下症になる率が高くなるので、産後の肥立ちが悪いなど体調が悪い場合には甲状腺ホルモンの検査も受けることをおすすめします。