認知症が心配になったとき東洋医学からできること|「腎精」と「髄の海」が教える記憶と体の衰えのつながり

結論から言うと、東洋医学では認知症を「腎精(じんせい)の消耗から始まる、脳の栄養不足」と見ます。整体は認知症を医療的に改善させることはできませんが、腎精を養い、脳に血と栄養が届きやすい体の土台を整えるサポートができます。この記事は、物忘れが増えてきた方、MCI(軽度認知障害)の段階で体のケアを考えている方、ご家族の状態が気になっている方に向けて書いています。

2024年のLancet委員会の報告では、認知症リスクの45%が生活習慣の改善によって軽減できるとされています。遺伝や年齢だけが原因ではなく、日常の積み重ねが大きく関係しているということです。東洋医学が2000年以上前から伝えてきた「腎の精を養う養生」は、この方向性と一致しています。

このことを25,000人を施術してきた現場の経験から、腎精・痰湿・心血という3つの体質パターンと、それぞれに合ったセルフケアの形でお伝えします。

福岡市の整体院では、認知症×東洋医学の切り口で体質から整えるアプローチを行っている院はまだ少ない状況です。早い段階でこの視点を持っておくことが、将来の備えになります。

なぜ認知症は長引くのですか

認知症が長引く、あるいは徐々に進んでしまう理由の一つは、症状が出始めた時点ですでに体の深い部分が消耗しているからです。物忘れが気になりはじめた段階では、多くの場合、脳に届く「栄養と血の量」がかなり長い時間をかけて落ちてきています。

東洋医学では、脳を「髄の海(ずいのうみ)」と呼びます。脳は、体の奥深くに蓄えられた「髄(ずい)」で満たされているという考え方です。その髄を作り出すのが、腎(じん)という臓の働きです。腎が弱ると、髄の量が減り、脳という器が徐々に空いてくる。東洋医学が「腎精虚(じんせいきょ)」と呼ぶ状態が、認知機能の衰えの背景にあることが多いと見ています。

さらに、痰湿(たんしつ)と呼ばれる「体に溜まった余分な湿気」が脳の働きを曇らせるケースも多くあります。過食、運動不足、ストレスによる消化力の低下が続くと、体に不要な水分と老廃物が蓄積し、頭の働きをにぶらせます。

西洋医学では、認知症の主な原因としてアミロイドβとタウタンパクの蓄積(アルツハイマー型)、脳血管障害(血管性認知症)などが知られています。2023〜2024年には抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブなど)が登場し、早期段階での進行抑制に使われ始めました。ただし、「すでに変化した脳を元に戻す」段階の薬はまだなく、早期発見・早期対応が重要であることは変わりません。

現場で多く感じるのは、「物忘れが始まる数年前から、体全体が消耗しはじめているサインが出ていた」というパターンです。慢性的な睡眠の浅さ、腸の不調、頸部と後頭部の慢性的な緊張。こういった積み重ねが、脳への血と栄養の供給を少しずつ落としていきます。

整体がサポートできるのは、「まだ変化が始まる前の段階、あるいは初期段階での体の土台づくり」です。脳に血が届きやすい体、慢性的な緊張が抜けやすい体、腸と自律神経が連動して働きやすい体を整えていくことが、私たちが担える役割です。

認知症とはどのような状態ですか

認知症とは、記憶・判断力・言語・空間認識などの認知機能が、日常生活に支障をきたすほど低下した状態です。単なる「年相応の物忘れ」とは異なり、「昨日食事をしたかどうか自体を忘れる」「自分がいる場所がわからなくなる」「道に迷って家に帰れなくなる」といった、生活の基盤を揺るがす変化が特徴です。

MCI(軽度認知障害)とは、認知症の一歩手前の状態です。2022年時点の日本では、65歳以上の約15.5%、約559万人がMCIと推定されています。MCIの方の一部は数年以内に認知症へ進みますが、適切な生活習慣の改善によって、通常の認知機能に戻るケースもあります。85〜89歳では4人に1人以上がMCIという統計もあり、高齢化とともに数は増え続けています。

東洋医学の「認知症」にあたる概念として、古典では「健忘(けんぼう)」「癡呆(ちほう)」という語が使われてきました。腎が弱り、脳の髄が不足すると「健忘」になりやすい。また、痰浊(たんだく)が心包(しんぽう)を覆うと思考が曇る、という記述が古典に残っています。この視点から見ると、認知症は「脳だけの問題」ではなく、「全身の体質の問題が脳に現れたもの」と見ることができます。

認知症に整体はどこまでできますか

整体は、認知症の診断・薬物療法・進行の直接的な阻止を行うことはできません。認知症の診断・薬物療法は必ず医療機関で行ってください。

整体ができることは次の範囲です。

慢性的な体の緊張を緩め、頭部・頸部への血流が届きやすい状態をサポートすること。首と後頭部の緊張が緩むだけで、頭部への血液の巡りが改善しやすくなります。

自律神経の過緊張を和らげ、睡眠の質が上がりやすい体の土台を整えること。深い眠りは「後天の腎精(日々の食事と休息から補充される生命力)」を最も効率よく補充できる時間です。

腸の働きを整え、脳腸相関(脳と腸が互いに影響し合う関係)を通じて神経系のはたらきをサポートすること。腸内環境と脳の神経炎症が双方向に関係していることは、最新の研究でも報告されています。

セルフケアの方法(食事・ツボ・生活習慣)を伝え、日常での体の養い方を具体的にお伝えすること。ご家族へのアドバイス(関わり方・環境整備)を行うこと。

25,000人を施術してきた経験の中で感じてきたことがあります。認知症と診断される前の段階から「頸部と後頭部の緊張がずっと抜けていない」「腸の冷えが慢性的に続いている」「睡眠の質が長年にわたって落ちている」という方が少なくありません。こういった状態を早めに整えることが、将来への備えになると考えています。

福岡市で整体を探すとき、何を見て選べばいいですか

認知症を心配している状態で整体を探すとき、いくつかの視点があります。

まず確認したいのは、「症状別の見立てをきちんと説明してくれるかどうか」です。「頭が良くなる施術です」「認知症に効きます」という言い方は、整体の範囲を超えた表現です。慎重に距離を置いてください。整体ができることとできないことを明確に伝えている院が、信頼できる院です。

次に、「東洋医学の体質診断を行っているかどうか」です。認知症の背景には、腎精の消耗・痰湿の蓄積・血の滞りなど、体質によって異なる状態があります。単に「首や肩をほぐす」だけでなく、体質から整えるアプローチができる院を選ぶことが大切です。

また、「医療機関との連携スタンスが明確かどうか」も大事です。認知症の診断・進行の確認は、必ず専門の医療機関で行う必要があります。整体と医療が互いに役割を補い合える関係を理解している院が安心です。

「カウンセリングを行っているかどうか」も見ておいてください。認知症に関わるケアには、体の施術だけでなく、ご本人やご家族の不安・生活状況を丁寧に聞くことが必要です。「まず話を聞く」姿勢がある院を選んでください。

福岡市早良区の常若整骨院では、カウンセリング・整体・セルフケアの三つをセットで行い、ご本人だけでなくご家族にも関わり方のアドバイスをお伝えしています。

常若整骨院では認知症をどう見ていますか

当院では、認知症を「腎精の消耗と、脳への血と栄養の不足が積み重なった状態」として見ています。症状別の見立てより先に、その方の「体質と生活の全体像」を見ることを大切にしています。

まず丁寧にお話を聞きます。いつ頃から物忘れが気になりはじめたか。睡眠の質はどうか。腸の状態はどうか。毎日の食事と運動の習慣はどうか。ご家族との関係・生活環境はどうか。東洋医学では、体の内側の状態を「聞く・見る・触る」の三つで読み取っていきます。

施術では、首・後頭部・腰部(腎経のエリア)の緊張を緩めることを中心に行います。頸部の慢性緊張が緩むと、頭部への血流が届きやすくなります。また、腸の冷えを整えることで、脳腸相関を通じて自律神経系にも変化が起きやすくなります。

セルフケアでは、腎精を養う食材(黒胡麻・黒豆・くるみ・山芋)の取り入れ方、睡眠の質を上げる習慣、ツボのセルフケアをお伝えしています。「何もできることがない」ではなく、「今日から始められることがある」というところまで持っていくことが、当院の役割だと考えています。

ご家族からの相談も受けています。認知症が心配な方の「本人への伝え方がわからない」「介護で自分が消耗している」という状態も、一緒に考えます。介護するご家族が消耗しないことが、ご本人の回復環境を守ることにつながるためです。

東洋医学では認知症をどう考えるのですか

東洋医学では、認知症を大きく3つの体質タイプで読みます。それぞれの体質に合った整え方が異なります。

腎精虚型(じんせいきょがた)

最も多いタイプです。長年にわたる疲労の蓄積・慢性的な睡眠不足・過度のストレスによって、腎に蓄えられた精が消耗した状態です。

腎精虚の見分け方として、次のサインが参考になります。腰やひざの力が以前より落ちた。耳鳴りがある。夜中に目が覚めてトイレに行くことが増えた。髪が薄くなってきた。疲労の回復に時間がかかるようになった。こういった「腎の弱り」のサインと、物忘れが同じ時期に進んでいる場合は、腎精虚型と見ます。

腎精は「先天の精(生まれつき持っている生命力)」と「後天の精(毎日の食事と休息から作られるもの)」で構成されます。先天の精は使えば減るだけですが、後天の精は日常の積み重ねで養うことができます。つまり、「腎精の消耗を最小限にし、後天の精をしっかり補給する」生活が、腎精虚型への対応の軸になります。

腎精を養うものとして、東洋医学では「黒い食材」が重視されます。黒胡麻・黒豆・くるみ・海苔・ひじき・山芋。これらを日常に少しずつ取り入れる習慣が、腎の補充につながります。

ツボ:太渓(たいけい=内くるぶしの後ろ、アキレス腱との間のくぼみ)、百会(ひゃくえ=頭頂部、両耳を上に向かって延ばした線が交わる中点)、足三里(あしさんり=ひざの外側のくぼみから指4本ぶん下)

痰湿蒙蔽型(たんしつもうへいがた)

体に余分な「湿」と老廃物が蓄積し、脳の働きを曇らせている状態です。頭が重くぼんやりする、思考がすっきりしない、体が重だるい、食欲にむらがある、便が緩い傾向がある。こういったサインが重なる方に多いタイプです。

脾(ひ=消化・吸収・変換を担う臓)の働きが落ちると、飲食物をきれいに変換できずに「痰湿」が生まれます。この痰湿が心包(しんぽう)を覆い、思考と記憶の働きを鈍らせると見ます。過食・運動不足・慢性的なストレスによる消化力の低下が主な原因です。

小麦・砂糖・乳製品・冷たい飲み物は痰湿を増やしやすい食材とされています。腸の調子を整えることが、このタイプにとっての最重要課題です。

ツボ:足三里(あしさんり)、豊隆(ほうりゅう=ひざと足首の中点、すねの外側のふくらみ)、陰陵泉(いんりょうせん=ひざの内側、すねの骨が曲がりはじめる手前のくぼみ)

心血虚型(しんけつきょがた)

長期にわたるストレス・不安・悲しみによって、心(しん)に蓄えられた血が不足した状態です。物忘れとともに、眠りが浅い、夢を多く見る、動悸がする、顔色が青白い、些細なことで不安になりやすい。こういったサインが特徴です。

心は「神(しん)」を宿す臓です。神は思考・意識・感情の根底にあるもので、「心血が足りると神が養われ、思考と記憶が安定する」と見ます。長年にわたる気の遣いすぎ、感情を一人で抱え込んできた方、介護や育児で休めない時期が続いた方に多いタイプです。

ツボ:神門(しんもん=手首の内側、小指側の腱のすぐ外のくぼみ)、三陰交(さんいんこう=内くるぶしの頂点から指4本ぶん上、すねの骨の後ろぎわ)、内関(ないかん=手首の内側から指3本ぶん上、2本の腱の間)

3つのタイプに共通して見られること

体質タイプが異なっていても、当院で共通して見られるサインがあります。首の後ろが板のように硬い、後頭部がいつも重たい感じがする、耳が詰まったように感じる、顔に比べて手足が冷えている。これらは「頭部に血と気が届きにくくなっている」体のサインと見ています。

問診で必ず確認することがあります。「いつ頃から物忘れが気になりはじめましたか」「その頃に生活で変わったことはありましたか」「睡眠の質は今と昔で変わりましたか」「腸の調子はどうですか」。体質の判断は、問診の積み重ねから始まります。

自律神経の不調と認知機能の衰えが重なっているケースでは、「脳・腸・腎」の三方向から整えていくことが大切です。当院では、首と腰の施術・腸の状態の確認・セルフケアの指導をセットにして行っています。

自律神経と認知症はどう関係しているのですか

自律神経とは、体のアクセルとブレーキのような役割を果たす神経系です。交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)のバランスが崩れ、慢性的に緊張状態が続くと、頭部への血流量が変動しやすくなります。

脳は血流に非常に敏感です。自律神経の慢性的な過緊張は、三つの経路で認知機能の衰えに関係します。

一つ目は、頭部への血流の低下です。首と後頭部の筋肉が慢性的に緊張していると、頭蓋内への血流量が減りやすくなります。これが長期間続くと、脳への栄養供給が落ちていきます。

二つ目は、睡眠の質の低下です。自律神経が過緊張のままだと、副交感神経への切り替えがうまくいかず、眠りが浅くなります。深い睡眠中に脳では「グリンパティックシステム」という老廃物洗浄機能が働くことがわかっており、浅眠が続くとアミロイドβを含む老廃物が蓄積しやすくなると報告されています。

三つ目は、腸内環境の乱れです。自律神経と腸は深く連動しており、ストレスが続くと腸の蠕動運動が乱れ、腸内細菌のバランスが崩れます。「腸脳相関」と呼ばれる双方向の影響関係があり、腸内環境の悪化が脳の神経炎症を引き起こしやすくなることも近年の研究で示されています。

東洋医学の言葉で言うと、自律神経の過緊張は「肝気鬱滞(かんきうったい)」と深く関係しています。肝の気が詰まると全身の血と気の流れが滞り、それが腎精の消耗を加速させます。「毎日ストレスを感じているのに、それを出す場所も時間もない」という生活が長く続くと、肝と腎の両方が消耗していきます。

現場の所見として、認知症が心配と来院された方の多くに、首後部の慢性的な硬さと腰部の冷えが共存しています。「長年、体が緊張を抜けない状態が続いていた」ことが、体の表面に読み取れます。

認知症で来られる方に多いのはどんなケースですか

一つ目は、「親の物忘れが心配」というご家族からの相談です。ご本人が自覚していないか、気づいていても「病院に行くほどではない」と感じているケースが多いです。ご家族が来院され、本人への関わり方・環境の整え方・自宅でできるセルフケアを一緒に考えるケースも増えています。「責めてしまう自分が辛い」「うまく接する方法がわからない」という家族の悩みも、ここで一緒に整理します。

二つ目は、「自分は大丈夫か」と心配になって来院される方です。50〜60代で、仕事の集中力の低下・会議での言葉の出づらさ・固有名詞が出てこない感覚が続いている。MCI(軽度認知障害)の段階かどうかは医療機関での検査が必要ですが、「体の土台を早めに整えたい」という意図でお越しになる方が増えています。仕事を持つ現役世代が、「認知症の予防」という視点で体の管理を始める傾向が広がっています。

三つ目は、「病院では異常なしと言われたが、頭の霞みや物忘れが改善しない」という方です。検査の数値には出ていない、でも実感としての「頭の重さ・思考のにぶさ」が続いている状態です。このような場合、自律神経の慢性的な過緊張と、腸・睡眠の乱れが組み合わさっているケースが多くあります。「検査で異常なし」は「体に問題がない」ではありません。問題が数値に出る前の段階でも、体の内側では何かが起きています。

実際に認知症が楽になった方はどんな経過でしたか

当院の口コミに、認知症そのものの改善を示す記録は残っていません。ただ、「物忘れや頭の霞みが気になって来院し、体全体が整うにつれて思考の明快さが戻ってきた」という経過を歩まれた方はいます。個人差が大きく、回復を保証するものではありませんが、体質別に経過の傾向をお伝えします。

一人目は、60代の女性です。「最近、友人の名前が出てこないことが増えた。眠りも浅くて疲れが取れない」と来院されました。腰部の冷えと頸部の強い緊張があり、腎精虚型と判断しました。腰部の温めと頸部の緊張をゆるめることを中心に施術を行いながら、黒胡麻・くるみを食事に取り入れること、就寝前の太渓マッサージをお伝えしました。3か月後、「頭がすっきりする時間が増えてきた」「朝、すっと起き上がれるようになった」と報告をいただきました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

二人目は、70代男性のご家族(50代の娘さん)のケースです。父親の物忘れが進んでいることを心配して来院されました。本人は「大丈夫」と言っているが、財布の置き場所を毎回忘れる・同じことを繰り返し話す状態だとのことでした。お父様への関わり方(責めずに一緒にいる・日課を一つ決める)と、自宅での環境整備(物を置く場所を決める・照明を少し明るくする・毎日の短い散歩を取り入れる)をお伝えしました。医療機関での診断を勧め、かかりつけ医への相談につながりました。家族のケアと医療連携を同時に進めるサポートができました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

三人目は、55代の男性です。「仕事中に言葉が出てこないことが増えた。認知症ではないかと心配」と来院されました。頸部と後頭部の慢性緊張、睡眠の質の低下、腸の張り感が続いていました。痰湿蒙蔽型と腎精虚型の混合パターンと見て、首の緊張をゆるめ、腸の働きを整える施術を行いました。食事の見直し(小麦・砂糖を控える、発酵食品を取り入れる)も合わせてお伝えしました。2か月後に「頭の霞みが減った」「会議での言葉の出が楽になった気がする」と報告をいただきました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

認知症は自宅でどうケアすればいいですか

腎精を養うケアと、頭への血流を整えるケアを中心にお伝えします。全部やろうとしなくていいです。どれか一つから始めてください。できない日があって当然です。それを「失敗」にしないことが、長続きさせる最大のコツです。

腎精を養う食材として、黒胡麻・黒豆・くるみ・山芋・海苔・ひじきが挙げられます。「黒い食材」が腎に良いとされています。毎日少量でいいので取り入れることを目安にしてください。くるみは一日5〜10粒、黒胡麻は料理に振りかける程度からで十分です。

睡眠の質を整えることが、後天の精の補給になります。夜10時から深夜2時の間に深く眠れているかが鍵です。就寝前にスマートフォンを遠ざけ、部屋を暗くする習慣から始めてください。眠る前に太渓(内くるぶしの後ろ・アキレス腱との間)をやさしく押す習慣も合わせておすすめです。1日1回、お風呂上がりに両側を「気持ちいい程度」で押すだけで構いません。

散歩を日課にすることも、脳への血流と腸の動きを同時にサポートします。30分が難しければ10分でも構いません。歩きながら深く呼吸するだけで、副交感神経が働きやすくなります。毎日同じ時間に歩く習慣が、体内時計を整え、睡眠の質にもつながります。

首を温めることも有効です。首後部の慢性緊張を緩めることで、頭部への血流が届きやすくなります。蒸しタオル・温熱シートを首後部にあてる習慣、入浴時にシャワーを首後部にあてる習慣を取り入れてください。

腸を冷やさないことが基本です。冷たい飲み物・甘いもの・小麦の過剰摂取は腸の冷えと痰湿の原因になります。お腹まわりを温める習慣(腹巻き・温かい飲み物)を取り入れてください。

人との交流を保つことも、脳の活性を維持するうえで大切です。認知症のリスク因子に「社会的孤立」が含まれていることは、2024年の国際的な報告でも確認されています。一人でいる時間が長くなっている場合は、少し意識して人と話す機会を作ってください。整体に通うことも、そういった機会の一つになります。

「全部やらなければ」と考えると体が緊張し、かえって腎精を消耗します。できない日は「今日はここまで」で十分です。明日また続けることが、長く積み重ねるための本当の養生です。

病院と整体、どちらに行くべきか迷ったらどうすればいいですか

次のどれかに当てはまる場合は、まず医療機関を受診してください。整体はその後の検討です。

急に物忘れが進んだ(数日〜数週間で急変した)。歩き方がおかしくなった、片側の手足に力が入らない。ろれつが回らない・言葉が出てこない状態が突然現れた。幻視・幻聴が起きている。本人が「自分は大丈夫」と全く気づいていない変化が続いている。体重が短期間で大きく変わった。

認知症の診断は、長谷川式認知症スケールや画像検査(MRI・CT)で行います。MCI(軽度認知障害)の段階での早期発見が、現在登場しつつある薬物療法の効果が出やすいとされています。

医療機関での診断を受けた後、または経過観察の段階で「体の土台を整えたい」「日常のセルフケアの方法が知りたい」「家族のサポートについて相談したい」という方が、整体を活用してください。医療と整体は対立するものではなく、それぞれの役割で補い合えます。

国立長寿医療研究センターでは、認知症の最新情報と専門相談窓口が公開されています。認知症の診断・薬物療法に関する最新情報はこちらで確認してください。

よくあるご質問

整体に行けば認知症が楽になりますか?

整体は認知症の医療行為ではなく、進行を止めたり症状を消したりすることはできません。ただ、体の慢性的な緊張を緩め、腎精を養う土台を整えることで、「頭の霞みが減った」「眠りが深くなった」という変化が起きやすくなることはあります。個人差が大きく、効果を保証するものではありません。

認知症の親と一緒に来院できますか?

はい、ご家族での来院も歓迎しています。ご本人への施術だけでなく、ご家族への関わり方のアドバイスや、自宅でのセルフケアの方法をお伝えすることもできます。本人が「整体に行きたくない」という場合は、まずご家族だけでご相談ください。

MCIと言われましたが整体で何かできますか?

MCIの段階では、日常生活の土台づくりが特に大切な時期です。整体では、腎精を養う体質改善のサポート、自律神経の調整、睡眠の質を上げやすい体づくりをお手伝いできます。医療機関でのフォローと並行して取り組んでいただくのがおすすめです。

認知症予防のために来院するのは早いですか?

早すぎることはありません。MCI以前の「物忘れが少し気になる」段階でのケアが、最も体の変化を感じやすいと経験上感じています。「心配になってから来る」より「まだ大丈夫のうちに整える」が、腎精の養生においても重要です。

何回通えばいいですか?

体質の改善は時間がかかります。目安として、最初の1か月は週1〜2回ペース、その後は月1〜2回の継続をお勧めしています。ただし個人差があるため、担当者と相談しながら進めてください。

認知症の薬を飲んでいますが施術を受けられますか?

はい、受けていただけます。薬を服用していることをカウンセリングの際にお伝えください。薬の効果・副作用に関する判断は、処方された医師に相談してください。整体は薬物療法の代替ではなく、補完的な役割です。

親の認知症が心配で、自分も不安になっています。そういった相談もできますか?

はい、ご家族の方の「認知症介護の不安」もお聞きします。介護するご家族が心身を消耗しないことが、本人の回復環境を守ることにもつながります。「自分のことを後回しにしてきた」という方ほど、まず自身の体を整えることが先です。

アルツハイマー型と血管性認知症で整体のアプローチは変わりますか?

東洋医学では診断名よりも体質(腎精虚・痰湿・血瘀など)で整えていきます。アルツハイマー型と血管性認知症では症状の出方が異なりますが、「脳への血流を整え、腎精を養う」という方向性は共通しています。体質の評価に基づいて、個別に対応します。

認知症に関連するツボを毎日押してもいいですか?

はい、太渓・百会・神門などは強く押さない限り、毎日のセルフケアとして続けていただけます。「気持ちいい程度」の刺激で、押しすぎないことがポイントです。痛みが出る場合は施術時にご相談ください。

本人が「自分は大丈夫」と言って病院にも整体にも来ません。どうすれば良いですか?

まずご家族だけで来院していただき、関わり方のアドバイスを受けることをお勧めします。本人を無理に動かそうとすると、かえって拒絶が強まることがあります。「散歩に一緒に行く」「食事を一緒に変える」という形で、本人が気づかないうちに生活を整えていく関わり方が有効なケースも多いです。

福岡市以外からでも来院できますか?

はい、遠方からの来院も対応しています。常若整骨院は福岡市早良区の西新エリアにあり、電車・バスでのアクセスが可能です。一度ご連絡のうえ、来院日をご相談ください。

認知症の予防に効果的な生活習慣を教えてください

2024年のLancet委員会が示した14のリスク因子の中で、日常生活から改善できるものとして「運動不足・喫煙・高血糖・難聴・過度の飲酒・孤立・睡眠障害」などが挙げられています。東洋医学の視点では、これに「腎精を消耗させる過労・睡眠不足・冷えの慢性化」を加えます。毎日30分以上の散歩、黒い食材の摂取、夜10時前の入眠を目指すこと、人との交流を保つことが、日常でできる予防の中心です。

認知症介護で自分が疲れています。どうすれば良いですか?

介護するご家族が消耗することは、本人の環境を悪化させることにつながります。自分を後回しにせず、まず自分の体を整えてください。当院では、介護しているご家族だけでの来院も受け付けています。「自分が倒れないための体のケア」は、最も大切な介護の準備です。一人で抱え込まず、相談してください。

まとめ

認知症が心配になったとき、まず医療機関での検査と診断を受けてください。そのうえで、「体の土台を整える」という視点から整体を活用することを検討してください。

25,000人を施術してきた経験の中で感じてきたことがあります。「なぜか頭が霞む」「言葉が出てこない」「眠れているのに翌朝が重い」という状態が続いている方に、腎精の消耗と慢性的な体の緊張が組み合わさっているケースは少なくありません。そしてそれは、生活の積み重ねで変えられることも多いのです。

東洋医学では「脳は髄の海」と見ます。腎精という生命力が髄を作り、その髄が脳を満たす。腎精は先天的に与えられたものだけでなく、毎日の食事・睡眠・適切なケアによって後から補充できるものです。「もう遅い」ではなく、「今日からできることがある」。

MCI以前の段階でも、MCI以降の段階でも、体に向き合う理由はいつからでも生まれます。福岡市で認知症が心配な方、物忘れが続いて不安な方、ご家族の状態が気になる方は、一人で抱え込まず、まずご相談ください。

院長プロフィール

冨高誠治(とみたかせいじ)。柔道整復師・鍼灸師。常若整骨院(福岡市早良区・西新駅から徒歩圏)院長。施術歴20年・25,000人を施術。東洋医学(五臓の見立て・気功)と現代の解剖学を組み合わせた施術が専門。自律神経・慢性症状・認知機能の低下が気になる方の体質改善に取り組んでいます。テレビ出演・女性自身掲載・全国での技術セミナー講師など、整体師への教育にも力を入れています。医療機関と連携しながら、整体の役割を明確にお伝えすることを大切にしています。