口コミが増える整体院と増えない整体院、説明の差

開業2年目のある先生から、こんな相談を受けたことがあります。

腰痛の患者さんを診ていて、良くなる人と良くならない人がいる。手応えはあるのに、その違いがどうしても説明できない。言葉にできないまま、日々の施術だけが積み重なっていく。そんな状態がしばらく続いていた、という相談でした。

私はこの話を聞いたとき、技術の相談だとは思いませんでした。説明の相談だと思いました。

口コミが増えるかどうかは、腕前だけでは決まりません。患者さんが自分の体に起きたことを、どれだけ自分の言葉で話せるか。そこで決まります。

口コミが増えない整体院は、技術が足りないのでしょうか

足りないのは、技術ではありません。説明です。

多くの先生が、口コミが増えないと「もっと腕を上げなければ」と考えます。もちろん技術は大事です。ですが、現場で見ていると、同じくらいの技術を持つ先生の間でも、口コミの増え方には差があります。

その差を分けているのは、患者さんが施術のあとに「何が起きたか」を理解しているかどうかです。理解できていれば、人に話すことができます。理解できていなければ、良くなったという実感があっても、それを人に伝える言葉を持てません。

なぜ「良くなった」だけでは、人に話してもらえないのでしょうか

良くなった理由を、患者さん自身が言葉にできていないからです。

施術を受けて楽になった。それ自体は嬉しい出来事です。ですが友人や家族に話すとき、人は「楽になった」だけでは話しません。「なぜ楽になったのか」まで分かっていないと、紹介する側も自信を持って言えないのです。

「最近いい整体に行ってる」で終わる人と、「肩じゃなくて、実は内臓の疲れが来てたらしくて、そこを診てもらったら楽になった」まで話せる人。この差は、施術者がどこまで説明したかの差です。

人は、頭で理解しただけでは動きません。腑に落ちて、自分の中で「そうか、これだったのか」と心が震えた瞬間に、人に話したくなります。説明が足りないと、この震える瞬間が来ないまま終わってしまいます。

原因のパターンを説明できると、何が変わるのでしょうか

患者さん自身が、自分の体に起きたことを人に話せるようになります。

最初に話した開業2年目の先生の相談に戻ります。腰痛でも、良くなる人と良くならない人がいる。その違いが分からない、という相談でした。

私がお渡ししたのは、新しい手技ではありません。腰痛の原因のパターンです。腰痛と一口に言っても、実際にはいくつかの型があります。どの型かを見分けられるようになると、施術者自身が「なぜ今回は時間がかかるのか」「なぜこの人は早く変わるのか」を説明できるようになります。

その先生は、半年ほどで大きく変わりました。どんなパターンの腰痛かを理解できるようになり、結果を出せるようになった。そして、口コミが増えて売上が上がりました。

技術を増やしたわけではありません。渡したのは、見る順番だけです。順番が決まると、施術者の言葉が変わります。言葉が変わると、患者さんに渡る説明の質が変わります。説明の質が変わると、患者さんが人に話せる言葉を持って帰ります。これが口コミにつながる一本の線です。

同じ時期に、別の先生にも話を聞きました。筋骨格の手技が増えてきたのに結果が出ない。施術時間がどんどん長くなり、夜はいつも疲労困憊、という相談でした。このときお渡ししたのも、手技ではなく見立てです。見立てが整うと、施術時間の中で結果が出るようになり、予約表どおりに終われるようになりました。

二人の先生に共通していたのは、手技を一つも増やしていないことです。渡したのは、見る順番と説明の仕方だけでした。口コミが増えない理由を、技術の不足だと思い込んでいる先生は少なくありません。実際に現場で起きていた変化は、見る順番が整い、説明ができるようになったことでした。

Googleの口コミが増えない整体院は、何が止まっているのでしょうか

多くの場合、止まっているのはお願いの一言だけです。

ある先生は、長く経営してきた院でGoogleの口コミが一件もありませんでした。手書きの声を過去にもらっていたはずなのに、所在も分からなくなっていました。

技術がないわけでも、患者さんに満足してもらえていないわけでもありません。単純に、口コミを集める動きが止まっていただけです。

このときお伝えしたのは、二段構えで集めることです。Googleに書くのが苦手な方には、紙の手書きでいただく。どちらでもいいので、もらえるところからもらう。そして、お願いするのは多くても二回まで。反応がない方に、無理に催促する必要はありません。

口コミは、魔法の文章を考えて増やすものではありません。仕組みとして、お願いする場面を作れているかどうかです。

長く経営してきた院ほど、この仕組みが抜けていることがあります。開業したばかりの頃は必死にお願いできていたのに、患者さんが定着してくると、あえてお願いしなくても院が回るようになる。そうして何年も経つうちに、口コミをお願いする習慣そのものが消えてしまいます。技術が落ちたわけではなく、お願いする場面を作らなくなっただけです。

患者さんの言葉をそのまま使うと、なぜ強くなるのでしょうか

施術者の言葉より、患者さん自身の言葉の方が、ほかの人に届くからです。

私たちがどれだけ正確に体の仕組みを説明しても、それは施術者側の言葉です。人が本当に動かされるのは、同じ立場の人が語った言葉です。「先生、私、今日なんでこれが良くなったんですかね」という一言がそのまま口コミになったとき、読んだ人は自分に重ねて想像します。

だから、口コミをお願いするときは、立派な文章を求めなくていいのです。患者さんが実際に感じた言葉、口にした言葉を、そのままいただく。言い回しが整っていなくても、そのほうが強く届きます。

説明の順番は、どう作ればいいのでしょうか

原因、パターン、セルフケア、本人の言葉、この順番で渡します。

まず原因を見立てます。次に、その原因がどのパターンに当たるのかを伝えます。ここまでが、患者さんに「なぜ今の状態になっているか」を理解してもらう部分です。

そのうえで、生活の中でできるセルフケアを渡します。セルフケアを渡すと、患者さんは自分の変化を自分で確かめられるようになります。そして最後に、変化を自分の言葉で言ってもらう場面を作ります。これが口コミの種になります。

この順番が整っていないと、どれだけ良い施術をしても、患者さんの中に「なぜ良くなったか」が残りません。見る順番が決まっていないと、説明の順番も決まらないのです。

順番を整える前は、施術者自身も「たぶん良くなると思います」としか言えません。確信のない言葉は、患者さんにも伝わります。順番が整って初めて、施術者は自分の見立てに言い切る言葉を使えるようになります。言い切れる施術者の言葉を聞いた患者さんは、自分も人に言い切って話せるようになります。説明の自信は、施術者から患者さんへ、そのまま移っていくのです。

口コミをお願いするタイミングは、いつがいいのでしょうか

変化を本人が一番強く感じている瞬間、つまり施術の直後です。

施術が終わり、立ち上がって体の軽さを実感している。この瞬間がいちばん言葉が出やすいタイミングです。時間が経つと、変化は当たり前になり、言葉にする熱も下がります。

そのタイミングで「今の感じ、ひとことでいただけますか」と聞くだけで構いません。Googleでも、紙でも、どちらでもいい。難しく考えず、二回までの範囲でお願いしてみてください。

見る順番が整うと迷いが減るという話は、以前こちらの記事でも詳しく書きました。説明の順番も、根っこは同じ考え方です。

口コミが一件増えると、その先に何が起きるのでしょうか

一件の口コミが、次の患者さんの背中を押します。

新しい患者さんが院を選ぶとき、多くの人は不安を抱えています。本当にこの院で大丈夫か、自分の症状を分かってもらえるか。そこで同じような悩みを抱えていた患者さんの言葉を読むと、不安が少し軽くなります。

口コミが一件もない院と、十件ある院では、初めて来る患者さんの緊張の度合いがまったく違います。十件あれば、その中に自分と似た症状の声が見つかる可能性が上がります。似た声を見つけた患者さんは、初回の問診から話しやすくなります。話しやすくなると、こちらが聞きたい情報も早く引き出せます。

つまり口コミは、新しい患者さんを呼ぶだけの道具ではありません。来てくれた患者さんとの最初のやり取りの質まで変えます。説明の順番を整え、口コミが積み重なっていくと、問診にかかる時間も自然と短くなっていきます。

よくある質問

口コミをお願いすると、押し売りに見えませんか?

変化を実感した直後にお願いすれば、押し売りには見えません。本人が感じている言葉を聞くだけなので、自然な流れになります。

Googleの口コミと紙の声、どちらを優先すべきですか?

どちらでも構いません。書くことに抵抗がある方には紙を、スマートフォンに慣れている方にはGoogleをお願いするなど、相手に合わせて選んでください。

口コミをお願いしても反応がない患者さんはどうすればいいですか?

多くても二回まででお願いし、それ以上は無理に催促しないでください。関係を保つことのほうが優先です。

技術を上げれば口コミは自然に増えますか?

技術だけでは増えません。患者さんが変化の理由を理解し、人に話せる言葉を持って帰れるかどうかが大きく関わります。

セルフケアを渡すことと口コミには、どんな関係がありますか?

セルフケアを実践すると、患者さんは自分の変化を自分の体で確認できます。その実感が、人に話すときの言葉になります。

患者さんの言葉をそのまま使うのは、失礼になりませんか?

事前に使っていいか確認を取れば問題ありません。多くの患者さんは、自分の言葉が誰かの役に立つと知ると、むしろ快く応じてくれます。

口コミが増えない時期は、何から見直せばいいですか?

まず、施術のあとに「何が起きたか」をどこまで説明しているかを見直してください。技術よりも先に、説明の順番を確認する価値があります。

口コミが少ない院は、閉院のリスクがありますか?

口コミの数だけで経営が決まるわけではありません。ですが新規の入り口が狭くなりやすいので、できる範囲で仕組みを整えておくことをおすすめします。

私がこうした見立てや説明の順番をお伝えしているのは、現場で使っている資料や考え方を整体師、鍼灸師、柔道整復師の先生方に渡すためです。症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、全部で17本の資料をまとめてお渡ししています。整体師、鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもありますので、ご興味のある方は公式LINEからご連絡ください。オープンチャットの案内もこちらからご覧いただけます。

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この記事は施術者向けに書いたものです。体の症状でお困りの方は、お近くの医療機関にご相談ください。

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