内臓調整セミナーに行く前に知っておきたいこと|申し込む前に、手元で決めておく3つ

患者さんのお腹に手を置いて、止まっている。

セミナーで習ったとおりの位置。習ったとおりの圧。手の下で、たしかに何かが動いた気がする。でも、その次が出てこない。ここで終わっていいのか。もう一か所触るのか。この反応は、良い反応なのか。

ベッドの横で、先生の手だけが止まっています。

内臓調整のセミナーを習ったあとに、こういう時間を過ごした先生は少なくありません。技術は身についた。でも、現場でどこに置いて、どの順番で使うのかが決まっていない。

この記事は、これから内臓調整のセミナーに申し込もうか迷っている先生に向けて書いています。「どの流派がいいか」の話はしません。申し込む前に、手元で決めておくと無駄になりにくいことを3つにしぼってお伝えします。

内臓調整のセミナーは、行く前に何を決めておけば無駄になりませんか?

結論から言います。決めておくのは「どんな患者さんに、どの順番で使うか」の1点です。

手技の中身は、セミナーが教えてくれます。教えてくれないのは、自分の院の、自分の患者さんのどこに置くかです。ここが空白のまま帰ってくると、習った技術は引き出しの奥で眠ります。

事前に決めておきたいのは、次の3つです。

1つ目。いま届いていない患者さんは、どんな人か。
2つ目。その人たちに、いまは何を確認しているか。
3つ目。習った手技は、施術のどの場面に入れるか。

この3つが言えない状態で申し込むと、セミナーの内容が良くても、現場で使えないまま終わりやすくなります。技術が悪いのではありません。置き場所がないだけです。

内臓を学ぶ前に、筋骨格だけでは届かない人は本当にいるのですか?

います。しかも「腕が悪いから」ではなく、「見る範囲の外に原因があるから」という場合が多いです。

セミナーの面談で、開業4年目のある先生から相談を受けました。筋骨格の施術はひと通りできる。それでもうまくいかないケースが一定数ある。何が足りないのか分からない、という話でした。

私はこう答えました。うまくいかない方の多くは、内臓系や、気持ちの面から来ているものです。腰痛でも、腰痛はとても難しい症状です。体が冷え切っている方は、腰だけ見ていてもなかなか変わりません。そこに、生活の聞き取りを足すと動き出すことがあります。

つまり、筋骨格の技術をいくら磨いても、そもそも原因が筋骨格にない人には届かない。ここが、内臓を学ぶ理由の入口です。

ただし、ここで一つだけ押さえてください。内臓を学ぶ理由が「手技を増やしたいから」なら、少し立ち止まったほうがいいです。理由が「届いていない人がいるから」なら、行く価値があります。

習った内臓の手技が、現場で使われなくなるのはなぜですか?

使う順番が決まっていないからです。手技そのものの出来の問題ではありません。

先ほどの先生は、内臓の手技をセミナーで習っていました。それでも「どう使えばいいのか、よく分からない」と話していました。習っているのに使えない。これは、とても多い状態です。

原因は単純です。筋骨格の施術には、いつも通りの流れがあります。そこに内臓の手技を入れる場所がない。入れる基準もない。だから、「今日は時間がない」「この人には要らないかも」と、先送りが続きます。

私はその先生にこう伝えました。せっかく良いものを習っているのだから、捨てずに組み込みましょう。筋骨格の施術をしながら、同時に内臓へ届かせる。いつもの流れを変えず、その中に内臓を混ぜるやり方です。

習った技術が死蔵される理由は、手技が足りないことではなく、使う入口が決まっていないことです。

私自身、セミナーとDVDにお金を使い続けた時期があります。毎回、「今回こそは」と思って帰ってくる。でも現場に戻ると、いつもの手技に戻る。これを繰り返しているうちに、手技を増やしても自分は変わらないと分かりました。数字だけ聞くと、ずっと順調に見えるかもしれません。25,000人の患者さんに、のべ11万回の施術をしてきましたが、最初の10年は、症状ばかり追いかけていました。

内臓は全部触るほど届く、というのは本当ですか?

逆です。全部触るほど届かなくなります。

これは私の失敗談です。内臓調整を覚えたてのころ、「全部診られる整体師になりたい」と思っていました。ひと通りの臓器を順番に触っていく。確かに、どの臓器もよく反応する。でも、患者さんの体は思ったほど変わらない。そして、自分が先に削れていきました。

ある先生から、こんな相談がありました。施術は90分。ほぼ全部の臓器に触れる。臓器はよく反応する。でも、体が変わらない。姿勢は施術の直後は整うのに、1か月たつと戻ってしまう。そして、先生自身もかなり疲れている。

私は、「それは私も通った道です」と答えました。反応している臓器と、変わらない体。同時に、疲れている先生。この3つは、同じ原因から出ています。相手の分まで引き取ってしまっている状態です。

だから、当てる場所を2〜3か所に絞ります。絞る基準は、感覚ではなく、見立てです。キネシオロジーで確認すれば、全部触らなくても、今日の優先順位が出ます。施術は短くなり、間隔を詰めやすくなり、先生自身も削れません。

セミナーでは「全部やる」が基本形として教わることが多いです。そのまま現場に持ち込まないでください。習った全項目を使うのが目的ではありません。

内臓調整は、見立てと一緒に学ぶと何が変わりますか?

「どこを触るか」を迷わなくなります。手技の数ではなく、順番が手に入るからです。

内臓の手技だけを習うと、触る場所は増えます。でも、どの場所を選ぶかは自分で決めなければならない。ここで勘に頼ると、結局いつもの手順に戻ります。

先ほどの先生には、まず可動域検査でパターンを一通り覚えてもらいました。その上で、キネシオロジー、つまり体に聞く検査を組み合わせる。勘に頼らず、精度を上げる順番です。可動域検査は経験がある。キネシオロジーは未経験。それでも、パターンを覚えてから足せば無理がありません。

慣れてくると、不思議なことが起きます。筋骨格を診るより、内臓のほうが楽になる。診るポイントが絞れるからです。そして、内臓や不定愁訴を丁寧に診られる院は、まだ地域に多くありません。他院と比べられにくくなります。この流れは、内臓調整を学んだ施術者が単価を上げられた理由の記事(内臓調整を学んだ施術者が単価を上げられた理由)でも書きました。

もう一つ。筋骨格だけを診ていた時期の私は、局所しか見ていませんでした。筋骨格から内臓へ、そして生活や考え方、人間関係まで。見る範囲が広がるたびに、「どこを見ないか」を決めることも増えました。内臓を学ぶ意味は、見る範囲を広げることと、絞ることをセットで覚えることにあります。

申し込む前に、手元で確認しておくことは何ですか?

次の5つを紙に書き出してみてください。書けなければ、まだ申し込む時期ではありません。

1つ目。ここ3か月で、変わらなかった患者さんを3人思い出す。名前ではなく、主訴と、経過と、変わらなかったところ。
2つ目。その3人に、問診で何を聞いたか。聞いていないことは何か。
3つ目。生活(睡眠、食事、冷え、ストレス)は聞けているか。
4つ目。いま使っている手技の中で、内臓にも届いているものはあるか。
5つ目。習った後の2週間、どの患者さんで試すか。

この5つを書くと、セミナーで聞くべき質問が自然と決まります。逆に、書かずに行くと、講義を聞いて満足して終わります。

内臓調整のセミナーそのものを否定しているのではありません。良いセミナーほど、受ける側の準備で差がつきます。

習ったあとの最初の1か月は、何をすればいいですか?

最初の1か月は、全部使わず、1つだけ使い続けてください。

習ったことを全部試すと、何が効いたのか、何が外れたのかが分かりません。逆に、1つに絞って同じ型で使い続けると、反応の違いが見えてきます。

おすすめの順番はこうです。

まず、自分の患者さんの中から、冷えと疲労がはっきりしている方を2〜3人選ぶ。次に、いつもの施術の流れは変えず、その中に1つだけ内臓の手技を入れる。そして、毎回同じ場所で、同じ確認をする。変化が出たら、何が変わったかをメモに残す。

外したときは、どこで外したのかを見ます。手技が合わなかったのか、入れる順番が違ったのか、そもそも内臓の問題ではなかったのか。この切り分けができると、手技の数を増やさなくても、見立ての精度が上がります。

身銭を切ったセミナーは、自分の患者さんで外して、直した人の手元にだけ残ります。講義を聞いただけでは、パターンになりません。

内臓調整を学ぶのは、どんな先生に向いていますか?

筋骨格の施術に慣れてきて、「その次」を探している先生です。

柔道整復師の出身の先生は、体にたくさん触ってきた分、レベルアップが早い方が多いです。そして、筋骨格の次に内臓や神経へ進めると、一気に幅が広がります。逆に、そこで止まっている先生も多く見てきました。努力が足りないのではなく、入口が違うだけです。

鍼灸師の先生は、もともと内臓や不定愁訴を読む土台を持っています。ただ、最初の職場であまり触らせてもらえなかった先生は、手で体を読む時間が不足していることがあります。その場合、内臓調整を学ぶ前に、可動域や姿勢を手で見る練習を増やすと、その後の伸びが変わります。

どちらの資格でも共通して言えるのは、「手技を増やす」ために行くと苦しくなり、「見る順番を持つ」ために行くと楽になる、ということです。

よくある質問

内臓調整のセミナーは、初心者が受けても意味がありますか?

あります。ただし、筋骨格の施術を一通り経験してからのほうが、内容が定着しやすいです。患者さんの体を触った経験がないと、反応の意味が分からないためです。最低でも、普段の施術の流れがあり、変わらなかった患者さんを思い出せる状態をおすすめします。

内臓調整は、1回のセミナーで使えるようになりますか?

手技の型を覚えるだけなら可能です。ただ、現場で自分の患者さんに合わせて使うには、数か月かかるのが普通です。1回で身につくと期待しすぎないほうが、焦らずに済みます。習ったあとの1か月を、1つの手技を使い込む期間にするのがおすすめです。

内臓調整を学ぶと、本当に単価は上がりますか?

内臓調整そのものが単価を上げるわけではありません。筋骨格だけでは届かない患者さんに届くようになり、他院と比べられにくくなることで、結果として単価を見直せる場面が増えます。手技を覚えただけでは変わりません。

高額なセミナーほど、効果は高いのでしょうか?

値段と現場での使いやすさは、必ずしも比例しません。判断材料にするなら、講師が自分の患者さんでどう使っているかを具体的に話せるか、習った後の質問や症例の相談の場があるか、の2点です。値段より、習った後の伴走があるかを見てください。

すでに他の流派の内臓の手技を習っています。別の講座も受けたほうがいいですか?

まず、いま持っている手技を現場で使い切れているかを確認してください。使い切れていないなら、新しい講座より先に、習った手技の置き場所を決めるほうが近道です。持っているものを組み込むだけで、見える範囲は大きく変わります。

内臓の手技で、患者さんの具合が悪くなることはありますか?

一時的にだるさや眠気が出る方はいます。強く押しすぎたり、触る場所が多すぎたりすると、反応が大きくなることがあります。だからこそ、当てる場所を絞り、反応を見ながら進めることが大切です。強い痛みが続く、急な体重減少がある、といったサインがある場合は、施術を急がず医療機関の受診をおすすめしてください。

内臓調整とキネシオロジーは、組み合わせたほうがいいですか?

組み合わせると、触る場所を勘に頼らず絞れるので、おすすめです。ただし、順番があります。先に可動域検査などでパターンを一通り覚え、そのあとにキネシオロジーを足すほうが、無理なく身につきます。

患者さんに内臓の話をすると、不安にさせませんか?

専門用語を使うと不安を招きやすいです。体の冷えや、疲れの溜まり方といった日常の言葉に置き換えて伝えると、受け止めやすくなります。不安が強くなっている患者さんには、断定せず、「いま起きていること」と「これから見ていくこと」を分けて話してください。

内臓調整を学ぶより、先に問診を見直すべきですか?

問診が曖昧なまま内臓の手技を足しても、結果は変わりにくいです。睡眠、食事、冷え、ストレスを聞けているかを先に確認してください。多くの場合、問診を整えるだけでも、必要な手技の数が減ります。

現場で使える資料は、どこで受け取れますか?

ここまで読んで、「自分の場合はどこから整えればいいのか」と感じた先生もいると思います。

私は、症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、現場でそのまま使える資料を全部で17本、まとめて渡しています。受け取り口は公式LINEです。

また、整体師・鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもあります。現場で止まった場面を、そのまま持ち込める場所です。

毎週、見立ての考え方をメールでお届けする見立てだよりも用意しています。

この記事は、施術者の方に向けて書いたものです。体の症状でお困りの方は、まず医療機関にご相談ください。

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