「焦らず見守る」が最強!不調の家族に寄り添うあなたへ

ブログ著者

冨高 誠治

冨高 誠治

柔道整復師、はり・きゅう師、自律神経整体

冨高 明子

冨高 明子

カウンセラー

「友達が長く患っていて、自分にもっと出来る事がないか考えるんですけど…」

「家族が体調を崩してるので、アドバイスをするんですけど全然本人にやる気がなくてイライラ!」

しばしばこういったお話を伺います。

体調を崩したり、心身が不安定になっている人を見ているのはつらいもの。どうにか力になってあげたいと思いますよね。

そんな時、押さえておきたいポイントがあります。

それは「焦らず見守る」ということです。

 

実例:Aさん(30代)、Aさんのお父さん(60代)

うつの症状に悩んで来院されたAさん。

お話をうかがってみると、育った環境から他人の顔色を伺いビクビクしてしまう考えグセがあるとのこと。さらに旦那さんの単身赴任による生活の変化、ワンオペ育児などの忙しさが重なって、起き上がれない、やる気が出ない、気持ちが落ち着かず苦しいなどの症状が出始めていました。

今はご実家で生活をされていますが、ご両親は愛情はあるものの症状に対して理解が出来ず、ギクシャクしてしまうことも多いそう。

 

お体をみてみると、首から頭を中心にして、全身が硬くこわばった状態。本来スムーズに動くはずの関節が、カクン!と折れるような動きをします。精神的に追い詰められ、神経が過緊張の状態になっています。

施術で神経の緊張をやわらげ、「無理をせず休む。自分を追い込んだり責めたりしない。出来るだけ憂鬱から気を逸らす遊びや趣味を増やす」といったセルフケアをして頂いたところ、徐々に起き上がれる時間が増え、家事や趣味などに動けるようになっていきました。

 

ある日、Aさんの心身がガチガチになっている日がありました。

「父から『ジムにでも行って身体を鍛えた方がいいんじゃないか』と言われたので『今はちょっと』と断ったら、『そんな風に弱いからいつまで経っても治らないんだ!』と言われて…辛くて起き上がれなくなってしまいました」

とのこと。

「お父さんが口を出してくるのは、『早く治って欲しい』という愛情からだと思います。でもそれを断られたから『せっかくお前のためを思ったのに、何さ!』とスネているだけですよ。愛情だけ受け取って、スネた言動はスルーしちゃって大丈夫です」

とお伝えしました。

また、「自分にはうつが理解ができないし、治るかどうかの先も見えないし、行動で安心させて欲しい」と仰るお父さまには

「順調に回復されていってます。でも、お父さまにとっての回復が『80点』だとしたら、今は『20点だった体調が30点、40点と徐々に上がっていっている』状態なんです。せっかく元気になりつつあるのに、お父さまが『自分が望んでいる点数になってないからダメ。自分が理解できる体調になってないからダメ』と切り捨ててしまったら、娘さんはショックで体調を崩してしまいます」

「今は『わからないけど、回復しつつあるんだな』と焦らず見守って差し上げてください」

とお話しました。

 

「自分にはどうしようもない」という無力感が焦りを生む

ご家族やお友達の不調がつらいのは、

「つらい姿をみていると、自分までつらくなってくる」

という共感のしすぎ、

「送り迎えやお世話などをしなければいけなくなる」

という現実的な労力の問題もありますが、

「苦しむ姿を見ていることしかできない」

「自分には本質的な手出しが出来ない」

「本人が回復するかどうかは本人次第」

といった無力感が強くなるからです。

無力感はとてもつらいもの。自分の人生の主導権を、相手に奪われているような状態になるからです。

その主導権を取り戻したくなると、焦って「私がなんとかしてあげなくちゃ」とアドバイスやアプローチをし始めます。

「こういうレッスンがあるんだけど行ってみない?」

「こういうサプリがあるらしいよ」

「いい病院があるらしいけどどう?」

そのアドバイスが不調を抱えているご本人に受け入れられるか、断られるかは、ご本人が決めること。

また、受け入れてやってみたアドバイスが実を結ぶか結ばないかは、相性次第でもあります。

アドバイスが受け入れられなかった=主導権が自分に取り戻せなかった時、またもや無力感に苛まれます。

「一体、私はどうしたらいいんだろう?」

「私は出来る事をしたのに、やらないこの人が悪いんじゃない?」

 

「課題の分離」で自分と相手を大切にする

哲学者のアルフレッド・アドラーが提唱したアドラー心理学の中に『課題の分離』という考え方があります。

この考え方に沿ってみると、体調を崩している人を最適なかたちでサポートする方法が見えてきました。

ステップは3つ。

①「その問題の最終的な結果を引き取るのは誰か?」を考える

②その結果を引き取るのが自分でなければ、手出しをやめる

③相手に頼られた時にサポートできるよう備える

という流れです。

 

①「その問題の最終的な結果を引き取るのは誰か?」を考える

体調を崩している方がいる時、その不調の結果を引き取るのは、不調を抱えているご本人です。ご家族やお友達ではありません。

その人の人生や体調や機嫌はその人のものであって、あなたが手出しすることはありません。

また、あなたの人生や体調や機嫌はあなたのものであって、他人に左右されることはありません。

ちょっと冷たい感じがするかもしれませんが、「自分の人生や体調は、自分が責任をもっていい状態にしていく」と考えると、前向きで明るい選択がしやすくなっていきます。

 

②その結果を引き取るのが自分でなければ、手出しをやめる

ご家族やお友達の不調を、あなたがなんとかしようとするのは一旦ストップしましょう。

ここで言う「なんとかしようとする」は、過度に心配したり、アドバイスしたり、相手の言動をコントロールしようとすることを言います。

「家族の不調を見ているのがつらい」という場合は、相手ではなく自分の心のありようや考え方、言動を「私は私の心を気持ちよく整えよう」という方向に変えることで変化していきます。

「家族のお世話で疲れる」という場合も、自分の負担が減るように周囲に分担したり、ストレス解消できることを増やしたり、自分自身のあり方を変えてみましょう。

相手の問題は相手が対策し、自分の問題は自分が対策することで、お互いの調子が整っていきます。

(ただし、まだ幼いお子さんの不調の場合は、周囲の大人による影響が大です。保護者の方がご機嫌でいることを大切にしつつ、お子さんがのびのびと過ごせる環境をつくるようにしてみて下さい。)

 

③相手に頼られた時にサポートできるよう備える

「じゃあ私は自分のことだけ考えて、相手を見放せっていうの?」

と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。

不調に悩んでいる方があなたを頼ってきた時に必要なサポートができるように、準備を整えて見守ってあげてください。

ご飯を作る、一緒に遊ぶ、ただニコニコしている、求められたら出来る範囲で応える。

時には、相手に何も求めない、急かさないことが最適なサポートになることもあります。

「家族が私の不安定に揺らがず、いつも同じトーンで、ただ側にいてくれた。それだけでどれだけ救われたかわからない」

精神的な不調で悩んだ方の中には、そういう方も大勢いらっしゃいます。

 

「焦らず見守る」で、あなたも最強サポーター!

家族の体調不良や近しい方の不調は、みているだけで心が苦しくなってしまいますよね。

「自分に出来る事が限られている」という無力感が焦りを産み、「なんとかしてあげないと!」と過剰に手出しをしすぎた結果、ますますご本人が不調になってしまう…ということも。

近しい方が体調を崩した時は、アドラー心理学の「課題の分離」を参考にしてみましょう。

①「その問題の最終的な結果を引き取るのは誰か?」を考える

②その結果を引き取るのが自分でなければ、手出しをやめる

③相手に頼られた時にサポートできるよう備える

という3stepで、お互い心地の良いサポートがしやすくなりますよ。

 

「それでも、もっと早く回復する手立てが知りたい!」

「自分の不調を改善して、家族を安心させたい!」

という方は、お気軽に常若整骨院へご相談ください。お一人お一人に最適な施術&セルフケアをご提案いたします。