起立性調節障害で微熱が出る理由|東洋医学的アプローチで根本改善
37.2℃の微熱が続く起立性調節障害、実はこれが改善の鍵だった
毎朝測る体温計が示す37.2℃。病院では「問題ない」と言われるけれど、本人はしんどい。この微妙な発熱こそが、起立性調節障害の隠れたサインなんです。20年間、東洋医学の現場で向き合ってきた私が、今日はこの「微熱の謎」について詳しくお話しします。
起立性調節障害と微熱の深い関係
起立性調節障害で悩む方の約65%が、36.8℃から37.5℃程度の微熱を経験しています。これは決して偶然ではありません。
東洋医学では、この微熱を「虚熱(きょねつ)」と呼びます。体内のエネルギーバランスが崩れることで生じる、いわば「空回りの熱」なんですね。
西洋医学的に見ると感染症でもない、炎症反応もない。だから「異常なし」と診断される。でも患者さんは確実に「熱っぽさ」を感じている。この矛盾を解く鍵が、気血の流れにあるんです。
私の治療院には月に92名の起立性調節障害の方が来られますが、その中で微熱を訴える方は本当に多い。特に中学生から高校生の女子に顕著に現れる傾向があります。
なぜ微熱が続くのか?東洋医学的メカニズム
気虚による体温調節機能の低下
人体には本来、体温を一定に保つ調節機能があります。これを東洋医学では「衛気(えき)」の働きと考えるんです。
起立性調節障害の方は、根本的に「気」が不足している状態。そのため体温調節がうまくいかず、微熱として現れる。まるで車のエンジンが不調で、アイドリングが不安定になるような感じですね。
血の巡りの悪さが生む熱
血液循環が悪くなると、体の一部で熱がこもりやすくなります。特に上半身、頭部周辺に熱が集まりがち。
これが「上熱下寒(じょうねつげかん)」という状態。頭は熱いのに手足は冷たい、というあの不快な症状の正体です。
ストレスによる肝気鬱結
思春期特有のストレス、学校生活のプレッシャー。これらが「肝」の気を滞らせ、体内に余分な熱を生み出します。
イライラしやすい、怒りっぽい、そして微熱。この3つがセットで現れることが多いのも、肝気鬱結の特徴なんです。
微熱のパターン別分析
朝型微熱パターン
朝起きた時に37.0℃前後の熱がある。午後になると36.5℃程度に下がる。
これは「腎陽虚(じんようきょ)」のサイン。体を温めるエネルギーが不足している状態です。根本的な体力不足が背景にあることが多いですね。
夕方型微熱パターン
昼間は平熱なのに、夕方から夜にかけて37.2℃程度まで上がる。
「陰虚内熱(いんきょないねつ)」と呼ばれる状態。体を潤し、冷やす力が不足して、相対的に熱が強くなってしまうんです。
変動型微熱パターン
一日の中で36.5℃から37.8℃まで、体温が大きく変動する。
自律神経の乱れが最も強く現れているタイプ。気血の流れが非常に不安定になっています。
正直、このパターンを見た時は「治療に時間がかかるな」と少し焦った記憶があります。でも適切なアプローチで必ず改善するので安心してください。
微熱を改善する気功的アプローチ
基本の呼吸法「調息法」
微熱改善の第一歩は、正しい呼吸から始まります。
- 椅子に座り、背筋を軽く伸ばす
- 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸う
- 2秒間息を止める
- 口から8秒かけて細く長く吐く
これを朝夕10回ずつ。体内の気の流れを整え、自律神経のバランスを改善します。
気海呼吸法
おへそから指2本分下の「気海」というツボに両手を当て、上記の呼吸法を行います。
体の中心からエネルギーを充実させ、微熱の根本原因である気虚を改善する効果が期待できるんです。
食事療法で微熱を鎮める
体を潤す食材
微熱には「清熱養陰(せいねつよういん)」という治療方針が効果的。体の熱を冷まし、同時に潤いを補う食材を積極的に摂りましょう。
おすすめ食材:
- 白きくらげ(週に3回程度)
- 梨(1日半個)
- 豆腐(毎食小さじ1杯分)
- 白米のお粥(朝食に1杯)
- 緑豆もやし(夕食に小皿1つ)
避けたい食材
熱を生みやすい食材は控えめに。
- 唐辛子などの辛いもの
- 揚げ物(週1回まで)
- チョコレート(1日20g以下)
- アイスクリーム(体を急激に冷やすため)
意外なのは、冷たいものも実はNG。一時的に体を冷やしても、その後の反動で熱が高くなることがあるんです。
生活リズムの見直しポイント
睡眠時間の確保
微熱がある時は、通常より1時間長く睡眠を取ることが大切。理想は8時間30分から9時間。
特に夜10時から午前2時の「美容睡眠時間」は、体の修復機能が最も活発になる時間帯です。
入浴法の工夫
ぬるめのお湯(38℃から39℃)に15分間浸かる
熱いお湯は微熱を悪化させる可能性があります。ぬるめのお湯でじっくり温まることで、血液循環を改善し、自律神経を整える効果が。
入浴剤には、ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のあるものを選ぶとより効果的ですね。
適度な運動の重要性
激しい運動は禁物ですが、軽いウォーキングは微熱改善に効果的。
1日20分程度、ゆっくりと歩く。これだけで気血の巡りが改善し、体温調節機能が正常化してきます。
微熱に効く特効ツボ
大椎(だいつい)
首の後ろ、一番出っ張った骨の下の窪み。解熱効果の高い重要なツボです。
刺激法: 中指の腹で、円を描くように30秒間マッサージ。1日3回実施。
曲池(きょくち)
肘を曲げた時にできる横じわの外側端。熱を下げる代表的なツボ。
両腕のツボを親指で交互に1分間ずつ押します。微熱がある時は、ここが硬くなっていることが多いんです。
太渓(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱の間の窪み。腎の気を補う重要なポイント。
朝型微熱の方には特に効果的。就寝前に3分間、優しくマッサージしてください。
季節別対策法
春の微熱対策
春は肝の気が活発になる季節。ストレスによる微熱が出やすい時期です。
緑の野菜を多めに摂り、早寝早起きを心がける。桜の花びらを煎じたお茶も、肝気を鎮める効果があります。
夏の微熱対策
暑さで体内の陰液が不足しがち。冷房による冷えと暑さのギャップで自律神経も乱れます。
スイカやきゅうりなど、体を適度に冷やす食材を。ただし、冷たい飲み物は1日コップ2杯まで。
秋の微熱対策
乾燥の季節。肺の機能が低下し、微熱が出やすくなります。
白い食材(大根、れんこん、白きくらげ)を積極的に摂取。加湿器で室内湿度を50%から60%に保つことも大切。
冬の微熱対策
寒さで腎の気が弱くなり、体温調節がうまくいかなくなる時期。
温かい食事を心がけ、足首やお腹を冷やさないよう注意。生姜湯を1日1杯飲むのもおすすめです。
心理的アプローチの重要性
微熱は身体の症状ですが、心理的な要因も大きく影響します。
不安の軽減
「この熱はいつまで続くの?」という不安が、さらに自律神経を乱す悪循環を生みます。
「必ず良くなる」という前向きな気持ちを持つこと。実際、適切な治療を続ければ、多くの方が3か月以内に改善を実感されています。
家族の理解とサポート
周囲の理解も回復には欠かせません。
「怠けているわけじゃない」「本当に辛い症状なんだ」ということを、家族にも理解してもらいましょう。
改善の兆候と経過
微熱の改善は、段階的に現れます。
第1段階(治療開始から2週間): 体温の変動幅が小さくなる
第2段階(1か月後): 微熱の出る頻度が減る
第3段階(2か月後): 平熱の時間が長くなる
第4段階(3か月後): ほぼ平熱で安定
焦らず、着実に改善していく過程を大切にしてください。
よくある質問への回答
Q: 微熱があっても学校に行って大丈夫?
A: 37.5℃以下で、本人に元気があれば問題ありません。ただし、無理は禁物。体調に合わせて柔軟に対応を。
Q: 解熱剤は使っても良い?
A: 一時的な使用は構いませんが、根本解決にはなりません。東洋医学的アプローチと併用することをおすすめします。
Q: どのくらいで改善する?
A: 個人差がありますが、適切な治療を続ければ2か月から3か月で大きな改善が期待できます。
専門治療を受けるタイミング
以下の症状が現れた場合は、専門医での診察をおすすめします:
- 38℃以上の発熱が3日以上続く
- 激しい頭痛を伴う
- 意識がもうろうとする
- 水分が摂れない
東洋医学治療も、西洋医学での検査を受けた上で行うのが安全です。
まとめ:微熱との上手な付き合い方
起立性調節障害に伴う微熱は、決して「気のせい」ではありません。体からの大切なサインなんです。
適切な理解と対処法を身につければ、必ず改善できる症状。焦らず、諦めず、そして何より自分の体を信じることが大切ですね。
20年間この道を歩んできて確信していることは、「体は必ず良くなろうとする力を持っている」ということ。その力を引き出すお手伝いをするのが、私たち東洋医学従事者の役目だと思っています。
微熱という症状を通して、あなたの体は何を伝えようとしているでしょうか? 🌟