整体の「潜在意識に尋ねる検査」は、キネシオロジーテープではありません

私は常若整骨院という院で施術をしています。20年、25,000人の患者さんに、のべ11万回ほど施術をしてきました。今日は「潜在意識に尋ねる検査」について、現場でやっていることをそのまま書きます。

その検索、キネシオロジーテープを探していませんか

結論から言うと、この記事が扱う「検査」は、体に貼るあのカラフルなテープの話ではありません。

「キネシオロジー」で検索すると、スポーツ選手が肩や膝に貼っているテーピングの話にたどり着くことが多いです。あれはキネシオロジーテープという別のものです。

ここで書く「潜在意識に尋ねる検査」は、筋肉の反応を通して、頭では把握しきれていない情報を体に直接聞く検査法のことです。応用キネシオロジー、筋肉反射テストと呼ばれる系統に入ります。オーリングテストを知っている方なら、あれの親戚だと思ってください。

道具は要りません。テープも器具も使わず、施術者の観察力と、体に聞くという手順だけで成り立っています。だからこそ習得に時間がかかりますが、身につけば施術の幅がいちばん広がる検査でもあります。

可動域検査だけでは、なぜ足りないのか

結論として、可動域検査は「どこが動いていないか」は分かっても、「どこから施術すればいちばん早く変わるか」までは教えてくれません。

可動域検査をすると、たいてい複数の場所に引っかかりが出ます。肩も股関節も背骨も硬い、というのはよくあることです。全部を丁寧に施術していたら時間が足りませんし、体力も持ちません。

ここで「どこから触るか」を決める材料がもう一つ必要になります。それが潜在意識に尋ねる検査です。可動域検査で見つけた候補を、体に直接絞り込んでもらう作業だと思ってください。

経験を積んだ施術者なら、勘で当てられることもあります。ただ、勘は日によって精度がぶれます。体調が悪い日、考えごとがある日は、勘の精度も落ちます。検査という手順を挟んでおくと、その日の自分の調子に左右されにくくなります。

潜在意識に尋ねる検査とは何か

結論は、筋肉の反応を使って、体にイエスかノーかを聞く方法です。

人の体には、自分にとって良いと感じるものに触れると力が入りやすくなり、嫌だと感じるものに触れると力が入りにくくなるという性質があります。この性質を使って、症状の原因や施術する場所を、言葉ではなく体に聞いていきます。

私も昔はクライアントの手首を持って、軽く引っ張ったときの抵抗感からイエス・ノーを取っていました。ただ、前かがみの姿勢を続けるうちに腰を痛めるようになりました。そこで、相手に触れなくても検査ができる方法に切り替えました。自分の体に「相手の反応が自分に映る」という設定を入れておき、自分の体の反応で答えを受け取るやり方です。

信じるか信じないかはさておき、これは私の著書「気・エネルギーを整える!自律神経療法の教科書」(BAB JAPAN)や、指導・監修したDVD「自律神経整体!」でも、可動域検査とセットで扱っている内容です。全国の施術セミナーでも、同じ流れで教えてきました。

実際にどう尋ねるのか

結論は、聞き方を三つ知っておけば、現場のほとんどの場面をカバーできます。

一つ目は、可動域検査で引っかかった場所を「全部整えるにはどこから触ればいいか」と一つずつ聞いて絞り込む方法です。本人が気づいていない不調まで拾えます。

二つ目は、「この症状をいちばん効果的に軽くするにはどこを触ればいいか」と聞く方法です。今いちばん困っている症状に絞ってアプローチしたいときに使います。

三つ目は、可動域そのものより、むくみや過緊張といった体の手ごたえが気になったときに、「このむくみを整えるにはどこから触ればいいか」と聞く方法です。全体の底上げをしたいときに向いています。

どの聞き方でも、複数の候補が残ったら一つになるまでイエス・ノーを重ねます。答えが出たら、実際に施術して可動域や手ごたえの変化を確認します。ここまでやって、初めて一回の検査が終わります。

聞き方は違っても、共通しているのは「一つずつ、イエスかノーかで聞く」という形を崩さないことです。「どこが原因だと思いますか」のような開いた聞き方をしてしまうと、こちらの思い込みが答えに混ざります。閉じた質問を積み重ねて絞り込む、という手順そのものが精度を守っています。

精度は、センスではなく数で上がる

結論として、この検査がうまくいくかどうかは才能ではなく、練習の回数で決まります。

使い始めた頃は「本当に当たっているのだろうか」と不安になります。これは全員通る道です。私も最初はそうでした。

精度を上げる方法は一つしかありません。数をこなすことです。施術の場面だけでなく、日常の中でも練習できます。花に水をやるときに「今、水は必要か」と聞いてみる。迷ったメニューを前に「今日の自分に合うのはどれか」と聞いてみる。そのくらい軽い場面で構いません。答えに対する先入観を持たず、体が返してきた反応を素直に受け取る練習を積み重ねると、施術中の判断が早くなります。

全部の場所を検査しようとすると何が起きるか

結論は、絞り込まずに全部を診ようとすると、施術者の方が先に消耗するということです。

見立て塾の面談で、ある先生から「内臓の反応は出るのに、体が変わらない。自分もかなり疲れている」という相談を受けたことがあります。話を聞くと、90分の施術時間の中で、ほぼすべての臓器に触れて確認しようとしていました。

私も昔、同じことをしていました。全部診れる施術者になろうとして、自分が先に削れていった時期があります。相手の不調を引き取りすぎていたのだと思います。

その先生には、当てる場所を潜在意識に聞いて二、三か所に絞ること、施術時間は短くする代わりに来院の間隔を詰めることをお伝えしました。技術が悪いわけではありません。見る順番と、絞り込む勇気が決まっていなかっただけです。

「せっかく反応が出ているのに、触らないのはもったいない」という気持ちは分かります。私も長く同じ気持ちで施術していました。ただ、反応が出た場所を全部触るのと、いちばん効果が出る場所を検査で選んで触るのとでは、施術者の消耗がまったく違います。体力を守ることも、続けて患者さんを診るための技術のうちです。

検査で出た答えを、そのまま伝えていいのか

結論は、伝え方には配慮がいる、です。

検査で「仕事のストレスが強い」という反応が出ても、本人がまったくピンとこないことがあります。これは検査が外れているわけではありません。むしろ、本人が意識できていないストレスほど、体には強く影響します。

だからといって「あなたの本当の原因はこれです」と決めつけて伝えるのは避けたほうがいいです。「もしかして、こういう感じはありませんか」と、本人が自分で気づく余地を残して渡す方が、受け取ってもらいやすくなります。答えを押しつけるのではなく、選ぶのは本人です。

危険なサインが出たときはどうするか

結論は、この検査は医療の代わりにはならない、ということです。

急な麻痺、これまでにない激しい痛み、原因の分からない急な体重減少。こうしたサインがあるときは、潜在意識に尋ねる検査で施術部位を絞り込む前に、必ず医療機関の受診をすすめてください。この検査は、あくまで施術の的を絞るための一つの手段です。体からの警告サインを見逃さないための最終判断は、いつも医療の側にあります。

一人でできるようになるまで、何をすればいいか

結論は、先に原因のパターンを一通り頭に入れてから、検査を組み合わせるほうが早いということです。

北九州で開業して4年になるある先生から、可動域検査は慣れているが、この検査はまったくやったことがないという相談を受けたことがあります。私からは、まず不調の原因になりやすいパターン(冷え、内臓の疲れ、考えグセなど)を一通り覚えること、そのうえで潜在意識に尋ねる検査を組み合わせることをお伝えしました。パターンの土台がないまま検査だけに頼ると、勘に近くなってしまいます。土台があると、検査は勘を補強する道具になります。

筋骨格だけを診ていると、この検査の出番はあまり来ません。内臓やメンタルに関わる不調に踏み込むほど、体に直接聞く場面が増えていきます。触っても軽くならない、原因がはっきりしない、そういう症例を診る回数が増えるほど、この検査を使う機会も自然に増えていきます。

よくある質問

キネシオロジーテープと何が違いますか?

まったくの別物です。テープは体に貼る道具で、ここで書いている検査は筋肉の反応で体にイエス・ノーを聞く方法です。名前が似ているだけで、目的も使い方も違います。

オーリングテストと同じ方法ですか?

考え方は同じ系統です。指でOの形を作って開こうとする力の入り方でイエス・ノーを判断するのがオーリングテストで、潜在意識に尋ねる検査はそこから発展させた方法のひとつです。

検査の答えが外れることはありますか?

あります。焦っているとき、正解を出そうと力んでいるときほど外れやすくなります。答えに先入観を持たず、体の反応をそのまま受け取る姿勢が精度に直結します。

練習は何から始めればいいですか?

日常の小さな選択から始めるのがおすすめです。食べるもの、着るもの、迷ったときの二択などで練習を重ねると、施術中の判断にも自信が持てるようになります。

相手に触れずに検査できるとはどういうことですか?

自分の体に「相手の反応が自分に映る」という設定をあらかじめ入れておき、自分の体の反応で答えを受け取る方法です。かがみ込んで触れ続ける負担を減らせます。

患者さんに検査結果をどう伝えればいいですか?

決めつけて伝えるのではなく、「こういう感じはありませんか」と本人が気づく余地を残して渡してください。ピンとこなくても、それが間違いとは限りません。

可動域検査は不要になりますか?

いいえ、逆です。可動域検査で候補を見つけ、潜在意識に尋ねる検査で絞り込む、という順番で使うと精度が上がります。どちらか一方では足りません。

どのくらいの期間で使えるようになりますか?

人によります。私の実感では、施術の中で毎回使い続けて数か月ほどで、迷いなく答えを受け取れるようになる方が多いです。数をこなした分だけ早くなります。

危険な症状が疑われるときはどうすればいいですか?

検査より先に医療機関の受診をすすめてください。急な麻痺、激しい痛み、急な体重減少などは、施術の範囲を超えたサインです。

現場で使っている資料は、症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、全部で17本まとめて渡しています。公式LINEから受け取れます。

整体師・鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもあります。今日書いたような検査の使い方や、日々の症例で迷ったことを相談し合う場所です。興味のある方はオープンチャットから入ってきてください。

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この記事は施術者向けに書いています。体の症状で困っている方は、まず医療機関を受診してください。