線維筋痛症とはどのような病気ですか
結論から言うと、線維筋痛症とは、身体のあちこちに原因となる炎症や損傷が見つからないにもかかわらず、広範囲に強い痛みが3ヶ月以上続く病気です。痛みの正体は組織そのものではなく、痛みを感じ取る脳と神経のしくみが過敏になっている状態にあります。
原因は何か。中枢神経が痛みの信号を増幅しやすくなっていることです。整体でできることは何か。身体の緊張をゆるめ、過敏になった神経が落ち着きやすい土台をつくるサポートです。この記事は誰向けか。検査で異常が見つからないのに全身の痛みが続き、「これは何の病気なのか」と不安を感じている方向けです。
線維筋痛症とは、そもそもどのような病気ですか
結論として、線維筋痛症とは、首や肩、背中、腰、手足など身体の広い範囲に、3ヶ月以上にわたって痛みが持続したり繰り返したりする病気です。
痛みだけでなく、強いこわばり、疲労感、不眠、頭痛、物忘れ、気分の落ち込みなど、多彩な症状を伴うことが多くあります。軽く触れただけで痛い、衣服がこすれるだけで痛い、シャワーのお湯が当たるだけで痛いといった、通常なら痛みとして感じないはずの刺激にまで痛みを感じる状態(異痛症)が出る方もいます。血液検査やレントゲン、MRIなどの画像検査を受けても、痛みの原因になるような炎症や損傷が見つからないことが特徴です。
なぜ線維筋痛症は検査で異常が出ないのに全身が痛むのですか
結論として、痛みのある場所そのものに原因があるのではなく、痛みを感じ取る脳と神経のネットワークが過敏になっているためです。この状態を中枢性感作と呼びます。
通常、身体のどこかを痛めたときは、その部位から脳に「痛い」という信号が送られ、脳はその信号の強さに応じて痛みを感じます。線維筋痛症では、末梢から脳へ痛みを伝える経路が過剰に興奮しやすくなっている一方で、脳から身体へ「その痛みを抑えなさい」と指令を出す下行性の抑制システムがうまく働かなくなっていると考えられています。ブレーキが緩んだままアクセルだけが踏まれ続けているような状態です。その結果、本来なら痛いと感じないはずの弱い刺激までが、脳の中で何倍にも増幅されて伝わってしまいます。
このしくみは、長引く精神的なストレスや強い緊張状態が続くことでも起こりやすくなると考えられています。痛みそのものへの不安や、「またあの痛みが来るのではないか」という緊張が、神経をさらに過敏にしてしまう悪循環に陥りやすいのも、この病気の特徴です。
東洋医学では、線維筋痛症をどう考えますか
結論として、東洋医学では、線維筋痛症のような全身に及ぶ痛みを、気(き)の巡りが滞り、身体を守るための緊張が全身から抜けなくなっている状態と考えます。
気とは、体と心を巡るエネルギーの流れを指す言葉です。この巡りが滞ると、筋肉や関節の緊張がほどけず、痛みとして表に出やすくなります。当院で25,000人を施術してきた経験から、線維筋痛症の訴えがある方には、大きく三つの証タイプが見られます。
一つ目は肝気鬱滞型(かんきうつたい)です。感情を抑え込みやすく、些細な緊張が全身の筋肉に伝わって痛みとこわばりが強く出るタイプで、自分に厳しい考え方の癖を持つ方によく見られます。二つ目は心脾両虚型(しんぴりょうきょ)です。不眠や物忘れ、思考のループが重なりやすく、寝ても回復しきれないほど神経が休まっていない状態が続く方に多く出ます。三つ目は腎精虚型(じんせいきょ)です。回復力の貯金にあたる腎の力が長期間の痛みで消耗し、倦怠感が強く、痛みが慢性化して何年も続いているタイプです。
ツボで言うと、肝気鬱滞型には太衝(たいしょう)、足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみが目安です。心脾両虚型には神門(しんもん)、手首の内側、小指側のくぼみ、腎精虚型には太渓(たいけい)、内くるぶしの真後ろのくぼみが目安になります。いずれも強く押さず、指の腹で軽く触れて温める程度で十分です。
整体は、線維筋痛症にどこまでできますか
結論として、整体は痛みそのものを消す医療行為ではありませんが、身体の過剰な緊張をゆるめ、過敏になった神経が落ち着きやすい土台をつくるサポートはできます。
具体的には、長期間の痛みで固まりきった首・肩・背中の緊張をゆるめること、浅くなりがちな呼吸を深くすること、痛みへの警戒で常に身構えている身体を、安心して力を抜ける状態に近づけることです。痛みが続くと、身体は「また痛くなるかもしれない」と無意識に身構え続け、その身構え自体が新たな緊張を生みます。この緊張の連鎖をゆるめていくことが、遠回りに見えて実は近道になると感じています。
一方で、線維筋痛症の診断や薬の処方、痛みの医学的な評価は医療の領域です。整体はそこを担うものではなく、リウマチ科や心療内科などでの経過観察と並行して活用していただくケアとして位置づけています。
常若整骨院では、線維筋痛症をどう見ていますか
結論として、当院ではカウンセリングで痛みが始まった経緯と生活の状況を丁寧に聞き取り、触診で身体の緊張の偏りを確認したうえで、施術とセルフケアをセットで進めています。
問診では、痛みが出始めた時期、痛みが強くなる時間帯や場面、睡眠の質、これまでの考え方の癖を聞きます。触診では、呼吸の深さ、みぞおちの硬さ、首や肩の緊張の左右差を確認します。見立ての基本として、右側の張りは仕事や外向きの緊張、左側の張りは家庭や身近な人間関係の緊張と関連して出やすい傾向があります。線維筋痛症の相談では、痛みそのものへの不安から全身に緊張が広がっていることが多く、痛む部位だけでなく身体全体の緊張の偏りを見つけることが、回復の糸口になります。
線維筋痛症で来られる方に多いのはどんなケースですか
結論として、検査で異常が見つからず、痛みの原因も名前もわからないまま長く不安を抱えてきたケースが多く見られます。
一人目は、右の太ももから始まった痛みが次第に全身へ広がっていった60代女性の方です。総合病院で詳しく調べても「異常なし」という結果で、痛みに反して原因が見つからない状態に戸惑っていました。カウンセリングで考え方の幅の狭さに気づき、記憶をたどりながら過去の出来事と向き合ったところ、3ヶ月ほどで筋肉の痛みがほぼなくなったといいます。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
二人目は、体中にピリピリした痛みが走り、湯船にも浸かれないほどつらい状態が続いていた10代男性の方です。毎日のように痛みで大声を上げるほどで、ご家族も深く心配されていました。話をじっくり聞いてもらい、睡眠をしっかりとることから始め、規則正しい生活を心がけながら痛みのない施術を重ねたところ、叫んでいた日々が別人のように、ほぼ痛みのない生活に戻ったとのことでした。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
三人目は、自分に厳しく、常に自分をダメ出ししてしまう考え方の癖があった40代女性の方です。「この痛みはもう良くならない」とマイナス思考になっていましたが、カウンセリングで自分がどれだけ自分を追い詰めていたかに気づき、施術を重ねる中で気持ちがほぐれ、痛みを感じる時間が大幅に減っていったといいます。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
線維筋痛症は自宅でどうケアすればいいですか
結論として、次の三つのうち、どれか一つからで十分です。
一つ目は、湯船に浸かって身体の内側からゆっくり温めることです。二つ目は、鼻からゆっくり息を吸って口から長く吐く深呼吸を、痛みが強くなったときに三回だけ行うことです。三つ目は、痛む場所を無理に動かそうとせず、痛みのない範囲で軽くストレッチをすることです。
できない日があって当然です。痛みが強い日は、何もできなくても仕方ありません。むしろ「今日も何もできなかった」と自分を責めてしまうこと自体が、新たな緊張を生み、痛みを強めてしまう方向に働きます。真面目に向き合っている証拠であって、真面目さが悪いのではなく、向け先を「完璧にやること」から「今日、少しでも身体を休められたか」に変えるだけで、身体は少しずつ緩んでいきます。
病院と整体、どちらを優先すべきか迷ったらどうすればいいですか
結論として、診断がまだついていない場合や、強い炎症・急な体重減少・発熱を伴う場合は必ず医療機関を優先し、整体は日常の緊張をゆるめるケアとして並行して活用してください。
具体的には、関節の腫れや発赤が強い場合、原因不明の発熱が続く場合、急激に体重が減っている場合、しびれや麻痺が進行している場合は、線維筋痛症以外の病気が隠れている可能性もあるため、早めにリウマチ科や膠原病内科を受診してください。整体は医療行為ではなく、診断や薬の判断を行う立場にはありません。
痛みを増幅させる脳と神経のしくみについては、こちらの記事でも詳しく取り上げています。自律神経の乱れそのものの仕組みについては、自律神経失調症についての記事もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
線維筋痛症は、何科を受診すればいいですか?
まずはリウマチ科または膠原病内科への相談が基本です。他の病気の可能性を除外したうえで、必要に応じて心療内科やペインクリニックと連携することもあります。
線維筋痛症は、検査をしても異常が出ないのですか?
血液検査や画像検査では、痛みの原因になるような炎症や損傷が見つからないことが多くあります。異常がないことが、痛みが本物でないという意味ではありません。
線維筋痛症の痛みは、精神的なものなのですか?
精神的な問題だけが原因ではありません。痛みを感じる脳と神経のしくみが過敏になっている状態であり、ストレスは悪化要因の一つにすぎません。
線維筋痛症は、整体だけで良くなりますか?
整体だけで完結するものではありません。医療機関での経過観察と、睡眠や生活リズムの見直しとあわせて、身体の緊張をゆるめることが土台になります。
線維筋痛症とうつ病は、どう違うのですか?
異なる病気です。線維筋痛症は身体の痛みが主症状ですが、不眠や気分の落ち込みを伴うことが多く、両方が重なって見える場合もあるため、医師の診断が重要です。
線維筋痛症は、遺伝が関係しますか?
まだ明確に解明されていませんが、体質的な神経の感受性の違いが影響している可能性は指摘されています。
痛みが強い日は、整体を受けても大丈夫ですか?
強い痛みが出ている急性期は、無理に施術を受けず、まず身体を休めることを優先してください。落ち着いてきた段階で相談いただくことをおすすめします。
線維筋痛症は、季節によって痛みが変わりますか?
気圧の変化や寒暖差で痛みが強まる方は多くいます。冷えによって筋肉の緊張が増しやすいことも背景にあります。
子どもでも線維筋痛症になることはありますか?
まれではありますが、10代でも発症することがあります。成長期の身体的・精神的な負荷が背景にある場合もあります。
線維筋痛症の痛みは、一生続くのですか?
一概には言えません。生活の見直しや身体の緊張をゆるめることで、痛みを感じる時間が減っていく方も多くいます。
まとめ
福岡市で、検査を受けても異常が見つからないまま全身の痛みが続き、「これは何の病気なのか」と不安を感じている方へ。線維筋痛症は、痛みを感じ取る脳と神経のしくみが過敏になっている状態であり、痛みそのものは本物です。一人で抱え込まず、まずは身体の緊張をゆるめることから始めてみてください。カウンセリング・施術・セルフケアを通じて、回復しやすい身体づくりをサポートいたします。
外部の参考情報として、線維筋痛症の症状や診断基準については、日本リウマチ財団リウマチ情報センターの解説も参考になります。日本リウマチ財団「線維筋痛症」もご参照ください。
院長プロフィール
冨高誠治(とみたか せいじ)。柔道整復師・鍼灸師。施術歴20年、これまでに25,000人の患者さんを施術。福岡市早良区・西新駅から徒歩圏の常若整骨院院長。整体・東洋医学・気功を軸に、カウンセリング・施術・セルフケアをセットにした身体づくりのサポートを行う。
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