福岡市早良区 逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎は放置していると潰瘍やがんのリスクがある
口から入れた食物は食道を通って胃に送られますが、通常この流れは一方通行になります。
どのような仕組みかというと、食道と胃の間には下部食道括約筋により、いつもは閉じられているのですが食物を飲み込んだ時には開いて食物を胃に送り込むのです。
そして胃では、酸性度の強い塩酸と消化酵素が含まれる胃液が分泌されて、食物の中に含まれるタンパク質を分解して、おかゆ程度の固さにして小腸で吸収しやすい状態にします。
ただ胃には酸から粘膜を守る防御機能があるので何の問題もないのですが、食道にはこの防御機能がないので、何らかの原因で胃酸が逆流すると食道粘膜は強い酸にさらされて炎症を引き起こしてしまうのです。
また、胃酸で活性化されたタンパク質分解酵素も食道を傷つけて、胃から食道への逆流が繰り返し起こることにより、食道の粘膜にただれや潰瘍が生じて胸やけや呑酸などの不快な症状が起こります。
このような症状が逆流性食道炎と呼ばれる疾患です。
発症する主な原因としては、食道と胃のつなぎ目の下部食道括約筋の筋力低下が考えられます。
先にも触れましたが通常は下部食道括約筋が胃液の逆流を防いでいるのですが、加齢などで筋力が低下すると胃の中のものが簡単に食道に戻ってきてしまうのです。
このようなことが原因と考えられていることから、今までは高齢者の病気と考えられていたのですが、最近では若い人にも増えています。
若い人に起こる原因のひとつは便秘による腹圧の上昇で、お腹が張っていると胃は腸からの圧迫を受けて、食道への逆流を引き起こしやすい状態になるのです。
常習性の便秘症の人の約10%程度に初しょうが見られて、慢性的な便秘で常にお腹が張った状態になると、若い人でも症状を引き起こりやすいことがわかっています。
もうひとつの原因として考えられるのは、脂肪分の多い食事を摂取することで、それにより十二指腸からコレシストキニンというホルモンが分泌されて、下部食道括約筋が緩んでしまったり胃酸が増えたりするのです。
このような原因で若い人にも見られる逆流性食道炎はとてもつらい症状であるだけではなくて、そのまま放置していると潰瘍に進行したり食道がんのリスクが高まったりしてしまいます。
また、原因になる便秘や高脂肪の食事は、大腸がんのリスク要因にもなるので注意が必要です。
逆流性食道炎の治療は、薬の服用によって胃酸の分泌量を減少させたり、食道の運動機能を改善したり、胃酸を中和したりして、食道の粘膜を保護・修復する薬物療法が中心に実施されます。
ただ、そうした薬物療法で効果が得られない場合や、重症の場合には外科的手術を検討する場合もありますが、手術はあまり一般的ではないのです。
また生活習慣の改善の面も大事で、脂肪分の多い食事を控えて、胃への刺激の少ないものを腹八分目で食べるように心がけます。
それから、酸味の強い食品も控えたほうが良いですし、お腹をベルトできつく締め付けすぎないことや、無理して重いものを持たないこと、肥満に注意するなど腹圧が高くなることを避けることも大事です。