「めまいは東洋医学で改善?原因と心のSOSも解説」

なんとなくふわっとした感覚、突然のぐるぐるした回転、まるで現実が遠のくような感覚──それは「めまい」かもしれません。病院で検査をしても「異常なし」と言われた。でも、確かにツラい。そんな経験はありませんか?

めまいには、耳や脳の異常など西洋医学的な原因もあれば、ストレスや生活習慣の乱れといった目に見えない原因も存在します。特に東洋医学では、「気」「血」「水」の巡りや、内臓のバランスが崩れることでめまいが起こると考えられています。

この記事では、「東洋医学的な視点」でめまいの原因を探り、日々の生活に取り入れられるセルフケアや予防法をわかりやすく解説していきます。心と体のバランスを整えたいあなたへ、少し違った角度から“めまい”と向き合ってみませんか?

そもそも「めまい」ってどんな症状?

「めまい」と一言でいっても、その感じ方や原因は人によってさまざまです。まずは、どんなタイプのめまいがあるのかを知ることで、自分の状態を把握しやすくなります。

めまいの種類|回転性・浮動性・立ちくらみの違い

めまいは大きく分けて、以下の3つに分類されます。

1. 回転性めまい

自分や周囲がぐるぐると回っているように感じるタイプです。突然起きることが多く、立っていられないほど激しいこともあります。多くは内耳の異常や前庭神経のトラブルが原因とされます。

2. 浮動性めまい

ふわふわと宙に浮いているような不安定な感覚です。明確な「回転」はないものの、姿勢を保ちにくく、なんとなくバランスが取れないと感じる人が多いです。脳や神経、あるいは心因性が関与していることもあります。

3. 立ちくらみ(失神性めまい)

急に立ち上がった時に目の前が真っ暗になるようなめまいで、一時的に意識が遠のくように感じることもあります。これは血圧の変動や自律神経の働きが関係していることが多いです。

一般的な原因|耳や脳、自律神経の異常

めまいは「耳・脳・自律神経」のいずれか、または複数が関係して起こります。

たとえば、耳の奥にある「内耳」は、体のバランスを司る重要な器官です。この内耳が炎症を起こしたり、リンパ液が過剰にたまると、情報の伝達がうまくいかずに回転性のめまいを引き起こします。代表的な病名としては「メニエール病」や「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」などがあります。

また、脳梗塞や脳腫瘍などの重大な病気が原因となることもありますが、その場合はめまいの他に、手足のしびれやろれつが回らないといった神経症状を伴うことが多いです。

さらに、ストレスや疲労が重なった結果、自律神経のバランスが崩れ、「なんとなくフラフラする」「頭が重い」といった症状が現れることもあります。これは、現代人に非常に多いタイプのめまいと言えるでしょう。

東洋医学で見る「めまい」の正体

西洋医学では「耳」「脳」「神経」などを中心にめまいを診ますが、東洋医学ではもっと全体的、つまり「体と心のバランスの乱れ」から原因を探ります。ここでは、東洋医学独自の視点で、めまいがどう捉えられているのかをご紹介します。

「気・血・水」のバランスがカギ

東洋医学の基本概念に「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素があります。

  • 気:生命エネルギー。体を動かす力であり、精神面とも深く関わります。

  • 血:栄養を運ぶ血液。身体だけでなく、心の安定にも重要です。

  • 水:体内の水分やリンパ液。潤いを保ち、老廃物の排出にも関係します。

これら3つのバランスが崩れると、体にさまざまな不調が現れます。めまいもそのひとつ。たとえば「気」が不足すればふらつきや立ちくらみ、「水」が滞れば頭が重くボーッとした感じ、「血」が不足すると目の前が暗くなるようなめまいが起こりやすくなります。

「肝」「腎」の不調が引き起こす症状

東洋医学では、「肝(かん)」と「腎(じん)」という臓腑がめまいに深く関わっていると考えます。

  • 肝の乱れ:ストレスや怒りで「肝」の気が滞ると、頭部に「気」がうまく届かず、めまいを引き起こします。また「肝」は血の流れとも関係しており、目の疲れや頭痛も同時に起こることがあります。

  • 腎の弱り:年齢とともに「腎」が弱ると、身体の水分調節がうまくいかなくなり、めまいや耳鳴り、難聴が現れることがあります。特に高齢者のめまいには「腎虚(じんきょ)」が関係しているケースが多いです。

漢方や鍼灸によるアプローチとは?

東洋医学では、「原因を整える」ことに重きを置きます。単に症状を抑えるのではなく、「めまいを起こす体質」を根本から見直します。

  • 漢方薬では、「気虚(ききょ)」「血虚(けっきょ)」「水滞(すいたい)」など体質に応じた処方がされます。たとえば、ふらつきと疲労が強い人には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、むくみや頭重感には「五苓散(ごれいさん)」が用いられることがあります。

  • 鍼灸(しんきゅう)では、「百会(ひゃくえ)」「風池(ふうち)」「太衝(たいしょう)」などのツボを刺激することで、気の巡りを整え、めまいを改善します。定期的な施術により、体質改善を目指します。

忙しすぎて目がまわる?現代人のめまい事情

「めまい=身体の異常」というイメージが強いですが、実は現代人の多くが抱えるストレスや心の状態も、めまいの一因となることがあります。特に、検査では異常が見つからない「原因不明のめまい」には、生活習慣や心理的な背景が関係しているケースが少なくありません。

ストレスと自律神経の関係

毎日の仕事や人間関係、スマートフォンやSNSなど、現代人は常に情報とタスクに追われています。このようなストレスが積み重なると、自律神経が乱れやすくなります。

自律神経とは、体のバランスを無意識に調整してくれている神経系で、「交感神経」と「副交感神経」が交互に働いています。しかし、ストレスが過剰になると交感神経が優位になり続け、心拍数や血圧が上がったり、脳への血流が不安定になったりして、結果として「ふわふわする」「クラっとする」といっためまいが起こるのです。

「現実を見たくない」が症状に?

意外に思われるかもしれませんが、「現実を見たくない」という心理状態が、めまいとして現れることもあります。これは「心因性めまい」と呼ばれ、不安感やうつ状態など、心の疲れが身体の症状として現れるものです。

たとえば、職場での過度なプレッシャー、人間関係のトラブル、将来への不安──これらが積み重なり、脳が「現実から一時的に逃げたい」と判断したとき、身体が“めまい”という形で反応することがあります。

実際に、何か大きなストレスを感じているときにだけめまいが起きる人や、病院では異常が見つからないけれど、心療内科で心のケアを受けたら改善したという人も少なくありません。

心因性めまいという考え方

「心因性めまい」は、耳や脳の検査をしても異常が見つからず、ストレスや感情の問題が背景にあると判断されるケースに用いられる診断名です。

このタイプのめまいでは、「自分の不調がまわりに理解されない」という悩みを抱えている人が多く、孤独感や不安を強く感じやすい傾向があります。カウンセリングや心理療法、リラクゼーションの導入で症状が軽減する場合もあるため、「病気ではないから気のせい」と片付けずに、心の声に耳を傾けることが大切です。

東洋医学的・めまいセルフケアと予防法

めまいの根本原因を東洋医学的に探ると、「体質」や「気の巡り」「ストレスへの感受性」などが浮かび上がってきます。つまり、日常生活の中で自分の体と向き合い、バランスを整えていくことが、めまいの改善・予防につながるということです。ここでは、東洋医学の考えを取り入れたセルフケアを具体的に紹介します。

生活習慣を整える具体的な方法

東洋医学では「養生(ようじょう)」という考え方を大切にします。これは、日々の生活を通じて心身を整える知恵のことです。

  • 十分な睡眠をとる

    睡眠不足は「気」と「血」を消耗させ、自律神経も乱れやすくなります。22時〜翌2時は「肝」の時間とされ、この時間帯にしっかり休むことで血が養われます。

  • 規則正しい食生活

    「朝は温かい汁物から」「夜は軽めに」など、消化に優しく、胃腸を冷やさない食事を意識しましょう。特に体を温める食材(生姜、ネギ、味噌など)がおすすめです。

  • スマホやPCの使いすぎに注意

    目の疲れは「肝」に負担をかけ、「気滞(きたい)」を招くことがあります。1時間に一度は目を休ませ、遠くを見るようにしましょう。

ツボ刺激や呼吸法で「気」を整える

東洋医学では、「気の巡り」が整えば不調は軽減されると考えます。自分でできるツボ押しや深呼吸も、立派なセルフケアになります。

  • おすすめのツボ

    • 百会(ひゃくえ):頭のてっぺんにあり、気を上に巡らせてスッキリさせる

    • 風池(ふうち):後頭部のくぼみ。自律神経を整え、首・肩の緊張を緩和

    • 太衝(たいしょう):足の親指と人差し指の間にあり、「肝」の気を整える

  • 呼吸法

    ゆっくりと深く吸って、倍の時間をかけて吐く「腹式呼吸」は、副交感神経を優位にしてリラックス状態を作ります。毎日3分でも続けてみましょう。

おすすめの漢方と食材

体質に応じた漢方薬は、めまいの予防にも効果的です。ただし、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切なので、信頼できる漢方薬局や専門医に相談するのがベストです。

  • 気虚タイプ(疲れやすい、元気が出ない):補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

  • 血虚タイプ(顔色が悪い、ふらつく):当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

  • 水滞タイプ(むくみやすい、頭が重い):五苓散(ごれいさん)

また、普段の食事でも体を整えることが可能です。黒ごま、クコの実、小松菜、なつめなどは「血」を補い、「肝」「腎」を助けるとされています。

病院に行くべき?東洋医学との併用のすすめ

めまいが起こったとき、「これは放っておいても大丈夫かな?」と判断に迷うことがありますよね。東洋医学的なセルフケアはとても有効ですが、一方で見逃してはいけない重大な病気のサインである可能性もあります。ここでは、病院を受診すべきタイミングや、東洋医学との上手な付き合い方についてお話しします。

危険なめまいのサインとは

以下のような症状を伴う場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

  • めまいに加えて、手足のしびれや力が入らない

  • 言葉がうまく話せない、ろれつが回らない

  • 激しい頭痛や吐き気を伴う

  • 意識が遠のくような感覚がある

  • 何日も連続してめまいが続く、あるいは頻繁に繰り返す

これらは、脳卒中や脳腫瘍といった重篤な疾患の可能性もあります。特に突然発症した激しいめまいは、救急対応が必要になることもあるため、無理せず病院へ。

どの診療科を受診すべきか

めまいがあるとき、最初にどの診療科に行くべきか迷う人も多いですが、症状の特徴によって次のように判断できます。

  • 耳が関係していそう(耳鳴り・難聴など):耳鼻咽喉科

  • ふわふわ感、立ちくらみなどの自律神経的な症状:内科、神経内科

  • 不安やストレス、精神的な不調を感じる:心療内科、精神科

一度、脳の異常がないことを確認する意味でも、脳神経外科や神経内科での検査を受けておくと安心です。

東西医学をうまく使い分けよう

東洋医学と西洋医学、それぞれに得意分野があります。急性症状や重大疾患の診断・治療には、もちろん西洋医学が欠かせません。しかし、体質改善や慢性的な不調のケアには、東洋医学が非常に力を発揮します。

たとえば、「検査では異常がないけれど、調子が悪い」というグレーゾーンの症状。これは東洋医学が得意とするところです。漢方薬や鍼灸、生活習慣の見直しによって、じっくりと体質から整えていくことが可能です。

大切なのは、「どちらが正しいか」ではなく、「自分にとって今、何が必要か」を見極めること。現代では、東洋医学を取り入れている病院も増えており、医師や薬剤師に相談しながら、賢く併用することも十分可能です。

まとめ

めまいは、ただの体の不調ではなく、「心と体のバランスの乱れ」を知らせるサインかもしれません。東洋医学では、「気・血・水」や「肝・腎」のバランスを重視し、全体からめまいの原因を探っていきます。忙しさやストレスの中で自分を見失いそうなとき、少し立ち止まって、内側から整えることを意識してみてください。

セルフケアや生活習慣の見直しで改善が期待できる一方で、めまいには命に関わる重大な病気が潜んでいることもあります。必要に応じて病院での診断も受けつつ、東洋医学の知恵を日常に取り入れて、心身ともに安定した毎日を過ごしましょう