腹痛・しびれ・失神…迷走神経反射は自律神経を整えて防ごう

ブログ著者

冨高 誠治

冨高 誠治

柔道整復師、はり・きゅう師、自律神経整体

冨高 明子

冨高 明子

カウンセラー

「突然、ひどい吐き気や腹痛に見舞われる」

「冷や汗が出て来て息が苦しくなる」

「気が遠くなったり、失神したりする」

こんな突発的な症状に悩まされる迷走神経反射。

自律神経の急激な乱れが原因といわれていますが、実は根本原因は普段の生活で自律神経が疲労していること。

どうすれば迷走神経反射に悩まされにくい心身になることができるのでしょうか?

 

実例:Xさん(女性 10代 学生)

たまにトイレで倒れる、朝起き上がれない、生理痛や出血過多といったお悩みで来院されたXさん。

お話をうかがってみると、小さい時にも嘔吐と失神がセットで起こっていたとのこと。

朝は必ずパンを食べるけれど、普段から食欲がなくてゼリーだけで食事がすんでしまうこともあるそう。

ストレスは「あまり思い当たらない」とのことですが、付き添いのお母さまいわく「学校や友達関係などでストレスを感じていてもおかしくないと思うのですが、あまり本人がそう感じないみたいです」とのことでした。

感じていたらキリがないと判断し、ストレス感覚がマヒしてしまっているのかもしれません。

 

お体をみてみると、首と骨盤がガチガチで動きがかなり悪くなっており、過度の緊張状態が続いていることがうかがえました。

頭ではストレスとして処理されなくても、身体にとってはかなりのストレスを感じてきている様子。ストレスの受け皿である子宮卵巣が頑張りすぎて疲労していることが骨盤まわりの動きを悪くし、頭から全身につながる神経が通っている首も頑張りすぎてガチガチになっていました。

首と骨盤をゆるめると、全身に血がめぐったせいか「身体が軽くなったし眠くなった」というXさん。

まずはストレスを自覚すること、内臓に負担をかけやすいパン食や甘い物より、お米や味噌汁を中心にした食事をすることなどをアドバイスしていきました。

 

迷走神経反射とは

迷走神経反射は、突然、急激に起こる自律神経の乱れです。

自律神経は呼吸・心臓を動かす・血液などの循環・血圧・体温調整・体内気圧の調整・吸収・分泌・排泄などの生命活動を行っています。

何らかの要因で心身に急激なストレスがかかると、自律神経のはたらきが乱れます。

とくに迷走神経反射の場合は、血圧が急激に下がる・脳に行く血液が減る・腹痛からはじまる全身の痛みやしびれなどにより、失神することも少なくありません。

 

迷走神経反射だけに関わらず、ほとんどの症状は

①これまでの生活の中で蓄積されてきた疲労・緊張などに

②突発的な負荷や身体的・精神的ストレスが引き金になる

…という流れで起こります。

自覚もさほどなく(当たり前になってしまっているからなのですが)、検査にもひっかからない低め安定の体調に、環境の変化・面接や試験などのストレス・身体に合わない食事・天候による気圧や気温の変化などが重なることで迷走神経反射が起こりやすくなるのです。

 

迷走神経反射をふせぐために自律神経を整える

迷走神経反射のそもそもの原因は、ちょっとした刺激に耐えられないくらい低め安定状態になっている自律神経。

なので、自律神経を整えること、自律神経を乱さない生活をすることが迷走神経反射をふせぐための最優先事項です。

また、慢性的な自律神経失調症に悩まれている方と、迷走神経反射を起こしやすい方とでは、心身にかかっているストレスの種類が少し違う傾向があります。

 

自律神経を乱す生活習慣を減らす

自律神経が乱れやすい食事として、

■甘い物(洋菓子・和菓子・ジュース・スポーツドリンク・飴・ガム・人工甘味料・砂糖など)の食べ過ぎ

■小麦粉もの(パン・パスタ・うどん・ラーメン・ピザなど)の食べ過ぎ

■乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ・アイスクリームなど)の摂り過ぎ

■食品添加物(買ってきたお惣菜・インスタント食品・レトルト食品・コンビニご飯・袋菓子など)の摂り過ぎ

■薬(痛み止め・風邪薬など)の飲み過ぎ

 

自律神経が乱れやすい生活習慣やストレスとして、

■睡眠時間が短い、眠りが浅い

■スマホやパソコンを使う時間が長い

■家庭でくつろげない、家族仲が悪い

■休息時間が確保できない

■寝る前やお風呂などのリラックスタイムに、やらないといけないこと・問題・悩み・不安などを考えている

■労働時間が長い、不規則

■言いたいけど言えないモヤモヤが溜まっている

 

とくに腹痛が迷走神経反射の引き金になりやすい方は、甘い物・小麦粉・乳製品を減らすだけで、胃腸の調子が整ってグッと楽になります。

 

平気なフリやポジティブの上塗りをせず、ストレスを自覚する

人はつらいことがあった時、そのつらさを感じ続けることに耐えられず、心にフタをしてしまうことがあります。

そのこと自体は脳や心の防衛本能であり、悪いことではありません。しかし、心の中に向き合わず消化されないままのつらさを抱え続けていると、出口を求めて身体に現れます。

 

迷走神経反射を起こしやすい方は、責任感・真面目さ・ポジティブ思考などで、心のフタを上塗りしていることが多いようです。

■本当はしたくなかったことを「私はこれがやりたいのだ」と捻じ曲げている

■本当は傷ついているのに、無理やり笑い話にしようとする

■本当は学校や仕事に行きたくないのに、「行かないのは悪、おかしいこと」と思うあまり、学校や仕事のイヤな部分から目を逸らす・感覚をマヒさせる

もし本当に自分の心や性質に沿っていれば、身体に障ることはありません。

しかし、本当はあるのに自覚されず発散されないストレスは、身体に症状として現れるしかなくなってしまいます。

 

まずは、ご自身が抱えているストレスを自覚すること。

そしてストレスを発散あるいは減らすために対策をとりましょう。

 

「やるべきこと」だけで一日を埋めず、自分のための時間を作る

迷走神経反射になりやすい方には、真面目で責任感が強い方や、一見ポジティブで貪欲な方が多い傾向があります。

こういった方は仕事・家事・育児など「やるべきこと」で一日が埋まりやすいのですが、「やるべきこと」は良くも悪くもストレスとして心身に処理されます。

本来、自律神経は日中にストレスや活動をつかさどる交感神経がはたらき夜間に休息や睡眠をつかさどる副交感神経がはたらくようにプログラムされています。

昼型・夜型などの体質はある程度ありますが、一日の中に<活動・ストレスタイム><休息・リラックスタイム>がバランスよく入っていることが健康のカギ。

 

やるべきこと=<活動・ストレスタイム>だけで一日を埋めてしまうのではなく、積極的に自分のための時間=<休息・リラックスタイム>を確保してください。

「時間が余ったら」ではなく、スケジュールの中にはじめから組み込んでおくのがコツです。

■好きな映画を見る

■音楽やラジオを聞きながらのんびりお茶を飲む

■お気に入りのカフェに行く

■手芸・ダンス・演奏・カラオケなどの趣味

■友達と遊ぶ

…などなど、毎日できること・2、3日に1回できること・週一ペースでできることなど、いくつかご自身のための時間を用意してみてください。

 

高め安定の自律神経で、迷走神経反射をふせごう

自律神経の急激な乱れによって引き起こされる迷走神経反射。

腹痛・しびれ・呼吸が苦しい・めまい・ふらつき・冷や汗・失神などに悩まされます。

迷走神経反射は、自律神経が低め安定していることにより、ちょっとした不調やストレスが引き金になって起こります。

迷走神経反射をふせぐには、自律神経を高めで安定させること。

■糖質の摂り過ぎや睡眠不足など、自律神経を乱す食事や生活習慣を減らす

■心にフタをして平気なふり・ポジティブの上塗りをしない

■やるべきことだけで一日を埋めてしまわず、自分の楽しみの時間を死守する

こういったことで自律神経が整いやすくなっていきます。

 

「自力だけじゃ難しい」

「もっと早く改善したい」

と思われた方は、お気軽に常若整骨院へご相談ください。

一緒にすこやかな心身を取り戻していきましょう!