アトピーと血の汚れ 〜東洋医学の視点から〜
アトピーに悩む患者さんを診ていると、多くの方が「なぜ自分だけが?」という思いを抱えているのを感じます。西洋医学では「原因不明」とされることも多いアトピーですが、東洋医学の世界では古くから「血の汚れ」という概念で説明されてきました。
血の汚れって何だろう?
「血の汚れ」と聞くと、なんだか不潔なイメージを持つ方もいるかもしれませんね。でも実際は、血液の質や循環の問題を指しています。東洋医学では、血液が体の隅々まで栄養と酸素を運び、老廃物を回収する大切な役割を担っていると考えているんです。
この血液の流れが滞ったり、質が悪くなったりすると、皮膚にその影響が現れる。それがアトピーの一因だと、私は27年間の施術経験から確信しています。
現代人の血液事情
最近の患者さんを診ていて、正直驚くことがあります。20代でも血液の状態が60代のような方が増えているんです。
原因はいくつか考えられます。まず食生活の変化。コンビニ弁当やファストフードを週に4〜5回食べる人も珍しくありません。添加物や化学調味料は確実に血液の質を下げています。
睡眠不足も深刻です。夜中の2時まで起きている人が普通になってしまった現代。肝臓が血液を浄化する時間帯(夜10時〜深夜2時)に起きていては、血の汚れは蓄積する一方です。
ストレスも見逃せません。慢性的なストレスは血管を収縮させ、血流を悪くします。私のところに来る患者さんの8割以上が何らかのストレスを抱えていますね。
気功から見たアトピーのメカニズム
気功の世界では、人間の体を「気・血・水」の三つの要素で捉えます。この三つがバランス良く循環していれば健康を保てるのですが、どれか一つでも滞ると病気になりやすくなります。
アトピーの場合、特に「血」の流れに問題があることが多いんです。血液が汚れていると、体は皮膚を通じてその毒素を排出しようとします。これが湿疹や炎症という形で現れるわけです。
「え、それって体の自然な反応なの?」と驚く患者さんもいますが、まさにその通り。アトピーは体が必死に毒素を外に出そうとしている証拠でもあるんです。
血の汚れはどこから来る?
具体的に血液を汚す要因を挙げてみましょう。
食べ物関係
- 砂糖の摂りすぎ(清涼飲料水だけで1日30g以上摂取する人も)
- トランス脂肪酸(マーガリンやショートニング)
- 食品添加物(保存料、着色料など)
- 農薬残留(野菜や果物から)
環境要因
- 大気汚染(PM2.5など)
- 電磁波(スマホやWi-Fiから)
- 化学物質(洗剤、シャンプーなど)
生活習慣
- 運動不足(週1回も汗をかかない人が7割)
- 睡眠不足(平均睡眠時間5時間台)
- 便秘(3日以上お通じがない状態)
これらが複合的に作用して血液の質を下げているんです。思わず「現代人って大変だな」と感じてしまいます。
東洋医学的な改善アプローチ
では、どうやって血の汚れを改善していけばいいのでしょうか?
食事の見直し まずは口に入れるものから。玄米や雑穀、季節の野菜を中心とした食事に変えていきます。患者さんには「腹八分目を心がけて」とお伝えしていますが、最初はなかなか難しいようですね。
特におすすめなのは、血液をサラサラにする食材です。
- 青魚(サバ、イワシなど)週3回
- 緑黄色野菜(ほうれん草、にんじんなど)毎日200g
- 発酵食品(味噌、納豆、ぬか漬け)
- 海藻類(わかめ、昆布)
デトックスの促進 血液の浄化を助けるために、老廃物の排出を促します。
- 水分摂取(1日1.5〜2リットルの良質な水)
- 入浴(38〜40度で15分程度の半身浴)
- 運動(週3回、20分程度のウォーキング)
- 深呼吸(1日10回の腹式呼吸)
肝臓のケア 血液の浄化工場である肝臓をいたわることも重要です。
- アルコールを控える(週2日は休肝日)
- 早寝早起き(夜10時就寝、朝6時起床が理想)
- 肝臓のツボ押し(太衝、期門など)
気功による血液改善法
私が患者さんに指導している気功法の中で、特に血液浄化に効果的なものをご紹介します。
立禅(りつぜん) 足を肩幅に開いて立ち、両手を胸の前で抱えるように構える基本姿勢です。5分間この姿勢を保つだけで、全身の血流が改善されます。最初はきついですが、慣れてくると体の変化を実感できますよ。
血液浄化の呼吸法
- 鼻からゆっくり4秒かけて息を吸う
- 2秒間息を止める
- 口から8秒かけて息を吐く これを1日3回、各10セット行います。
吸う時に新鮮な気を体内に取り込み、吐く時に汚れた気を外に出すイメージで行うのがコツです。
経絡マッサージ 手首から肘にかけての内側(手太陰肺経)を、親指で軽く押しながらさすります。この経絡は呼吸器系と関係が深く、血液の酸素化を助けてくれます。
実際の改善例
72歳の田中さん(仮名)は、30年以上アトピーに悩まされていました。ステロイドも効かなくなり、私のところに来られた時は絶望的な表情でした。
血液検査の結果を見ると、確かに炎症反応が高く、肝機能も低下していました。そこで食事指導と気功を組み合わせた治療を開始。
3ヶ月後、肌の赤みが明らかに減少。6ヶ月後には夜も眠れるようになり、1年後にはほぼ完治状態まで回復されました。「こんなに良くなるなんて思わなかった」と涙を流される姿を見て、私も感動してしまいました。
西洋医学との使い分け
誤解のないよう申し上げておきますが、東洋医学だけでアトピーを治そうと考えるのは危険です。急性の症状がひどい時は、まず西洋医学で炎症を抑えることが優先。
その上で、根本的な体質改善のために東洋医学的アプローチを取り入れる。これが私の基本的な考え方です。
実際、医師と連携して治療を進めることで、より良い結果が得られるケースが多いんです。患者さんにも「お医者さんの治療は続けながら、並行して体質改善をしていきましょう」とお話ししています。
継続の重要性
血の汚れを改善するのは、一朝一夕にはいきません。長年蓄積された毒素を排出するには、それなりの時間が必要です。
私の経験では、軽度のアトピーで3〜6ヶ月、重度の場合は1〜2年程度の継続が必要なことが多いですね。途中で諦めてしまう方もいますが、続けた方は確実に改善しています。
「まだ良くならない」と焦る気持ちもわかりますが、体は必ず応えてくれます。信じて続けることが何より大切です。
家族のサポート
アトピー改善には、本人の努力だけでなく家族の理解とサポートが欠かせません。
食事の改善一つとっても、家族全員で取り組む必要があります。「アトピーの人だけ別メニュー」では長続きしませんし、家族の健康にとってもプラスになります。
また、ストレス管理の面でも家族の協力は重要。患者さんが気功や瞑想をしている時間は、静かに見守ってもらうようお願いしています。
季節との付き合い方
東洋医学では、季節の変化と人体の関係を重視します。アトピーの症状も季節によって変化することが多いんです。
春:肝臓の働きが活発になる季節。デトックス効果が高まる反面、一時的に症状が悪化することも。
夏:汗をかきやすく、皮膚トラブルが起こりやすい。でも適度な発汗は血液浄化に役立ちます。
秋:乾燥の季節。保湿ケアと同時に、肺の機能を高める食材(白い食べ物)を積極的に摂取。
冬:代謝が落ちやすく、血行不良になりがち。温める食材と運動で血流を促進。
こうした季節の特性を理解して対策を立てることで、より効果的な改善が期待できます。
心の持ち方
最後に、心の持ち方についてお話しします。アトピーは見た目にも影響するため、精神的な負担が大きい病気です。
「人に会うのが嫌」「外出したくない」という気持ちになるのも当然。でも、そのストレスがさらに血液の質を下げる悪循環に陥ってしまいます。
私は患者さんに「アトピーは体からのメッセージ」だとお伝えしています。「今の生活を見直しなさい」「もっと自分を大切にしなさい」という体からの声だと思って、前向きに取り組んでほしいんです。
完璧を求めすぎず、「今日は野菜を多めに食べられた」「5分間気功ができた」といった小さな成功を積み重ねていく。そんな気持ちで向き合ってもらえたらと思います 😊
あなたも、もしかすると血の汚れが原因でアトピーに悩んでいるのかもしれませんね?