胃アトニーが長引く本当の理由|福岡市・常若整骨院が伝える体質から整えるアプローチ

結論から言うと、胃アトニーが長引く方の多くは、胃そのものよりも、胃を動かす体全体のエネルギー——自律神経の働き、内臓を温める力、感情を消化する力——が消耗しているケースがほとんどです。

胃アトニーとは、胃の筋肉の緊張(トーヌス)が低下し、食べたものをうまく腸へ送り出せなくなった状態のことです。現代医学では「機能性ディスペプシア(FD)」という診断名に統一されつつあり、内視鏡などの検査で異常が見つからないまま、食後の胃もたれ・膨満感・吐き気・食欲不振が続く状態として知られています。

この記事は、次のような方に向けて書いています。消化に良いものを選んでいるのに胃が重い。薬を続けているが食べる量が一向に増えない。胃カメラで「異常なし」と言われたけれど、毎食後のつらさが変わらない。そういった方が、体質からの根本的なアプローチを知り、前に進む手がかりにしてもらえることを願っています。

なぜ胃アトニーは長引くのか

長引く胃アトニーの方の体には、胃の収縮力を落とす「全身の慢性緊張パターン」が定着していることが多くあります。

胃の動きは、自律神経——体のアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のような働きをするシステム——によってコントロールされています。食事をすると副交感神経が優位になり、胃液が分泌されて消化管の収縮運動が始まります。ところが長期にわたるストレス・過労・睡眠不足・考えすぎが続くと、アクセルが踏まれっぱなしになり、消化の担い手であるブレーキがうまく機能しなくなります。その結果、「食べたのに動かない胃」という状態が習慣として体に刻まれていきます。

当院で延べ25,000名を診てきた経験では、胃アトニーを訴える方の首の前面やみぞおちを触れると、多くのケースで特徴的な所見があります。板のように固まっていて指が沈まないか、逆に力が抜けすぎてぐにゃりとした感触があるか、どちらかです。これは「胃に指令が届いていない体」のサインです。

胃アトニーが長引くもうひとつの理由は「内臓知覚過敏」の定着です。胃の動きが悪い期間が続くと、胃の感覚神経が過敏になり、少し食べただけで不快感を覚えるようになります。機能性ディスペプシアの研究では、こうした内臓知覚過敏の状態になると、胃が通常より大きく膨らめなくなる「アコモデーション障害」が重なることも知られています。胃に入る食べ物の量が少量でも、脳が「いっぱいだ」と誤解してしまうのです。

さらに、迷走神経の通り道の詰まりが見落とされていることがあります。迷走神経とは、脳から首・胸郭・横隔膜・腹腔を縦断し、消化管に副交感神経の信号を届ける大きな神経幹線です。首の慢性的な固まりや、横隔膜の硬化が続くと、この幹線の情報伝達が鈍り、胃への「動け」という指令が弱くなります。薬を飲んでも変わらない方の中には、この迷走神経の通り道に慢性的な詰まりを抱えているケースが少なくありません。

夏から秋への変わり目も、胃アトニーの方にとって要注意な時期です。夏の間エアコンで内臓が冷やされ続けてきた体に、秋口の急激な気温変化と乾燥が加わります。内臓が冷えた状態では消化管の血流が落ちており、胃の収縮力がいっそう低下しやすくなります。胃アトニーが「毎年この時期に悪化する」という方は、この季節の変わり目の要因を意識することが大切です。

消化に良いものばかり選んでいても胃アトニーが変わらないのは、問題が「食べ物の種類」にあるのではなく、「食べ物を消化するエンジン自体」の消耗にあるからです。

機能性ディスペプシアとの関係については、こちらの記事でも詳しく書いています。【内部リンク:機能性ディスペプシアが長引く理由の記事へ】

胃アトニーと整体の関係

整体が胃アトニーに対してできることは、「胃を直接動かすこと」ではなく、「胃が動きやすい体の状態に整えるサポート」です。

胃は医師が診断し薬で管理する領域であり、整体は医療行為ではありません。胃炎・胃潰瘍・胃がんなどの器質的な病変への対処は医師にしかできず、整体ではできません。症状が強い場合や急に悪化した場合は、必ず先に医療機関を受診してください。

そのうえで、整体がサポートできることとしては次のようなものがあります。

自律神経の通り道(首・後頭部・横隔膜)の慢性緊張をゆるめ、迷走神経の働きを妨げている詰まりにアプローチすること。消化器への血流が届きやすい体の土台を整えること。みぞおちや腹部の緊張パターンを確認し、体全体のエネルギーの流れを整えること。問診を通じて生活習慣・食習慣・考えグセへの気づきをサポートすること。これらが整体が担える役割です。

整体を受ける前には、必ず消化器内科で内視鏡検査(胃カメラ)などを受けて器質的な問題がないことを確認してください。その確認があってはじめて、整体が補完的なサポートとして機能できます。

福岡市で整体を探す方が知っておくべきこと

福岡市で「胃アトニー 整体」と検索すると、さまざまな院が見つかります。院を選ぶ際に確認しておきたいポイントがあります。

問診の丁寧さを見ること。胃アトニーは症状の場所よりも、生活習慣・睡眠・ストレス・感情の傾向との関係が深い症状です。「いつ頃から」「食後何分で症状が出るか」「どんなときに悪化するか」「ここ数年の生活の変化」を丁寧に聞いてくれる院は、見立ての深さが違います。

医療連携への姿勢を確認すること。「整体だけで全部どうにかなる」という説明をする院よりも、「まず検査を受けてください」「医師と相談しながら進めましょう」と言える院のほうが、長期的に信頼できます。

体質の見立てがあるかどうか。同じ胃アトニーでも、冷えからくるタイプとストレスからくるタイプとでは、体へのアプローチが異なります。あなたの体のパターンを読んだうえでの施術があるかどうかが、変化の出方に大きく影響します。

競合する院の多くは「症状をやわらげる」「身体の歪みを整える」という説明で止まっていますが、当院では体の中の話——どの臓器が消耗していてどう連鎖しているか——まで踏み込んだ見立てを行います。

常若整骨院は福岡市早良区・西新駅から徒歩圏にあります。「胃アトニー 整体 福岡市早良区」「病院で異常なしと言われた 胃もたれ 福岡」で来院される方も多く、カウンセリング・施術・セルフケアをセットで提供しています。

常若整骨院の考え方

当院では、胃アトニーを「胃だけの問題」として捉えていません。

体のエネルギーがうまく流れているかどうかが先にあり、胃の不調はその流れが止まった結果として現れるという考え方を軸にしています。初回のカウンセリングでは、食後の変化だけでなく、いつ頃から症状が始まったか、当時の生活や精神的な状況、よく考え込む習慣があるか、感情を飲み込みやすいかどうかを丁寧に確認します。

東洋医学に「脾は思を傷める」という言葉があります。思(し)とは、考えること・思い悩むことです。長期にわたって考えすぎる生活が続くと、脾(消化・吸収・気血製造を主る臓器)が疲弊し、それが胃の動く力の低下として現れます。当院で胃アトニーの方を診ていると、ものを誠実に、深く考える気質の方が多い印象があります。それ自体は美点ですが、その気質が体の消化力を削っているケースが少なくありません。

施術では、首・後頭部・みぞおち・横隔膜周辺の緊張をゆるめながら、体全体のエネルギーの流れを整えます。「気功でエネルギーの差を整える」という考え方を軸にしており、体の緊張がゆるみはじめたとき、自然と食後の不快感が落ち着いてくる方が多くいます。

カウンセリングでは「考えグセ」や「感情を一人で飲み込む習慣」に気づいてもらい、セルフケアを日常に持ち帰ってもらうことを大切にしています。施術は週1時間未満。その他の168時間の生活こそが、体を変える主役です。

東洋医学から見た胃アトニー

東洋医学では、胃アトニーの背景に「脾胃(ひい)の機能低下」を見ます。

脾胃とは、東洋医学における「消化・吸収・気血製造・輸送」の総合システムのことで、西洋医学の脾臓とは別の概念です。脾は食べ物から気(エネルギー)と血(栄養)を作り出し、全身へ送り届ける働きを担います。胃は脾と表裏一体の関係にあり、「胃が受け入れて降ろす(降濁)、脾が吸収して昇らせる(昇清)」という組み合わせで消化が成り立っています。

胃アトニーは、この「胃の降濁機能」が落ちた状態です。しかし東洋医学では、なぜ降濁機能が落ちているかをさらに掘り下げます。脾・腎・肝のどの臓腑が消耗しているかによって、アプローチの方向が変わるからです。

脾虚気陥型(ひきょきかんがた)

脾虚気陥型とは、脾の「昇らせる力(昇清力)」が消耗し、全体に気が下垂している状態です。食後に強い眠気や立ちくらみが出る、体全体が重だるい、食べた後に特に不快感が強まる、という方に多く見られます。

脾が本来の力を持っていれば、食べたものを気血に変換して全身に送り届けることができます。ところが脾が消耗すると、食べ物が「食べ物のまま」胃に溜まり、下に降りていきません。「消化に良いものを食べているのに変わらない」というのは、このタイプに典型的な訴えです。

このタイプに関連するツボは、足三里・中脘・気海・百会が中心になります。足三里(あしさんり)は膝のお皿の下外側のくぼみから指4本分下、すねの骨の外側にあります。中脘(ちゅうかん)はみぞおちとへその中間の位置。気海(きかい)はへその指2本分下。百会(ひゃくえ)は頭のてっぺん、左右の耳を結んだ線と正中線の交点です。

腎陽虚胃寒型(じんようきょいかんがた)

腎陽虚胃寒型とは、体の炉の火(腎陽)が落ちて胃が冷えている状態です。東洋医学では、腎は体の根本の火を司るとされており、この火が弱くなると消化器全体が温まらなくなります。

冷たい飲食やエアコンで特に症状が悪化する、お腹を触ると冷たい、朝起きてすぐの空腹時が最もつらい、手足も冷えやすい、という方に多い傾向があります。夏の間ずっとエアコンの効いた環境にいた方が、秋口に急に胃の調子が落ちるのも、このタイプが多くあります。

関連するツボは足三里に加え、関元(かんげん)・命門(めいもん)・湧泉(ゆうせん)が中心です。関元はへその指4本分下。命門は腰椎の第2腰椎棘突起の下のくぼみ(背中側)。湧泉は足の裏の中央やや上、足の指を曲げたときにできるくぼみです。

肝気犯胃気逆型(かんきはんいきぎゃくがた)

肝気犯胃気逆型とは、ストレスや感情の抑圧によって肝の気の流れが止まり、その停滞が胃に影響して気が逆走している状態です。肝は気の流れ(疏泄〈そせつ〉)を司り、これが止まると「逆流」が起きやすくなります。

ストレスや緊張が強い日に胃の不快感が悪化する、げっぷや酸っぱいものが上がってくる感じ、喉のつかえ感(梅核気)が重なる、食べる前から「食べると苦しくなりそう」という予期不安がある、という方に多く見られます。

東洋医学の見立てでは、感情を飲み込み続けた人ほど肝気が停滞しやすくなります。「ここで怒ってはいけない」「私が我慢すればいい」という生き方を長年続けてきた方の胃が動かなくなるのは、偶然ではありません。

このタイプに関連するツボは太衝・内関・公孫が中心になります。太衝(たいしょう)は足の甲の親指と人差し指の骨が合わさる手前のくぼみ。内関(ないかん)は手首の内側の横じわから指3本分ひじ側、腱と腱のあいだ。公孫(こうそん)は足の親指の付け根の出っ張り(第1中足骨底)より後ろ、足の内側のくぼみです。

実際の施術では、3つのタイプのうちひとつだけが出ることは少なく、脾虚と肝気犯胃が重なっているケース、あるいは腎陽虚と脾虚が組み合わさっているケースが多く見られます。体質のパターンを読んだうえで施術の方向を決めることが、変化を引き出す鍵になります。

逆流性食道炎と胃アトニーは、肝気犯胃という同じ根っこから出てくることがあります。この点については逆流性食道炎の記事でも詳しく触れています。【内部リンク:逆流性食道炎が長引く理由の記事へ】

自律神経と胃アトニーの関係

自律神経とは、体のアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のような働きをするシステムです。この二つが交互に切り替わることで、体の内部が正常に動いています。

胃腸の収縮・消化液の分泌は、副交感神経によって促進されます。食後にゆったりとした状態でいると胃の消化がよく進むのは、副交感神経が優位になって胃が正常に動くからです。逆に、食後すぐに仕事に戻る・食事中にスマホを見る・食べながら心配事を考える、という状態では、交感神経が優位なまま続き、消化に使われるはずの血流が筋肉や脳に奪われます。

アクセルが慢性的に踏まれっぱなしになると、消化管の血流が慢性的に低下します。血流が届かない胃は収縮力を維持できず、食べたものが胃に溜まりやすくなります。これが長期間続くと、「食べれば苦しくなる」という学習が体に入ってしまい、食前から緊張してしまうという予期不安のサイクルも加わります。

施術の場面で気になるのは、胃アトニーを訴える方の多くに共通する体の所見です。首の前面が引きつれるように硬い、みぞおちを触れると板のように固まっているか、逆に妙にぼんやりして抵抗感がない、横隔膜の動きが非常に浅い。これらが重なっているとき、迷走神経の通り道が慢性的に詰まっていると判断します。迷走神経の幹線が首の前面を通り、横隔膜を貫いて腹腔に入る、という解剖学的な事実がここに直結しています。

長年変わらない胃アトニーの方には、胃のことだけを考えるより、首・横隔膜・腸全体を含む体の緊張パターンを緩める方向が、変化の糸口になることが多くあります。ただしこれは整体によるサポートの範囲であり、医学的な診断や改善効果を保証するものではありません。

実際に多いケース

胃アトニーで当院に来院される方には、いくつかの共通するパターンがあります。

「消化に良いものばかり選んでいるのに変わらない」という方。お粥・うどん・豆腐などを毎食選んでいるにもかかわらず、食後の膨満感が続くケースです。東洋医学的には、脾の変換力(食べ物を気血に変える力)そのものが落ちているため、素材がどれほど消化しやすくても変換できないという状態です。「良い素材を入れても工場が動いていない」という状況に近い見立てをします。

「胃カメラで何も見つからなかった」という方。検査で異常がないと言われても不快感が続き、「これは気のせいなのか」と不安を抱えたまま来院される方が少なくありません。機能的な問題(消化管の動きや感覚過敏)は内視鏡では写らないため、「異常なし」は「問題なし」とは違います。

「ストレスがなくなってから逆に胃の調子が悪くなった」という方。仕事の大きなプロジェクトが終わり、緊張が解けた途端に胃の不快感が出るケースです。アクセルが抜けて副交感神経が一気に優位になったとき、長期間蓄積された疲労が消化器に現れると考えられます。

「食べることが怖くなってきた」という方。食べれば苦しくなるという経験が繰り返されるうちに、食前から胃が緊張するようになるケースです。予期不安が積み重なると、食べることへの恐怖感が生まれ、それ自体がさらに胃を緊張させる悪循環になります。

3つの事例

いずれの事例も効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。

仕事のプレッシャーが続いていたケース

40代、接客業の男性。1年ほど前からランチがほとんど食べられなくなり、無理に食べると午後ずっと胃が重く、集中力が落ちると来院されました。消化器内科で内視鏡検査を受けて異常なし、消化管運動改善薬を処方されたものの改善を実感できないとのことでした。

問診では、顧客対応のプレッシャーが長期間続いており、食事中もスマホが手放せず、食後すぐに仕事に戻る生活でした。首の前面と横隔膜周辺が硬く引きつれており、みぞおちを触れると板のように固まっていました。施術では首・横隔膜の緊張を丁寧にゆるめ、食後に5分だけ静かに横になるセルフケアを提案しました。

数回の施術を重ねる中で「昼に少し食べられる日が出てきた」「食後の重さが以前より早く抜けるようになった」と話してくれました。体の緊張が落ち着いてきたことで、食後の副交感神経への切り替えが起きやすくなった可能性があります。すべての方にこのような変化が出るわけではなく、効果には個人差があります。

育児と家事の重なりで消耗していたケース

30代、子育て中の女性。2人目の出産後から食欲が戻らず、子どもの食事は作るが自分はほとんど食べられないという状態が1年以上続いていました。産後のホルモン変化に加え、睡眠不足と精神的な疲弊が重なっており、脾と腎の両方が消耗しているという見立てでした。

施術では、仙骨・後頭部・みぞおち周辺を中心に緊張をゆるめながら、腎を温めるセルフケア(足湯・三陰交〈内くるぶしの頂点から指4本分上、すねの骨の後ろ際〉を温める)と、食事量を減らして回数を増やすアドバイスをしました。数週間後に「少量でも食べられる日が増えてきた」「夕方に空腹感を感じるようになった」という変化が見られました。産後の回復には個人差が大きく、このような変化が全ての方に起きるわけではありません。

長年どこに行っても変わらなかったケース

50代、女性。10年以上にわたって食後の胃のもたれ感が続き、消化器内科・漢方クリニック・鍼灸院と転々としてきたと来院されました。「もうこの体質だと諦めかけていた」という言葉が印象的でした。

問診で気になったのは、感情を飲み込む習慣が非常に強いことでした。仕事でも家庭でも「私が我慢すれば場が収まる」という生き方を長年続けており、その積み重ねが肝気の停滞と脾虚の深化に繋がっていると見立てました。施術と並行して、感情を一人で全部引き受けない練習、小さなことを誰かに話す習慣を少しずつ取り入れることを提案しました。

数ヶ月の経過の中で「食後の重さが落ち着く日が出てきた」「食べることへの緊張感が少し減った」という言葉が聞かれるようになりました。すべての方にこのような変化が出るわけではなく、効果には大きな個人差があります。

自宅でできるセルフケア

胃アトニーの方が日常でできることをお伝えします。どれも医療行為ではなく、体の緊張をゆるめて回復しやすい土台を整えるためのものです。

食後は15分だけ静かにすること。食後すぐに動くと消化に使われるはずの血流が筋肉に取られます。仰向け・右横向きなどで15分だけ静かにしておくと、副交感神経が働きやすくなります。ただし逆流性食道炎を合わせてお持ちの方は、医師に相談のうえ行ってください。

食事量を全体の7割にする。胃アトニーの方は「頑張って食べなければ回復しない」と思いがちですが、弱った消化エンジンを無理に使うと負荷がかかります。7割程度の量で回数を増やすほうが、胃への負担が軽くなります。よく噛むこと——今より5回多く噛むだけでも違います——を意識すると、唾液のアミラーゼという消化酵素が助けになります。

お腹と腰を冷やさないこと。エアコンの効いた部屋では腹巻きやカイロを活用し、内臓を常に温めてください。内臓が冷えると腎陽が消耗し、胃の動きがさらに落ちます。足湯(40度前後で15分)も腎を温め、消化管の血流を促すセルフケアとして有効です。

足三里を温める習慣をつける。膝のお皿の下外側のくぼみから指4本分下のすねの骨の外側にある足三里は、消化器を整える代表的なツボです。入浴後の温かい状態でやさしく押すか、市販の台座灸(据え置き型のお灸)を当てることで刺激できます。熱すぎる場合はすぐに離してください。

食事中は食べることだけをする。スマホ・テレビ・仕事の心配事を脇に置いて、食事の間だけ「今ここで食べている」ということに意識を向けてください。脳が落ち着くだけで、胃の副交感神経への切り替えが起きやすくなります。

考えすぎを小さく手放す練習。思い悩むことが多い方は、考えていることを紙に一言書き出して「今日はここで止める」と決めるだけでも、脾への負担が軽くなることがあります。完璧に解決しなくていい。書き出して手放す練習を、寝る前の5分だけ取り入れてみてください。

これらのセルフケアは、体の回復を補助するものです。症状が強い場合・急に悪化した場合は、セルフケアより先に医療機関を受診してください。

医療機関との連携について

胃アトニーの疑いがある場合は、まず消化器内科で内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが基本です。胃炎・胃潰瘍・胃がん・食道裂孔ヘルニアなど、内視鏡で確認できる器質的な問題を先に除外することが安全の前提です。

以下のような症状がある場合は、整体の前に医療機関を受診することを強くお勧めします。

短期間で体重が明らかに落ちている場合。食欲低下が続いて体重が減っているなら、消化器の精密検査が必要です。

黒い便・赤い血の混じった便が出る場合。出血の可能性があり、緊急での受診が必要です。

嘔吐が繰り返す場合。特に黄色い液や血が混じる場合は速やかに受診してください。

食べ物のつかえ感が強い場合。食道の異常が隠れている可能性があります。

発熱・強い腹痛が重なる場合。炎症性の疾患が疑われます。

機能性消化管疾患の診断基準やケアの方針については、日本消化器病学会([www.jsge.or.jp](https://www.jsge.or.jp))が公開している「機能性消化管疾患診療ガイドライン」を参考にしてください。整体は医療の代替ではなく補完であり、医師の管理のもとで組み合わせるスタンスです。

FAQ・よくある質問

胃アトニーは整体で変化しますか?

整体が直接的に胃を動かすことはできませんが、自律神経の通り道(首・横隔膜・迷走神経幹)の緊張をゆるめることで、副交感神経が働きやすい体の状態に整えるサポートはできます。効果には個人差があります。

胃カメラで異常がなかったのに症状が続きます。整体に来てもいいですか?

はい、そのような方も来院されています。内視鏡で器質的な異常がないと確認されているなら、機能的な問題(消化管運動・自律神経・内臓知覚過敏)へのアプローチと相性がよい場合があります。来院前に担当医に相談することもお勧めします。

胃アトニーと機能性ディスペプシアはどう違うのですか?

胃アトニーとは、胃の筋肉の収縮力(トーヌス)が低下した状態を指す言葉です。現代医学では機能性ディスペプシア(FD)という診断名に統合されてきており、どちらも「検査で異常なし・消化管機能低下」という共通の状態を指しています。症状の現れ方はほぼ重なります。

胃アトニーがずっと続くのはなぜですか?

自律神経の慢性疲弊、迷走神経の通り道の緊張、内臓知覚過敏の定着、感情を飲み込む生活パターン、これらが複合して長引くケースが大半です。胃だけを対象にしても、体全体の緊張パターンが変わらなければ戻りやすい傾向があります。

冷たいものを飲むと必ず悪化します。これは胃アトニーですか?

冷えで悪化するのは腎陽虚胃寒型(体の炉の火が落ちているタイプ)に多い傾向です。消化器内科での確認を先に受けたうえで、内臓を温めるアプローチが合うかどうかを判断することをお勧めします。

ストレスがなくなれば胃アトニーは落ち着きますか?

ストレス要因が減ることで楽になる方もいますが、長期間続いた自律神経の慢性疲弊や体の緊張パターンは、ストレスの原因が消えても残ることがあります。体の緊張そのものをゆるめる働きかけが並行して必要なケースが多くあります。

食後に横になってはいけないと聞きましたが大丈夫ですか?

逆流性食道炎がある場合は食後すぐの仰向け寝を避けるよう医師から言われることがあります。胃アトニーで逆流がない場合は、食後に静かに横になることで副交感神経が働きやすくなることがあります。どちらが適切かは症状と担当医に確認してください。

子どもでも胃アトニーになりますか?

なることはあります。特に食欲不振・少量で満腹になる・食後のだるさが続く子どもは、消化器内科での確認が先決です。当院の経験では、子どもの消化器症状に、親の疲弊や家庭のエネルギー状態が影響しているケースが少なくありません。

胃アトニーに効果的な食事はありますか?

消化に良い食品(お粥・うどんなど)は負担を減らすという意味で有効ですが、それだけでは脾の変換力そのものは回復しません。冷たい飲食を減らす、食事回数を増やして一回量を減らす、よく噛む、食事中に静かにすることが基本です。具体的な食事内容は医師・管理栄養士にも相談してください。

胃アトニーと肩こり・首こりは関係がありますか?

関係することがあります。迷走神経の通り道である首の慢性緊張は、副交感神経の働きを妨げ、胃の動きに影響する可能性があります。施術の場面でも、首・後頭部が固まっている方に胃の不快感が重なっていることは珍しくありません。

薬を飲んでいますが、整体と同時に受けてもいいですか?

問題ありません。薬を服用中の方も来院されています。薬の変更・中止の判断は必ず担当医にお任せください。整体はあくまで補完的なサポートです。

胃アトニーは何回くらい施術を受ければ変化しますか?

個人差があり、一概にはお答えできません。長期間続いてきた慢性的な体の緊張パターンは、数回の施術だけで根本から変わるものではありません。施術と合わせて生活習慣・食習慣・考えグセの変化が組み合わさったとき、体が少しずつ変化してくることが多い印象があります。

「胃アトニー」と「胃下垂」はどう違いますか?

胃下垂とは、胃が正常位置より下に垂れ下がった状態(X線で確認できる形態変化)です。胃アトニーは胃の筋肉の収縮力(機能)が落ちた状態で、両者は重なることが多いですが別の概念です。いずれも消化器内科で確認してもらうことをお勧めします。

まとめ

福岡市で胃アトニーに悩まれている方へ。

消化に良いものを食べているのに胃が重い、胃カメラで異常がないのに不快感が続く、薬を続けても食べる量が増えない——そんな状態で長年一人で抱えてきた方が少なくありません。

胃アトニーは「胃だけの問題」ではなく、自律神経の慢性疲弊、体全体の緊張パターン、感情を飲み込む習慣との深い関係があります。延べ25,000名を診てきた経験から言えるのは、体の緊張がゆるみはじめると、食後の不快感が少しずつ落ち着いてくる方が多い、ということです。

まずは医療機関で検査を受けること。そのうえで、体全体の緊張をゆるめるサポートとして整体を活用することを検討してみてください。

病院で「異常なし」と言われたけれど、つらさが残っている方。食べることが怖くなってきた方。どこに行っても変わらなかった方。そういった方も含め、一度ご相談いただければと思います。一人で抱え込まず、まず体の緊張をゆるめることから始めましょう。常若整骨院では、カウンセリング・施術・セルフケアをセットで、回復しやすい体の土台づくりをサポートしています。

院長プロフィール

冨高誠治(とみたか せいじ)。常若整骨院(福岡市早良区・西新駅から徒歩圏)院長。施術歴20年、延べ25,000名の施術経験を持つ。整体・気功・東洋医学を軸に、患者さんの体と生き方を丁寧に観る施術を行っている。消化器症状・自律神経の不調・慢性痛・メンタル不調など、検査で異常が見つからない慢性不定愁訴を得意とし、問診・施術・セルフケア指導をセットで提供する。「早く良くなって、早く卒業してもらう」がスタンス。整体師向けの教育活動も行っている。