動悸を感じることが増えたのは運動不足ですか
結論から言うと、動悸が増えた原因を運動不足だけで説明するのは早すぎます。運動不足は体力の低下を通じて動悸を感じやすくする一因にはなりますが、多くの場合、そこに自律神経の乱れや心と腎(じん)の消耗が重なっています。
要点は次の3つです。原因は、運動不足による体力低下と、ストレスによる自律神経の乱れという、性質の違う2つが絡み合っています。整体でできることは、心臓そのものに直接働きかけることではなく、動悸が起こりやすい体の緊張状態をゆるめ、自律神経が働きやすい身体づくりをサポートすることです。この記事は、運動不足のせいだと思って様子を見てきたけれど、動悸が増える一方で気になっている方に向けて書いています。
なぜ運動不足だけでは動悸の説明がつかないのですか
結論として、運動不足は動悸を感じやすくする一因ではありますが、それだけで動悸が増えた理由のすべてを説明することはできません。
体力が落ちると、少し動いただけで心臓が速く強く打つように感じることがあります。これは、運動を続けている人に比べて、同じ動きに対して心臓がより多く働かなければならなくなるためです。階段を上っただけで胸がドキドキする、急いで歩くと息が切れて動悸を感じる、といった経験がある方は、この体力低下の影響を受けている可能性があります。
ただし、じっとしているときや、特に体を動かしていない場面でも動悸を感じる場合、それは体力の問題だけでは説明がつきません。当院で25,000人を施術してきた経験では、安静時にも動悸を訴える方の多くが、運動不足そのものよりも、緊張が抜けない生活が続いていることに共通点を持っています。
動悸とはどのような状態ですか
動悸とは、自分の心臓の拍動を、普段より強く、速く、あるいは不規則に感じる状態です。ドキドキする、脈が飛ぶ、心臓が跳ねるといった表現で語られることが多くあります。
検査を受けても不整脈や心臓の構造的な異常が見つからないまま、動悸だけが続くことは珍しくありません。この場合、自律神経の乱れが背景にあることが多いとされています。自律神経とは、体のアクセルとブレーキのような働きです。緊張したときに働く交感神経がアクセル、休んでいるときに働く副交感神経がブレーキにあたり、心拍数はこの両者のバランスで調整されています。
一時的な動悸との違いは、繰り返す点にあります。運動をした直後やカフェインを摂った後だけ感じるのであれば自然な反応ですが、特にきっかけが思い当たらないのに繰り返し動悸を感じる場合は、体の緊張パターンそのものが関わっている可能性を考えたほうがよい状態です。
整体は動悸にどこまでできますか
結論として、整体は診断や投薬を行う医療行為ではありませんが、動悸が起こりやすい体の緊張状態をゆるめ、自律神経が働きやすいようサポートすることができます。
具体的には、首や肩まわりの緊張をゆるめること、呼吸が浅くなりがちな姿勢を整えること、そして生活の場面についての具体的な助言を行うことです。首の後ろから背中にかけての筋肉がこわばっていると、自律神経の通り道が圧迫され、心拍のコントロールにも影響が及びやすくなります。この状態に体の外側からアプローチできるのが整体の役割です。
一方で、できないこともはっきりさせておく必要があります。胸の痛みを伴う動悸、失神を伴う動悸、脈が異常に速いまたは遅い状態が続く場合、それは整体で扱う範囲を超えています。必ず医療機関を受診してください。整体は医療の代わりではなく、医療と並行して体のケアを行う立場だと考えています。
常若整骨院では動悸をどう見ていますか
当院では、動悸を心臓だけの問題として見るのではなく、カウンセリングと施術とセルフケアをセットで行っています。
まず問診で、どんな場面で動悸を感じやすいかを丁寧に聞きます。「人と話しているとき」「静かな夜、布団に入ってから」「特に理由もなく、ふと感じる」など、動悸の出方には必ずパターンがあります。このパターンが見えてくると、運動不足のせいなのか、それとも別の何かが積み重なっているのかが見えてきます。
施術では、首や肩だけでなく、背中、みぞおち、呼吸に関わる横隔膜まで含めて全身の緊張状態を確認します。動悸を抱える方は、首の後ろが板のように硬くなっていることが多く、そこがゆるむと呼吸が深くなり、心拍のリズムにも変化が出やすくなります。
東洋医学では動悸をどう考えるのですか
東洋医学では、動悸は「心(しん)」という臓の乱れとして考えます。心とは、東洋医学でいう血の巡りと精神活動を主る働きのことです。
さらに、心だけでなく「腎(じん)」という回復力の貯金にあたる働きとの関係も重視します。腎の力が長い年月をかけて少しずつ減っていくと、それを補おうとして心が過剰に働き、燃え上がるような状態になります。これが動悸として現れるという見立てです。当院では「動悸の原因は、心臓そのものにあるとは限らない」と考えています。腎の消耗が根っこにあり、心がそれを支えようと空回りしている状態と見ることが多くあります。
ツボで言えば、内関(ないかん)という場所が関係します。手首の内側、手首のしわから指3本ぶん肘寄りにある、2本の腱の間のくぼみです。心の高ぶりを鎮める場所として知られています。もう一つ、太渓(たいけい)は、内くるぶしの頂点とアキレス腱の間のくぼみにあり、腎の力を補う場所とされています。
自律神経と動悸はどう関係しているのですか
結論として、自律神経のアクセルとブレーキの切り替えがうまくいかなくなると、心拍のリズムが乱れて、動悸として直結しやすくなります。
緊張が続く方は、交感神経(アクセル)が優位な時間が長くなります。すると心拍数が上がりやすい状態が続き、安静にしていても心臓の拍動を強く感じやすくなります。逆に、副交感神経(ブレーキ)がうまく働く時間を作れる方は、心拍も落ち着きを取り戻しやすくなります。
当院で見てきた傾向として、動悸を抱えやすい方には次のようなタイプ分けがあります。
- 緊張が張りっぱなしになりやすいタイプ:常に気を張っていて、休むことに罪悪感を感じる方
- 甘いものに頼りやすいタイプ:疲れたときに甘いものでしのぎ、血糖の急な上下を繰り返している方
- 消耗が積み重なっているタイプ:長年ストレスがかかりっぱなしで、変化がゆっくりな方
どのタイプも、根っこにあるのは「休むことが下手になっている」ことです。責めるべき性格の問題ではなく、体の緊張パターンの問題として捉えることが、変化への第一歩になります。自律神経の乱れ全般については、自律神経失調症についての記事でも詳しく書いています。
動悸を感じやすい方に多いのはどんなケースですか
当院にご相談いただく方の中には、次のような場面を訴える方が多くいらっしゃいます。
日中、人と話しているときに急に胸がドキドキして落ち着かなくなる方。夜、布団に入って静かになった途端、自分の心臓の音が気になって眠れなくなる方。特に運動をしたわけでも緊張する場面があったわけでもないのに、ふと動悸を感じて不安になる方。
共通しているのは、体が休む間もなく気を張り続けているという状態です。これは責任感の強さの表れでもありますが、心臓にとっては常にアクセルを踏まれ続けているような負担が積み重なりやすい状態でもあります。
実際に動悸が楽になった方はどんな経過でしたか
一人目は、40代男性、会社員の方です。管理職になってから人前で話す機会が増え、そのたびに動悸を感じるようになったとのことでした。施術を重ねる中で、首や肩の慢性的な緊張がゆるみ、深く息を吐けるようになったことで、人前に立つ場面でも以前ほど心臓の高ぶりを感じにくくなったと話されています。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
二人目は、30代女性、育児中の方です。子どもの夜泣きへの対応が続き、慢性的な睡眠不足の中で、夜になると動悸を感じるようになっていました。カウンセリングを重ねる中で、自分を後回しにしてきた生活パターンに気づき、少しずつ休む時間を作れるようになったことで、夜の動悸が落ち着いていったとのことです。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
三人目は、50代女性、長年更年期の症状に悩んできた方です。ほてりや不眠とあわせて動悸が続き、どこに相談しても様子見と言われるだけだったと話されていました。施術を通じて体の緊張がゆるみ、生活のリズムを見直していく中で、動悸の回数が徐々に減っていったとのことです。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
動悸は自宅でどうケアすればいいですか
セルフケアとして次のようなものがあります。
- 動悸を感じたら、その場で息を長く吐くことを意識する(吸うより吐く時間を長くする)
- 寝る前のスマートフォンを減らし、夜10時前後に横になる日を週に何日か作る
- 甘いものを空腹時に単体で食べず、食後に少量にとどめる
どれか1つからで十分です。全部を完璧にやろうとする必要はありません。むしろ、きちんとやろうとしすぎることが、かえって体の緊張を強めてしまう場合もあります。できない日があって当然です。真面目さが悪いのではなく、真面目さの向け先が違うだけだと考えてください。
病院と整体、どちらに行くべきか迷ったらどうすればいいですか
胸の痛みを伴う動悸、意識が遠のく感覚、脈が異常に速いまたは不規則な状態が続く場合、それは整体で扱う範囲を超えています。まず医療機関を受診してください。整体は医療行為ではなく、医師による診断や薬の処方の代わりにはなりません。
一方で、病院で検査を受けて心臓に異常がないと言われたのに動悸が続いている場合、それは体の緊張や自律神経の状態が背景にあることが多く、整体でのケアが選択肢になります。必要に応じて医師など専門家と連携しながら進めることも大切です。診断や薬の判断は、必ず医師に相談してください。動悸と自律神経の関係については、厚生労働省 e-ヘルスネットでも一般的な情報が公開されています。
よくあるご質問
動悸が増えたのは運動不足のせいですか?
運動不足も一因にはなりますが、それだけで説明できないことが多くあります。安静時にも動悸を感じる場合は、自律神経の乱れが関わっているケースが少なくありません。
病院で異常なしと言われました。整体に行く意味はありますか?
はい。検査で異常が見つからない場合、体の緊張や自律神経の働きが背景にあることが多く、整体で体をケアすることが選択肢の一つになります。
整体に通えば動悸は良くなりますか?
効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。体の緊張をゆるめ、自律神経が整いやすい状態を作るサポートを行います。
動悸はストレスが原因ですか?
ストレスだけが単独の原因とは言い切れませんが、大きく関わっていることは多くあります。緊張が続くと心拍のリズムが乱れやすくなります。
運動をすれば動悸は改善しますか?
適度な運動は体力を保ち、自律神経を整える助けになることがあります。ただし、動悸がある状態で急に激しい運動を始めるのは避け、まず医療機関で確認することをおすすめします。
何回くらい通えば変化を感じられますか?
個人差がありますが、数回の施術で体の緊張のゆるみを感じ始める方もいます。継続することで動悸の頻度に変化を感じやすくなります。
甘いものと動悸に関係はありますか?
あります。空腹時に甘いものを単体で摂ると血糖が急に上下し、その反応として動悸に似た感覚が起こることがあります。
更年期の動悸にも対応していますか?
はい。更年期に伴う動悸のご相談も多くいただいています。ホルモンの変化と自律神経の乱れが重なりやすい時期として見立てています。
子どもでも動悸を感じることはありますか?
あります。お子さんの場合、緊張やプレッシャーが動悸として現れることがあり、体の緊張をゆるめるケアが役立つことがあります。
気功や東洋医学の考え方は取り入れていますか?
はい。東洋医学の視点で体の状態を見立てたうえで、施術とセルフケアの提案を行っています。
福岡市早良区以外からでも通えますか?
西新駅から徒歩圏にあり、福岡市内外から多くの方にお越しいただいています。
まとめ
動悸が増えて、運動不足のせいだと思いながらも様子を見てきた方へ。病院では異常がないと言われたけれど、動悸が気になり続けている方へ。それは運動不足だけが原因ではなく、自律神経の乱れと体の緊張が積み重なった状態であることが多くあります。
一人で抱え込まず、まずは体の緊張をゆるめることから始めてみませんか。当院ではカウンセリング、施術、セルフケアの提案を通じて、回復しやすい身体づくりをサポートしています。
院長プロフィール
冨高誠治。柔道整復師・鍼灸師。施術歴20年、25,000人を施術。福岡市早良区・西新駅から徒歩圏の常若整骨院院長。東洋医学と身体の両面から、自律神経の働きを整えやすい身体づくりをサポートしている。
季節ごとの体の整え方を、メールでお届けしています。よければ、どうぞ。
▼ 常若だより 登録はこちら
https://my919p.com/p/r/dqRWbTcm











