整体師のアトピー対応方法は、皮膚を追いかけることではありません

私は常若整骨院という院で施術をしています。20年、25,000人の患者さんに、のべ11万回ほど施術をしてきました。今日はアトピーへの向き合い方について、現場で見てきたことをそのまま書きます。

アトピーは、なぜ多くの土地で手薄な症状なのか?

結論から言うと、多くの整体院が筋骨格しか診ないため、アトピーを診られる先生自体が少ないからです。

腰痛や肩こりで検索すると、同業のライバルがずらりと出てきます。ところが、アトピーのような内臓とメンタルにまたがる症状は、対応できる先生がその土地に一人もいないことも珍しくありません。試しに自分の地域名とアトピーで検索してみてください。驚くほど競合の少ない土地が見つかることがあります。

誰でもできる領域はレッドオーシャンです。逆に、根気強く向き合わないといけない症状ほど後回しにされ、ブルーオーシャンとして残ります。

見立て塾の面談であった、開業して数年のある先生の話です。その先生の土地では、アトピーを診られる整体院がほとんどありませんでした。症状ページを一つずつ積み上げて検索で上位に出るようにしたところ、県外からも問い合わせが来るようになったそうです。誰も取りに行っていない症状ほど、少ない本数のページで上位に出やすいということです。

アトピーの原因は、皮膚にあるのか?

結論は、皮膚は最後に出る場所であって、原因の置き場所ではないということです。

東洋医学の考え方では、体は不要なものを段階を踏んで外に出します。まず腸、つまり便で出す。それで出しきれないと汗で出す。それも追いつかないと鼻水や咳で出す。さらに追いつかないと、最後に皮膚から出す。

アトピーは、この一番奥にある皮膚という出口を使っている状態だと私は見ています。同じ流れの途中に、過敏性腸症候群や副鼻腔炎があります。症状名はまったく違っても、同じ金、つまり肺と大腸の弱りが、出口を変えて出ているだけということが少なくありません。

皮膚だけを診ていると、この順番が見えなくなります。問診で腸の調子、汗のかき方、鼻の状態まで聞いて、はじめてその人がどの段階にいるかが分かります。

なぜ「気を使いすぎる人」ほどアトピーになりやすいのか?

結論は、共通しているのは性格の弱さではなく、我慢の量だということです。

現場で診てきたアトピーの患者さんには、共通する傾向があります。気を使いすぎる。優しすぎる。他人を優先する。完璧主義。空気を読みすぎる。

これは過敏性腸症候群や副鼻腔炎の患者さんとも重なる傾向です。言葉で「きつい」と出せない分が、体のどこかの出口に回っていきます。出しきれないと、一番外側の皮膚まで押し出されていきます。

見立て塾の面談でも、同じ話が出ました。こだわりが強い患者さんほど経過が長引く、という現場感です。食事や日用品にまで細かくこだわる方ほど、実は変わりにくい。握りしめている考えが強いからです。

子どものアトピーは、どこを診ればいいのか?

結論は、診る相手は子どもだけではないということです。

子どものアトピーでは、親のエネルギーを引き取っていることがあります。親が忙しかったり疲れていたりすると、子どもがその疲れを引き取って皮膚に出すことがあります。

現場で見た七歳のお子さんの例です。アトピーがあり、あるとき本人から生き物を飼いたいと言い出しました。世話を続けるうちに、まず表情が変わりました。肌が落ち着いたのは、そのあとです。

アトピーの子どもは、かかないで、これは食べないで、と管理される時間が長くなりがちです。親の愛情からくる管理ですが、自分で決める機会が減っている場合があります。自分で決めて、自分で守るものを持てたとき、変化が先に表情に出ることがあります。

ここは伝え方に配慮がいる場所です。親のエネルギーを引き取っている、とそのまま伝えると、頑張っている親御さんを追い詰めます。伝えるときは、まずここまでよく頑張ってこられましたね、と労うところから始めてください。

施術の現場では、何が変化のサインになるのか?

結論は、肌より先に、別の場所が動くということです。

六十代の患者さんの例では、アトピーがひどい時期は汗が出ませんでした。落ち着いてくるにつれて汗が噴き出るようになり、それが心地よかったと話してくれました。汗は出口が戻ったサインです。

二十代の患者さんには、漫画や音楽といった、その人が楽しめることを増やすようお伝えしました。楽しみが増えると体の緊張がゆるみ、皮膚に回っていた分が減っていきます。

別の患者さんは、祭りに参加して大声を出したところ、アトピーが引いたと話していました。声は肺の出口です。一週間分の緊張を皮膚で発散していた体が、声からも出せるようになった、という読み方ができます。

こうした変化は、施術者が触る前から起きていることがあります。問診で「最近、楽しいと感じたことはありますか」と聞くだけでも、見立ての材料になります。

アトピーの患者さんに、何を伝えればいいのか?

結論は、原因を決めつけず、気づく余地を残して渡すことです。

気を使いすぎる、優しすぎるというのは、そのまま長所でもあります。だから「あなたは気を使いすぎです」とそのまま指摘すると、責められたと感じる方もいます。

見立て塾の面談でも、この伝え方が話題になりました。完璧主義を指摘するときは、怒らせないように少しずつ渡す。「もしかして、こういう感じはありませんか」という聞き方にする。本人が自分で気づいたことほど、行動につながりやすいからです。

セルフケアを勧めるときも同じです。何かをやめさせるのではなく、楽しみを増やす、断る練習を一つ増やす、という足し算の提案のほうが受け取ってもらいやすくなります。

触ってもよくならないとき、何を疑えばいいのか?

結論は、技術ではなく、見る順番を疑うことです。

アトピーは、筋骨格だけを診ていると出番の少ない症状です。内臓やメンタルに関わる不調に踏み込むほど、この症状に向き合う機会が増えていきます。

見立て塾の面談であった、開業して数年のある先生からは、アトピーも見るがなかなか変わらない、という相談を受けたことがあります。話を聞くと、皮膚の状態だけを毎回確認していました。

私からは、腸の調子、汗のかき方、鼻の状態まで含めて、その人がどの段階にいるかを先に確認することをお伝えしました。皮膚だけを追いかけると、奥にある本当の詰まりを見落とします。技術が足りないのではありません。見る順番が決まっていなかっただけです。

施術者自身が、この見立てを体感しているかどうかも大きいです。自分自身のセルフケアで実感したことがある施術者の言葉には、説得力が乗ります。私自身、以前ある院で勤めていた時期に、アトピーの患者さんが多く来る土地で数をこなしました。そこで身についた見立てです。

危険なサインが出たとき、どう対応すればいいのか?

結論は、医療機関の受診が先だということです。

急な悪化、広範囲の感染の兆候、これまでにない激しいかゆみで眠れない状態、原因の分からない急な体重の変化。こうしたサインがあるときは、施術より先に皮膚科など医療機関の受診をすすめてください。整体は医療の代わりにはなりません。あくまで、生活と体の使い方を整える手伝いです。

アトピーを診られる整体師が増えると、何が変わるのか?

結論は、患者さんの選択肢が増えるということです。

今、アトピーで悩んで地域名と整体で検索しても、対応している院が見つからない土地は少なくありません。見つからなければ、患者さんは筋骨格系の院を回り続けるか、我慢するしかなくなります。

アトピーを診られる整体師が増えれば、遠方まで通わなくても相談できる場所が増えます。市場が小さいからこそ、一人でも多くの施術者が向き合う価値があります。

リピート率という面でも、アトピーは腰痛や肩こりとは違う動き方をします。良くなるまでの過程が長く、その分、通い続けてもらえる関係を築きやすい症状でもあります。この違いについては別の記事にまとめています。整体がリピートされない理由もあわせて読んでみてください。

よくある質問

アトピーは整体で本当に変化するのですか?

皮膚そのものを施術しているわけではありません。腸、汗、鼻、皮膚という出口の順番を整えたり、気を使いすぎる生活の負担を減らす手伝いをすることで、体が変化していく場面を現場で何度も見てきました。

アトピーの患者さんに、まず何を聞けばいいですか?

便通、汗のかき方、鼻や喉の調子です。皮膚の話をする前にこの三つを確認すると、その人がどの段階にいるかが見えてきます。

ステロイドを使っている患者さんにはどう対応すればいいですか?

ステロイドを否定しないでください。医師の指示に従ってもらいながら、生活の負担を減らす部分で伴走する立場に徹します。整体はあくまで医療と並走する存在です。

子どものアトピーで、親に何を伝えればいいですか?

親御さんを責めない伝え方が大切です。子どもが親のエネルギーを引き取っていることがある、とそのまま伝えると追い詰めてしまいます。まずは、ここまでよく頑張ってこられましたね、と労うところから始めてください。

アトピーと過敏性腸症候群は、どう見分ければいいですか?

出口の場所が違うだけで、体の弱りは同じ金であることが多いです。腸から出ているか皮膚から出ているかの違いとして見ると、問診が整理しやすくなります。

アトピーの施術で使う技術は何が必要ですか?

特別な技術が必須というわけではありません。可動域検査や問診で内臓や生活習慣まで踏み込んで聞く姿勢のほうが、手技の種類より重要です。

地域でアトピーの需要があるかどうかは、どう調べればいいですか?

自分の地域名とアトピーで実際に検索してみてください。対応している院がどのくらい出てくるかで、その土地でどれだけ手薄かが分かります。

アトピーの患者さんの施術頻度はどのくらいが目安ですか?

症状の重さによって幅があります。落ち着いてくるまでは短い間隔で、変化が定着してきたら間隔を空けていく形が現場では多いです。

危険な症状が出たときは、どう伝えればいいですか?

急な悪化や広範囲の感染の兆候、これまでにない激しいかゆみで眠れない状態が出たときは、施術より先に医療機関の受診をすすめてください。整体は医療の代わりにはなりません。

現場で使っている資料は、症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、全部で17本まとめて渡しています。公式LINEから受け取れます。

整体師・鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもあります。今日書いたようなアトピーの見立てや、日々の症例で迷ったことを相談し合う場所です。興味のある方はオープンチャットから入ってきてください。

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この記事は施術者向けに書いています。体の症状で困っている方は、まず医療機関を受診してください。