高額セミナーは怪しいのか|申し込む前に施術者が確かめる5つのこと

夜、予約表を閉じたあとに、セミナーの申込ページを開いている。

金額を見て、一度閉じる。しばらくして、また開く。レビューを探し、講師の経歴を読み直し、いつの間にか日付が変わっている。

独立2年目の私は、これを何度もやりました。リピートが取れず、セミナーとDVDにお金を使い続けて、また今回もだめだった、これが永遠に続くのではないか、と寝る前に寒気がきた時期です。

今日は「高額セミナーは怪しいのか」という問いに、現場の目線で答えます。結論から言うと、高いから怪しいのでも、安いから安心なのでもありません。見るところが別にあります。

高額セミナーは、そもそも怪しいものなのか?

結論は、金額だけでは怪しいかどうかは決まりません。決まるのは、会場を出たあとに何が起きるかです。

高いセミナーの中にも、現場でそのまま使える内容を渡してくれるものはあります。逆に、手頃な金額でも、聞いて満足するだけで終わるものがあります。

怪しいと感じるのは、多くの場合、お金を払ったあとの自分の姿が想像できないときです。

払ったあと、月曜の朝に誰の体にその手技を当てるのか。外れたとき、誰に聞けるのか。ここが描けないまま申し込むと、あとで「怪しかった」と感じやすくなります。

この記事は、講師を疑うためのものではありません。払う前に、自分の側で確かめられることを5つ並べます。

確かめること1:その内容は、いま自分が診ている患者さんに使えるか?

結論は、明日の予約表に載っている誰かの顔が浮かぶ内容を選ぶことです。

私の失敗は、ここにありました。不安になると、自分がいま診ていない症状の手技にまで目が向きます。習えばお客さんの幅が広がる気がする。でも、診る機会が来ない手技は、試す場面がないまま眠ります。

申込ページを開いたら、一度閉じて、こう自分に聞いてみてください。

この内容を、来週の予約の誰に使うか。すぐ一人浮かぶなら、候補です。浮かばないなら、いまの自分には早いか、別の悩みを「手技を増やすこと」で埋めようとしているのかもしれません。

確かめること2:手技だけでなく、使う順番まで教えてくれるか?

結論は、手技の種類より、いつ出すかの順番が語られているセミナーを選ぶことです。

セミナーの会場では、誰でも手技を再現できます。講師が見せて、隣の人と練習して、できた気になって帰ります。

現場でつらいのは、その先です。この患者さんの、どの段階で、その手技を出せばいいのか。ベッドの横で手が止まる数秒は、手技の出来栄えではなく、順番が決まっていないときに起きます。

申込前にできる確認があります。案内ページや説明会で、見立ての手順、つまり何を見て、何を決めて、次に何を触るのかが話されているか。手技の名前と効果の話ばかりで、順番の話が一言も出てこないなら、持ち帰ったあとに迷う可能性が高いです。

確かめること3:講師は、外した話をしているか?

結論は、成功例だけを語る講師より、外した話ができる講師のほうが現場で使える内容を持っています。

私は技術セミナーの講師として全国で教えてきましたが、教える側に回って分かったことがあります。うまくいった話は誰でも話せます。本当に役に立つのは、外した症例の話です。

私自身、回数券で揉めたことがあります。最初の問い合わせの電話で、患者さんを怒らせたこともあります。そうした失敗を語れる講師は、現場で何度も外して、直してきた人です。

逆に、どの症例もきれいに変わった話ばかりで、変わらなかった方の話が一つも出てこない場合は、少し立ち止まってください。現場では、全員が同じように変わることはありません。外れた例が語られないなら、その先の組み直し方も教えてもらえない可能性があります。

確かめること4:いまも、現場で患者さんを診ている人か?

結論は、講師が今も自分の施術台に立っているかを確かめると、内容の鮮度が分かります。

セミナーが商売の中心になると、現場の感覚が薄れていきます。昔の成功体験を話しているだけで、いまの患者さんの傾向や、いまの予約の取れ方とは離れていることがあります。

確認は簡単です。講師が最近の症例を、具体的な場面で話しているか。「先月こういう方が来て」という話が出てくるか。出てくるなら、まだ現場にいます。

もう一つ、見ておくといいのは、講師自身のセルフケアです。セミナーで見たゴッドハンドが、仕事が増えて夜遊びが増え、早く引退した例を私は見ました。同じ場にいた別の達人は、セルフケアを続けて、60代、70代になっても腕が落ちませんでした。腕のある人が、自分の体をどう扱っているか。技術と同じくらい、そこに講師の姿勢が出ます。

確かめること5:払ったあとに、続けられる場所があるか?

結論は、2日間で終わるセミナーより、終わったあとに試した結果を話せる場所があるセミナーのほうが、結果になりやすいです。

私がかつて師匠のセミナーに参加したとき、呼吸法を1日5時間やるように言われました。約50人が受講して、実際に毎日続けたのは5人ほどです。その5人は、いまも難しい症状を診る先生になっています。

内容がよかったから続けたのではありません。続けるのが大変な課題が、はっきり出されていたから、続けた人と続けなかった人が分かれたのです。

セミナーの多くは、会場を出たあとの面倒を見ません。だから、持ち帰ったあとの質問の場があるか、同じ講座を受けた仲間と結果を話せるか、というところが差になります。外れたときに、早めに「うまくいかなかった」と言える相手がいるだけで、答えに近づく速さが変わります。

高額かどうかよりも、払ったあとの時間を支える仕組みがあるかどうか。ここは申込前に必ず聞いてみてください。

怪しいと感じたら、すぐ避けるべきなのか?

結論は、怪しいと感じた理由を言葉にしてから決めるのが一番確実です。

怪しいという感覚は、大事な合図です。ただ、その中身は人によって違います。金額が引っかかるのか、講師の話し方が引っかかるのか、手技の効果を言い切っているのが引っかかるのか。

言葉にしないまま避けると、次のセミナーでも同じ迷いが起きます。言葉にできれば、それが自分の「選ぶ基準」になります。

目安として、次のような言い方には注意してください。

誰でも同じように変わると言い切る。受講後の結果を保証する。すぐに決めないと機会を逃すと急がせる。現場でうまくいかなかったときの説明がない。

こうした言い方は、技術の中身より、売り方に重心が寄っているサインです。ただ、これだけで講師の人柄や内容の価値が決まるわけではありません。説明会や質問の機会があれば、遠慮せず聞いてみてください。誠実な講師ほど、質問に具体的に答えてくれます。

それでも、行くかどうか迷ったとき、何を基準に決めればいいのか?

結論は、行ったあとの最初の一人を決められるかどうかです。

私が独立2年目に感じていた苦しさは、技術が足りないことではありませんでした。持っているのに、使う順番がなかったことです。新しいセミナーに申し込むたびに、少しだけ気が楽になる。でも会場を出ると、また同じ不安が戻ってくる。その繰り返しでした。

変わり始めたのは、新しいものを探すのをやめて、すでに持っている技術をどの順番で使うか、自分の患者さんで一つずつ組み直したときからです。

だから、迷ったときはこう決めてください。

申し込む前に、習ったあと最初に試す患者さんを一人決める。決められるなら、行く価値があります。決められないなら、先にいまの手持ちを見直したほうが、結果に近い場合が多いです。

まずこの3つから。いまの予約表で試す相手を一人浮かべる。手技だけでなく順番を教えてくれるか確かめる。終わったあとに相談できる場所があるか聞く。

見立ての順番という考え方については、見立ての順番の記事にまとめています。セミナーを選ぶ前に読んでおくと、自分に足りないものが見えやすくなります。無料の場との付き合い方は、こちらの記事で書いています。

よくある質問

高額セミナーは、すべて怪しいのでしょうか?

いいえ。金額が高いことと、怪しいことは別です。会場を出たあとに自分の患者さんで使える内容か、順番まで教えてもらえるかで判断してください。

セミナーの口コミやレビューは、どこまで信じていいですか?

参考にはなりますが、決め手にはしないほうがいいです。感想は人によって立場が違います。受講後に現場で何が変わったかを具体的に書いてあるものを、優先して読んでください。

受講後に結果を保証すると言われたら、どう考えればいいですか?

注意してください。現場では全員が同じように変わることはありません。結果の保証より、外れたときの対応や相談の場が用意されているかを確認するほうが、誠実なセミナーを見分けられます。

説明会や無料の体験があれば、行ったほうがいいですか?

行ったほうがいいです。講師の話し方、質問への答え方、手順の説明の具体さが分かります。ただし、その場で急いで決めなくて大丈夫です。持ち帰って、一晩おいて考えてみてください。

何度もセミナーに通っているのに、結果が出ません。選び方が悪いのでしょうか?

選び方より、持ち帰ったあとに試す場面を作れていないことが多いです。次の申込をする前に、すでに習ったものを自分の患者さんで一つずつ使い直してみてください。

金額が高くて、一度に払うのが不安です。

不安は自然なことです。無理に背伸びせず、いまの収入で続けられる範囲を先に決めてください。払ったあとに生活が苦しくなって、学びを現場で試す余裕がなくなるのでは本末転倒です。

講師の経歴や実績は、どう確認すればいいですか?

書籍や公開している症例の話、いまも現場に立っているかを見てください。経歴の数より、直近の症例を具体的な場面で話せるかのほうが、内容の鮮度が分かります。

同じセミナーを受けた人がいない場合、どうすれば続けられますか?

別の勉強会やオープンチャットなど、同業の先生が集まる場で、試した結果を小さく共有してみてください。一人で抱え込んで何ヶ月も黙っているより、早めに話したほうが答えに近づきます。

セミナーに行かず、いまの技術を磨くのも選択肢ですか?

はい。新しい手技を増やす前に、いま持っているものの順番を見直すことは、立派な選択です。私も暇な時期には、新しいセミナーではなく、以前習ったものの復習を選んでいました。

申込ボタンを押すか迷って、毎晩ページを開いてしまいます。

迷っているのは、本気で向き合っている証拠です。押す前に、最初に試す患者さんを一人決められるか、自分に聞いてみてください。決められたら、その迷いは前に進むための準備です。

この記事は、整体師・鍼灸師・柔道整復師など施術者・施術家の方に向けて書いています。体の症状でお困りの方は、まず医療機関を受診してください。

現場で使う資料をまとめてお渡ししています。症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、全部で17本あります。整体師・鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもあります。興味のある方は、公式LINEからお気軽にご連絡ください。オープンチャットの案内もこちらからご覧いただけます。

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