鼠径ヘルニアは女性にも起こりますか|福岡市で見逃されやすい理由を東洋医学で読み解く
結論から言うと、鼠径ヘルニアは女性にも起こります。ただ、男性に比べて頻度が低いために「女性だから違う病気だろう」と思われやすく、見逃されたり、他の病気と診断が入れ替わったりしやすいという特徴があります。
要点は次の3つです。原因は何か、女性の鼠径ヘルニアは、出産や生理周期に伴う腹圧の変化、加齢による筋膜のゆるみが重なって起こります。整体でできることは何か、根本的な処置ではなく、腹圧のかかり方や骨盤まわりの緊張を整え、再発しにくい体づくりをお手伝いすることです。この記事は誰向けか、足の付け根の違和感が続いている女性の方、婦人科や整形外科を回っても原因がはっきりしなかった方、そして手術を終えて体質から整えたいと考えている方に向けて書いています。
なぜ鼠径ヘルニアは女性の場合、見逃されやすいのですか
結論として、女性の鼠径ヘルニアは、男性に比べて発生する頻度そのものが低いうえに、症状の出方が婦人科系の不調とよく似ているため、見逃されやすいという事情があります。
鼠径ヘルニアは男女比でおよそ5対10から1対10ほどとされ、圧倒的に男性に多い病気です。それでも日本では毎年およそ2万人の女性が鼠径ヘルニアの手術を受けているというデータがあり、決して珍しい病気ではありません。問題は、女性の場合、足の付け根の違和感を「生理痛の一種だろう」「股関節が悪いのだろう」と自己判断してしまい、受診そのものが遅れやすいことです。
さらに診断そのものが難しい面もあります。女性の鼠径部にできるヘルニアのうち、16.7パーセントから37パーセントほどは、鼠径ヘルニアではなく「大腿ヘルニア」という別の種類であることが分かっています。大腿ヘルニアは、太ももの付け根の内側にある狭いすき間から腸などが出てしまう状態で、鼠径ヘルニアよりも入り口が狭く、飛び出した部分が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」を起こしやすいという特徴があります。「女性だから鼠径ヘルニアではないはず」という思い込みが、逆に大腿ヘルニアの発見を遅らせてしまうことがあるのです。
年代によって傾向が違うことも、見逃されやすさに関係しています。20代から40代の若い女性では、鼠径部を通る靱帯にできる「外鼠径ヘルニア」が多く、生理周期に合わせて症状が変化することがあります。一方で50代以降になると、加齢による筋膜のゆるみを背景にした「内鼠径ヘルニア」や、先ほどの大腿ヘルニアが増えてきます。年代ごとに違う顔を持つ病気だからこそ、一つの型のイメージだけで「これは違う」と判断してしまう危険があります。当院で25,000人を施術してきた経験の中でも、長年「股関節が痛い」と思い込んでいた方が、実は鼠径部のヘルニアだったというケースに複数回出会っています。なお、立ち仕事や重労働そのものが鼠径ヘルニアの引き金になる仕組みについては、立ち仕事で鼠径ヘルニアになりやすいのはなぜかの記事でも詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
鼠径ヘルニアとはどのような状態ですか
鼠径ヘルニアとは、お腹の中の腸や脂肪が、鼠径部(足の付け根)にある筋膜のすき間から皮膚の下に飛び出してしまう状態です。立ったときやいきんだときにふくらみが出て、横になると引っ込むことが多いのが特徴です。
女性の場合、ヘルニアの袋の中に卵巣や子宮を支える組織の一部が入り込むことがあります。この場合、通常よりも痛みが強く出たり、生理周期に合わせて症状の強さが変わったりすることがあります。若い女性で鼠径部のふくらみが生理のたびに大きくなるようなときは、袋の中に腹水がたまる「ヌック管水腫」や、子宮内膜症の組織が入り込んでいる場合など、鼠径ヘルニアとは別の状態が隠れていることもあり、専門医による見極めが必要です。
医学的には、成人の鼠径ヘルニアが自然にふさがることはなく、有効な薬や運動療法もないため、根本的な対処法は手術のみとされています。放置すると、飛び出した組織が元に戻らなくなる嵌頓という状態になり、緊急手術が必要になることもあります。ここは整体でどうにかできる範囲ではないため、まず正確に知っておいていただきたい部分です。
診断の流れとしては、まず視診と触診で、立った状態と仰向けの状態でのふくらみの変化を確認します。はっきりしない場合は、超音波検査やCT検査で、飛び出している組織の種類や位置を詳しく調べます。女性の場合、鼠径ヘルニアなのか大腿ヘルニアなのか、あるいはヌック管水腫や子宮内膜症の関与があるのかを見極めるために、婦人科的な検査と外科的な検査の両方が必要になることもあります。一度の受診で判断がつかないことも珍しくないため、「まだよく分からない」と言われたときは、経過を見ながら別の検査を提案してもらえるか相談してみるとよいでしょう。
鼠径ヘルニアに整体はどこまでできますか
結論として、整体は鼠径ヘルニアそのものへの医療的な処置ではありません。飛び出した組織を元の位置に戻したり、筋膜のすき間そのものをふさいだりすることは、整体にはできません。これは手術という医療の領域です。
整体でお手伝いできるのは、腹圧がかかりやすい姿勢のクセを整えること、骨盤底や横隔膜の緊張をゆるめて腹圧のかかり方を分散させやすくすること、そして手術の前後で再発しにくい体づくりをサポートすることです。特に女性の場合、出産や育児の姿勢、骨盤底筋のゆるみと連動していることが多いため、鼠径部だけでなく骨盤全体のバランスを見ていく必要があります。手術をするかどうかの判断は、必ず専門の外科医にご相談ください。整体は、その判断の代わりにはなりません。
福岡市で整体を探すとき、何を見て選べばいいですか
鼠径ヘルニアで整体院を選ぶときは、まず「手術の代わりになります」と断言する院は避けてください。前述の通り、鼠径ヘルニアを根本的に解消する方法は手術以外にありません。誠実な院ほど、この線を最初にきちんと説明します。
そのうえで見ていただきたいのは、腹圧のかかる姿勢や骨盤底の状態まで見てくれるか、体の一部分だけでなく全身のつながりで見立ててくれるか、そして女性特有の背景(出産・生理周期・更年期)を踏まえて話を聞いてくれるかどうかです。福岡市早良区・西新エリアで探す場合も、整形外科的な視点だけでなく、東洋医学の見立てを取り入れている院であれば、体質面から再発しにくい体づくりという視点で相談しやすくなります。
初めて相談する院を選ぶときは、初回のカウンセリングで「いつから、どんな場面で症状が出るか」「出産や生理周期との関係があるか」「これまでどんな検査や診断を受けてきたか」をきちんと聞いてくれるかを見てみてください。こうした問診を丁寧に行う院ほど、体を一部分ではなく全体として見ようとしている傾向があります。逆に、問診がほとんどなくすぐに施術に入るような院は、慎重に見極めたほうがよいかもしれません。
常若整骨院では鼠径ヘルニアをどう見ていますか
常若整骨院では、鼠径ヘルニアを「筋膜の弱さ」という一点だけでなく、カウンセリング・施術・セルフケアの3つをセットで見ていきます。
まずカウンセリングで、いつから、どんな場面でふくらみや違和感が出るか、出産や生理周期との関係はあるか、これまでどんな医療機関にかかってきたかを丁寧にうかがいます。次に施術では、鼠径部そのものだけでなく、骨盤底・股関節・横隔膜の緊張、腰から下腹部にかけての力の伝わり方を全身で見ていきます。触診では、鼠径部の周囲だけでなく、股関節の前面がこわばっていないか、みぞおちのあたりが硬く冷たくなっていないか、骨盤の左右で高さの差がないかを確認していきます。25,000人を施術してきた経験の中では、鼠径ヘルニアで来られる女性の多くに、股関節前面の硬さと、みぞおちから下腹部にかけての冷えが共通して見られる印象があります。そしてセルフケアでは、日常でかかる腹圧を減らす動き方や呼吸の仕方をお伝えします。手術をされた方にも、術後の体づくりとして関わらせていただくことがあります。
東洋医学では鼠径ヘルニアをどう考えるのですか
東洋医学では、鼠径部という場所を、単なる筋肉のすき間としてではなく、いくつかの意味が重なる場所として見ます。
まず脾(ひ)の働きです。脾とは、食べたものからエネルギーを作り、それを体の上へ持ち上げる働きを指します。妊娠・出産という大きな仕事を終えたあとの女性は、この持ち上げる力の元になる気と血を大きく消耗しています。産後の体で腹圧が抜けやすくなるのは、筋力の低下だけでなく、脾の力そのものが落ちているからだ、というのが東洋医学の見方です。
次に肝(かん)の経絡です。肝の経絡は、まさに鼠径部を通って走っています。肝は「巡らせる力」を司り、女性の場合は生理周期そのものにも深く関わっています。生理前後にイライラや張りを感じやすい方は、この肝の気の巡りが滞りやすい体質であることが多く、鼠径部の張りが生理周期と連動する背景には、この肝の状態が関係していると考えられます。
そして腎(じん)です。腎は生まれ持った生命力の貯金庫のような場所で、下腹部・下焦(かしょう)にその力が宿るとされます。更年期以降、女性は腎の力(腎精)が目減りしていく時期に入ります。50代以降の女性で内鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアが増えてくるのは、加齢による筋膜のゆるみという体の事実に加えて、腎精が最も削られやすい時期と重なっているから、という見方もできます。
証タイプとして分けるなら、次の3つです。出産による気血の消耗が土台にある気血両虚型、生理周期のたびに気の巡りが滞る肝鬱気滞型、そして更年期以降に下焦の力そのものが目減りしてくる腎精虚型です。多くの方は、年齢や生活背景に応じて、この3つのうちいずれかが強く出ています。
ツボについても触れておきます。血海(けっかい)は膝のお皿の内側の上端から指3本分ほど上にあるツボで、血を補い巡らせる働きがあるとされ、産後の気血両虚型の方に用いられます。三陰交(さんいんこう)は内くるぶしの頂点から指4本分ほど上、すねの骨の後ろぎわにあるツボで、脾・肝・腎の3つの経絡が交わる女性の要となる場所です。太衝(たいしょう)は足の甲、親指と人差し指の骨が合流する手前のくぼみにあるツボで、肝の気を巡らせる働きがあり、生理周期に伴う張りやイライラに用いられます。太渓(たいけい)は内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあるツボで、腎の力を補うとされ、更年期以降の腎精虚型に用いられます。いずれもご自身で優しく押す程度で構いません。
ご自身がどの証タイプに近いか、目安としてお伝えします。気血両虚型は、産後や過去の大きな出血を経験した方に多く、疲れやすさや立ちくらみ、足の付け根の張りに加えて全身のだるさを伴いやすいという特徴があります。肝鬱気滞型は、生理前になると張りが強くなる、イライラや胸のつまり感を伴う、ストレスの多い時期に症状が悪化しやすい、といった傾向が目立ちます。腎精虚型は、更年期以降に多く、足腰の冷え、夜間の頻尿、腰のだるさとともに鼠径部の違和感が出てくることが多いようです。もちろん、これらはきれいに一つに分かれるものではなく、多くの方は複数の傾向を併せ持っています。当院のカウンセリングでは、この3つのどれが強く出ているかを一緒に確認しながら、施術の方向性を決めていきます。
自律神経と鼠径ヘルニアはどう関係しているのですか
自律神経とは、体のアクセルとブレーキのような働きです。緊張しているときに働くアクセル役の交感神経と、休んでいるときに働くブレーキ役の副交感神経が、状況に応じて切り替わることで、体は本来のバランスを保っています。
出産後の育児や、生理周期に伴うホルモンの変動、更年期の体調の波は、いずれも自律神経に負担をかけやすい場面です。交感神経が優位な状態が続くと、呼吸が浅くなり、横隔膜の動きが小さくなります。横隔膜は呼吸のたびに上下してお腹の中の圧力を調整するポンプのような役割を持っているため、その動きが小さくなると、かえって鼠径部という一点に腹圧の偏りが集まりやすくなります。また、慢性的な交感神経優位は骨盤底の筋肉を緊張させたままにし、支える力そのものを弱めてしまうこともあります。
横隔膜と骨盤底は、体の中で上下に向かい合うような関係にあり、片方が緊張すると、もう片方にもその影響が伝わりやすいという特徴があります。産後や更年期で自律神経のバランスが崩れやすい時期は、この横隔膜と骨盤底の連動がうまく働かず、お腹の中の圧力が一部分に集中しやすくなります。鼠径部は、その圧力の逃げ場として負担を受けやすい場所の一つだと考えられます。だからこそ、鼠径部そのものだけを見るのではなく、呼吸の深さや骨盤底の緊張まで含めて体全体を見ていく必要があるのです。育児中の姿勢や自律神経の乱れについては、子宮内膜症が再発するのはなぜかの記事でも、骨盤内の血流と自律神経の関係を詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
鼠径ヘルニアで来られる方に多いのはどんなケースですか
福岡市内でスーパーのレジ業務をされている30代の女性がいらっしゃいました。立ち仕事が中心で、生理前になると決まって足の付け根に張りを感じるようになり、婦人科を受診したものの「特に異常はない」と言われていました。半年ほど様子を見たあと、たまたま受けた外科の検診で鼠径ヘルニアが見つかり、「もっと早く気づいてあげられればよかった」と話されていました。
第2子を出産して半年ほどの40代の女性のケースもあります。出産による腹圧の変化に加え、抱っこや前かがみの家事が続く生活の中で、鼠径部の違和感に気づきながらも「育児で忙しくて自分のことは後回し」の状態が続いていました。
60代の女性は、長年「股関節が痛い」と言われ、整形外科に何年も通っていました。レントゲンでは大きな異常が見つからず、湿布と痛み止めだけの日々が続いていたそうです。ある日、痛む場所が少しふくらんでいることに気づき、別の病院で検査を受けたところ、股関節ではなく大腿ヘルニアだったことが分かりました。「もっと早く分かっていれば、こんなに長く痛みと付き合わなくてよかったのに」と話されていました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありませんが、三者に共通していたのは、女性の体に起こる変化として片づけられ、正確な診断にたどり着くまでに時間がかかっていたことです。
実際に鼠径ヘルニアが楽になった方はどんな経過でしたか
先ほどのレジ業務の30代女性は、鼠径ヘルニアと診断されたあと、手術のタイミングを見ながら週に一度のペースで通われました。初回のカウンセリングでは、立ちっぱなしの勤務が1日8時間ほどあり、休憩中もほとんど座らずに過ごしていることが分かりました。触診では、鼠径部の周囲だけでなく、股関節の前面と骨盤の右側に強いこわばりがあり、右足に重心をかけて立つ癖があることも見えてきました。施術と並行して、立ち姿勢での重心の置き方と、生理前の過ごし方についてお伝えしたところ、1か月ほどで「以前ほど張りを強く感じなくなった」という変化がありました。3か月ほど経った頃には、休憩中に短時間でも座って足を伸ばす習慣がついたそうです。
出産後の40代女性は、最初のカウンセリングで「産後、自分の体を全く労っていなかった」と気づかれた様子でした。触診では、骨盤底の緊張に加えて、横隔膜の動きが浅く、呼吸のたびにお腹全体が動いていないことが分かりました。数回の施術を重ねる中で、骨盤底や横隔膜の緊張がゆるみ、抱っこのときの腰への負担が減ったという変化も出てきました。2か月ほど経つ頃には、夜間の抱っこで腰が張る頻度も減ってきたと話されていました。
大腿ヘルニアだった60代女性は、手術を終えたあと、術後の体づくりとして通われるようになりました。「長年の股関節の痛みは、実は違う場所から来ていた」と分かったことで、体の使い方そのものを見直すきっかけになったそうです。初回の触診では、股関節周りだけでなく、腰から太ももにかけて広範囲の硬さがあり、長年痛みをかばう歩き方をしてきたことがうかがえました。施術を重ねる中で、股関節周りの動きがなめらかになり、歩くときの左右差が減ってきたという変化も見られました。半年ほど経つ頃には、階段の上り下りで感じていた不安感も減ってきたそうです。効果には個人差があり、回復を保証するものではありませんが、いずれの方も、体の緊張がゆるみやすくなったことで、日常の動きが軽くなったと感じていらっしゃいます。
鼠径ヘルニアは自宅でどうケアすればいいですか
自宅でできることとして、3つお伝えします。1つ目は、重い荷物を持つときや立ち上がるとき、抱っこをするときに、一度息を吐いてから力を入れることです。息を止めたままいきむと、腹圧が一気に高まってしまいます。2つ目は、慢性的な便秘がある方は、水分と食物繊維を意識し、トイレでいきみすぎないようにすることです。3つ目は、1日数分でいいので、仰向けで膝を立てて深呼吸をし、骨盤底とお腹全体をゆっくり動かす時間を作ることです。
もう一つだけ、女性の方に知っておいていただきたいことがあります。骨盤底の筋肉は、鼠径部の緊張と密接に関係しています。骨盤底が常に硬く緊張していると、そこから鼠径部にも力の偏りが伝わりやすくなります。骨盤底のセルフケアとしては、椅子に座った状態で、肛門から膣にかけての部分をゆっくり引き上げて5秒キープし、ゆっくり緩める、という動きを数回行うだけでも十分です。強く力を入れる必要はなく、呼吸を止めずに軽く行うことが大切です。
ただし、どれか1つからで十分です。すべてを完璧にやろうとする必要はありません。できない日があって当然です。むしろ、真面目な方ほど「毎日ちゃんとやらなければ」と自分を追い込んでしまい、それ自体が緊張になって、体が休まらなくなることがあります。真面目さが悪いのではなく、その真面目さの向け先が少しだけずれているだけです。まずは1つ、思い出したときにやってみる、くらいの気持ちで十分です。
病院と整体、どちらに行くべきか迷ったらどうすればいいですか
足の付け根にふくらみや違和感があり、鼠径ヘルニアが疑われる場合は、まず外科・消化器外科を受診してください。整体で診断や手術の判断をすることはできません。特に、ふくらみが急に大きくなり赤黒く腫れる、激しい痛みや嘔吐を伴う、ふくらみが横になっても戻らない、といった症状は嵌頓の可能性があり、命に関わることもあるため、迷わずすぐに医療機関を受診してください。
また、股関節の痛みだと思っていたものが実は鼠径部や大腿部のヘルニアだった、というケースもあるため、痛む場所が少しでもふくらんでいる、または生理周期に合わせて症状が変わるという場合は、婦人科だけでなく外科での確認もおすすめします。手術を終えた後や、経過観察をしながら「体質そのものを整えたい」「同じことを繰り返したくない」と感じている段階であれば、整体という選択肢が力になれることがあります。医療と整体は対立するものではなく、役割が違うだけです。まず医療の判断を仰いだうえで、体質面のケアとして整体を活用していただくのが、もっとも安全な進め方です。
参考:日本ヘルニア学会、Mindsガイドラインライブラリ「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024」
よくあるご質問
鼠径ヘルニアは女性にはあまり起こらないと聞きましたが、本当ですか?
男性に比べると頻度は低いですが、女性にも起こります。日本では毎年およそ2万人の女性が鼠径ヘルニアの手術を受けているとされ、決して珍しい病気ではありません。
生理周期によって足の付け根のふくらみが大きくなったり小さくなったりするのはなぜですか?
若い女性の場合、生理周期に伴う腹圧やホルモンの変化で、ヘルニアの袋の大きさが変わることがあります。腹水がたまるヌック管水腫や、子宮内膜症の組織が関わっている場合もあるため、変化に気づいたら一度専門医に相談してください。
妊娠中でも鼠径ヘルニアになりますか?
はい、妊娠による腹圧の増加や、お腹が大きくなることによる筋膜への負担で、鼠径ヘルニアが起こったり悪化したりすることがあります。妊娠中の対応方針は、産科医と外科医の連携のもとで判断されます。
産後に鼠径ヘルニアになりやすいのはなぜですか?
出産によって腹圧が一時的に大きくかかること、産後の骨盤底や腹筋がゆるんだ状態が続くこと、抱っこや前かがみの家事育児で腹圧がかかり続けることが重なるためです。
更年期以降に鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアが増えるのはなぜですか?
加齢による筋膜や筋力のゆるみが進む時期であることに加え、東洋医学では下腹部の力の元になる腎の力(腎精)が目減りしていく時期と重なるためだと考えています。
大腿ヘルニアと鼠径ヘルニアは何が違うのですか?
どちらも足の付け根から組織が飛び出す状態ですが、飛び出す場所と通り道が異なります。大腿ヘルニアは太ももの付け根の内側にある狭いすき間から出るため、鼠径ヘルニアよりも嵌頓を起こしやすいとされ、女性、特に高齢の女性に多く見られます。
股関節の痛みだと思っていたのですが、鼠径ヘルニアの可能性もありますか?
あります。特に痛む場所が少しふくらんでいる、立っているときに強くなり横になると軽くなる、という場合は、股関節そのものではなく鼠径部や大腿部のヘルニアである可能性があります。整形外科だけでなく外科での確認もおすすめします。
鼠径ヘルニアは整体で良くなりますか?
整体だけで鼠径ヘルニアの状態そのものが変わることはありません。根本的な対処法は手術です。整体は、腹圧のかかる生活習慣を整え、再発しにくい体づくりをサポートする立場です。
手術をするかどうか、まだ迷っています
手術のタイミングは症状の程度やご本人の生活状況によって異なるため、必ず外科医にご相談ください。整体はその判断に代わることはできませんが、決断されるまでの体のケアという形でお手伝いはできます。
手術をした後も整体に通う意味はありますか?
はい、あります。手術で筋膜のすき間は修復されますが、腹圧がかかりやすい姿勢や生活習慣そのものが変わっていなければ、別の部位に同じことが起こることもあります。術後の体づくりとして、体全体のバランスを整えることは意味があります。
子どもの鼠径ヘルニアと大人の鼠径ヘルニアは違いますか?
はい、異なります。子どもの場合は生まれつきの構造によるもので、成長とともに手術が必要になることが一般的です。この記事は成人の女性を対象にしています。
施術はどれくらいの頻度で通えばいいですか?
生活の背景やお体の状態によって異なりますが、最初は週に1回程度、状態が落ち着いてきたら月に数回といったペースに移行される方が多くいらっしゃいます。カウンセリングの中で、無理のないペースをご一緒に考えます。
婦人科で「異常なし」と言われましたが、足の付け根の違和感が続いています。どうすればいいですか?
婦人科で異常がないと言われても、外科的な観点でのヘルニアが隠れていることがあります。症状が続く場合は、婦人科に加えて外科・消化器外科での確認も検討してみてください。
鼠径ヘルニアと診断されましたが、痛みがほとんどありません。それでも整体に通う意味はありますか?
痛みが軽い段階でも、腹圧のかかり方や骨盤まわりの緊張は体に蓄積していきます。手術のタイミングまでの間、体質面を整えておくことは、術後の回復や再発予防という観点で意味があります。
骨盤底のセルフケアは、産後何ヶ月から始めても大丈夫ですか?
体調や医師の許可の状況によって異なりますので、まずは産婦人科での診察で問題がないことを確認してから、無理のない範囲で始めてください。強い痛みがある場合は控え、体の状態を優先してください。
更年期以降、鼠径ヘルニアと同時に股関節の痛みも出てきました。両方まとめて相談できますか?
はい、まとめてご相談いただいて大丈夫です。当院では鼠径部だけでなく、股関節・骨盤・腰まわりを含めた全体のバランスとして見立てを行いますので、複数の不調が重なっている場合もお気軽にお話しください。
鼠径ヘルニアと診断されたら、すぐに手術を受けないといけませんか?
必ずしもすぐに手術が必要というわけではなく、症状の程度によっては経過観察となることもあります。ただし、症状が強くなってきた場合や、嵌頓のリスクが高いと判断された場合は、早めの手術が勧められることもあります。方針は必ず外科医と相談して決めてください。
大腿ヘルニアは緊急性が高いと聞きましたが、見分け方はありますか?
自分だけで鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアを見分けることは難しく、専門医の診察が必要です。目安として、太ももの付け根に近い、より下のあたりにふくらみを感じる場合は、大腿ヘルニアの可能性も含めて早めに外科を受診することをおすすめします。
カウンセリングでは、どんなことを聞かれますか?
いつから症状に気づいたか、どんな場面でふくらみや違和感が出るか、出産や生理周期との関係があるか、これまでどんな医療機関にかかってきたかなどをうかがいます。答えにくい内容を無理にお聞きすることはありませんので、お話しできる範囲で構いません。
まとめ
鼠径ヘルニアは、男性の病気だと思われがちですが、女性にも起こります。そして女性の場合、症状の出方が婦人科系の不調と似ていることや、そもそも頻度が低いという思い込みから、正確な診断にたどり着くまでに時間がかかりやすいという事情があります。
大切なのは、足の付け根の違和感を「年齢のせい」「生理のせい」と自分だけで結論づけず、少しでも気になる変化があれば専門医に相談することです。そして診断がついたあとは、手術という医療の力と、体質から整えていく整体の力を、それぞれの役割で使い分けていくことが、再発しにくい体づくりにつながります。福岡市で足の付け根の違和感が続いている方へ。婦人科や整形外科を回っても原因がはっきりしなかった方へ。そして、手術を終えて体質から整えていきたいと考えている方へ。まずは医療機関で正しい診断を受けたうえで、一人で抱え込まず、体の緊張をゆるめることから始めてみてください。当院では、カウンセリング・施術・セルフケアを通じて、その一歩をサポートしています。
院長プロフィール
冨高誠治(とみたか せいじ)。柔道整復師・鍼灸師。施術歴20年、これまでに25,000人を施術してきた経験をもとに、東洋医学と現代の身体理論を組み合わせた施術を行う。福岡市早良区・西新駅から徒歩圏の常若整骨院院長。医療機関との連携を大切にしながら、体質面から回復しやすい身体づくりをサポートしている。











