整体師のオンライン勉強会、無料のものはどう選べばいいのか
結論から言います。無料のオンライン勉強会に出ること自体は、間違いではありません。
間違っているのは、選び方と、出たあとの使い方です。
私は20年、この業界にいます。全国で技術セミナーの講師もしてきました。
延べ11万回、25,000人の患者さんを診てきて、伸びる先生と伸びない先生を何百人も見てきました。
その経験から言うと、無料の勉強会に出た回数と、腕が上がったかどうかは、ほとんど関係がありません。
関係があるのは、その場をどう使ったか、です。
無料の勉強会は、時間の無駄なのか
結論。無駄ではありません。ただし、聞いて終わりにすると、ほぼ何も残りません。
私自身、若いころはセミナー難民でした。カイロ、オステオパシー、筋膜リリース、気功。
高いお金を払って学びに行っても、次の日から施術中の迷いが増えるだけの時期が、5年ほど続きました。
無料のものも、有料のものも、たくさん出ました。
その中で分かったのは、勉強会という場そのものに力はない、ということです。
力があるのは、そこで聞いたことを、自分の患者さんで試して、外して、また直す作業のほうです。
無料の勉強会は、その作業の入り口にはなりますが、作業そのものの代わりにはなりません。
なぜ無料の場で聞いた答えは、身につかないのか
結論。身銭を切っていないし、自分の患者さんで外していないからです。
これは私が長年、整体師さん向けのオープンチャットで会員の相談に答えながら気づいたことです。
繁盛している院に共通しているのは、自分でお金を出して学び、自分の患者さんで試して、外して、直して、自分の型にしてきた、という一点でした。
借り物のままの人は、一人もいませんでした。
逆に、無料の場で答えだけ持ち帰る人は、身銭も切っていないし、自分の患者さんで外してもいません。
だから、その人の中でパターンにならないのです。
聞いた瞬間は分かった気になりますが、翌週にはもう使い方を忘れています。
これは怠けているという話ではありません。
無料の場は、答えを渡すところまでしかできないことが多いからです。
その答えを自分の現場に持ち込んで、失敗して、また持ち帰って聞く、という往復ができる場かどうか。
ここが、意味のある勉強会と、時間だけ過ぎる勉強会の分かれ目です。
技術が足りないから、腕が上がらないのか
結論。違います。技術ではなく、見る順番が決まっていないだけです。
これは施術者向けの発信の中でも、いちばん反応があったところです。
手技を増やしても、迷いは減りません。
むしろ、持っている手技が増えるほど、目の前の患者さんにどれを出せばいいのか、迷う瞬間が増えます。
順番なら、あとから身につけられます。
問診で何を聞くか、可動域検査で何を確認するか、最初に触るのはどこか。
この順番が決まっている先生は、初対面の患者さんでも、迷わず手が動きます。
順番が決まっていない先生は、手技をいくら増やしても、毎回ゼロから考え直すことになります。
無料の勉強会で新しい手技だけを集めても、順番が決まっていなければ、道具箱が増えるだけです。
使うタイミングが分からない道具は、持っていないのと同じです。
良い勉強会と、時間の無駄になる勉強会は何が違うのか
結論。症例で答える場か、知識を配るだけの場かの違いです。
知識を配るだけの場は、講師が一方的に話して終わります。
参加者は、その場では分かった気になりますが、自分の患者さんに当てはめる作業がありません。
症例で答える場は違います。
参加者が自分の実際の症例を出し、それに対して講師が「この場合はここを疑う」「この順番で聞き直す」と答えます。
自分の症例に対する答えは、他人の一般論より、はるかに記憶に残ります。
一度でも自分の患者さんに当てはめて使うと、その知識は二度と抜けません。
勉強会を選ぶときは、講師の実績や肩書きより、まずこの一点を確認してください。
自分の症例を出せる場かどうか。出せない場は、どれだけ有名な講師でも、身につく確率は下がります。
もう一つ、見分け方があります。
質問したときに、その場で具体的な答えが返ってくるかどうかです。
「ケースバイケースです」で終わる場は、講師自身がまだ、その症例を自分の患者さんで潜り抜けていない可能性があります。
逆に、年齢や経過、生活習慣まで聞き返してきて、そこから見立てを組み立てる講師は、実際に修羅場を通ってきた人です。
無料か有料かより、この違いのほうが、あとから効いてきます。
ある先生の例、専門を絞ったまま止まっていた
ここで一つ、実際にあった相談を紹介します。個人が特定されないよう、内容は一般化しています。
開業から数年、スポーツ選手を中心に施術している、ある先生から相談を受けました。
腰痛や膝、足首といった、いわゆる筋骨格系の症状は、しっかり結果を出せる方でした。
ただ、不定愁訴や内臓由来の症状、いわゆる面倒な症例は、意識して避けていました。
理由を聞くと、正直にこう言われました。
面倒でトラブルになりそうな人が来ると、自分が疲れてしまうから、と。
私の答えは、こうでした。
筋骨格だけを見ていても、根本的なところには届きません。
問診をどれくらい取っているか聞くと、そこまで深くは取っていない、という返事でした。
簡単に変化が出る人は、根本原因がそこまで深くありません。
なかなか変わらない人には、たいてい根っこに、致命的なものが一つあります。
それを問診で聞いて、外してあげるだけで、施術への比重がぐっと軽くなります。
この先生には、まず問診の項目を増やすところから始めてもらいました。
食生活、スマホの時間、家族との関係。
筋肉だけを診るのをやめて、その手前にあるものを聞くようにしたところ、それまで避けていた症例にも、少しずつ手が出せるようになっていきました。
技術を増やしたわけではありません。
問診という、見る順番の一つを増やしただけです。
独学とオンライン勉強会、どちらを先にやるべきか
結論。順番は、独学が先です。
自分の中に、何が分かっていて何が分かっていないかという地図がないまま勉強会に出ると、聞いたことすべてが同じ重さに聞こえます。
どれが自分に必要な情報で、どれが今の自分には関係ないのか、判断がつきません。
先に自分の症例を振り返り、どこで詰まっているかをはっきりさせてから勉強会に出ると、聞く姿勢が変わります。
自分の詰まりに関係する話だけが、耳に残るようになります。
同じ勉強会に出ても、得られるものの量が、まったく違ってきます。
無料の場で、本当に得られるものは何か
結論。答えそのものより、自分の症例を出す練習です。
無料の症例検討の場やオープンチャットは、講師から答えを聞くためだけの場ではありません。
自分の症例を、言葉にして人に説明する練習の場でもあります。
うまくいかない先生ほど、症例を人に説明するのが苦手です。
何が起きているのか、自分の中で整理できていないからです。
無料の場で、自分の症例を毎回出してみてください。
説明しようとするだけで、自分がどこを見落としていたかに気づくことがあります。
聞くだけで終わらず、出す場として使う。
これが、無料の勉強会をいちばん意味のあるものに変える使い方です。
私自身、月に一度、症例検討のオンラインライブを開いています。
参加者には事前に症例を提出してもらい、当日はその場で見立てを一緒に組み立てます。
一方的に話すだけの時間はほとんどありません。
出してもらった症例のほうが、こちらが用意した例より、参加者の記憶に残ることが分かっているからです。
無料の場を探すときは、こういう形式かどうかを、まず確認してみてください。
見る順番の作り方については、
施術の見立てをする順番についての記事
でも詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。
一人院長が、勉強を続けられない理由は何か
結論。相談できる相手がいないと、続きません。
一人で開業していると、症例で詰まったとき、その場で誰かに聞くことができません。
自分の中で抱え込んで、次の患者さんが来るまでに答えが出ないまま、施術に入ることになります。
これが続くと、勉強すること自体がつらくなり、いつの間にか足が遠のきます。
無料の場を続けるコツは、内容よりも、同じ場に戻る理由を作ることです。
同業の知り合いができる、次の症例検討の予定が決まっている、そういう小さな理由が、勉強を続かせます。
これは私自身が、開業してからずっと感じてきたことでもあります。
院を一人で回していると、外に出て人と話す時間が、意識しないとどんどん削られていきます。
削られたまま何年も経つと、自分の見立てが正しいのかどうか、確かめる相手すらいなくなります。
そうなる前に、定期的に戻れる場を、一つでいいので持っておいてください。
無料のオンライン勉強会、選び方は何を軸にすればいいのか
結論。自分の症例を出せて、次にまた戻れる場かどうかです。
知識の量や、講師の実績は、二の次で構いません。
それより、自分の詰まりを言葉にできる場か、また来月も相談できる相手がいる場か。
この二つがそろっている場所を選んでください。
よくある質問
オンライン勉強会は無料と有料、どちらがいいですか?
まず無料の場で、自分がどこに詰まっているかをはっきりさせてから、有料の場に進むのがおすすめです。
何も分からないまま高い費用をかけると、内容の半分も自分に活かせません。
無料の勉強会に参加する前に、何を準備すればいいですか?
直近でうまくいかなかった症例を一つ、具体的に思い出しておいてください。
年齢、主訴、経過、自分がどう対応したか。
これを言葉にできる状態で参加すると、得られるものが変わります。
症例検討の場とは、具体的に何をする場ですか?
参加者が自分の症例を出し、それに対して他の参加者や講師が見立てを一緒に考える場です。
一方的に話を聞くだけの勉強会とは、目的が違います。
オープンチャットとオンラインの勉強会は何が違いますか?
オープンチャットは、日常的にいつでも相談できる場です。
勉強会は、決まった時間に集中して学ぶ場です。
両方を持っておくと、詰まったときにすぐ聞ける場と、じっくり学ぶ場の両方が使えます。
勉強会に出ても身につかないのは、なぜですか?
自分の患者さんに当てはめる作業を、その場でしていないからです。
聞いた翌日に、実際の患者さんで一度使ってみるところまでを、一つのセットにしてください。
一人で開業していて、勉強会に出る時間がありません。どうすればいいですか?
無理に時間を作るより、まず一件だけ、直近の症例を誰かに相談してみてください。
続ける理由は、内容より人とのつながりから生まれます。
どんな勉強会を避けるべきですか?
自分の症例を出す機会が一切なく、講師の実績や成功談だけで終わる勉強会です。
聞いて気持ちが盛り上がっても、翌日から何も変わりません。
無料の場だけで、技術は上がりますか?
上がりません。無料の場で得られるのは、きっかけと方向です。
実際に腕が上がるのは、そこで聞いたことを自分の患者さんで試して、外して、直したときだけです。
私はこれまで、症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、現場で実際に使っている資料を、全部で17本まとめて渡しています。
整体師さんや鍼灸師さんだけが集まっているオープンチャットもあります。
自分の症例を出して、その場で一緒に見立てを考える場として使ってもらっています。
入り口はオープンチャットから確認してください。
個別に資料をお渡ししたり、症例のやり取りをしたい方は公式LINEから連絡をください。
現場で見た症例や見立ての考え方は、メールマガジン見立てだよりでも定期的に届けています。
最後に一つだけ。この記事は施術者に向けて書いたものです。
体の症状で強く困っている方は、まず医療機関に相談してください。











