集客できているのにリピートしない整体院の盲点

予約表は毎週埋まっています。

新規の問い合わせも途切れていません。

それなのに、月末の数字は去年とほとんど変わらない。

こういう相談を、見立て塾の面談で何度も受けてきました。先生方は決まってこう言います。集客は頑張っているはずなのに、なぜか積み上がらない。技術が足りないんでしょうか、と。

私は毎回、同じことを聞き返します。直近の新規の方は、何人来て、何人が二回目に来ましたか。

ほとんどの先生が、ここで止まります。答えられないのです。新規の人数は覚えていても、その方が二回目に来たかどうかまでは、数えていません。

今日はこの、集客とリピートのあいだにある見えない盲点についてお話しします。

なぜ新規は来ているのに、売上が積み上がらないのか

結論から言います。新規の数だけを追いかけて、症状ごとのリピート率を数えていないからです。

見立て塾の受講生6名のシートを並べて見返したとき、ある共通点に気づきました。月間の新規人数、再来率、客単価を記録する欄が、6名とも空欄だったのです。真面目に発信を続け、ブログを書き、口コミの返信も欠かさない先生方でした。それでも、自分がどんな症状の方を集めていて、そのうち何人が戻ってきているかを、数字として持っている人は一人もいませんでした。

数えていなければ、気づけません。気づけなければ、去年と同じ入口を、今年も同じだけ広げ続けることになります。これは経営の問題である前に、見る場所の問題です。

なぜ、ここに気づきにくいのか

結論は、予約表が埋まっていると、それだけで安心してしまうからです。

朝から晩まで予約が詰まっていると、忙しさそのものが「うまくいっている証拠」に見えてしまいます。実際は忙しいのに、月末の数字は変わりません。この矛盾に向き合うより、来月の新規をどう増やすかを考えるほうが、気持ちの上では楽なのです。私も独立したばかりの頃、予約表の空きばかり気にして、埋まっている日には何も疑わずに安心していた時期がありました。

25,000人の患者さんを診てきて分かったのは、忙しさと、積み上がっているかどうかは、まったく別の指標だということです。忙しい先生ほど、この二つを同じものだと思い込みやすい傾向があります。

あなたは今、何を集めているか知っていますか

結論を言うと、症状には通う理由がある症状と、ない症状があります。

開業して四年になるある先生から、こんな話を聞きました。新規でいちばん多い主訴は肩こり。けれど肩こりの方は、リピートがあまり良くないというのです。

私はこう答えました。結局、リピート率のいい症状のほうへ、少しずつ移していくしかありません。誰でも診られる症状は、それだけ競合も多く、通院が続きにくい構造になっています。

肩こりを否定しているのではありません。ただ、体の表面に近い症状は、一度ゆるめればその場で軽くなってしまいます。軽くなった実感が、そのまま「もう大丈夫」という気持ちに変わります。だから技術が良ければ良いほど、皮肉なことに、次に来る理由が本人の中に残りにくいのです。

一方で、自律神経の乱れや内臓の疲れが絡む不調は、一度で変わることは少なく、良くなったり戻ったりを繰り返しながら整っていきます。だからこそ、良くなるまでずっと通ってくださる。単価の話をする前に、症状そのものが通院という関係を必要としているかどうかで、結果はほぼ決まっています。

同じ新規1人でも、体の中で起きている深さがまったく違います。表面の筋肉の張りだけを見ているうちは、この違いに気づけません。問診のときに「一番つらいのはいつからか」「生活の中で何を我慢しているか」まで聞いてみると、同じ肩こりという名前の奥に、まったく違う症状が隠れていることが見えてきます。

現場では、どんなことが起きているのか

結論から言うと、習った技術を使えないまま、いつもの手順に戻ってしまう先生が少なくありません。

この先生は、内臓へアプローチするオステオパシーの技術をすでに学んでいました。けれど現場でどう使えばいいのか分からず、患者さんの肩に手を置いたまま、結局いつも通り筋肉をほぐすだけで施術を終えていた、と正直に話してくれました。

せっかく持っている技術が、現場で一度も出番を迎えないまま眠っています。これは珍しい話ではありません。私自身、開業して間もない頃は、症状の名前だけを見て手を動かしていました。肩なら肩、腰なら腰。その場はうまくいっても、次にはつながりませんでした。

技術が足りなかったのではなく、いつ、どの順番でその技術を出すかが決まっていなかっただけです。筋骨格の施術をしながら、同時に内臓の状態も診ていく。骨盤のねじれや冷えが手足の末端の症状につながっている方には、筋肉だけでなく内臓にも触れてみる。持っている技術を、普段の施術の中に混ぜていくだけで、届く深さが変わります。

この先生とはその後も話を続けました。看板を急に書き換える必要はありません。今の患者さんを一人も手放さず、今のやり方の中に少しずつ新しい視点を混ぜていく。これなら、明日の施術からでも始められます。

なぜ同じ肩こりでも、当たる先生と当たらない先生がいるのか

結論は、技術の差ではなく、どこまで診ているかの差です。

同じ肩こりでも、その奥にある自律神経の乱れや内臓の疲れまで診られる先生は、患者さんに次に来る理由を渡せます。表面の痛みだけを追う先生は、痛みが引いた時点でその方との関係が終わります。

以前、通院を続けるかどうかを決めているのは体そのものではなく、患者さん自身の頭の中にある言葉だという話を別の記事で書きました。今日の話は、その手前の段階です。言葉を渡す以前に、そもそも通う理由がある症状を診ているかどうか。ここが見えていないと、どれだけ丁寧に説明しても、土台から届きません。

集客の努力そのものは、無駄になっていないか

結論を言うと、努力は無駄ではありません。ただ、入口を広げる努力と、出口を見る努力は、まったく別の作業です。

新規の問い合わせを増やすためにSNSを更新し、口コミをお願いし、ホームページを整える。どれも大切な仕事です。けれど、その入口から入ってくる症状の性質を見ないまま量だけを増やすと、リピートしない方を大量に生み出す入口を、もっと大きく広げているだけになります。

予約表の枠は毎日埋まっているのに、月末の売上は変わらない。そういう先生に共通しているのは、新規の数字だけを追いかけて、その新規が二回目に来たかどうかを数えていないことです。入口を広げる前に、今の入口から何が入ってきているかを、一度確かめる必要があります。

今日から何を数えればいいか

結論は、直近の新規の方を、主訴ごとに書き出して数えることです。

特別な集計システムはいりません。カルテを見返すだけでできます。肩こり、腰痛、内臓系、自律神経、といったグループに分けて、それぞれ何人が二回目に来たかを数えてみてください。

数えてみると、たいてい差ははっきりと出ます。この差は施術の丁寧さでは埋まりません。症状そのものの性質だからです。数字にして初めて、なんとなくの感覚ではなく、はっきりと自分の状況が見えてきます。

見立て塾では、月間新規、再来率、客単価、見立てにかかる時間、自分の言葉で説明できる症状の数、という五つを管理シートに毎月書いてもらっています。数字そのものに良し悪しはありません。比べる基準を自分の中に持つことが目的です。

技術を増やす前にできることは何か

結論は、新しい技術を足すより先に、今ある技術の向け先を変えることです。

すでに習った技術が、現場で使われないまま眠っている先生を、何人も見てきました。新しいセミナーに行く前に、今持っている技術の中で、まだ組み込めていないものがないかを確かめてみてください。多くの場合、足りないのは技術ではなく、それをいつ差し出すかという順番です。

症状ページを増やすときも、闇雲に数を打つより、自分の地域でまだ誰も書いていない症状を探すほうが近道です。地域名と症状名を掛け合わせて検索し、競合がほとんどいない言葉を一つずつ見つけていく。マニアックに見える症状ほど、探している患者さんにとっては切実で、リピート率も高いことが多いのです。

よくある質問

新規が途切れないのにリピートしないのは、技術が足りないということですか?

いいえ、技術の量の問題ではありません。どの症状を主訴として引き受けているか、その選び方の差であることがほとんどです。

リピート率の良い症状に変える場合、今の看板を全部書き換える必要がありますか?

いきなり書き換える必要はありません。今の患者さんを一人も手放さず、普段の施術の中に少しずつ新しい視点を混ぜていくやり方で十分です。

症状ごとのリピート率は、どうやって記録すればいいですか?

特別なシステムは不要です。カルテを見返して、直近の新規の方を主訴ごとに分け、二回目に来た人数を数えるだけで、傾向は見えてきます。

肩こりや腰痛の患者さんを断ったほうがいいということですか?

そうではありません。肩こりや腰痛そのものが悪いのではなく、表面だけで終わらせず、その奥にある自律神経や内臓の疲れまで診られるかどうかが分かれ目です。

新規集客の広告や発信は、減らしたほうがいいですか?

減らす必要はありません。ただ、入口を広げる前に、今の入口から何が入ってきているかを一度確かめると、同じ労力でも結果が変わります。

持っている技術をどう使えばいいか分からないときは、何から始めればいいですか?

新しい技術を探す前に、今習っている技術の中で、まだ現場で組み込めていないものを一つ選んでみてください。筋骨格の施術の途中に、少しずつ混ぜていくところから始められます。

症状ページを増やすとき、何を基準に選べばいいですか?

自分の地域で、まだ誰も書いていない症状を選ぶことです。ありふれた症状より、マニアックに見える症状のほうが、競合が少なく、リピート率も高い傾向があります。

数字を取っても、何も変わらない気がするのですが?

数字はすぐに結果を変えるものではありません。ただ、自分が今どんな症状を集めているかを知ること自体が、次の一手を決める土台になります。まずは一か月、記録してみてください。

リピート率の良い症状にシフトすると、今来ている患者さんとの関係はどうなりますか?

急に変える必要はありません。今の患者さんとの関係を保ちながら、新しく入ってくる方の比率を少しずつ動かしていくやり方で十分です。実際、今の形を一旦変えずに新しいことをまず取り入れて、少しずつシフトチェンジしていくという進め方で、結果を出している先生もいます。

一人で見返していても、自分の盲点には気づけない気がしますが?

その通りです。自分の予約表やカルテは、自分では当たり前に見えてしまい、何が偏っているのか気づきにくいものです。同業の先生に見てもらう、あるいは数字にして人に説明してみるだけでも、見えていなかったものが浮かび上がってきます。

今日お話ししたような症状別の見立てや、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、現場で実際に使っている資料をまとめて渡しています。全部で十七本あります。整体師さん、鍼灸師さん、柔道整復師さんだけが集まっているオープンチャットでお渡ししていますので、気になった方はこちらからどうぞ。

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この記事は施術者の方に向けて書いています。体の症状でお困りの場合は、まず医療機関の受診をおすすめします。

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