施術一本では厳しいと感じて副業や物販に目が向いたとき、先に見ておく順番があります

施術の合間に手を洗いながら、スマホを開く。物販で月の売上が変わった、という話が流れてくる。

次の予約までは30分ある。気がつけば、商材の資料請求のボタンの上に指が止まっている。

この場面、心当たりのある先生は少なくないと思います。この記事は、施術一本では厳しいかもしれないと感じ始めた先生が、副業や物販に動く前に見ておきたい順番を書いたものです。副業を否定する記事ではありません。順番の話です。

施術一本では本当に厳しいのですか?

厳しいのは施術一本という形そのものではなく、施術の価値が患者さんに届く形になっていない状態であることが多いです。

セミナーの相談で、こんな言葉が届いたことがあります。他の院で修行を積んで、今年開業したばかりの40代の先生です。クイックマッサージから保険適応の院まで経験があり、単価は高めに設定している。新規は紹介のみにしている。それで予約が思うように埋まらず、副業も始めた。前の職場ではオーナーが健康美容商材の物販で当てていたので、施術一本ではやはり厳しいのでしょうか、という質問でした。

この先生は、行動力があります。開業して間もない時期から、将来のことを考えて、自分で次の手を打っている。まず、そのことは認めたうえで読んでください。

ただ、ここに一つだけ、順番の問題が見えます。「施術一本では厳しいのか」という問いの中身を分解すると、実は二つの別々の話が混ざっています。

一つ目は、施術で食べていける形ができていないという話。
二つ目は、収入の柱を複数持ちたいという話。

この二つを同じ引き出しに入れたまま動くと、副業が一つ目の穴埋めになってしまいます。穴埋めの副業は、うまくいかなかったときに、施術も副業も中途半端という状態を生みます。

副業や物販は、やらないほうがいいのですか?

やってはいけないものではありません。ただし、土台は施術で、物販や副業はその上に乗せるプラスアルファです。

私はオープンチャットで、同じ相談にこう返しました。施術という素晴らしい技術を身につけたのだから、まずは施術でしっかり食べていけるようになることを目指してほしい。物販や副業は、施術者としての価値をさらに高めるプラスアルファで、土台はやはり施術です、と。

先生の技術に自信があるなら、その技術で食べていけるようにする道のほうが、近いからです。

物販で当てた人を見ると、物販そのものが優れていたように見えます。でも、そのオーナーの物販が売れた背景には、店に来てくれる人がいて、その人たちとの信頼があったはずです。信頼は、施術の中で積み上がります。物販は、その信頼の上で動いているものです。

信頼のないところに商品だけを並べても、動きません。

なぜ予約が埋まらないとき、副業に目が向くのですか?

予約表の空きを見るのがつらいので、早く効きそうなものを探してしまうからです。

私にも、その時期がありました。独立して2年目、リピートしない状態が1年ほど続きました。セミナーとDVDにお金を使い続けて、予約表の空きを見るたびに、今回もダメだったかと思う。寒気がくるのは、決まって寝る前でした。

あのとき私は、すぐ効きそうなものを探していました。集客のテクニック、新しい手技。副業や物販を探す先生の気持ちは、私にはよく分かります。形は違っても、根っこは同じです。

予約が埋まらないとき、人は二通りの動きをします。

一つは、すぐ効きそうなものを外に探しに行く動き。
もう一つは、手間がかかるけれど重要なことに、時間を使う動き。

私が予約の埋まらない時期にやったのは、後者でした。ブログ、SNS、筋トレ、呼吸法、経営の本、そして以前習ったセミナーの復習です。

手間のかかることは、暇なときにしかできません。予約が詰まっているときは、手間のかかる重要なことに手が伸びないからです。

新しいセミナーには行きませんでした。すでに持っているものを、使える形に掘り直しました。増やすのではなく、持っているものを使えるようにする。これが、あとから振り返ると一番効いていました。

施術で食べていける形とは、何ができている状態ですか?

施術の価値が、患者さんに伝わる言葉になっていて、次の予約につながる流れがある状態です。

ここでいう形は、三つの確認に分けられます。

一つ目は、見立てを患者さんに言葉で渡せているか。
二つ目は、次に来る理由を患者さんが持って帰れているか。
三つ目は、必要としている人に、先生の存在が見つかる場所にいるか。

この三つが整う前に物販や副業を足すと、どこが弱いのかが見えなくなります。売上が動かないとき、原因が施術なのか、伝え方なのか、見つけてもらえていないのか、切り分けられなくなるからです。

見る順番が決まっていないだけで、技術が悪いわけではありません。この考え方は、見立てでも経営でも同じです。見立ての順番については、こちらの記事に書いています。

見立ての順番の決め方

待っているだけでは厳しい時代と聞きますが、どうすればいいですか?

待つ姿勢を変えて、本気で楽になりたい人に見つけてもらう努力を、施術の延長として考えることです。

全国から技術を学びに来る先生方が、口をそろえて話すことがあります。患者さんが以前より、施術にお金を使いにくくなっている、ということです。

私は25,000人の患者さんに、のべ11万回の施術をしてきました。その実感としても、待っているだけで予約が自然に埋まる時代ではなくなっています。

だからといって、物販に走る必要はありません。本気で楽になりたいと思っている患者さんに、先生を見つけてもらう。そのために、発信や経営を学ぶ。それは遠回りに見えて、施術一本で食べていく一番の近道です。

腕に自信のある先生ほど、経営を後回しにしがちです。経営を後回しにしている先生ほど、売上に苦戦している印象があります。技術があるのに、見つけてもらえていない。これはもったいないことです。

先生の仕事は、患者さんを良い方向に導くことに集中することです。そのために経営を学ぶことが、結果としていちばん多くの人に先生の施術を届けることにつながります。

副業を始めるなら、どんな順番がいいですか?

まず施術の柱に手応えを作り、そのうえで副業を選び、副業を施術と競合させない順番がいいです。

具体的には、次の四つを順に確認します。

一つ目。今の施術の中で、再来につながっている患者さんと、つながっていない患者さんを分けて眺める。
二つ目。再来につながっていない患者さんに、共通して何が足りなかったかを書き出す。見立ての言葉なのか、次回の理由なのか。
三つ目。そこが整ってきた手応えを感じてから、副業や物販の検討を始める。
四つ目。副業は、施術の信頼を壊さないものを選ぶ。患者さんに売りつけた印象になるものは避ける。

副業を、施術の穴埋めではなく、価値を足すものとして置く。それだけで、同じ副業でも結果が変わります。

生計の都合で、すぐに別の収入が必要な先生もいると思います。それは恥ずかしいことではなく、制約条件です。その場合は、副業を土台にして施術の時間を守る形を先に決めると、両方が潰れません。

物販は、患者さんにどう伝えれば押し売りに見えませんか?

患者さんの困りごとから入って、必要なら紹介する形にすれば、押し売りには見えません。

物販が嫌われるのは、商品が先に来るときです。患者さんの話を聞く前に、商品の説明が始まる。その空気を、患者さんは敏感に感じ取ります。

逆に、見立てを渡し、生活で何を変えるかを一緒に決め、そのうえで必要なものがあれば紹介する。この順番なら、患者さんにとって商品は先生の続きです。

売れたかどうかではなく、患者さんが次回も来てくれるかどうかで測ってください。物販で一度売れても、次回来なくなったなら、それは失敗です。

副業に動く前に、今日できる確認はありますか?

今日できるのは、直近1か月に来てくれた患者さんを、再来した人としなかった人に分けて眺めることです。

紙1枚あれば足ります。左に再来した人、右にしなかった人。それぞれの初回で、先生が何を伝えたかを思い出して書きます。

再来した人には、見立てを言葉にして渡していた。しなかった人には、施術はしたけれど、次に来る理由を渡し忘れていた。そんな差が見えてくることがよくあります。

この差が見えたら、副業を探す前に、先生の手元にまだ打てる手があると分かります。物販のオーナーが当てた理由も、おそらくこの差の先にあります。信頼が積み上がる形が先にあって、商品はその上に乗っていたはずです。

焦る気持ちが強い時期ほど、新しいものに目が行きます。でも、すでに持っているものを掘り直す。それが、遠回りに見えて一番早い道です。

先生の施術は、すでに誰かを楽にしています。その事実から、順番を組み直してみてください。

よくある質問

施術一本で食べていくのは、やはり難しいのですか?

簡単ではありません。ただ、難しいのは施術そのものではなく、価値が伝わる形を作る部分です。そこが整えば、施術一本でも成り立ちます。

副業を先に始めてしまった場合、やめたほうがいいですか?

やめる必要はありません。ただ、副業に使う時間と、施術を磨く時間を分けて、施術の側の確認も並行して進めてください。

物販で当てた人の真似をしても大丈夫ですか?

真似する前に、その人が物販を売れるだけの信頼をどこで積んだかを見てください。商品だけ真似しても、信頼は真似できません。

予約が埋まらない時期に、何をすればいいですか?

手間はかかるけれど重要なことに使ってください。ブログやSNSの発信、自分の体づくり、以前習ったセミナーの復習などです。新しい手技を増やす方向には行かないでください。

新規は紹介のみにしているのですが、それでも埋まりません。どうすればいいですか?

紹介だけに頼ると、紹介が止まったときに一気に空きます。紹介してくれる人が、先生のことを言葉にして説明できる状態かを確認してみてください。

掛け持ちで施術の時間が限られています。何から手をつけますか?

限られた時間を、症状を絞って数を重ねることに使ってください。全部に対応しようとすると、どれも中途半端になります。

開業したばかりで不安です。焦って動いてもいいですか?

動くこと自体は大切です。ただ、動く方向を決める前に、自分の施術のどこが弱いかを一度書き出す時間を取ってください。

経営の勉強は、何から始めればいいですか?

まず、来てくれた患者さんが次に来る理由を持って帰れているかの確認から始めてください。集客のテクニックは、その後です。

副業をしながら施術の質を保つには?

副業を入れる時間帯を決めて、施術の前後には入れない形にしてください。施術に使う集中力は、思っているより繊細です。

現場で使える資料や、相談できる場所はありますか?

公式LINEとオープンチャットで、資料の受け取りと相談ができます。

現場で使う資料は、公式LINEでまとめてお渡ししています。症状別の見立て辞典、患者さんへの説明の設計図、内臓疲労と体質のチェック表、口コミのお願い文など、全部で17本です。

公式LINE

整体師・鍼灸師だけが集まっているオープンチャットもあります。こうした相談が、日々交わされている場所です。

オープンチャット

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見立てだより

この記事は施術者の方に向けて書いたものです。体の症状でお困りの方は、まず医療機関にご相談ください。

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