間質性肺炎が長引く理由と、整体にできること|肺と腎の東洋医学的なアプローチ(福岡市)
結論から言うと、間質性肺炎に対して整体が直接できることは限られています。肺の線維化そのものを整体で変えることはできません。ただ、20年・25,000人の施術をとおして感じるのは、「医療的な治療を続けながら、体の緊張をゆるめ、呼吸を補助する筋肉の状態を整え、自律神経の働きを落ち着かせること」が、日々の息苦しさの軽減や疲労感の回復に影響しているという実感です。この記事では、間質性肺炎と整体の関係を、東洋医学の視点を交えながら丁寧に説明します。
要点を先にお伝えします。
- 間質性肺炎が長引く背景には、肺の線維化という構造的な問題と、慢性的な自律神経疲弊の両方がある
- 整体でできることは、呼吸補助筋の緊張緩和・自律神経のサポート・全身の回復力を整えること
- 東洋医学では「肺気虚」「肺腎両虚」の体質と見て、肺と腎の両面からアプローチする
- 急性増悪のサインが出たときは整体ではなく医療機関へ。主治医との連携を前提として補完的に使う
なぜ間質性肺炎は長引くのですか
結論として、間質性肺炎が長引く理由の多くは、肺胞壁の線維化という変化が起きているためです。肺の組織が炎症を繰り返すうちに、正常な弾力ある組織が硬い線維状の組織に置き換わり、酸素の交換効率が下がります。
特発性肺線維症(IPF)は間質性肺炎のなかでも最も多いタイプで、日本での有病率は人口10万人あたり約10人、発症率は2.23人と報告されています。「特発性」という言葉が示すとおり、原因が特定できないため、なぜ線維化が起きたかを解明すること自体が難しい。
整体の現場で見てきた経験から言うと、長年にわたって体に緊張を蓄積させてきた方が、この症状に多い印象があります。気を使いすぎてきた。誰かのために頑張り続けてきた。疲れを感じながらも「まだ大丈夫」と動き続けてきた。こうした生活の積み重ねが、肺を中心とした体のエネルギーを少しずつ削ってきたと、東洋医学の視点では見ます。
線維化は進んでいても、体全体の緊張がゆるまり、呼吸を補助する筋肉の状態が整ったとき、「さっきより息が入りやすくなった」と感じる方がいます。整体の立場からできることがあるとすれば、そこです。
線維化そのものへの直接的なアプローチは医療の領域であり、整体はあくまで補完的な関わりです。この点は、記事を通じて繰り返しお伝えします。
間質性肺炎とはどのような状態ですか
間質性肺炎とは、肺の「間質」(肺胞壁・血管・リンパ管などを含む組織)に炎症が起き、線維化が進んでいく病気の総称です。
肺胞は本来、薄くて弾力のある袋状の組織で、空気の酸素が血液に移り、二酸化炭素が排出される場所です。間質性肺炎では、この肺胞壁が炎症によって厚く硬くなり、酸素の行き来が困難になります。
主な症状は、動いたときに強くなる息切れ(労作時呼吸困難)と、乾いた咳(乾性咳嗽)です。走ったり階段を上ったりするだけで息が続かない、いつも体がだるい、という状態が多くの方に共通します。病気が進むと、平地を歩くだけでも息切れが強くなります。
原因はさまざまで、膠原病(関節リウマチ・強皮症・皮膚筋炎など)に関連したもの、薬剤性・過敏性肺炎由来のもの、そして原因が特定できない「特発性」のものがあります。特発性肺線維症(IPF)は国の指定難病(指定難病85)であり、長期にわたる管理が必要な状態です。
急性増悪(感染やストレスを契機として、症状が急激に悪化する)への警戒が特に重要です。整体は症状が安定しているときにのみ補完的に受けるものであり、急性増悪が疑われるときは迷わず医療機関に連絡してください。
間質性肺炎に整体はどこまでできますか
整体にできることと、できないことを最初に明確にします。
できないこと:肺の線維化そのものを変えること。呼吸器内科での投薬(ステロイド・抗線維化薬)の代わりになること。病気の進行を止めること。診断・治療に関わること。
できること:呼吸を補助する筋肉(横隔膜・肋間筋・胸鎖乳突筋・斜角筋)の慢性的な緊張をゆるめ、胸郭の動きを少し保つサポート。自律神経の慢性的な過緊張を整えるサポート(ストレス状態が続くと急性増悪のリスクが高まるとされているため、緊張をゆるめる状態づくりをサポートする)。東洋医学的な見立てで「肺」と「腎」のエネルギーの流れを整える。体全体の回復しやすい環境をつくる土台づくり。
「整体に行けば間質性肺炎が楽になる」という過度な期待は禁物です。医療的な治療を優先したうえで、補完的に体のケアをするという立場を、当院では大切にしています。
25,000人を施術してきた経験から言うと、慢性的な体の緊張を抱えている方は、息苦しさとは別に「体全体がしんどい」という状態になっていることが多い。その緊張をゆるめると、「さっきより呼吸が楽になった気がする」という変化を感じる方がいます。これは肺の線維化が変わったのではなく、補助的な筋肉の硬直が緩んで胸郭が少し動きやすくなった変化と解釈しています。
福岡市で整体を探すとき、何を見て選べばいいですか
間質性肺炎のように、重篤な基礎疾患がある場合に整体を選ぶとき、見るべき点があります。
まず、医療機関との連携スタンスを確認してください。「薬はいらない」「病院に行かなくていい」という姿勢の施術者には近づかないことをお勧めします。整体は補完的な役割であり、主治医の指示のもとで受けることが大前提です。この姿勢が明確かどうかを、最初の問い合わせや初回カウンセリングで確認してください。
カウンセリングの時間が十分にあるかどうかも重要です。症状・生活習慣・ストレスの状況をきちんと聞いてから施術に入る院を選んでください。間質性肺炎では急性増悪のリスクがあるため、体の状態をしっかり把握してから施術を行う姿勢が不可欠です。
東洋医学や自律神経の視点があるかどうかも、見るべきポイントです。肺の補助筋の緊張を整えるだけでなく、全身の体質(肺と腎の関係)から見立てる知識がある施術者のほうが、慢性的な状態に対して丁寧に関われます。
急性増悪時・体調が悪いときは施術を受けないことを、前提として確認してください。息苦しさが急に増した、SpO2(酸素飽和度)が低い、発熱がある、咳が急増したといったときは、整体ではなくまず医療機関です。施術者がその判断を適切に行えるかどうかも、院選びの基準になります。
常若整骨院では間質性肺炎をどう見ていますか
当院では、間質性肺炎の方にカウンセリング・施術・セルフケアをセットで行っています。
まずカウンセリングで、これまでの生活の積み重ねを丁寧にお聞きします。どれだけ長く、どのように体を使ってきたか。どんなストレスが続いてきたか。気を使いすぎてきた生活があったかどうか。仕事や家庭でどんな役割を担ってきたか。これが東洋医学の見立ての土台になります。
施術では、呼吸補助筋(横隔膜・肋間筋・胸鎖乳突筋)の慢性的な緊張をゆるめることを中心にします。肩甲骨まわりが板のように固まっている方が多く、背中の硬さが胸郭の動きを制限していることがあります。体の緊張がゆるむと、横になったときに「さっきより息が入りやすくなった」とおっしゃる方がいます。
セルフケアでは、日常でできる腹式呼吸(吐くことを意識したもの)と、胸を冷やさない生活習慣をお伝えします。「全部やらないといけない」と負担に感じないよう、まず1つだけ、からお伝えしています。
自律神経失調症・喘息・慢性疲労症候群など、呼吸器系や全身の気力低下に関係する症状も当院で多く対応してきました。間質性肺炎はそれらと重なる体質(肺と腎の消耗)があると見ており、同じ方向性でのアプローチを取ります。
東洋医学では間質性肺炎をどう考えるのですか
東洋医学では、間質性肺炎の状態を「肺と腎の両方が弱った状態」として見ます。
東洋医学の「肺」は、呼吸そのものと、気(エネルギー)の出し入れを担います。肺は気を吸い込む力を持ち、その力を「腎」が体の深部に引き込む「納気(のうき)」というしくみがあります。つまり、息を深く吸えるかどうかは、肺だけの問題ではなく、腎の力にも左右されます。
東洋医学では「肺は悲しみ・気の使いすぎによって傷む」とされています。長年にわたって誰かのために頑張り続けてきた方、自分よりも周りを優先してきた方が、肺のエネルギーを慢性的に消耗している傾向があります。
間質性肺炎の方に多い体質の傾向を、3つのタイプで見ていきます。
肺気虚型(はいきょたい)とは、息切れ・乾咳・声が出にくい・疲れやすい・風邪をひきやすい、というタイプです。肺のエネルギーが不足し、体表面を守る「衛気(えき)」(体の外側を守る防衛力)も弱っています。感染症にかかりやすく、免疫の働きが全体的に低下している状態です。生活の中で「人のために気を使いすぎてきた」「悲しみや喪失感が続いてきた」方に多い傾向があります。
肺腎両虚型(はいじんりょうきょたい)とは、動くと著しく息切れが増す・深く息が吸えない・腰や膝がだるい・夜間に頻繁にトイレへ行く、というタイプです。肺が吸い込んだ気を、腎が体の深部に受け取る「納気」の力が低下しています。長年の働きすぎ・加齢による体力の消耗が関係しています。「動いているのに呼吸が追いつかない」という感覚が強い方に多い傾向です。
気陰両虚型(きいんりょうきょたい)とは、乾いた咳・のどが乾く・微熱感・寝汗・体の乾燥感が目立つタイプです。体の潤い(陰)が不足し、体の中に虚熱(余分な熱感)が生じています。慢性的な疲労感と熱っぽさが同時に続く方に多い傾向です。
ツボの場所と、どこにあるかを説明します。
肺兪(はいゆ):背中の上部、第3胸椎棘突起(首から3つ目の飛び出た骨の下)から指幅2本外側の左右にあります。ホットタオルやカイロで温めると、肺の機能をサポートします。
太淵(たいえん):手首の内側で、橈骨動脈が触れる部位(脈を診る場所)の親指側のくぼみ。肺の原穴(げんけつ)と言われ、肺のエネルギーを整える要のツボです。
太渓(たいけい):内くるぶしの頂点とアキレス腱の間のくぼみ。腎の原穴で、腎の力を養います。日常的に押すと、腎のエネルギーを補う補助になります。
足三里(あしさんり):膝のお皿の外側下端から指幅4本下、すねの骨の外側のくぼみ。全身の気を補い、疲れやすい体を底から整えます。
腎兪(じんゆ):腰部、第2腰椎棘突起(ウエストの最もくびれた高さの背骨の骨)から指幅2本外側の左右。腎の機能をサポートするツボです。
自律神経と間質性肺炎はどう関係しているのですか
結論として、自律神経の慢性的な過緊張が、間質性肺炎の経過に影響することがあります。
自律神経は「体のアクセルとブレーキ」のような役割を持ちます。活動時にはアクセル(交感神経)が優位になり、休息時にはブレーキ(副交感神経)が優位になる。この切り替えがスムーズにいかず、アクセルが踏みっぱなしになる状態が慢性ストレスです。
慢性的なストレス状態では、体の免疫機能のバランスが乱れやすくなります。間質性肺炎は自己免疫的な要素が関わることが多く、ストレスによる免疫の乱れは症状の安定に影響することがあると考えられています。急性増悪の誘因として「感染症」と「強いストレス」が挙げられており、自律神経を落ち着いた状態に保つことは、体の安定を保つ上で意味があります。
また、慢性的な緊張状態では、呼吸補助筋(横隔膜・肋間筋・斜角筋)が常に硬直しやすくなります。これが息苦しさをさらに強める悪循環につながります。背中の肩甲骨まわりを触ると、間質性肺炎の方は板のように硬くなっていることが多い。その硬さが胸郭の動きを制限し、わずかな呼吸の余裕を奪っているケースがあります。
体の緊張がゆるまり、副交感神経が働きやすくなると、「今日は少し深く息が吸える」という変化を感じる方がいます。施術で呼吸補助筋の緊張をゆるめ、副交感神経が働きやすい状態をつくることが、整体の立場からできることの一つです。
間質性肺炎で来られる方に多いのはどんなケースですか
当院に間質性肺炎で来られる方に共通するのは、長年にわたって自分よりも周りを優先して動いてきた歴史があることです。
仕事で誰よりも早く出社し、誰よりも遅く帰ってきた。家族のために一番後回しになるのがいつも自分だった。「大丈夫」「まだやれる」という言葉を口癖のように使いながら、体のサインを後回しにし続けてきた。
東洋医学の言葉で言えば、肺は「悲しみや満たされなさ」によって消耗します。「気を使いすぎた生活」が続くと、肺の気が外へ漏れ続け、内側が空洞になっていく。そのうえ、腎の力も長年の働きすぎで底をついてくると、肺から吸い込んだ気を体の深部に受け取れなくなる。深く息が吸えないのは、この「肺と腎のダブル消耗」が背景にあることが多いと見ています。
来院される方の傾向として多いのは、60代以上の男性で、定年退職後や体に余裕ができてから症状に気づいたというケースです。現役中は「なんとか動けていた」が、休んで初めて体の底力がなくなっていたことに気づく。体は正直なので、ゆっくりできるようになって初めて「実はずっとしんどかった」と教えてくれることがあります。
また、膠原病(関節リウマチ・強皮症)に関連した間質性肺炎で来られる方は、その多くが40〜50代の女性で、「長年役割を担いすぎてきた」という背景を持っていることが多い。東洋医学の肺気虚型の見立てに当てはまることが多く、体全体の緊張をゆるめるアプローチが合う傾向があります。
実際に間質性肺炎が楽になった方はどんな経過でしたか
個人差が大きく、回復を保証するものではありません。以下はすべて、主治医のもとで医療的な治療を継続しながら、補完的に当院を利用されてきた方の経過です。
60代男性・元製造業管理職のケースです。特発性肺線維症の診断から1年、薬を飲みながら来院されました。「薬でなんとかなっているが、背中の重苦しさと息が続かない感じがずっとある」とのことでした。施術でとくに肩甲骨まわりと胸椎周辺の筋肉の硬直をゆるめると、「仰向けになるとさっきより息がしやすい」という変化が施術直後にありました。数回の来院後、「夜の息苦しさが少し落ち着いてきた」とおっしゃいました。肺の線維化は変わっていませんが、補助筋の緊張がゆるんだことで楽に感じられる時間が増えたと解釈しています。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
50代女性・強皮症に関連した間質性肺炎のケースです。「リウマチ科に通いながら、呼吸を少しでも楽にしたい」と来院されました。最初のカウンセリングで聞くと、長年にわたって職場と家庭の両方で役割を担いすぎてきた方で、東洋医学の見立てで肺腎両虚型と判断しました。施術と並行して、1日1回の腹式呼吸(吐くことを意識した深呼吸)と、夕食後に胸を温める習慣をお伝えしました。数ヶ月後、「疲れるペースが少し落ち着いてきた気がする」とおっしゃいました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
70代男性・特発性肺線維症のケースです。「主治医から、病気は進むが生活の質を保つことが大切だと言われた。自分でもできることをやりたい」と来院されました。施術後に感じる「体の力が抜けた感覚」が、長らく忘れていた体感だとおっしゃいました。セルフケアを1つ選んでいただき、「朝起きたとき、胸に手を当てて3回だけ深呼吸する」という小さな習慣を続けていただきました。「気持ちが少し落ち着いた」という変化をご本人が感じてくださいました。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
間質性肺炎は自宅でどうケアすればいいですか
以下を3つ挙げます。どれか1つからで十分です。できない日があって当然です。自分を責めないことが、回復の一部です。
吐くことを意識した腹式呼吸を取り入れてください。椅子に座り、背筋をゆるく伸ばします。鼻からゆっくり吸い、口からさらにゆっくり吐きます(吸う時間の1.5〜2倍かけて吐く)。無理に深く吸おうとするより、吐ききることで次の息が自然に入ってきます。朝と夜、各5回でじゅうぶんです。
胸と背中を冷やさないよう心がけてください。肺は冷えに弱い臓器です。外出時は首元と背中を薄手のインナーで守る。夏のクーラーで体が冷えていないか確認する。夜は背中の上部(肩甲骨まわり)にホットタオルや使い捨てカイロを当てると、胸郭まわりの緊張がゆるむ方が多いです。
「できない日があって当然」と先に決めておいてください。間質性肺炎の方は責任感が強く、「きちんとやらないといけない」と感じやすい傾向があります。でも、完璧にやろうとすることが緊張になり、緊張が回復を遠ざけることがある。まじめさが悪いのではなく、まじめさの向け先を少し変えるだけでいい。できた日を一つ褒める習慣のほうが、長続きします。
病院と整体、どちらに行くべきか迷ったらどうすればいいですか
結論として、間質性肺炎の場合は医療機関を必ず最優先にしてください。整体は補完であり、主治医の治療と並行するものです。
次のような症状がある場合は、整体ではなく、すぐに医療機関に連絡してください。急に息苦しさが強くなった(急性増悪のサイン)。SpO2(酸素飽和度)が普段より低い。発熱が出てきた・強い倦怠感が続く。咳が急激に増えた・血痰が出た。体の片側に急な力が入りにくい。
これらは間質性肺炎の急性増悪に関連するサインです。急性増悪は致命的な経過をたどることがあるため、「様子を見よう」とせず、かかりつけの呼吸器科に速やかに連絡することが重要です。
指定難病については、難病情報センターでも詳しい情報が確認できます。
難病情報センター・特発性間質性肺炎(指定難病85)
また、日本呼吸器学会のウェブサイトでも、間質性肺炎に関する市民向けの説明が公開されています。
日本呼吸器学会・間質性肺炎について
症状が安定しているとき、「少しでも体の緊張をゆるめたい」「日常の息苦しさを少し楽にしたい」と思ったとき、整体を補完的に使うことは選択肢の一つです。その際は、主治医に「整体を受けてみたい」と伝え、問題ないか確認してから来院されることをお勧めします。
呼吸補助筋が緊張するとなぜ息苦しさが増すのですか
結論として、呼吸補助筋の慢性緊張は、本来なら使えるわずかな呼吸の余裕をさらに削ります。
間質性肺炎では、肺の酸素交換能力がもともと低下しています。その状態に加えて、呼吸を助けるはずの筋肉(横隔膜・肋間筋・胸鎖乳突筋・斜角筋)が硬く縮んでいると、胸郭が十分に広がれなくなります。ガラス瓶の口を細くしたところに液体を注ごうとするような状態です。肺の中身は変わらなくても、入り口が狭ければ空気は入りにくくなる。
慢性的な息苦しさの中で生活していると、無意識に肩や首を緊張させて「なんとか息を吸おう」とする代償パターンが起きます。これが首・肩・背中上部の慢性的なこりや痛みとして現れます。整体の現場では、間質性肺炎の方の肩甲骨まわりは、触れると石のように硬いことが珍しくありません。
この補助筋の緊張を意図的にゆるめると、胸郭の可動域がわずかに回復します。「わずかに」というのは重要で、劇的な変化ではありません。でも「さっきより息が入りやすい」という変化を感じる方がいます。これは肺の機能が改善したのではなく、入り口が少し広がった変化です。
整体でこのアプローチができるのは、筋骨格系の緊張を手技でゆるめることができるためです。薬や手術でなく、体の緊張に直接働きかける。それが整体が補完的に役立てる場面の一つです。
間質性肺炎が進行したとき、整体の役割はどう変わりますか
症状が進むにつれて、整体でできることの範囲も変化します。初期から中期では、呼吸補助筋の緊張緩和・自律神経のサポート・体質改善の補助が中心です。症状が安定していれば、これらのアプローチが日々の息苦しさに影響することがあります。
病気が進行し、在宅酸素療法が必要な段階になると、整体に求めることは変わってきます。呼吸機能の改善よりも、体全体の緊張をゆるめることによるリラクゼーション・良質な睡眠のサポート・気持ちの落ち着きを取り戻すことが中心になります。
また、急性増悪が多くなる段階では、施術の適応を慎重に判断する必要があります。この段階での整体の役割は、医療機関との緊密な連携のもとで、本人が「体に向き合える」小さな環境を作るサポートに近くなります。
大切なのは、どの段階でも「整体が主役ではない」という姿勢を守ることです。医療的な治療が常に優先であり、整体はその傍らにある補完的なサポートです。病気の進行とともに、主治医に「現在の状態で整体を受けてもいいか」を確認してから来院することが、より重要になります。
よくあるご質問
間質性肺炎があっても整体を受けていいですか?
症状が安定しているとき、主治医が問題ないと判断されたときに限り、補完的に受けることは可能です。急性増悪が疑われるとき・発熱があるとき・息苦しさが急に増しているときは、まず医療機関に連絡してください。整体は症状が落ち着いているときにのみ使うものです。
整体で間質性肺炎の線維化が変わりますか?
変わりません。肺の線維化そのものに対して、整体が直接働きかけることはできません。整体でできるのは、呼吸補助筋の緊張緩和・自律神経のサポート・体全体の回復力を整えることです。医療的な治療の補完として位置づけています。
特発性肺線維症(IPF)でも来院できますか?
来院は可能です。ただし、IPFは経過が予測しにくい難病であるため、施術前に必ず現在の症状・医療機関での治療状況をお聞きします。症状が不安定な時期は施術を控えることもあります。事前にお電話でご相談ください。
施術中に息苦しくなりませんか?
体位(うつぶせ・仰向け)によっては息苦しくなることがあります。施術前にお伝えいただければ、体位の工夫や施術時間の調整を行います。無理のない範囲で進めますので、どうぞ遠慮なくお伝えください。
酸素療法(在宅酸素)を使っているのですが、整体を受けられますか?
在宅酸素を使用されている方の来院は応相談です。施術中も酸素を使用できる環境を整えることが条件になります。必ず事前にお電話でご相談ください。また、主治医に確認を取ってからのご来院をお勧めします。
間質性肺炎は東洋医学でどう見ますか?
東洋医学では「肺気虚」「肺腎両虚」「気陰両虚」の3つのタイプに分けて見ます。肺が弱ることで気のエネルギーが不足し、腎の力が落ちると深く息を吸い込む力(納気)も低下します。この肺と腎の2つの臓器を軸に、全身の気を補うアプローチをとります。
鍼灸と整体、どちらが間質性肺炎に向いていますか?
目的によって異なります。体全体の筋緊張をゆるめ、自律神経を整えることが目的であれば整体が合うことが多い。特定のツボを刺激して肺や腎の機能をサポートしたいなら鍼灸が向いている面があります。当院では東洋医学の見立てを整体に組み込んでいますので、両方の視点を活かしたアプローチをとります。
何回来ればいいですか?
一般的な目安として、最初の1ヶ月は週1回、体の状態が安定してきたら2週に1回、月1回と間隔を開けていく流れをとることが多いです。間質性肺炎は体調が変わりやすいため、体の状態に合わせて柔軟に対応します。急性増悪が起きた場合は施術を中断し、医療機関を優先してください。
福岡市以外から来院できますか?
もちろんです。当院には九州各地からお越しの方もいます。体力的に遠方への移動が難しい場合は、無理のない範囲でご来院ください。まずはお電話でご相談いただければ、施術の方針をお伝えできます。
間質性肺炎で呼吸リハビリをしているのですが、整体と並行できますか?
はい、並行して受けることは可能です。呼吸リハビリは呼吸筋の強化・運動耐容能の向上が目的であり、整体は全身の緊張緩和・自律神経のサポートを目的とします。競合するものではなく、両方を受けている方もいます。呼吸リハビリを担当するリハビリスタッフや主治医にも、整体を受けていることを共有しておくと安心です。呼吸リハビリで体を動かす日と、整体で休める日を分けて組むと、体への負担が偏りにくくなります。
膠原病に関連した間質性肺炎にも対応できますか?
はい、対応できます。膠原病(関節リウマチ・強皮症・皮膚筋炎など)に関連した間質性肺炎は、自己免疫疾患の側面があるため、ストレス管理と体の緊張緩和が特に意味を持ちます。膠原病の治療を担当する科(リウマチ科・皮膚科)との連携を前提に、補完的なケアとして来院いただけます。
施術を受けるときに注意することはありますか?
来院当日に体調が悪いと感じたら、遠慮なくキャンセルしてください。また、施術前に直近の体調(SpO2の変化・息苦しさの程度・服薬の状況)を教えていただけると、安全な施術につながります。ご自身の判断で無理に来院せず、体調が安定しているときだけ来院されることが大原則です。
間質性肺炎の体質改善に食事は関係しますか?
東洋医学では、肺を養う食材として白い食べ物(れんこん・梨・白ごま・豆腐・豆乳)が挙げられます。体の乾燥を防ぐ潤い系の食材を意識することは、肺気虚型や気陰両虚型の体質には合っています。一方で、冷たい飲み物・刺激物・乾燥した食環境は肺に負担をかけやすいとされます。食事で線維化が変わるわけではありませんが、体の回復しやすい状態を整える一助にはなります。主治医や栄養士の指導がある場合は、そちらを優先してください。
間質性肺炎と診断されて精神的につらいのですが、整体は気持ちにも影響しますか?
はい、体の緊張がゆるむことで、気持ちが少し落ち着く方がいます。難病と診断されたとき、不安や恐怖が続くのは自然なことです。体が硬直しているとき、人は精神的にも緊張しやすい。逆に、体がゆるむと「少しだけ呼吸が楽になった」「少し休めた」という感覚が、気持ちの余裕につながることがあります。精神的なつらさが強い場合は、心療内科・精神科にご相談いただくことも大切です。整体はその補完として、体の緊張から少し解放される時間を提供できます。
まとめ
間質性肺炎と診断されて、息苦しさが続く毎日を過ごされている方へ。
医療的な治療を続けながら、「自分でもできることをやりたい」と思うのは自然なことです。整体が肺の線維化そのものを変えることはできません。ただ、呼吸補助筋の緊張をゆるめること・自律神経を落ち着かせること・体全体の回復しやすい状態を整えることは、毎日の息苦しさや疲れを少し変えることに関係しているかもしれません。
症状が安定しているときに、補完的なケアのひとつとして整体を取り入れることは選択肢の一つです。一人で抱え込まず、体の緊張をゆるめることから始めてみてください。福岡市でそのお手伝いができることを、当院は大切にしています。
気を使いすぎてきた方に多い病気だと、東洋医学では見ています。ならば、これからは少しだけ自分に向ける時間を作ることが、体への最初のギフトになるかもしれません。今日できることは、夜に胸を温めること、あるいは吐くことを意識した深呼吸を3回だけすること。そこから始めてください。
院長プロフィール
冨高誠治(とみたか・せいじ)。柔道整復師・鍼灸師。常若整骨院(福岡市早良区・西新駅から徒歩圏)院長。施術歴20年、25,000人の患者さんにのべ11万回の施術をおこなってきた経験から、体の不調の根本を「心・考えグセ・生活習慣」から読み解くアプローチを実践しています。女性自身掲載、全国で技術セミナー講師。東洋医学と整体を組み合わせた見立てで、一人ひとりの体質に合わせたサポートを行っています。間質性肺炎のような難病を抱えながら来院される方にも、医療機関との連携を前提に、呼吸補助筋の緊張緩和・自律神経のサポート・体質に合わせたセルフケアの指導を行っています。











