顎関節症は歯科と整体、併用してもいいですか?|福岡市・常若整骨院
結論から言うと、顎関節症は歯科と整体を併用して問題ありません。ただし役割がまったく違うことを知っておく必要があります。
要点は次の3つです。原因は何か=関節そのものの異常と、顎の周りの筋肉の緊張という、2つの問題が重なっていることが多いです。整体でできることは何か=噛み合わせの診断やマウスピースなどの器具の作成はできませんが、顎や首、肩の緊張をゆるめ、自律神経の働きを整えやすい身体づくりをサポートできます。この記事は誰向けか=歯科で顎関節症と診断された、あるいは診断は受けていないが顎の違和感が続いていて、整体を併用してよいのか迷っている福岡市の方向けです。
顎関節症とはどのような状態ですか
顎関節症とは、顎の関節やその周りの筋肉に負担がかかり、口を開けるときの痛みや音、開きにくさといった症状が出る状態です。公益社団法人日本顎関節学会も、顎関節やその周囲の筋肉、靭帯に起こる障害の総称として位置づけています。
症状の出方には個人差があります。朝起きたときに顎がだるい方もいれば、会話中や食事の最中に音が鳴る方、口が指2本分も開かないほど硬くなっている方もいます。当院に相談に来られる方を見ていても、症状の強さと本人のつらさの大きさは必ずしも一致しません。軽い音だけでも不安になって受診を考える方もいますし、開口障害があってもしばらく様子を見てしまう方もいます。
顎関節症は歯科と整体、併用してもいいですか
結論として、併用は可能です。理由は、歯科と整体が見ている場所がそもそも違うからです。
歯科(口腔外科)は、顎関節そのもの、つまり骨や関節円板、噛み合わせという「硬い部分」を診ます。レントゲンやMRIでの画像診断、噛み合わせの調整、マウスピースの作成は歯科でしかできません。
一方で整体が関わるのは、顎の周りの筋肉や、首・肩・背中の緊張、そしてその緊張を生み出している自律神経の状態という「やわらかい部分」です。関節そのものを動かしたり噛み合わせを変えたりすることはできませんが、咬筋やこめかみの筋肉のこわばりをゆるめ、体の緊張を抜きやすくすることはできます。
当院で25,000人を施術してきた経験の中でも、歯科でマウスピースを使いながら、体の緊張へのケアを並行して受けている方は珍しくありません。片方だけで完結させる必要はなく、歯科で関節と噛み合わせを診てもらいながら、整体で全身の緊張を抜いていく、という分担で考えていただくとわかりやすいと思います。
歯科ではどこまで対応してもらえますか
歯科、特に口腔外科では、顎関節症の診断と、関節そのものへの対応を一貫して担ってもらえます。問診と触診に加え、必要に応じてレントゲンやMRIによる画像診断を行い、関節円板の位置や骨の状態を確認します。
軽度の症状であれば一般歯科でマウスピース(スプリント)を作成してもらい、就寝中の歯の食いしばりによる関節への負担を減らす対応が中心になります。開口障害が強い場合や、関節円板のずれが疑われる場合は、口腔外科でより専門的な検査と対応が必要になることもあります。マウスピースの製作から調整まで、通院が数回に分かれることが多く、根気のいる過程です。
整体では顎関節症のどこにアプローチできますか
整体がアプローチできるのは、顎そのものではなく、顎の緊張を生み出している周辺の状態です。咬筋やこめかみの筋肉、首や肩、背中の緊張は、顎の筋肉と連動していることが多く、そこがこわばっていると、顎にも常に力が入りやすくなります。
当院では、顎だけを単独で見るのではなく、頭から背中、骨盤までの全身の緊張のつながりとして見ていきます。特に、日中の無意識の食いしばりや、睡眠中の歯ぎしりは、本人が自覚しにくいため、体の緊張を通して間接的に気づいていただくことが多くあります。噛み合わせや関節の構造そのものを変えることはできないという前提のうえで、体の緊張を抜き、自律神経の働きを整えやすい身体づくりをサポートする、というのが整体の役割です。
なぜ顎関節症に自律神経やストレスが関係するのですか
結論として、精神的な緊張が顎の筋肉を緊張させ、噛み合わせのバランスを崩すことが、顎関節症の背景によくあります。
ストレスを感じると、本人が意識しないうちに歯を強く食いしばったり、睡眠中に歯ぎしりをしたりすることが増える傾向があります。交感神経が優位な状態が続くと、顎を動かす筋肉への負担が増え、噛みしめが起こりやすくなるとも言われています。自律神経とは、体のアクセルとブレーキのような働きで、緊張しているときに働くアクセル(交感神経)が入りっぱなしになると、顎の筋肉も休む機会を失います。
睡眠の浅さや、不安を感じやすい状態が続いていることも、顎関節症を誘発する要因として挙げられています。顎だけを見るのではなく、普段の生活でどれだけ気を張っているかという視点を持つことが、長引く顎関節症を考える手がかりになります。
東洋医学では顎関節症をどう考えますか
東洋医学では、顎関節症のような体の緊張は「肝」の乱れと関連づけて考えます。肝とは、東洋医学で言う自律神経の働きに近いもので、怒りやストレスといった感情の影響を強く受ける臓腑です。肝の気の巡りが滞ると、体の各所に緊張として現れやすく、顎や首、肩といった、普段から力の入りやすい場所に集まりやすいと見ています。
ツボで言うと、太衝(たいしょう)は足の甲、親指と人差し指の骨が合流する手前のくぼみにあり、肝の高ぶりを落ち着かせるツボとして知られています。頬車(きょうしゃ)は、耳の下から下顎の角に向かって指でなぞったときに、力を入れると膨らむ咬筋の上にあり、顎の緊張そのものに触れるツボです。いずれも強く押しすぎず、気持ちいいと感じる程度の圧で、ゆっくり呼吸しながら触れていただくのがよいと思います。
歯科と整体を併用するとき、どんな順番で考えればいいですか
結論として、まず歯科で関節と噛み合わせの状態を確認してもらい、そのうえで体の緊張のケアを並行する、という順番が安心です。
開口障害や強い痛みがある場合、関節そのものに問題が起きている可能性があるため、自己判断で整体だけに通うのは避けたほうがよいと考えます。歯科でマウスピースなどの指示が出ている場合は、その指示を優先しながら、整体では全身の緊張をゆるめることに専念する、という役割分担がわかりやすいです。歯科での方針を無視して、整体の施術だけで関節の問題そのものが変わると考えるのは誤解になりますので、そこは分けて捉えていただきたいところです。
実際に顎関節症が楽になった方はどんな経過でしたか
当院に相談に来られた方の傾向から、一般的な経過として3つの例を紹介します。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
1人目は、仕事の繁忙期が続いていた40代の会社員の方です。歯科で噛み合わせを確認済みで、顎そのものに大きな異常はないと言われていましたが、全身のこわばりが強く、顎にも常に力が入っている状態でした。体の緊張を抜く施術を重ねる中で、肩や首の力みが少し抜け、顎に力が入っていることに自分で気づけるようになったと話されていました。
2人目は、育児中で呼吸が浅くなっていた30代の女性です。子どもから目を離せない時間が続き、気づかないうちに歯を食いしばっていたそうです。深い呼吸を意識する時間を増やしたことと、体の緊張をゆるめる施術を組み合わせたことで、就寝前の肩のこわばりが和らぎやすくなったとのことでした。
3人目は、長年マウスピースを使いながら、日中の食いしばりが気になっていた50代の方です。歯科でのマウスピースの調整を続けながら、整体で全身の緊張へのケアを並行し、日中に顎へ力が入っている瞬間を自分で緩めやすくなったと話されていました。
自宅でできるセルフケアはありますか
次の3つのうち、どれか1つからで十分です。すべて完璧にやろうとする必要はありません。
1つ目は、日中、ふと気づいたときに「歯と歯を離す」ことです。食事や会話をしていないとき、上下の歯は触れていないのが自然な状態です。2つ目は、就寝前にスマートフォンを見る時間を少し減らし、深呼吸を3回ほど行うことです。3つ目は、頬車のあたりに手のひらを当てて、ゆっくり呼吸しながら温めることです。
できない日があって当然です。真面目に3つ全部をこなそうとすること自体が、かえって肝を張らせる作業になってしまうことがあります。真面目さが悪いわけではなく、その真面目さの向け先が違うだけですので、できなかった日に自分を責める必要はありません。
病院を受診した方がいいのはどんな場合ですか
次のような場合は、整体より先に歯科(口腔外科)や医療機関の受診を優先してください。口が指2本分も開かないほどの開口障害がある、強い痛みが1週間以上続いている、会話や食事に明らかな影響が出ている、顎の音に加えてしびれや麻痺がある、原因不明の体重減少を伴う、といった場合です。
整体は医療行為ではなく、診断やマウスピースなどの器具の作成はできません。関節そのものに問題が疑われる場合は、まず歯科や口腔外科で検査を受け、必要に応じて医師や歯科医師の判断のもとで進めていただくことが大切です。整体は、そのうえで体の緊張をゆるめ、回復しやすい身体づくりをサポートする立場です。
よくあるご質問
顎関節症は整体だけで良くなりますか?
関節そのものの問題は整体だけでは対応できません。噛み合わせや関節円板の異常が疑われる場合は、まず歯科での検査を優先してください。整体は体の緊張をゆるめるサポートとして併用するのが現実的です。
歯科で異常なしと言われたのに顎の違和感が続くのはなぜですか?
関節の構造そのものに問題がなくても、顎の周りの筋肉の緊張や、自律神経の乱れが違和感として残っていることがあります。画像検査では映りにくい筋肉の状態は、体を触って確認する施術のほうが気づきやすいこともあります。
マウスピースを使いながら整体に通ってもいいですか?
問題ありません。マウスピースは就寝中の噛み合わせの負担を減らすためのもので、整体は日中の筋肉の緊張や自律神経へのケアです。役割が異なるため、併用して矛盾は起きません。
整体に通う前に歯科に行くべきですか?
強い痛みや開口障害がある場合は、先に歯科で関節の状態を確認してもらうことをお勧めします。軽い違和感程度であれば、どちらから始めても大きな問題はありません。
顎関節症とストレスは本当に関係がありますか?
関係があると考えられています。ストレスで交感神経が優位になると、無意識の食いしばりや歯ぎしりが増え、顎の筋肉への負担が強くなる傾向があるためです。
顎関節症は自然に治まることもありますか?
軽度の場合、生活のストレスが落ち着くことで症状が和らぐケースもあります。ただし関節の構造的な問題がある場合は自然な回復が難しいこともあるため、長引く場合は歯科で確認することをお勧めします。
子どもでも顎関節症になりますか?
子どもにも起こることがあります。姿勢の癖や、片側だけで噛む習慣が関係している場合もあるため、気になる様子があれば一度歯科で相談されることをお勧めします。
顎関節症の施術で痛みはありますか?
当院の施術は、強い刺激で押し込むようなものではなく、心地よいと感じる範囲で体の緊張をゆるめていくものです。痛みを伴う無理な施術は行いません。
福岡市で顎関節症の相談ができる整体院はありますか?
当院(常若整骨院・福岡市早良区)では、顎や首、肩の緊張、自律神経の状態を含めて相談いただけます。関節そのものの診断は歯科の領域になるため、必要に応じて歯科受診もご案内しています。
どのくらいの頻度で通えば変化を感じやすいですか?
体の状態によって個人差がありますが、まずは数回通っていただき、緊張の抜けやすさの変化を見ながら頻度を相談していくことが多いです。
顎関節症は何歳くらいから増えますか?
年齢を問わず起こりますが、仕事や家庭でのストレスが重なりやすい20代から40代、また更年期前後の女性に相談が増える印象があります。
まとめ
顎関節症は、関節そのものを診る歯科と、体の緊張や自律神経を整える整体、どちらか一方で完結させるものではありません。福岡市で顎の違和感が続いている方、歯科でマウスピースを使いながらも体の緊張が気になっている方へ。一人で抱え込まず、まずは歯科で関節の状態を確認したうえで、体の緊張をゆるめることから始めてみてください。当院では、カウンセリングと施術、セルフケアの提案を通じて、回復しやすい身体づくりをサポートしています。
院長プロフィール
冨高誠治(とみたか せいじ)。柔道整復師・鍼灸師。施術歴20年。福岡市早良区・西新駅から徒歩圏の常若整骨院院長。東洋医学の見立てを軸に、身体のケアと自律神経の働きを整えやすい身体づくりをサポートしている。医療機関との連携を大切にし、必要な場合は医師・歯科医師への受診を案内している。
公益社団法人日本顎関節学会 顎関節症について、自律神経の乱れについてはこちらの記事でも詳しく触れています。
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