問い合わせの窓口がLINEだけの整体院は、年配の方の相談を取りこぼしているかもしれません
自分の院のホームページを、お客さんの気持ちでスマホから開いてみる。画面を下にたどっていくと、問い合わせの入口は緑色のLINEのボタンがひとつだけ。
その前で、指が止まる人がいる。
この場面に心当たりがある先生に、この記事を書きます。新規が増えないとき、私たちはつい発信を増やしたり、新しい技術を学びに行ったりします。ただ、その前に確かめておきたいことがあります。来ようとしてくれた人を、入口で逃がしていないか、です。
この記事では、問い合わせの窓口をLINEだけにしている院で起きやすいことと、メールの窓口を足すときの具体的な手順を書きます。技術の話ではありません。穴を塞ぐ話です。
問い合わせがLINEだけだと、なぜ取りこぼしが出るのでしょうか
LINEだけの窓口は、LINEで気軽にやり取りできる人にしか開いていないからです。
私が技術セミナーの面談で、開業4年目のある先生とお話ししたときのことです。その先生は、問い合わせの窓口がLINEだけでした。私はそこで、こう伝えました。ラインだけだともったいない。年配の方はメールを使っている人が多いので、LINEとメールの両方を置いたほうが、集客は増えると思います、と。
理由はこうです。「話はしたくない。でも、問い合わせはしたい」という人が、世の中には思っている以上にいます。電話は緊張する。LINEは友だち追加をしないと始まらない。だからといって、問い合わせをやめるわけではなく、静かにそのページを閉じるだけです。
閉じた人は、閉じたことを教えてくれません。先生の側から見ると、何も起きていないように見えます。つまり、取りこぼしは、数字に出ません。
私は面談の中で、この穴を塞いでほしいとお願いしました。1か月に1人、2人の違いかもしれません。ただ、手を動かしにくい今の時期に、技術を増やすよりずっと早く、確実に手を打てるのがここです。
LINEが使えるのに、なぜ問い合わせをやめてしまう人がいるのですか
問い合わせをやめる理由は、LINEが使えるかどうかではなく、そこから先に進むのが面倒に感じる、気が引ける、というところにあります。
ここは大事なので、私の理解をそのまま書きます。年配の方はLINEが使えない、と決めつけるのは違います。LINEを使っている年配の方は大勢います。違うのは、初めて行く院に、いきなり友だち追加をして、名前の出るトークで話を始めることへの心の距離です。
初めての院への問い合わせは、体の悩みを他人に伝える行為です。「こんなことを聞いていいのだろうか」という遠慮がある。そこに、友だち追加という一手間が乗ります。この一手間が、気の重さを越えてしまう人が出てきます。
もうひとつあります。メールは、書いて、送って、返事を待つだけの、距離のある連絡です。相手に顔も声も届かないから、遠慮のある人が、自分のペースで言葉を選べます。電話に比べて、気が引けにくいのです。
LINEが悪いのではありません。窓口がひとつしかないと、その窓口が合わない人の道がなくなる、というだけのことです。
自分の院の窓口を、お客さんの目で確かめる方法はありますか
あります。スマホで自分の院の名前を検索して、お客さんと同じ順番で、問い合わせまでたどってみてください。
やることは3つです。
1つ目。院の名前と地域名で検索して、Googleマップに出てくる自分の院の画面を見る。電話番号は押せる形で出ているか。ホームページへのリンクは生きているか。
2つ目。ホームページを開いて、問い合わせの入口を探す。スクロールせずに見える範囲に入口があるか。入口は何種類あるか。
3つ目。入口を実際に押してみる。そのあと何が起きるか、最後まで進む。LINEなら友だち追加の画面まで。メールならメールの作成画面が開くか、フォームが送れるか。
これを、ふだんパソコンで見ている人ほど、スマホでやってみてください。問い合わせはほとんどスマホから来ます。パソコンでは立派に見えるページが、スマホだと入口が下の下にあって見つからない、ということが起きます。
見終わったら、紙に書き出します。入口は何個あるか。ひとつしかない入口はどれか。ここまでで、穴の場所は見えます。
メールの窓口を足すとき、最初に決めておくことは何ですか
最初に決めるのは、窓口の種類ではなく、返事を出すまでの約束です。
窓口を増やすと、返事を出す仕事が増えます。メールは、LINEより返信が遅くなりがちです。施術の合間に見られないと、半日、1日と経ってしまう。問い合わせてくれた方は、返事を待っています。その間に、別の院に連絡している人もいます。
私なら、次の3つを先に決めます。
メールを見る時間を決める。施術の前と後、1日2回のように、毎日同じ時間に見る。見ない日をなくす。
返事を出す目安を決める。当日中に返す、と決めてしまうのが分かりやすいです。休診日の問い合わせも、翌営業日の朝に返す、と院内のルールにしておきます。
自動返信を入れる。メールフォームなら、受け付けた時点で「内容を確認して、いつまでにお返事します」と自動で返る設定にできます。待つ方の不安がずいぶん減ります。
アドレスは、院専用のものを作ってください。個人で使っているメールと混ぜると、見落としが出ます。GmailでもOutlookでも、ふだん使いやすいものでかまいません。大事なのは、院の問い合わせだけが入る箱を作ることです。
メールの窓口は、どこに置けばお客さんに届きますか
届く場所に置くことが大切で、最低でもホームページ、Googleのビジネスプロフィール、予約や案内のページの3か所です。
ホームページでは、LINEのボタンのすぐ隣に並べます。ひとつだけ離れた場所に小さく書いても、見つけてもらえません。「LINEで相談する」「メールで相談する」「電話する」の3つを、同じ大きさで横に並べるのが分かりやすいです。
メールアドレスをそのまま書くと、押してもメールが開かず、コピーする手間がかかります。押したらメールの作成画面が開く形にしておくか、入力フォームを置くかのどちらかにしてください。ここでも手間は、少ないほどいいのです。
Googleのビジネスプロフィールは、電話の欄とホームページのリンクが基本です。ホームページ側にメールの入口があれば、そこからたどってもらえます。電話番号が古いまま、ということだけは避けたいところです。
名刺やチラシ、院内のリーフレットにも、アドレスを入れます。紙を見た方は、スマホで入力する手間を嫌がります。QRコードを一緒に載せると、ずっと楽になります。
メールで問い合わせが来たら、どう返せばよいのでしょうか
返事の最初の1文で、受け取ったことと、答えられる範囲を伝えるのがよい形です。
メールの問い合わせは、短く、遠慮がちに書かれることが多いです。症状のこと、予約のこと、場所のこと。書いてくれた内容に丁寧に返して、最後に次の一歩をひとつだけ示します。
例をひとつ置きます。
「お問い合わせありがとうございます。ご連絡をいただけてうれしいです。いただいたお悩みについては、お体の状態を拝見してから、できること、むずかしいことをお伝えします。ご都合のよい日がありましたら、ご希望の曜日と時間帯をお返事ください。こちらで空いている枠をご案内します。」
ここで注意することが2つあります。
ひとつ目。メールで症状を判断して、「それは〇〇ですから大丈夫です」と言い切らないこと。顔も体も見ていない相手に、断定してはいけません。お会いしてからお伝えします、と返すのが誠実です。
ふたつ目。急な麻痺、これまでにない激しい痛み、急な体重の減少のように、危険なサインが書かれていたら、予約を案内する前に、まず医療機関の受診をすすめてください。ここは先生の責任として、最初に伝える場所です。
返事は短くて構いません。長文で返すと、受け取る側が構えてしまいます。次に何をすればいいかが、ひと目で分かる返事が親切です。
窓口を増やしたあと、何を見れば効果があったと分かりますか
見るのは、どの窓口から連絡が来たかを、1か月ぶん数えることです。
予約の台帳や問診票に、「どこから連絡しましたか」の欄を足します。LINE、メール、電話、その場で。選ぶ形にしておけば、受付で数秒で済みます。
最初の数か月は、メールからの問い合わせは多くないかもしれません。1か月に1人か2人、という数字でも、私は十分に意味があると考えています。LINEだけでは来なかった人が、1人増えたからです。
そして、その1人は、先生の院にとって新しい層である可能性があります。LINEで連絡する人と、メールで連絡する人は、悩みの伝え方も、通院のペースも、違うことが多いです。メールで連絡してくれた方が、どんな症状の方だったかも、メモしておいてください。
数が増えなくても、焦らなくて大丈夫です。窓口を足したことで失うものはほとんどありません。ひとつ穴が塞がったことを、台帳の上で確認できれば、それで十分です。
窓口を増やすと、やり取りが増えて疲れませんか
疲れないための工夫は、窓口の数ではなく、返す仕組みで決まります。
窓口を3つにすると、見る場所が3つになります。それを毎回開くのは負担です。私なら、メールもLINEも、見る時間を同じにします。たとえば、施術が始まる前と、終わったあと。この2回にまとめます。
返事の型もあらかじめ作っておきます。初めての問い合わせへの返事、予約日程の案内、休診日の連絡。3つ分の文章をメモに保存しておけば、コピーして書き換えるだけで済みます。
窓口を増やしても、やり取りが増えるわけではありません。今まで届かなかった声が、届くようになるだけです。それを自分で受け止められる量に収めるのは、先生の仕組み次第です。
技術を学ぶ前に、入口を確かめるのはなぜですか
入口が細いままだと、どれだけ技術を磨いても、その技術を知ってもらう機会が増えないからです。
セミナーの面談で、私は先生たちによく、見立ての順番の話をします。技術が悪いのではなく、見る順番が決まっていないだけ、という話です。集客にも、同じ順番があります。
発信を増やす。症状別のページを増やす。口コミを集める。そのどれも大事です。ただ、その前に、来ようとしてくれた人が最後まで来られる道を作っておく。順番としては、こちらが先です。
穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるのは、先生の体力も時間も削ります。まず、穴を塞ぐ。そのうえで、水を足す。そうすれば、同じ努力で残るものが増えます。
よくある質問
問い合わせの窓口は、LINEとメールのほかに電話も必要ですか?
必ずしも必要ではありませんが、施術中に出られない場合は、電話番号を載せても出られないことがあります。その場合は、留守番電話の案内で「LINEまたはメールからご連絡ください」と伝える形がおすすめです。電話しか使えない方の入口を、完全に閉じなくて済みます。
メールアドレスをホームページに載せると、迷惑メールが増えませんか?
文字としてそのまま載せると、増える可能性があります。問い合わせフォームを使うか、押したらメール作成画面が開くリンクの形にしておくと、抑えやすくなります。院専用のアドレスを作っておけば、迷惑メールが来ても、ほかの連絡とは混ざりません。
Gmail以外のメールアドレスでもよいのでしょうか?
かまいません。大切なのは、院の問い合わせ専用の箱をひとつ作ることと、毎日確認する習慣です。サービスの名前にこだわる必要はありません。
年配の方は本当にメールを使っているのでしょうか?
人によります。LINEを毎日使う年配の方もいれば、メールだけを使う方もいます。私が伝えたいのは、年齢で決めつけることではなく、窓口を複数にして、その方が選べるようにしておくことです。選べる入口があること自体が、安心につながります。
問い合わせフォームとメールアドレス、どちらを置くほうがよいですか?
迷うなら、フォームを先に置いてください。項目を最小限(お名前、連絡先、お悩みのひとこと)にしておくと、書く側の負担が少なくなります。アドレスだけを置くより、迷惑メールも減らせます。
返事が遅れてしまったら、どうすればいいですか?
気づいた時点で、すぐ返します。冒頭に「お返事が遅くなりました」と一言添えれば十分です。長い言い訳は要りません。遅れる日が続くなら、窓口を絞るのではなく、見る時間を決めるところから見直してください。
メールで相談された症状に、どこまで答えてよいですか?
目安は「お会いしてからお伝えします」です。顔も体も見ていない相手に、原因を断定したり、結果を約束したりしないでください。危険なサインがある場合だけは、予約の案内より先に、医療機関の受診をすすめます。
窓口を増やしたのに、問い合わせが増えません。やめたほうがいいですか?
やめなくて大丈夫です。数か月は様子を見てください。窓口を足すことは、入口を広げるだけで、集客そのものを増やす手段ではありません。見つけてもらう場所(ホームページや検索、口コミ)が育つにつれて、入口の広さが効いてきます。
問い合わせの数を、どうやって数えればいいですか?
予約台帳か問診票に「どこから連絡しましたか」の欄を作り、選ぶ形にします。月末に数えるだけで構いません。窓口ごとの数が見えると、足したことの意味が分かります。
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この記事は施術者向けに書いたものです。体の症状でお困りの方は、まず医療機関を受診してください。









