口コミが増えない整体院に共通するのは、頼む場所が会計の最後にあることです
施術が終わって、患者さんが身体を起こす。肩を回して、少し驚いた顔をする。
「あ、軽い。ありがとうございました」
先生は「よかったです」と笑って、そのまま会計へ向かう。レジの前で、ふと頭をよぎる。口コミ、お願いしたほうがいいかな。でも今さら言い出しにくい。結局、おつりを渡して見送る。
その背中を見ながら、先生は思っています。この人は満足してくれた。きっと、そのうち書いてくれる。
書いてくれません。悪い気持ちがあるわけではなく、書く理由と、書き方の入口を渡されていないだけです。
口コミが増えない整体院には、どんな共通点があるのでしょうか
共通点は三つです。頼む場所が会計の最後にあること、頼む先が一つしかないこと、頼んだあとの動きが決まっていないことです。
技術の差ではありません。私が話を聞いてきた先生の中にも、施術の腕はしっかりしているのに、Googleの口コミが0件の方がいました。昔もらったはずの手書きの声も、どこにしまったか分からなくなっていました。
腕のある先生ほど、「良ければ自然に増える」と信じています。そこが、最初の共通点の入口です。
「そのうち書いてくれる」を待つと、なぜ増えないのでしょうか
患者さんにとって口コミは、頼まれなければ存在しない作業だからです。
満足していることと、スマホを開いて文章を書くことは、まったく別の行動です。楽になった日の夜、患者さんは夕飯を作り、子どもを寝かせ、翌日の仕事の準備をします。口コミのことは、帰り道の電車で消えます。
自然に増えるのは、よほど感情が動いた人だけです。そして、そういう方は一年にそう何人も来ません。
待つ院と、頼む院の差は、技術の差より先にここで開きます。
頼む場所を、会計の最後から動かすと何が変わるのでしょうか
頼むのは、患者さんが一番楽になった直後ではなく、その方の変化が言葉になった直後にします。
会計の最後は、お互いに帰る気持ちが先に立っています。そこで頼むと、お願いごとの印象だけが残ります。
おすすめは、施術の終わりに、変化を一言で言ってもらう場面を作ることです。
「さっきと比べて、どこがいちばん違いますか」
患者さんが「首のここが軽いです」と言ったら、それがその方の言葉です。そのあとで、「今の言葉、そのまま書いていただけると、同じように悩んでいる方の助けになります」と添えます。頼む内容が「評価してください」ではなく「今の言葉を残してください」に変わります。
ここに、押し売りに見えない理由があります。先生が欲しいのは星ではなく、患者さんの言葉だからです。
頼む先が一つしかないと、なぜ止まるのでしょうか
Googleの口コミは、書くまでの手間が大きく、その場でやめる人が多いからです。
アカウントを探し、ログインし、星を選び、文章を打つ。スマホに不慣れな方は、ここで離れます。年配の患者さんが多い院ほど、この壁は高くなります。
セミナーで先生に伝えたのは、二段構えです。Googleがだめなら、紙の手書きでもらってください、と。理由は、もらえるだけもらいたいからです。手書きの声は、そのままホームページや案内ページに貼れます。Googleの順位にはつながらなくても、初めて来る方の背中を押す材料にはなります。
選択肢を二つ持つだけで、頼むことへの気後れが減ります。Googleが無理なら紙、紙も難しければ、声を聞いて先生が書き留めさせてもらう。逃げ道があると、頼む側も頼まれる側も楽です。
頼んだあとの動きが決まっていないと、どうなるのでしょうか
頼んだあとに二回までと決めておかないと、先生は頼むこと自体が重くなり、続かなくなります。
一回頼んで反応がない。もう一度頼むのは催促のようで気が引ける。その気まずさが積もって、頼むこと自体をやめてしまう院は少なくありません。
お願いは二回までです。それで反応がなければ、追わなくて大丈夫です。患者さんにも事情があります。反応のない方を追いかけて、関係を重くするほうが損です。
決めておくと、頼む側の気持ちが軽くなります。軽くなった先生は、次の患者さんにも自然に声を出せます。この積み重ねが、一か月後の件数になります。
関連して、リピートされない理由を整理した記事もあります。口コミとリピートは、同じところで詰まっていることが多いです。リピートされない理由の記事もあわせてどうぞ。
口コミが増える院では、頼む前に何が終わっているのでしょうか
頼む前に、患者さんに結果が出ています。そして、その結果は、セルフケアが続いた方に出やすいです。
セミナーで先生に話したことがあります。腕がまだ師匠の域に届いていなくても、セルフケアで補えます。施術とセルフケアは半々と思ってください、と。先生自身がそのセルフケアを試して体感しておくと、患者さんへの説得力が変わります。
流れはこうです。セルフケアを渡す。患者さんが自分で続けて、結果が出る。そこで口コミをお願いする。口コミが積み上がり、検索で上に出る。上に出ると、また新しい患者さんが来る。私の院で予約が三週間待ちになっているのも、この循環の延長にあります。
つまり口コミは、頼み方のコツだけで増えるものではありません。頼む前に、結果が出る設計になっているかが問われます。
口コミが少ないままだと、院の外ではどう見えているのでしょうか
初めて検索した人には、件数の少なさが、そのまま「まだ分からない院」という印象になります。
想像してみてください。肩の重さで眠れない夜に、スマホで近くの整体院を探している方がいます。候補は三つ。一つは声が十件以上、一つは三件、先生の院は0件です。技術は同じでも、選ばれるのは件数のある院です。0件の院は、比べてもらう土俵に立てていません。
私がセミナーで話した先生は、保険診療が中心で、実費の患者さんがほとんどいない状態から移ろうとしていました。Googleの口コミは0件、昔の手書きの声は所在不明。この状態で、技術の話や値付けの話を始めても、手が届きません。まず声を集める。そこが土台でした。
ここで大事なのは、数を追いすぎないことです。一件ずつ、患者さんの言葉が入っていることが大切です。「良かったです」の一行より、「朝、枕から頭を上げるときの重さが変わりました」の一文のほうが、読む人の悩みに刺さります。だから最初に、変化を言葉にしてもらう場面を作る意味があります。
また、頂いた声には必ず返事を書いてください。返事は、書いてくれた方への礼であり、これから読む方への案内でもあります。先生がどんな言葉で患者さんと向き合っているのかが、そこで伝わります。
口コミを集める前に、先生が確認しておくことは何でしょうか
確認するのは、次の三つだけです。患者さんの言葉を聞く場面があるか、頼む先が二つあるか、頼んだあとの動きが決まっているか。
一つ目は、さきほどの「どこがいちばん違いますか」の場面です。二つ目は、Googleと紙の二段構えです。三つ目は、二回までというルールです。
三つとも、新しい技術はいりません。今日の最後の患者さんから、始められます。
もう一つだけ添えます。お願いする文面は、毎回その場で考えないでください。一枚の紙か、決まった一言にして、手元に置いておきます。その場で言葉を探すと、頼む側が緊張して、頼まれる側にも伝わります。決まった型があれば、疲れた夜の最後の患者さんにも、同じ温度で渡せます。型を作ることは、冷たいことではなく、続けるための優しさです。
よくある質問
口コミをお願いすると、押し売りに見えませんか?
見えにくくする方法があります。評価をお願いするのではなく、患者さんが口にした言葉を残してもらう形にすることです。「さっきおっしゃった言葉を、そのまま書いていただけますか」と頼むと、先生の都合ではなく、次の誰かの助けのために、という筋が通ります。
Googleの口コミが0件でも、紙の声だけで足りますか?
足りる場面と足りない場面があります。ホームページや案内ページで初めての方を安心させる目的なら、紙の声で十分に働きます。検索での表示順位を上げたいなら、Googleの口コミが必要です。まずは両方を並行して、もらえるものを確保してください。
昔もらった手書きの声が見つからないときは、どうすればいいですか?
探すことに時間を使いすぎず、これから新しくもらうほうに切り替えてください。見つかれば使えばいいですが、見つからなくても院の価値は変わりません。次の来院から、紙を一枚用意して渡すところから始めます。
口コミのお願いは、何回までしてよいですか?
二回までにしてください。それで反応がなければ、追わなくて大丈夫です。催促を重ねると、患者さんとの関係のほうが重くなります。
年配の患者さんが多くて、Googleの口コミを書いてもらえません
その院では、紙の手書きや、先生が声を聞き取って書き留める形を主にしてください。スマホ操作が壁になっているだけで、気持ちが足りないわけではありません。お願いする側が、書く手間を引き受ける発想です。
口コミが増えない時期は、まず何を見直せばいいですか?
最初に見るのは、頼んでいる場面です。会計の最後だけで頼んでいないか、頼む先が一つになっていないかを確認してください。技術を疑うのは、その後でも遅くありません。
セルフケアを渡すことと、口コミにはどんな関係がありますか?
セルフケアが続いた方ほど、結果が目に見える形で出やすく、結果が出た方ほど言葉が具体的になります。具体的な言葉の口コミは、読む人の心を動かします。口コミは、結果の設計の先にあるものです。
技術に自信がなくても、口コミは集められますか?
集められます。ただ、頼む前に、結果が出る流れを作っておくことが前提です。技術が途中であっても、セルフケアの組み合わせで補う余地はあります。自分の技術を責める前に、説明と流れを整えてみてください。
口コミの内容が、体の症状の改善を断言する書き方になっていたらどうしますか?
患者さんの感想として載せる範囲を守り、「必ず良くなる」と読める言葉は、載せる側で扱いを考えてください。個人の感想であることが伝わる形にして、医療効果を保証する見せ方にはしないことが大切です。
口コミを頼むのは、初診と再診のどちらがよいですか?
変化が言葉になった施術のあとが基本です。初診で大きな変化が出たならその日でもよく、そうでなければ、二回目か三回目で経過を聞いたときに頼んでください。変化が出ていない段階で頼むと、お願いごとだけが残ります。
口コミの話は、頼み方より前に、頼める流れがあるかどうかの話です。ひとりで抱え込まず、他の先生の工夫も見てみてください。
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この記事は、施術者・施術家の方に向けて書いています。体の症状でお困りの方は、まず医療機関の受診をおすすめします。









