チック症が大人でも繰り返す本当の理由|福岡市で自律神経と体の緊張を整える
結論から言うと、大人になってもチックが続いたり再発する方には、体の慢性的な緊張と自律神経の疲弊が深く関わっているケースが多くあります。
チック症は脳の神経回路(とくに大脳基底核のドーパミン調節)に関わる症状であり、まず医療機関での診断と治療方針の確認が大切です。その上で、整体では「体の緊張をゆるめる」「自律神経の働きを整えやすい身体づくり」という面でサポートできることがあります。この記事は、病院に行って「様子見で」と言われたけれどチックがなかなか落ち着かない方、または生活のなかでチックとうまくつき合う方法を探している方に向けて書いています。チック症そのものを整体が「治す」という話ではなく、チックが出やすい体の土台をどう整えるか、という話をします。
なぜチック症は大人になっても続くのか
チック症が長引く方には、体の緊張がなかなか抜けていないケースが多くあります。
「チックは子どもの症状」という認識を持っている方は少なくありません。実際、チックは10歳前後にピークを迎え、その多くは成長とともに落ち着いていきます。ところが、成人になっても続いていたり、一度落ち着いたのに社会人になってから再び出てきたという方が、現場では一定数いらっしゃいます。
チック症の背景には脳内の神経伝達物質、とくにドーパミンの調節のアンバランスが関与していると言われています。大脳基底核と呼ばれる、体の動きを調整する脳の部位がうまく機能しにくくなっている状態です。遺伝的な要素も関わっているとされており、親族に同様の特性を持つ方がいるケースも珍しくありません。
ただ、こうした神経の特性そのものだけで全てが決まるわけではなく、生活環境・ストレス・睡眠の質・体の疲れ方が症状の出やすさに大きく影響します。
大人でチックが長引く背景には、いくつかの流れがあります。
ひとつは、もともとの神経の特性に、仕事や人間関係のストレスが重なっているケースです。学生時代は多少チックが出ても場が許してくれましたが、社会人になると「見られている」「迷惑をかけてはいけない」という緊張が加わり、かえって症状が目立ちやすくなることがあります。自己評価や他者評価への敏感さが強い方ほど、この緊張は大きくなる傾向があります。
もうひとつは、睡眠不足と疲労の蓄積です。チック症の症状は、疲れているとき・睡眠が足りていないとき・強いストレスがかかったときに出やすくなることが、臨床でも繰り返し確認されています。現代人の多くが抱える「慢性的な疲労と浅い眠り」は、チックが落ち着かない大きな背景になっています。眠れていない日が続いているときほど「なぜか最近ひどい」と感じる方が多いのは、このためです。
そしてもうひとつ、非常に重要な点があります。チックは「止めようとすると余計に出る」という性質を持っています。意識すればするほど脳がそこに集中し、結果として症状が増える。これはチックの方が口々におっしゃることで、「バレないようにしよう」「人がいるところでは出さないようにしよう」という強い意識が、体全体の硬直を生んで悪循環につながっていきます。
止めようとする力が全身に及ぶと、肩や首が慢性的に固まり、呼吸が浅くなり、頭部の緊張も高まります。その緊張がさらに神経の興奮を維持して、チックが出やすい状態を長持ちさせてしまうのです。
体が緊張した状態、常に戦闘モードのような状態が続いていると、脳の神経回路への負担も増します。自律神経でいえば、アクセル(交感神経)が踏み続けられて、ブレーキ(副交感神経)がなかなかかからない状態です。
チック症と整体の関係
チック症そのものを整体が「治す」ことはできません。ここは最初に明確にしておきます。
チック症は脳の神経回路の問題であり、医療機関での診断・治療が基本です。薬物療法や、行動療法のひとつであるCBIT(チックに対する包括的行動介入)が現在の標準的なアプローチとして知られています。強い症状や日常生活への支障がある方は、まず神経内科・精神科・心療内科に相談することを優先してください。
整体でできることは、もっと手前にあります。
体の慢性的な緊張をゆるめること。自律神経がアクセルとブレーキを切り替えやすい状態に整えること。「いつも体が固まっている」「肩や首がこわばっている」「息が浅い」という状態が続いていると、脳も含む全身の緊張が保たれ、チックが出やすい土台になります。その土台をゆるめるサポートとして、整体が関わることができます。
チック症の方は、自律神経も緊張しやすく、イライラ・不安・やる気が出ないといった自律神経の乱れも同時に起きやすいことが知られています。体の緊張をゆるめ、神経のアクセルとブレーキのバランスを整えやすくすることは、そういった全身の状態を楽にする一助になることがあります。
「整体が直接チックを止める」という話ではなく、「チックが出やすい体の状態を少し変える」ということです。
大事なのは、整体と医療を対立させないことです。医療で治療を受けながら、体の緊張をゆるめる補助として整体を活用する。セルフケアを習慣化して、チックが出やすい体の土台を日々整える。こういう重ね方が、実際には一番無理なく続けられます。
福岡市でチック症に関連して整体を探している方へ
福岡市でチック症に関連して整体を探している方に、知っておいてほしいことがあります。
まず、チック症を「整体で治す」と宣伝しているところには注意が必要です。チックは脳の神経回路の問題であり、整体がそこに直接働きかけることはできません。「自律神経を整える」「体の緊張をゆるめる」「ストレスを管理しやすい体をつくる」という切り口で関わる整体院は信頼できますが、「チックを整体で消します」という表現は根拠として成立しません。
次に、チック症への関わりは長期的なものになります。一回の施術で劇的に変わるものではなく、体の緊張を少しずつほぐしながら、生活習慣やストレス管理も含めて整えていく、時間のかかる取り組みです。「すぐ変わる」という期待を持って来院すると、お互いにとって難しい結果になりやすい。
また、医療との連携をきちんと行っているかどうかも重要な視点です。チック症は医療で診てもらっている方が多く、整体はその補助として位置づけるのが自然です。「整体だけで十分」ではなく、必要に応じて医療と並走しながらケアする。そういうスタンスの院を選んでください。
施術者が、チック症に伴いやすい自律神経の乱れや体の緊張パターンについて、ある程度の知識を持っているかどうかも確認できると安心です。初回のカウンセリングで症状の背景や生活習慣について丁寧に聞いてくれるかどうかが、ひとつの判断材料になります。「どこが痛いですか」だけで終わるような問診では、チック症に関わる背景を十分に把握することはできません。
常若整骨院の考え方
常若整骨院では、チック症の方を直接「施術で変える」という立場ではなく、「体の緊張をゆるめ、自律神経の働きを整えやすい身体の状態をつくる」という形でサポートを行っています。
院の施術の土台にあるのは、カウンセリングと施術をセットで行うという考え方です。
体の不調には、必ずその人の生き方・考えグセ・生活習慣が絡んでいます。「止めようとするほど体が固まる」「誰かに見られているとき緊張が高まる」という悪循環は、体の問題であると同時に、その方の日常の緊張パターンとも深く関わっています。カウンセリングで背景を丁寧に聞き出してから施術を行うことで、体へのアプローチの精度が上がります。
施術では、気功的な手法を用いて体全体のエネルギーの流れを整え、肩・首・背中の慢性的な緊張をゆるめることを中心に行います。チック症の方は首肩周りや頭部の緊張が特に強いケースが多く、その部分が少しゆるむだけで「呼吸が楽になった」「体が温かくなった」という感覚を持っていただくことがあります。
施術後には、セルフケアの話もします。自宅でできる呼吸法・生活習慣の工夫・ストレスとの向き合い方。「施術に来てもらうだけ」ではなく、日常での変化が積み重なって体の状態が整っていくという考え方で関わっています。
整体で関わることは体の緊張のサポートであり、医療の代替ではありません。医師のもとで治療を続けながら、生活の質を上げる補助として活用していただくことが、当院のスタンスです。
施術歴20年の現場で見てきた経験から言えるのは、チックと向き合っている方に共通して見られるのが、「体が力を抜けずにいる」という状態です。力を入れ続けることで何かを守ろうとしているかのような体の使い方。その緊張を丁寧にゆるめていくことが、長い目で見たときに最も基本的なアプローチだと考えています。
東洋医学から見たチック症
東洋医学では、チック症に相当する状態を「肝風内動(かんふうないどう)」と呼ぶことがあります。
東洋医学でいう「肝」とは、肝臓そのものだけでなく、自律神経の調整・感情のスムーズな流れ・筋肉の柔軟性・目の機能など、広い働きを指します。肝は「気の巡り」をつかさどる臓器として位置づけられており、ストレスや感情の抑圧が続くと最初に影響を受けやすいとされています。
「肝風内動」の「風」とは、体の内側から突き上げるように動く不規則な力のことです。本来は体の外から入ってくる「外風」(急な冷えや風邪のような外からの衝撃)と区別して、「内側から生じる風」として表現されます。筋肉が意思とは無関係に動いてしまう・目が勝手にぱちぱちする・首や肩が急に動く、といったチックの動きは、この「内から突き上げる風」のイメージに近いとされています。
大人でチックが長引くケースでは、「肝風内動」だけでなく、「心神不寧(しんしんふねい)」と「腎陰虚(じんいんきょ)」が重なっているケースが少なくありません。
心神不寧とは、「心(しん)」という臓が主る精神の安定が乱れている状態です。東洋医学の「心」は、西洋医学でいう心臓の機能だけでなく、意識・思考・感情を安定させる中枢としての働きを担います。心神が安定しないと、ぐるぐる考えてしまう・不安が抜けない・眠りが浅い・驚きやすいという状態になりやすく、チックが出やすい状態にも重なります。「夜になると余計に気になる」「静かな場所にいると余計に症状が意識に上る」という方に、この状態が見られることがあります。
腎陰虚とは、「腎(じん)」が持つ滋養の力(陰液・腎陰)が減っている状態です。東洋医学でいう「腎」は、生命力の根っこを貯める場所で、回復力の貯金のようなイメージです。腎の陰液が不足すると、体を冷やし潤す力が弱まり、熱がこもりやすくなります。この熱が肝を刺激して「肝風」を生む、という連鎖が起きやすくなります。慢性的な睡眠不足・過度の疲労の蓄積・長期間のストレスは、腎の陰液を消耗させやすいとされています。
三つの流れをまとめると次のような連鎖になります。
腎の滋養が減る(腎陰虚)ことで、体の内側に熱がこもりやすくなります。その熱が肝を刺激して風を生じる(肝風内動)。その風が心の神気を乱す(心神不寧)という流れです。これが互いに維持し合って、チックが出やすい体の状態が続いていく。
東洋医学の視点から体を整えるときは、まず「腎の陰液を補う」「肝の熱を静める」「心の神気を安定させる」という方向で体全体のバランスを調えていくことになります。
ツボについて触れると、三陰交(さんいんこう)というツボは内くるぶしの頂点から指4本ぶん上、すねの骨の後ろぎわにあります。肝・脾・腎の三つの経絡が交わる場所として、体の滋養を補い体の緊張を緩やかにゆるめる効果があるとされています。寝る前に両足のこのツボに触れ、深呼吸を合わせながらゆっくり押さえるだけで、体がじんわりほぐれやすくなります。
太衝(たいしょう)は足の甲の親指と人差し指の骨が合わさるV字の頂点にあるツボです。肝の気の巡りを整える代表的なツボで、イライラや体の緊張感が強いときに軽く触れると、気の詰まりが少しほぐれやすくなるとされています。
神門(しんもん)は手首の小指側のしわの上、豆状骨の外側に位置するツボです。心の神気を落ち着かせると言われており、不安が強い夜や眠る前に触れると、気持ちが少し静まりやすいとされています。
ツボを強く押しすぎる必要はなく、気持ちよい程度の圧で、呼吸に合わせてゆっくり触れるだけで十分です。「効いているかどうか」を確かめようとして強く押すと、かえって体が緊張してしまいます。軽く添えて、深く呼吸する。それだけでよいです。
自律神経とチック症の関係
自律神経とは、体のアクセルとブレーキのような仕組みです。
活動・緊張・ストレスがかかるときに働くアクセル(交感神経)と、休息・消化・回復のときに働くブレーキ(副交感神経)が交互に切り替わることで、体は日々のリズムを保っています。
チック症の方は、このアクセルとブレーキの切り替えがうまくいっていないことが多く、常にアクセルが入りっぱなしの状態になりやすいとされています。アクセルが踏まれ続けると、筋肉は慢性的に緊張し、神経は常に刺激を待ち受けているような待機状態に入ります。
ストレスがかかったとき・疲れているとき・眠れていないときにチックが悪化しやすいのは、これらすべてがアクセルを強める方向に働くからです。強いストレスがあれば交感神経が優位になり、睡眠不足が続けば自律神経の回復が追いつかなくなる。疲労が蓄積すれば体の緊張が抜けにくくなる。
「チックが悪化している時期は、自律神経が疲弊している時期とほぼ一致する」という見方は、整体の現場でも非常に実感のあることです。
夏は特に注意が必要な季節です。気温と湿度の変化・クーラーによる急な冷え・脱水・寝苦しい夜が続く熱帯夜。これらが重なると自律神経への負担は増し、体の緊張が慢性化しやすくなります。「なぜか夏になるとチックがひどくなる」と感じている方は、この自律神経への季節的な負担が背景にある可能性があります。
また、現代人の生活に特有の問題として、常にスマートフォンやパソコンの通知を待ち続ける「待機状態」があります。いつ何が来るかわからない状態で神経を張り続けることは、交感神経を慢性的に優位にします。これは体の緊張を抜きにくくする、目に見えにくいストレスです。
整体で行う体の緊張をゆるめるアプローチは、自律神経がアクセルとブレーキを切り替えやすくなることにつながります。施術中に「体がじんわり温かくなった」「呼吸が深くなった」と感じるのは、副交感神経が働いてブレーキがかかり始めているサインです。その状態に、日常生活のリズムが少し近づくことが、長期的な変化の土台になります。
実際に多いケース
現場で多いのは、次のような相談です。
子どもの頃からチックがあったが、就職・転職・引っ越しなどライフイベントのあとに急に悪化した、というケース。生活環境が大きく変わり、ストレスと体の疲れが重なった時期に再燃する方が多くいます。特に、転職後の「新しい人間関係の中で自分がどう見られているか」という緊張が体全体に入り込んでいるケースは多く、首肩周りがほとんど常に張り詰めている状態になっています。
病院では「様子見」と言われたが、何かできることはないかと来院する方も少なくありません。チックが日常生活に大きな支障を与えていない場合、薬物療法の適応にならないこともあり、「放置するのも不安だが医療でできることが限られている」という状態で困っていらっしゃる方がいます。
チックがあることを職場に知られたくない・隠そうとして余計に疲れる、というケースも多く見られます。隠す緊張がチックを悪化させ、さらに隠そうとする、という悪循環にはまっている方が少なくありません。「人前でだけひどくなる」「会議中が一番きつい」というのは、この状態が典型的に出ているものです。
夜になるとチックがひどくなる・眠るまでの時間が一番つらい、というケースもあります。日中は仕事や社会的な場面の緊張感で神経が外向きに張り出していたものが、夜にゆるもうとした瞬間に体が解放しようとする動きが出やすくなります。これは「止めようとするほど出る」というチックの特性とも重なり、「やっと一人になれた、ゆっくりしようとした途端にひどくなる」という体験をされる方が多いです。
体全体がいつも固い感じがする・肩や首が張っている・呼吸が浅い、という身体的な背景が強いケースも多く、こういった方は施術で体の緊張がゆるむと、「なんとなく体が軽くなった」「チックよりも全身の疲れが楽になった感じ」という変化を報告してくださることがあります。
3人の事例
ここで、当院でのサポートの様子を3つの例でお伝えします。いずれも詳細は変更してあります。
仕事のプレッシャーで再燃したケース
30代男性。子どものころから軽い目のチックがあったが、大学卒業後は落ち着いていた。転職して新しい職場のプレッシャーが続いたころから、目のぱちぱちと首の動きが再び出てきた。「またか」という落ち込みと、「職場に知られたくない」という緊張が重なり、全身がこわばったまま毎日を過ごしていた。業務中は何とか抑えられるが、帰宅後や就寝前に症状が強くなるという状態が続いていた。
院ではまずカウンセリングで背景を聞き、体の緊張のパターンを確認した。施術では首周りと背中の緊張をゆるめることを中心に行い、セルフケアとして深呼吸と就寝前のルーティン(画面を早めに切る・湯船に浸かる)を提案した。数回の来院後、「肩が楽になった」「眠れるようになってきた」という変化があり、チックの頻度が主観的に少し落ち着いてきたとおっしゃっていた。チックそのものが消えたわけではなく、「体が重くない分、チックが気になりにくくなった」という変化だったと本人が語ってくれた。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
育児の疲弊が重なったケース
40代女性。小学生のころ首を振るチックがあり、中学以降は落ち着いていた。第二子の育児が始まった時期から、目をきつく閉じる動作と声が出る症状が重なって出てきた。夜中の授乳で睡眠がバラバラになり、「自分でも変だと思うが体が言うことを聞かない」という状態だった。「育て方が悪いのかもしれない」という自己否定も重なり、精神的にも消耗していた。
院でのカウンセリングでは、育児の中で「自分が倒れてはいけない」という緊張をずっと持ち続けていることが見えてきた。施術では体の芯にある疲れをゆるめることを中心に行い、「無理にセルフケアをしようとしなくていい・まず寝ること・チックを止めようとしなくていい」というシンプルな方向性を伝えた。育児環境が落ち着くにつれて体の状態も少しずつ変化し、「症状が出ても前ほど怖くなくなった」「体の疲れが少し楽になってきた」と話してくださった。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
長年どこに行っても変わらなかったケース
20代女性。子どものころからトゥレット症候群と診断されており、複数の動作と音声チックがある。いくつかの医療機関で薬を試したが副作用が強く、薬物療法にためらいを感じていた。「整体でどうにかなるとは思っていないが、体が楽になれれば」という気持ちで来院された。
院では、症状そのものではなく「体全体の緊張をゆるめる」「自律神経の負担を下げる」「日常生活の質を少し上げる」という目的でサポートを行った。施術後に「体が温かくなった」「呼吸が入りやすくなった」という感覚を繰り返し体験し、「症状に意識を取られることが少し減った」という変化があった。チックの内容が変わったわけではないが、「症状と一緒に生きる感覚が変わった」と話してくださった。効果には個人差があり、回復を保証するものではありません。
自宅でできるセルフケア
チック症と向き合いながら日常を送っている方が、自宅でできることを整理します。
「止めようとしない」という姿勢を持つことが最初の一歩です。これは諦めることではなく、チックに強く意識を向けるほど脳がそこに集中して症状が強まるという性質を理解した上で、なるべく意識を別のところへ向ける・自然な流れに任せる、ということです。チックが出ているときに「またか」と責めるのをやめるだけでも、体の緊張が少し変わります。
睡眠を優先することは、セルフケアのなかでも最も影響が大きいことのひとつです。睡眠不足がチックを悪化させやすいことは繰り返し確認されています。夜は画面から離れる時間を作り、部屋を暗くして体を休ませることを意識してください。特に「寝る1時間前のスマートフォン」は、神経を待機状態に置き続けるため、眠りの入りを浅くします。
首や肩を温めることも、体の緊張をゆるめる助けになります。夏でもクーラーで冷えやすい肩・首周りは、湯船に浸かる・蒸しタオルを当てるなどで温めると、全身の緊張が少しほぐれやすくなります。熱い湯よりも38〜40度のぬるめのお湯で15分ほど浸かるほうが、副交感神経を優位にしやすいとされています。
呼吸を長くすることを意識してください。吸うより「吐く」を長めにします。5秒かけて鼻から吸い、7〜8秒かけてゆっくり口から吐く。これを3〜5回繰り返すだけで、副交感神経が働きやすくなります。どこでもできる、最もシンプルな自律神経のサポートです。
ストレスを小出しにすることも大切です。一人でギリギリまで溜め込んでから爆発するパターンがあると体の緊張が慢性化しやすくなります。信頼できる人と話す・日記に書き出す・好きなことに夢中になる時間を作る。溜まる前に少しずつ出す習慣が、体の緊張を慢性化させにくくします。
自分のチックを責めないことが、長い目で見て大切です。「なぜ止められないのか」という自己否定は、さらなる緊張を生みます。チックは意思の弱さや怠けではなく、神経の特性です。自分を責めるエネルギーを、体を整えることに向けていくほうが、長期的に変化が出やすくなります。
医療機関との連携について
チック症は、まず医療機関での診断と治療方針の確認を受けることが大切です。整体はその代替ではありません。
チックが強く、日常生活・学業・仕事に支障が出ている場合は、神経内科・精神科・心療内科(18歳以下の場合は小児科・小児神経科)への受診を優先してください。現在標準的な治療として知られているのは、薬物療法や、行動療法のCBIT(包括的行動介入)です。
チックに加えて、急な麻痺・急速な悪化・高熱の合併・他の神経症状が重なる場合は、速やかに医療機関を受診してください。チックと見えていても、別の神経疾患が背景にある場合があります。
整体は、医療と並走する形でのサポートとして位置づけてください。「整体に行けば医師は不要」という考え方は、この症状に関しては適切ではありません。医師の方針に従いながら、生活の質を上げる補助として整体を活用する、というのが当院のスタンスです。
薬の変更・増減の判断は必ず医師に相談してください。整体での変化があったとしても、それを理由に薬を自己判断でやめることは避けてください。
FAQ・よくある質問
チック症は大人になると落ち着きますか?
多くの場合、子ども時代よりも症状が落ち着く方向に向かいますが、大人になっても続く方や、ストレス・疲労が重なって再燃する方もいます。個人差が非常に大きく、一概には言えません。まず医療機関で現在の状態を確認することをお勧めします。
整体でチックが楽になることはありますか?
整体でチックそのものを消すことはできません。ただ、体の慢性的な緊張をゆるめ・自律神経の働きを整えやすくすることで、チックが出やすい体の土台を少し変えるサポートはできます。「チックの頻度が主観的に落ち着いた」「体が楽になってチックが気にならなくなった」という変化をおっしゃる方はいますが、効果には大きな個人差があります。
子どもではなく大人がチック症で来院することはできますか?
はい。当院では大人の方のご相談も受けています。チック症に伴う体の緊張・自律神経の乱れ・生活習慣のサポートという観点でお手伝いします。
チック症の方は、どのくらいの頻度で来院するのが良いですか?
体の緊張を少しずつほぐすことが目的ですので、週1回程度から始めて、体の変化を見ながら調整していきます。急いで変えようとしても体は応じません。焦らず続けることが大切です。
夏になるとチックが悪化するのはなぜですか?
夏は気温の変化・クーラーによる急な冷え・熱帯夜による睡眠の質低下・脱水など、自律神経への負担が重なりやすい季節です。これらが体全体の緊張を高め、チックが出やすい状態をつくります。季節的な悪化を感じている方は、自律神経のケアと体の冷えへの対策を意識してみてください。
チックを止めようとするほど出るのはなぜですか?
チックは「止めようとするほど意識がそこに向き、かえって症状が強まる」という性質があります。脳が「止めなければ」という信号を送ることで、逆にその動きが誘発されやすくなります。意識的にチックを抑制することは非常に難しく、むしろ意識を分散させる・あるがままに受け入れる姿勢のほうが長期的に楽になりやすいとされています。
病院では「様子見」と言われたが、何かできることはありますか?
症状が日常生活に大きな支障を与えていない場合、医療的な介入の適応にならないことがあります。その場合でも、睡眠の改善・ストレス管理・体の緊張をゆるめること・規則正しい生活習慣の整備は、チックが悪化しにくい体の土台をつくる助けになります。整体でのサポートもその一環として活用できます。
東洋医学でチック症はどのように見ますか?
東洋医学では、チックに相当する状態を「肝風内動」と呼ぶことがあります。肝がつかさどる筋肉の柔軟性や気の巡りが乱れ、体の内側から「風」が生じる状態です。腎の滋養が足りない(腎陰虚)・心の神気が安定しない(心神不寧)という状態が重なることで、症状が続きやすくなると考えます。
トゥレット症候群でも整体に来てよいですか?
トゥレット症候群は、複数の動作チックと音声チックが1年以上続く状態で、専門的な医療対応が必要です。整体でトゥレット症候群そのものを変えることはできません。ただ、体の緊張をゆるめ・自律神経の負担を下げるという意味では、医療と並走する形で補助的なサポートとして関わることはできます。医師にご相談の上、お越しください。
チック症のある子どもを持つ保護者として、何に気をつければ良いですか?
チックを指摘したり止めさせようとしたりすることは、かえって症状を悪化させることがあります。チックが出ているときに特別な反応をしない・本人を責めない・日常を普通に送れる環境をつくることが大切です。また、子どもの緊張やストレスの背景を探り、家庭が「安心できる場所」であることを確認することも、長期的な助けになります。
チック症と発達障害は関係がありますか?
チック症はADHD(注意欠如多動症)や自閉スペクトラム症と重なることが知られています。ただし、チックがある方が必ず発達障害を持っているわけではなく、また発達障害があるすべての方がチックを持つわけでもありません。チックの背景に発達障害が関係している可能性がある場合は、専門の医療機関で確認を受けることをお勧めします。
チック症のときに食事で気をつけることはありますか?
直接的なエビデンスは現時点で限られていますが、体の緊張を慢性化させやすい生活習慣として、甘いものの過剰摂取・睡眠を乱すカフェインの多飲・栄養バランスの偏りが挙げられます。東洋医学的には、腎や肝を消耗させやすい「慢性的な睡眠不足」と「過度のストレス」を生活の中で少しでも減らすことが、体の土台を整える一歩とされています。
整体でできないことを教えてください。
チック症の診断・原因の特定・薬の処方・神経学的な治療は、整体の範囲外です。チックそのものを消すこと・チックの発症を止めることも、整体にはできません。整体でできるのは、体の緊張をゆるめること・自律神経の働きを整えやすくすること・生活習慣のサポートをすること、この三点です。医療で見てもらいながら、その補助として活用していただくことを前提に関わっています。
まとめ
福岡市でチック症に悩んでいる方へ。
大人になってもチックが続く・再発する、という体験はとても孤独です。「止めなければ」と思うほど体が固まる、誰かに見られているときが一番きつい、夜になると余計に出る。そういう日々の緊張は、チック症そのものと同じくらい、体と心を消耗させていきます。
まず確認してほしいのは、チックは意思の弱さでも怠けでもないということです。脳の神経回路の特性であり、ストレスや体の緊張が重なると出やすくなるというメカニズムがあります。「止められない自分が悪い」という自己否定は、さらなる体の緊張を生むだけです。
整体でチックを「消す」ことはできません。ただ、「体全体の緊張をゆるめる」「自律神経の働きを整えやすくする」「睡眠・ストレス管理・生活習慣を見直す」という切り口で、チックが出やすい体の状態を少し変えることはできます。医療と並走しながら、生活の質を少しずつ上げていくサポートとして、活用していただければと思います。
病院では「様子見で」と言われた方も、医療で治療中の方も、まず一人で抱え込まず、体の緊張をゆるめることから始めてみてください。体が少し楽になると、チックと向き合う気持ちも少し変わります。長年の体の緊張を一気に解くのは難しくても、少しずつゆるめていくことは、今日から始められます。
院長プロフィール
冨高誠治(とみたかせいじ)。常若整骨院(福岡市)院長。施術歴20年。延べ25,000名の施術経験を持つ。整体・気功・東洋医学を組み合わせた独自のアプローチで、自律神経の乱れ・慢性的な体の緊張・不定愁訴など、病院では異常が見つかりにくい不調に長年取り組んでいる。カウンセリングと施術をセットで行い、体の状態だけでなく生活習慣・考えグセ・ストレスパターンまで含めて整える姿勢が特徴。











